AIコーディング時代に気をつけたいチーム開発のマナー
はじめに
皆さんは普段の開発でどの程度AIを活用していますか?
2025年3月現在、私の周りを見渡すとAIコーディングツールの活用度は、メンバーによって大きく異なります。
どの程度ツールを使用しているかの粒度もチーム内でバラバラであり、その違いが気になる場面も増えてまいりました。
「この人このPRではどんな感じでAI使ったのかな?」「このコード量をレビューするのは大変だな」「このコード量をレビューさせてしまうのは申し訳ないな」と感じることも少なくありません。
AIコーディングによって変化したこと
AIコーディングによって変化した点は多岐にわたります。
従来からあったコーディングの補助を今は大きく飛び越えて、タスク内容をしっかり記述しておけばAIがPR作成まで行ってくれるような時代になりました。
その結果、生産性は向上し、コミットできるコード量は格段に増えております。
その反面、現在は過渡期であり、従来の常識を意識的に変えていかなければならないケースがあると感じています。
従来通りのチーム体制による課題
まず、圧倒的なコーディング速度の改善により、従来通りのチーム体制だとレビュワーの負担が非常に大きくなってしまいます。
また、AIが生成したコードをろくに確認せずPRを投げてしまうと、非常に失礼な行為にもなり得ます。
最悪の場合、レビュワーはAIが作ったコードだと気づかず、実装者の成長のためと思って愛のあるフィードバックをしてしまう可能性もあります。
実装者は一次レビュー者という意識を徹底すべき
AIコーディング時代においては、実装者自身が一次レビュー者となり、その段階で徹底的に確認を行う必要があると考えております。
以下の点を意識することが望ましいと存じます。
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生成されたコードについては全ての箇所を実装者が説明可能な状態にしておくこと
(AIコーディングでは曖昧なままでも正しい挙動をしてしまいます。それに甘えてコードを理解することから逃げてはいけません。少なくとも現時点では。将来的には人間がコードの意味を理解したり保守性を意識する必要がなくなるかもしれません。) -
どのような処理を行ったのかを、自然言語でコメントとして記載しておくこと
もちろんソースコードにむやみにコメントを入れてはいけません。
GitHubのPR上にコメントとして「この行では〇〇を行った」など、コメントを多く入れておくことがレビュワーへの礼儀になると思います。
そのようなコメントがあれば、レビュワーは少し気楽にレビューをすることが可能になります。 -
どのようにAIを使ったかは詳細に書いておくこと
例えば:- 「ChatGPTに質問はしたが、基本的には全て自分で実装した」
- 「Cursorのエージェントに下記のプロンプトを与えて作成されたコードをコミットした。差分はしっかりとレビューした」
このような違いによって、レビュワーの前提知識も変わってくることでしょう。
AIは積極的に活用すべき
もちろん、開発者個人やチーム全体の生産性を高める意味で、AIの活用自体は積極的に行うべきです。
その上で、現在は過渡期であるという意識を持ちつつ、従来のワークフローにできるだけスムーズに溶け込めるようAIを使っていきましょう。
重要なのは、チームメンバーへのリスペクトを持ちつつ、AIを効果的に活用していく姿勢だと思います。
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