Socks Proxy で不自由なネットワークから抜け出す方法
職場で SSH によるリモートサーバーへのアクセスは許可されているけど、利用できるウェブサービスは限定されていると仮定しましょう。 そのような場合でも Socks Proxy で制限を回避できることかもしれません。
Socks Proxy のイメージは次の通りです。
ネットワーク管理者の視点では、ローカルマシンからは単にリモートマシンに SSH 接続をしているだけに見えます。
この Socks Proxy を macOS Sonoma で設定する方法について書いていきます。
Socks Proxy の作成
ssh
コマンド一発で作成できます。
ssh -f -N -D 1080 -i ~/.ssh/my-key.pem mahata@bastion.example.com
-D 1080
オプションでローカルマシンのポート 1080 番に Socks Proxy を設定しています。ちなみに -f
は SSH セッションをバックグラウンドで実行させるオプションですが、これは指定しない方がいいかもしれません。仕事で MacBook を持って移動したり、うっかりスリープさせてしまったりすると SSH 接続が切れることがありますが、そのときフォアグラウンドで SSH を実行している方が切断に気づきやすいからです。
macOS の Google Chrome で Socks Proxy を通すようにする設定
macOS で Google Chrome を素直に .dmg 経由でインストールすると、実行ファイルは /Applications/Google\ Chrome.app/Contents/MacOS/Google\ Chrome
に作られます。このとき、次のように --proxy-server="socks5://127.0.0.1:1080"
を指定して Google Chrome をコマンドラインから起動することで、Google Chrome が Socks Proxy 経由でコンテンツにアクセスするようになります。
/Applications/Google\ Chrome.app/Contents/MacOS/Google\ Chrome --proxy-server="socks5://127.0.0.1:1080"
手元の Java アプリケーションで Socks Proxy を通すようにする設定
-DsocksProxyHost
と -DsocksProxyPort
を設定します。上記の設定をしている場合、具体的には次のように実行します。
$ java -DsocksProxyHost=127.0.0.1 -DsocksProxyPort=1080 org.example.Main
環境によっては -DsocksNonProxyHosts="localhost|127.0.0.1"
をあわせて指定すると役に立つかもしれません。このオプションをつけることで localhost
や 127.0.0.1
への接続は Socks Proxy を通さないようになります。基本的にネットワーク越しの環境を使いたいものの、ローカルホストで動くデータベースにも接続したい場合はこれを指定します。
macOS で Socks Proxy を通すようにする設定
- MacのSafariアプリ で、「Safari」>「設定」と選択してから、「詳細」をクリックします。
- 「プロキシ」の横にある「設定を変更」をクリックして、「ネットワーク」設定を開きます。
- ネットワーク管理者によって提供された情報を使用してプロキシ設定を変更します。
- 「OK」をクリックします。
手元で撮ったスクリーンショットを添付します。
これでインターネットへのアクセスが全て Socks Proxy を経由するようになります。大量に通信する場合、踏み台サーバーが捌ける帯域幅がボトルネックになることがあります。注意しましょう。
AWS の EICE 越しに Socks Proxy を起動するコマンド
$ ssh -i /path/to/your-key.pem \
-D 1080 -f -C -q -N ec2-user@instance-id \
-o ProxyCommand='aws ec2-instance-connect open-tunnel --instance-id instance-id'
instance-id
で指定している EC2 インスタンスがプライベートサブネットに所属しており、そのプライベートサブネットからしかアクセスできないコンポーネントに触りたいときに便利です。これと上記の「Java アプリケーションで Socks Proxy を通すようにする設定」を組み合わせることで、(比較的) 安全にローカルホストから AWS 上の開発環境に接続できます。なお、ssh
コマンドに渡している各オプションは次のような意味です。
-
-f
: バックグラウンドで実行 -
-C
: データ圧縮を有効化 -
-q
: クワイエットモード(出力を最小限に) -
-N
: リモートコマンドを実行しない(プロキシのみ)
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