仕事で出会った自然な英語表現をまとめる場所
仕事をやっていて出会った「英語だとこういう表現が自然なんだ!」という気づきを雑にまとめていきたい
「登壇のタイトル決めた?」は"decide"を使わず表現しよう
Do you know the title of your talk?
イベント登壇について同僚と話しているときに同僚から聞かれた質問。
日本語だと「登壇のタイトル決めました?」というように「決める」という動詞を使うと思うけど、英語だとknowを使うと自然らしい。
直訳すると「あなたの登壇のタイトルについてあなたは知っている?」となって、「知ってる・知ってないの問題ではなく、決めた・決めてないの問題だけど…」と思っておもしろく感じた。
似た例として、同僚とレストランにいったときに「注文決めた?」という意味で "Do you know what you wanna order?" みたいな表現も聞いたことがある。日本語からの直訳で decide を使ってしまいそうになる(し別に問題なく伝わるはずではある)けど、knowを使いこなせると良さそう。
〇〇さんにケチをつける
I definitely don't wanna step on his toes, but ...
この表現が出てきた文脈としては、
- 上司A(直属)と上司B(もっと上)がいる
- 上司Aと先日話して、次やるべきタスクについて話し合った
- 今は上司Bと話している。上司Aと話し合ったタスクについて共有
- 上司Bが少し異なるタスクを提案。その際の前置き表現として上の表現が使われた
つまりニュアンスとしては「上司Aがあなたに話した内容にケチをつけるわけじゃないけど」みたいな意味合い。
"step on someone's toes" を直訳すると「XXXさんのつま先を踏みつける」
Cambridge Dictionary によると 「誰かを怒らせる。特に、その人の責任範囲のことに対して関与することによって」とある。まさに上司Bがこの表現を使ったときの文脈にぴったり。
英和辞典だと「ちょっかいをかける」というような訳が当てられている。この訳だと少しビジネス的な響きからは離れてしまうかな?
短いけど難単語、irk
That kinda irks me
"irk" という単語、みなさん知ってますか?僕は最初これを見たとき「なんかの略語?」(I really knowとか)と思ったんですが、ちゃんとした動詞で「いらいらさせる」という意味です。
というわけで表題の文は「それはちょっとイラつくね」みたいな意味です。
たった3文字の動詞なのに知らないものがあるんだな~と思ったので取り上げてみました。英検でいうと1級レベルの単語らしい?
its
でいいのに it's
にする
ちょっと変化球だけど、k8sのドキュメントを見ていてふと思い出した話題があるので書いてみる。
it is
はしばしば it's
というように表記・発音されることはみなさんご存知だと思う。
カジュアルなテキスト会話だとアポストロフィを省略して its
と書かれることもある。
its so hot today
今日めっちゃ暑い
ところでits
は it
の所有格として正式な単語でもある。
Have you seen the new API update? Its rate limiting is much more efficient now.
新しいAPIアップデート見た?レートリミットがかなり効率的になってる。
素朴に考えると、it's
を its
と表記するのは、アポストロフィを打つのが面倒だからである、と思わないだろうか?つまり逆に言うと、所有格としての its
を it's
とわざわざ表記するモチベーションはない……と少なくとも僕は考えていた。
ところがどっこい、実際に英語をいろいろ読んでいると、所有格の its
を使うべき場面で it's
としているケースを稀に良く見る。今日見かけたのが以下。
Memory QoS uses
memory.high
to throttle workload approaching it's memory limit,
という文、ここの it's
は文法的には its
が正しいはず。
こんなふうにリアルワールドの「教科書通りではない」事象に遭遇すると、妙に興奮してしまう。
「~がある」の "There are XXX" は、XXXが複数形の場合でも "There's XXX" でOK
に以下のような文章がある:
there's specific cases where you might need to have the latest version due to additional features your applications use.
意訳: アプリが使用する追加機能のために、最新バージョン(のカーネル)を利用する必要がある場合もある
よく見ると "specific cases" なのに "there are" ではなく "there's" で始まっている。英語の文法の授業を真面目にやっていた座学君(自分)はこう考えてしまう。
👩🦲 < there構文は事実上be動詞のうしろに来る名詞が主語の扱いで、be動詞の単数・複数系はこの名詞によって決定されるのではないか?つまり、このケースでは "cases" という複数形が主語だから、be動詞は "are" であるべきだ!!
まあ教科書的な文法だとその通りだけど、実際は特に口語だと "there are" というより "there's" と言うほうが圧倒的に楽だから(という理由だと思う…)ネイティブも非ネイティブも "there's" で言ってしまうことがかなり多いように思う。
LとRの発音、難しいよね
少し主題(仕事で出会った自然な英語表現)から逸れるが、発音の話。
今日仕事で同僚と分散システムに関する設計の話をしていて、 "leader" という単語を使った。しかしどうも会話が嚙み合わず、「データベースからデータを読み取る担当ってこと?」のように聞き返される。
僕はこのような状況に何度か遭遇したことがあるのですぐに気づいた。LとRが正しく伝わっていない。
つまり "leader" と言ったつもりが "reader" と聞き取られてしまった。誤解を解くために "leader" の役割を "leader" という単語を使わずにがんばって説明することでなんとかなった。
一応、Rを発音するときは舌の先をどこにもつけない、Lのときは舌先を上の前歯の裏側につける、ということは意識しているが、それでもこのように伝わらないことがある。ちゃんと腰を据えて練習しないといけないな、と思った。
ちなみに分散システムの文脈で "leader" というと leader election (リーダー選出) という頻出コロケーションがある。ここで誤って "election" が "erection" と聞き取られてしまうとちょっと変な空気になるかもしれないので、僕は可能なら避けるようにしている。
日本語話者にとってLとRの話し分け・聞き分けが難しいのと同様に、英語話者にとっては長音の聞き分けが難しいらしい。例えば「ママ」と「まあまあ」は日本語話者であれば聞き取り違えることはほぼないと思うが、英語話者にとっては同じにしか聞こえないとか。「ぜんぜん違うよ!」と思うけど、多分英語話者も僕のLとRを聞いて同じように思っているんだと思う。お互い様ですね。