Linux 『新しいLinuxの教科書』

ディストリビューション
OSの核となるカーネルに基本的なコマンド群やアプリケーションなどを加えて、ユーザーがそのまま利用できるようにパッケージングしたもの。
種類
①Red Hat系
Red Hat Enterprise Linux, CentOS Stream, Fedora
②Debian系
Debian GNU / Linux, Ubuntu

仮想化
※https://clouddirect.jp.fujitsu.com/service/navi-beginner-virtualization より画像引用
仮想化とは、サーバーなどのハードウエアリソース(CPU、メモリ、ディスクなど)を抽象化し、物理的な制限にとらわれず、ソフトウエア的に統合・分割できるようにする技術
サーバ仮想化とは、1台の物理サーバ上に複数のOSを動作させる技術
本物の(物理的な)サーバーではないが、ソフトウエアによって実質的に本物と同じように扱えるサーバー
現代のように仮想化技術が普及していなかった頃は、サーバーは用途ごとに専用のハードウエアを用意して構築するのが一般的でした。つまり、Webサーバー、メールサーバー、ファイルサーバーなど、サーバーの種類や数が増えるごとに保有するハードウエアの台数も増えていたわけです。しかし、サーバーを仮想化することで、1台の物理サーバーの上に複数の仮想サーバーをソフトウエア的に作成し、同時に動かすことができるようになりました。
サーバーの仮想化を行うには、専用の仮想化ソフトウエアが必要になります。仮想化ソフトウエアとしては、主にPCで利用されているオラクルの「Virtualbox」、FJcloud-V(旧ニフクラ)で採用しているVMwareの「VMware vSphere®」、Microsoftの「Hyper-V」などが有名です。また、サーバーだけでなく、ストレージやネットワーク、デスクトップ環境やアプリケーションといったリソースの仮想化も利用されています。
※※https://clouddirect.jp.fujitsu.com/service/navi-beginner-virtualization より引用
仮想化ソフトウェア
※https://it-ichiba.jp/info/0630/ より画像引用
1台のコンピュータ(物理マシン)の上で、複数の仮想的なコンピュータ(仮想マシン)を動作させるためのソフトウェア。
仮想マシンは独立した環境を持ち、それぞれが独自のオペレーティングシステムやアプリケーションを実行できる。
1台の物理マシンで複数の環境を構築し、学習、開発、テスト、サーバー統合などに活用できる強力なツール
基本的な仕組み
※https://www.designet.co.jp/ossinfo/selection/virtual-infrastructure.html より画像引用
コンピュータのリソース(CPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク)を抽象化して、複数の仮想マシンに分配する。これにより、仮想マシンは実際のハードウェアにアクセスしているように振る舞うようになる。
ホストマシン:仮想化ソフトウェアがインストールされている実際の物理コンピュータ。
ゲストマシン:仮想化ソフトウェアによって作成された仮想マシン。各ゲストマシンは独自のOSを持つ。
ホストOS:仮想化ソフトウェアを動作させているOS
ゲストOS:仮想化ソフトウェアによって実行する仮想的なOS
種類
ホスト型仮想化
仮想化ソフトウェアが既存のOS上で動作し、その上に仮想マシンを作成します。
(例)VirtualBox, VMware Workstation, Parallels Desktop。
・セットアップが簡単
・パーソナル用途や開発環境に適している
※https://it-juku.jp/whatsvm/whatsvm02/ より画像・テキスト引用
ハイパーバイザー型
ハイパーバイザー(Hypervisor) は、仮想化を直接ハードウェア上で行うソフトウェア。
(例)VMware ESXi, Microsoft Hyper-V, Xen。
・高性能
・直接ハードウェアを制御するため、効率的
・サーバー仮想化に最適
※https://it-juku.jp/whatsvm/whatsvm02/ より画像・テキスト引用
コンテナ型仮想化
※https://it-juku.jp/whatsvm/whatsvm02/ より画像・テキスト引用
まとめ
※https://it-ichiba.jp/info/0630/ より画像引用

Linuxの特徴
Linuxは複数のユーザーが同時に利用することを前提にしたシステム
※ログイン必須

GUI・CLI
GUI(グラフィカルインターフェース)
現在の一般的なOSにおいて採用されているインターフェース。
マウスやタッチパッドなどのポインティングデバイスを使って、画面上のメニューやアイコンをクリックしてさまざまな操作を行う。
CLI(コマンドラインインターフェース)
キーボードからコマンドを入力し、文字列として結果を出力するインターフェース。
Linuxサーバーを扱う際には基本的にCLIが使われている。
CLIのメリット
①作業効率がよくなる
②GUIの操作を覚えてもあまり意味がない
③プログラムが連携しやすい
④処理の自動化がしやすい

シェル
ユーザーがLinuxカーネルとやり取りするためのインターフェース
Linuxカーネルとユーザの橋渡しをする役割をもつ。
コマンドラインインターフェース(CLI)で動作し、ユーザーの入力を解釈してLinuxカーネルに命令を伝える。
シェルは基本的に標準入力(stdin)、標準出力(stdout)、標準エラー出力(stderr)を通じてユーザーとやりとりする。ユーザーがシェルで見ているもの(画面に表示されるもの)は、基本的にstdout, stderrの出力。
※https://recruit.cct-inc.co.jp/tecblog/os/shell/ より画像引用
※https://www.rstone-jp.com/column/110007/ より画像引用
動作の流れ
①入力の解釈
・ユーザーがターミナル(またはターミナルエミュレータ)にコマンドを入力。
・シェルがコマンドを解釈し、必要に応じて適切なシステムコールをLinuxカーネルに送信。
②カーネルの動作
シェルから受け取ったシステムコールを基に、カーネルがハードウェアやリソースを制御。
例:
ls コマンド:カーネルがファイルシステム情報を取得し、シェルに結果を返す。
echo "Hello, World!":カーネルが標準出力デバイス(画面)に文字列を表示。
③出力の返却
・カーネルが処理結果をシェルに返します。
・シェルは、その結果をユーザーに表示します。
システムコール
ユーザー空間(ユーザーが実行するアプリケーションなど)からカーネル空間(Linuxカーネルが動作する領域)に対してサービスを要求するためのインターフェース
ユーザー空間では直接ハードウェアやシステムリソースにアクセスできないため、システムコールを介してカーネルにリソース操作を要求
シェルの種類
sh (Bourne Shell)
開発者: Stephen Bourne
リリース年: 1977年
・Unixの最初のシェルの一つで、基本的なシェルスクリプトの構文を提供する。
・シンプルで軽量だが、機能は限られている。
・他のシェルのベースとなっており、互換性の高いスクリプトを書くために使われることがある。
使用例: シェルスクリプトの互換性を重視する場合や、古いシステムでの使用。
csh (C Shell)
開発者: Bill Joy
リリース年: 1978年
・C言語に似た構文を採用しており、プログラマーにとって親しみやすい。
・コマンド履歴やジョブコントロールなどの機能を初めて導入。
・スクリプトの実行速度が遅く、構文に一部問題があるため、現在ではあまり使われていない。
使用例: C言語に慣れているユーザーや、古いシステムでの使用。
bash (Bourne Again Shell)
開発者: Brian Fox
リリース年: 1989年
・shの拡張版で、Linuxのデフォルトシェルとして広く使われている。
・コマンド履歴、タブ補完、シェルスクリプトの高度な機能をサポート。
・他のシェルとの互換性が高く、スクリプトの移植性が良い。
使用例: ほとんどのLinuxディストリビューションやmacOS(Catalina以前)のデフォルトシェル。
tcsh (Tenex C Shell)
開発者: Ken Greer
リリース年: 1981年
・cshの拡張版で、コマンドライン編集や補完機能を強化。
・インタラクティブな使用に適しており、スクリプトの実行速度も改善されている。
・ただし、スクリプトの互換性や機能面ではbashに劣る部分がある。
使用例: cshの機能を強化したいユーザーや、特定の学術環境での使用。
zsh (Z Shell)
開発者: Paul Falstad
リリース年: 1990年
・bashの機能をさらに拡張し、高度なカスタマイズが可能。
・テーマやプラグインをサポートするフレームワーク「Oh My Zsh」が人気。
・強力な補完機能やスペルチェック、ディレクトリナビゲーションが特徴。
・macOS Catalina以降のデフォルトシェルとして採用されている。
使用例: 高度なカスタマイズを求めるユーザーや、macOSユーザー。
fish (Friendly Interactive SHell)
開発者: Axel Liljencrantz
リリース年: 2005年
・ユーザーフレンドリーな設計で、初心者にも使いやすい。
・シンタックスハイライト、自動補完、サジェスト機能などが標準で搭載。
・スクリプト構文は他のシェルと異なるため、互換性は低い。
・設定が簡単で、カラフルな表示が特徴。
使用例: 初心者や、インタラクティブな操作性を重視するユーザー。
※ログインシェルとは別のシェル(シェルの切り替え)を使うことはできるが、一時的なものであり、切り替え前のシェルに続いているため、exitコマンドで抜ける必要がある。
シェルとコマンド
※https://utsu-programmer.com/credentials/linuc-shell/ より画像引用
① bashシェルがプロンプトを表示
② bashシェルがコマンドを解析
③ プロセスの表示
④ 処理を実行
⑤ プロセスの終了をbashに通知
⑥ ユーザーに結果を表示

Linuxカーネル
オペレーティングシステムの中核部分であり、ハードウェアとソフトウェアを仲介する役割を果たす。
※https://qiita.com/uguis410/items/17ec1e447e9716bfdca7 より画像引用
主な機能
①プロセス管理
・実行中のプログラム(プロセス)を効率的に管理します。
・CPU時間を適切に割り当て、マルチタスクを実現。
②メモリ管理
・プログラムが効率的にメモリを使用できるよう制御。
・仮想メモリを提供し、物理メモリを最適化。
③デバイス管理
・デバイスドライバを介して、ハードウェア(キーボード、ディスク、ネットワークカードなど)と通信。
・抽象化されたインターフェースを提供し、ソフトウェアがハードウェアを簡単に利用できるようにします。
④ファイルシステム管理
・データの保存と取得を効率化。
・ext4やxfsなどの多様なファイルシステムをサポート。
⑤ネットワーク管理
・TCP/IPなどのプロトコルを用いてネットワーク通信を制御。

プロンプト
「今コマンド入力を待ち構えているので、何かコマンドを入力してください」ということを、シェルが意思表示している記号のこと
※https://linuxfan.info/ubuntu-open-terminal-emulator より画像引用
// 一般ユーザの場合のプロンプト
$ <コマンド>
// スーパーユーザの場合のプロンプト
# <コマンド>

シェルスクリプト
コマンドなどを並べたテキストファイル
実行したいコマンド群を事前にファイルに記述しておき、そのファイルをシェルに指定しておくことで一連のコマンドをまとめて実行する
=一連の操作の流れを記述したファイルのこと
①「source」コマンドを使う
sourceコマンドは、指定されたスクリプトファイルの内容を現在のシェル環境で実行するためのコマンド
このコマンドは、シェル環境の変更(環境変数の設定など)を即座に現在のシェルに反映させたい場合に特に役立つ。
② bashシェルの起動時に引数として指定する
③ スクリプトファイルに実行権を付与する
※https://www.kenschool.jp/blog/?p=4499 より画像引用

コマンド1
カーソル移動
コマンド | 内容 |
---|---|
Ctrl + b | 後方に一文字分移動 |
Ctrl + f | 前方に一文字分移動 |
Ctrl + a | 行頭に移動 |
Ctrl + e | 行末に移動 |
Alt + b | 後方に単語1つ分移動 |
Alt + f | 前方に単語1つ分移動 |
Cont + h | |
Cont + d | |
Cont + w | |
Cont + k | カーソル位置から行末までを削除 |
Cont + u | カーソル位置から行頭までを削除 |
Cont + y | 最後に削除した内容を挿入 |
Cont + s | 画面表示をロック |
Cont + q | 画面表示のロックを解除 |
Cont + l | 画面を消去 |
Cont + p | 1つ前のコマンド履歴へ移動 |
Cont + n | 次のコマンド履歴へ移動 |
Cont + r | 履歴を遡ってインクリメント検索 |
Tab | 補完機能 補完候補の一覧表示 |
※文字は左から右へ移動→前方:左から右・後方:右から左
※ヤンク:bashではペーストのことを「ヤンク」という

Linuxはファイルからできている
Linuxではすべてがファイルとして表現されている。
ディレクトリ
ファイルを整理する入れ物(Windows, MacOSで「フォルダ」と呼ばれている)
Linuxはシステム全体で1つのディレクトリツリーしか持たない
・サブディレクトリ:ディレクトリの中にあるディレクトリ
・親ディレクトリ:あるディレクトリから見て1つ上にあるディレクトリ
※https://www.partitionwizard.jp/partitionmagic/linux-file-system.html より画像引用
「 / 」:ルートディレクトリ
Linuxのディレクトリ構造はルートディレクトリを頂点とした階層構造
「パス」:ファイルへの道筋
パスの区切り文字は「 / 」で表す
各ディレクトリの役割
※https://www.linuxfoundation.org/blog/blog/classic-sysadmin-the-linux-filesystem-explained より画像引用
/bin
実行ファイルをおくためのディレクトリ
Linuxシステムの動作に最低限必要な、重要度の高いコマンドを格納している
一般ユーザ・管理者の両方が使用するコマンド
/dev
デバイスファイルを格納するディレクトリ
※デバイスファイル:ディスクやキーボードなどのハードウェアをファイルとして扱えるように用意された特別なファイル
/etc
Linuxを管理・運用するうえで非常に重要なディレクトリ
Linux自体の設定に関わるファイルを格納しているディレクトリ。
設定ファイルを置くためのディレクトリ。設定ファイルがこの配下に置かれる。
※設定ファイル:Linuxで動作するさまざまなアプリケーションの設定のために使用されるテキスト形式の設定ファイル(コンフィグファイル)
/home
ユーザごとに割り当てられる、ホームディレクトリが配置されるディレクトリ
※ホームディレクトリ:Linuxのユーザごとに割り当てられる個人用ディレクトリのこと。ユーザ名がそのままディレクトリ名となっている。
/sbin
実行ファイルをおくためのディレクトリ
管理者ユーザ向けのコマンドが置かれている。
/tmp
一時的なファイルを置くためのディレクトリ。
アプリケーションの実行中に、作業途中の結果などを一時的にファイルとして保存する場合に、このディレクトリの下に作成するのが一般的。
※ファイルの永続的な保存先として利用してはいけない。
/usr
各種アプリケーションと、それに付随するファイルを置くためのディレクトリ
追加でアプリケーションをインストールした際に、実行ファイルやドキュメント、ライブラリなどがこのディレクトリの下に配置される。
/var
変化するデータを置くためのディレクトリ
アプリケーションを動作する上で作成したデータやログ、電子メールなどがこのディレクトリに格納される。
※たくさんのファイルが書き込まれ、容量を圧迫することが多いため、システム管理の上で注意が必要なディレクトリ。
カレントディレクトリ
現在自分が位置しているディレクトリのこと
※ワーキングディレクトリとも呼ばれる。

コマンド2
コマンド | 内容 |
---|---|
pwd | カレントディレクトリを表示 |
cd | カレントディレクトリの変更 |
ls | ディレクトリ内のファイルを表示 |
cd ~ | ホームディレクトリへ戻る チルダ展開 |
コマンドの実行順序
①コマンド:実行するプログラムや処理
②オプション:コマンドの動作を変更・拡張するもの
③コマンドライン引数:コマンドやオプションの対象
※コマンドライン引数に - (ハイフン)で始まる追加の引数を指定できる
Fオプションで表示されるファイル種別
種類 | 記号 |
---|---|
通常ファイル | なし |
ディレクトリ | / |
実行可能ファイル | * |
シンボリックリンク | @ |
オプション指定の基本
・「 - 」:引数をとるオプション
・「 -- 」:ロングオプション
※引数をとるオプションではオプションと引数の間のスペースは省略可能
※引数をとるロングオプションでは、引数との間にスペースを入れるか、= 記号で引数を指定する
パス名展開
記号 | 意味 |
---|---|
* | 任意の文字列 |
? | 任意の1文字 |

パス
絶対パス
ルートディレクトリを起点としてファイルやディレクトリのパスを示すこと
相対パス
現在のカレントディレクトリを起点として表記されるパス
「.」:カレントディレクトリ
「..」:親ディレクトリ

ファイル操作の基本1
mkdir:ディレクトリの作成
$ mkdir [オプション] <作成するディレクトリ>
// 深いディレクトリを一気に作成(途中のディレクトリあり)
$ mkdir file1/2025/02
// オプション
// -p:深いディレクトリを一気に作成(途中のディレクトリなし)
// 事前に2025, 02というディレクトリを作る必要がない
$ mkdir -p file1/2025/02
touch:ファイルの作成
$ touch <新しいファイル名> <新しいファイル名>
touchコマンドでのファイル作成は、誤って既存のファイル名を指定しても、内容が上書きされたり削除されたりしない
rm・rmdir:ファイル・ディレクトリの削除
// 単一ファイルの削除
$ rm [オプション] <削除するファイル名> <削除するファイル名>
// 複数ファイルの削除
$ rm file1 file2 file3
$ rm *.html
// 再帰的にディレクトリの削除 -r オプション
// ディレクトリの中のファイルなども削除される
$ rm -r dir1
// 削除の確認 -i オプション
$ rm -i file1
rmコマンドを実行するとファイル本当に削除されてしまうため、コマンドの実行前には常に注意が必要
$ rmdir <ディレクトリ名>
中にファイルがあるとエラーになる。
先頭が . (ドット)で始まる隠しファイルが表示されないため、ls -a dir1のようにして隠しファイルがないかどうかを確かめること

ファイル操作の基本2
cat:ファイルを表示
// ファイルの表示
$ cat [オプション] <ファイル名>
// ファイルと連結して表示
$ cat [オプション] <ファイル名> <ファイル名>
// オプション
// -n:行番号をつけて表示
ファイルの内容が空の場合、何も表示されない。
※引数にファイルを指定しないとコマンド実行後、カーソルが止まり、プロンプトが表示されなくなる。
Ctrl + d でキーボードからの入力終了を指示する。
less:スクロール表示
長いファイルの内容が見たいときに使う。
引数に指定したファイルの内容を1画面ごとに表示して、上下にスクロールすることができる。
$ less [オプション] <ファイル名>
less コマンドのスクロール操作
コマンド | 内容 |
---|---|
f, Ctrl + v | 1画面下にスクロール |
b | 1画面上にスクロール |
j, Ctrl + n | 1行下にスクロール |
k, Ctrl + p | 1行上にスクロール |
q | lessコマンドの終了 |
/ | ファイル内の検索 検索したい文字を入力してEnterキーを押す |
less コマンドの検索操作
コマンド | 内容 |
---|---|
/<文字列> | 下方向に向かって検索 |
?<文字列> | 上方向に向かって検索 |
n | 次の検索結果に移動 |
N | 前の検索結果に移動 |

ファイル操作の基本3
cpコマンド:ファイル/ディレクトリのコピー
$ cp [オプション] <コピー元> ... <コピー先>
// i オプション
// 上書きの確認
// コピー先ファイルが存在する場合に本当に上書きしてよいか確認されるようになる
$ cp -i <コピー元> ... <コピー先>
// r オプション
// ディレクトリのコピー
$ cp -r <コピー元> ... <コピー先>
mvコマンド:ファイルの移動
$ mv [オプション] <移動元> ... <移動先>
// ファイル名の変更も可能。その場合、元のファイルは存在しなくなる
// -i オプション:上書きの確認
$ mv -i file1 file2
mv: `file2` を上書きしますか?
// y -> yes , n -> no
lnコマンド:リンクを貼る
$ ln [オプション] <リンク元ファイル名> <リンク名>
// -s オプション:シンボリックリンク作成
$ ln -s <リンク元ファイル名> <リンク先>
// シンボリックリンクの確認ができる
$ ln -l
リンク:ファイルに別名をつける機能のこと
リンクを貼る:ファイルに別名をつけること
※https://tech.pjin.jp/2022/08/31/ln より画像引用
ハードリンク
1つのファイルの実体に複数の名前を付ける機能。
ハードリンクを持つファイル実体は、すべてのハードリンクがなくなったときに削除される。
・ディレクトリに対して作成できない。
・異なるディスク間をまたがることができない。
シンボリックリンク
リンク先のパス名が書かれた小さな特殊ファイル。リンク先がファイルの実体。
ファイルシステム上のファイルやディレクトリを指す特殊な種類のファイル。
別のファイルやディレクトリへのパスを含んでいる。リンクを開くと、実際には参照先のファイルやディレクトリがアクセスされる。
※https://www.infra-linux.com/menu-linux3/hard-symlink-link/ より画像引用
リンクの利用方法
①長いパス名を省略
②複数バージョンのプログラムを共存させる

ファイル検索
※https://www.linkedin.com/pulse/file-searching-pattern-matching-linux-find-locate-grep-muntakim-n4s3c より画像引用
findコマンド:ディレクトリツリーからファイルを探す
指定したディレクトリ直下のファイルだけでなく、ディレクトリツリーを順に下りながら検索条件に一致するすべてのファイルを表示する。
※https://active.nikkeibp.co.jp/atcl/act/19/00492/100300009/ より画像引用
$ find <検索開始ディレクトリ> <検索条件> <アクション>
// -name, -iname:ファイル名で探す
// 例
$ find . -name file.html -print
// -type:ファイルの種類で探す
// 例
$ find . -type d -print
// -a:複数の検索条件を指定
// 例
$ find . -type f -a -name '*.txt' -print
検索条件に何も指定しなかった場合は、すべてのファイルとディレクトリが対象になる。
※アクションがない場合、-print が指定されたとみなされる
ファイル名で探す(-name, -iname)
※ -name で * や ? を使用する場合は、''(シングルクォート)を必ずつけること
→* などの記号がパス名展開と解釈されてしまうから。
◎メタ文字をコマンドに渡したいときは、どこまでをシェルが展開してどのような文字列でコマンドが実行されるか、ということを意識する必要がある。
パス名展開(Pathname Expansion)
シェルがワイルドカード(*, ?, [])を含むパス名を、自動的に実際のファイルやディレクトリ名に置き換える処理のこと。
""(ダブルクォート) や ''(シングルクォート)で囲むとパス名展開が無効になる。
ファイルの種類で探す(-type)
指定 | ファイル種別 |
---|---|
-type f | 通常ファイル |
-type d | ディレクトリ |
-type l | シンボリックリンク |
複数の検索条件を指定(-a)
findコマンドでファイルを探すとき、検索条件を-a(AND)で区切って並べることで、複数の検索条件を同時に指定するAND検索ができる。
locateコマンド:ファイル名データベースからファイルを探す
パス名の一部を指定してファイルを探すためのコマンド。
ファイル名を専用のデータベースから検索するため、ディスクをスキャンしてファイルを探すfind コマンドに比べて高速に検索ができる。
指定したパターンがファイルパスのどこかに含まれていれば一致したものとみなされて表示される。
ファイルの検索
$ locate [オプション] <検索パターン>
// -i または --ignore-caseオプション:大文字小文字を無視させたい
// 例
$ locate -i notes
// -b または --basenameオプション:ファイル名だけを検索対象にする
// 例
$ locate -b python
// 複数の検索パターンを指定するとOR検索になる
$ locate docs document
// -A または -all オプション:複数の検索パターンに一致する検索(AND検索)
$ locate -A bash doc
※locateコマンドはインストール時に、ファイルパスのデータベースを1日1回作成する。
そのため、以下のケースがありえる。
・locate コマンドで表示したファイルが実際にはディスク上に存在しない
・locate コマンドでは表示されないのに、ディスクがファイルに存在する
◎locate コマンドは作成してからしばらく経ったファイルを見つけるのに向いている。

コマンドの使い方を調べる
--help オプション
コマンド自身のヘルプメッセージを表示する。
表示内容
・使用方法
・コマンドの概要
・利用可能なオプション一覧とその意味
・その他の参考資料の紹介
man コマンド:マニュアルを表示する
オンラインマニュアル(電子化されたマニュアル)を表示するコマンド。
--help オプションよりも詳しい解説がされている。
コマンドのマニュアル、Linuxの設定ファイル、ライブラリなどのマニュアルも含まれる。
man <調べたいコマンド名>
// キーワードで調べる
$ man -k <キーワード>
// 例
$ man -k copy
// セクションで調べる
$ man <セクション番号> <名前>
※ less コマンドと同じ
セクション
括弧内の数字はセクション番号
man のセクション番号とその内容
セクション番号 | 内容 |
---|---|
1 | コマンド |
2 | システムコール |
3 | ライブラリ関数 |
4 | デバイスファイル |
5 | ファイルの書式 |
6 | ゲーム |
7 | その他 |
8 | システム管理コマンド |
9 | カーネルルーティン |
help コマンド:bash組み込みコマンドの使い方を表示
シェルの中に組み込まれている cd のようなコマンド、組み込みコマンドは man コマンドでマニュアルを表示できない。
そのため、help コマンドで調べる。
$ help <調べたいコマンド>
help はbash の組み込みコマンドのヘルプメッセージを表示する。
※引数を指定しないと、help コマンドで閲覧できる項目の一覧を表示される。

コマンドを探す
コマンドの実行ファイルは$PATHから探す
サーチパス(パス):$PATHで設定する、コマンドを探すディレクトリのこと。
パスがあるおかげで、コマンドが実際にどこにあるのかを意識せずにコマンド名だけ入力すれば実行できるようになる。
which コマンド:コマンドのフルパスを表示
指定されたコマンド名をサーチパスから探して、見つかった実行ファイルのフルパスを表示する。
※パスの中から見つかった最初のコマンドだけ表示する。
which [オプション] <コマンド名>
// -a:異なるディレクトリに同じ名前のコマンドが複数配置されているとき、すべての実行ファイルの場所を確認できる。
// 例
which -a ping
$PATH:環境変数の一種
コマンドや実行ファイルが保存されているディレクトリのリストを保持する。
OSがコマンドやプログラムを探す場所を指定するための重要な設定。
※環境変数:OSやアプリケーションが動作する際に使用する設定値や情報を保持するための仕組み。環境変数は、システム全体や特定のユーザーに対して設定され、プログラムが実行される際に参照される。
$ echo $PATH
// 表示される文字列は、コマンドを探すディレクトリを: で連結したもの
※コマンド実行の流れ
※https://www.reqtc.com/blog/shell-kernel-bash.html より画像引用

テキストエディタ
テキストファイル
テキスト(文字列)が書かれたファイル
cat コマンドや less コマンドで表示できる。
Linuxでは、設定ファイルやアプリケーションのデータファイルなどの多くには、テキストファイルが使われている。
Linuxを使う上では、テキストファイルの編集は避けては通れない。
バイナリファイル
画像ファイルや音声ファイル、Linuxコマンドの実行ファイル(例:catコマンドの実体ファイルである/bin/cat)など。

Vim
デフォルトのエディタ。
Vimの基本的なコマンド
コマンド | 内容 |
---|---|
:q | Vimを終了する |
:w | ファイルを上書き保存する |
:w <ファイル名> | 名前を付けて保存する |
:q! | ファイルを保存せずVimを終了する |
h | 左に移動 |
j | 下に移動 |
k | 上に移動 |
l | 右に移動 |
x | カーソル位置の文字を削除 |
i | カーソル位置の左に文字を追加 |
a | カーソル位置の右に文字を追加 |
※コマンドが実行できず、直接文字列が入力されるようになった場合、Escキーを何度か押す
※ノーマルモード:元の状態
※インサートモード:テキストが入力できる状態
ファイルを開く
$ vim <ファイル名>
便利なカーソル移動
単語単位でのカーソル移動
コマンド | 内容 |
---|---|
w | 前方に単語1つ分移動 |
b | 後方に単語1つ分移動 |
W | スペース区切りで前方に単語1つ分移動 |
B | スペース区切りで後方に単語1つ分移動 |
0 | 行頭に移動 |
$ | 行末に移動 |
gg | 1行目に移動 |
G | 最後の行に移動 |
<数字>G | <数字>行目に移動 |
カット・コピー・ペースト
Vimでの呼び方
一般的なエディタでの名称 | Vim |
---|---|
カット | デリート(delete) |
コピー | ヤンク(yank) |
ペースト | プット(put) |
デリート(delete)
d
の後にカーソル移動コマンド(どこまでデリートするかの範囲)を指定する
コマンド | 内容 |
---|---|
d$ | 行末までをデリート |
d0 | 行頭までをデリート |
x dl |
1文字をデリート |
dw | 単語1つをデリート |
dgg | 最初の行までをデリート |
dG | 最後の行までをデリート |
dd | 現在カーソルのある行をデリート |
プット(put)
コマンド | 内容 |
---|---|
p | 貼り付け |
ヤンク(yank)
y
の後にカーソル移動コマンド(どこまでデリートするかの範囲)を指定する
コマンド | 内容 |
---|---|
y$ | 行末までをヤンク |
y0 | 行頭までをヤンク |
y yl |
1文字をヤンク |
yw | 単語1つをヤンク |
ygg | 最初の行までをヤンク |
yG | 最後の行までをヤンク |
yy | 現在カーソルのある行をヤンク |
その他の操作
コマンド | 内容 |
---|---|
J | 下の行と連結 |
u | 直前の編集操作を取り消して前の状態に戻る |
Ctrl + r | u(undo)の取り消し |
※アンドゥ(undo)・リドゥ(redo)
検索
コマンド | 内容 |
---|---|
/<文字列> |
上方向に向かって<文字列>を検索 |
?<文字列> |
上方向に向かって<文字列>を検索 |
n | 次の検索結果に移動 |
N | 前の検索結果に移動 |
/
による検索は現在のカーソル位置から始まる。
ファイルの初めから検索したい場合、いったんggを押し、ファイルの先頭に戻ってから検索するといい。
置換
:%s / <置換元文字列> / <置換後文字列> / g
g がない場合、行内で最初に一致した箇所のみが置換される。
置換フラグの種類
フラグ | 説明 |
---|---|
g | 行全体でパターンに一致するすべての箇所を置換 |
i | 大文字・小文字を区別せずに置換 |
c | 置換する前に確認プロンプトを表示 |
n | 置換せずに、一致した箇所の数を表示 |
ヘルプとドキュメント
$ vimtutor
:help
// コマンドや単語に関するヘルプを表示
:help <コマンド or 単語>
Vimの画面が上下2つに分割され、上側の画面にヘルプが表示される。
リンクが貼られている場合のコマンド
コマンド | 内容 |
---|---|
Ctrl + ] |
リンク先に移動 ※リンクにカーソルを合わせてから行なう |
Ctrl + t |
リンク先から元の場所に戻る |

bash の設定1
エイリアス
わかりやすい別名を与えて、コマンドを使いやすくするための機能
// エイリアスを設定
alias <名前>='<コマンド>'
// エイリアスの確認
type <名前>
// エイリアスの削除
unalias <名前>
エイリアスを一時的に無効にする方法
①コマンドのフルパスを指定
②実行したいコマンドの前に command を追加する
③コマンドの前に\
または ¥
を追加する
※unalias コマンドを使うとそれ以降のすべての操作に影響するため、上記のようなケースで対応できる。
bash のオプション
オプションは1つ1つの機能ごとの「オン」「オフ」いずれかの値を取り、これによりbash の各機能の有効・無効を指定できる。
オプションの設定に使用するコマンド
①set コマンド
シェルの基本的な動作を制御するためのコマンド
set -o / +o <オプション名>
-o:オン
+o:オフ
詳しくは man bash 参照
よく使用されるset コマンドのオプション
オプション名 | 内容 |
---|---|
ignoreeof | Ctrl + D を押してもシェルを終了しない |
noclobber | すでに存在するファイルをリダイレクトで上書きしない |
noglob | パス名展開を無効にする |
ignoreeof (ignore end of file)
(EOF: End Of File) キーによる意図しないターミナルセッションの終了を防ぐためのもの。
・通常、ターミナルで Ctrl + D キーを押すと、シェルは入力の終わり (EOF) を検出し、セッションを終了する。
・set -o ignoreeof コマンドを実行してこのオプションを有効にすると、シェルはこの EOF を無視し、セッションを終了しない。
・これにより、Ctrl + D キーを誤って押してしまった場合に、セッションが予期せず終了するのを防ぐことができる。
noclobber (no clobber)
ファイルのリダイレクト時における上書きを防止するためのもの。
・通常、リダイレクト(>)を使ってファイルに書き込む際、指定したファイルが既に存在する場合は、そのファイルは上書きされる。
・set -o noclobber コマンドを実行してこのオプションを有効にすると、既存のファイルへのリダイレクトが禁止され、上書きを防ぐ。
・既存のファイルを上書きしたい場合は、リダイレクトの代わりに >|
を使用します。
noglob (no globbing)
ファイル名のパターンマッチング(グロブ)を無効にする。
・通常、*
や ?
などのメタ文字を含むファイル名を指定すると、シェルはファイルシステム内の該当するファイルに展開(グロブ展開)する。
・set -o noglob コマンドを実行してこのオプションを有効にすると、メタ文字を含むファイル名はそのまま文字列として扱われ、グロブ展開は行われない。
・ファイル名にメタ文字そのものを含むファイルを取り扱う場合などに有効。
②shopt コマンド
Bash固有の細かい動作を制御するためのコマンド
shopt -s / -u <オプション名>
-s:オン
-u:オフ
※shopt で指定するオプション名は set で指定するものとは異なる
※詳しくは bash マニュアルの man shopt コマンド参照
set と shopt の違いまとめ
項目 | set | shopt |
---|---|---|
対象 | シェル全体の基本的な動作 | Bash固有の細かい動作 |
用途 | シェルスクリプトの制御やデバッグ | シェルの便利機能や動作の微調整 |
オプションの種類 | シェルの基本的なオプション (例: -e, -u) |
Bash固有の拡張オプション (例: dotglob, extglob) |
シェルの種類 | ほとんどのシェルで利用可能 | Bash固有のコマンド |

リダイレクト (>)
コマンドの出力をファイルに保存するために使用する。
既存のファイルがある場合、その内容は上書きされる。
※既存の内容が失われる
コマンド > ファイル名
echo "Hello, World!" > output.txt
① output.txtというファイルが存在しない場合
output.txtというファイルが作成され、その中にHello, World!というテキストが保存される。
② output.txtが既に存在していた場合
その内容はHello, World!で上書きされる。
※既存のファイルの内容は完全に上書きされる。つまり、output.txt に以前保存されていた内容はすべて削除され、新しい内容に置き換えられる。
cat コマンドと組み合わせると自由な内容でファイルを作成することができる。
cat > output
◎Linux ではデータの読み込みが最後になると、このEOF(End of File) が入力され終わる決まりがある。
アペンド (>>)
コマンドの出力を既存のファイルの末尾に追加するために使う。
既存のファイルがある場合、その内容は保持され、新しい内容が追加される。
※既存の内容は保持される
コマンド >> ファイル名
echo "This is a new line." >> output.txt
① output.txtが既に存在していた場合
output.txtの末尾にThis is a new line.というテキストが追加される。
② output.txtというファイルが存在しない場合
新しいファイルが作成される。
標準出力と標準エラー出力を1 つのファイルに出力したい場合
ls -l example > ls-l-output-second 2>&1
一覧表
コマンド | 意味 |
---|---|
> |
出力をファイルに保存(上書き) |
>> |
出力をファイルの末尾に追加 |
2> |
エラーメッセージをファイルに保存 |
> output.log 2>&1 |
標準出力と標準エラー出力を同じファイルに保存 |

パイプ( | )
コマンドとコマンドを「|(パイプ)」でつなげることでパイプの前のコマンドを後ろのコマンドの標準入力とすることができる。
$ ls -l /usr/bin | less
端末をリモート操作している場合やデスクトップ環境がインストールされていないLinux 環境の場合は、パイプでつなげる方法を知っておくと大変便利

grep コマンド
ファイルの中からデータを検索。
また、| grep とすることで、標準入力から入ったデータに対し検索を行なうことも可能。
grep [オプション] 検索条件 <指定ファイル>
// -e オプション
文字列を検索パターンとして扱う。
// -i オプション
検索パターンと入力ファイルの双方で、英大文字と小文字の区別を行わない。
// -v オプション
検索パターンとマッチしなかった行を選択する。

正規表現
記号 | 意味 |
---|---|
^ | 行頭を表す |
$ | 行末を表す |
. | 任意の一字を意味する |
* | 直前文字の0 回以上の繰り返しを意味する |
[...] | ... の中の任意の一字を意味する |
[^...] | ...の文字が含まれないことを意味する |
Y | 正規表現の記号をエスケープする |

bash の設定2
シェル変数
・Bashやshなどのシェルスクリプト内で使用される変数
・bash で使用される変数
・親プロセス内のデータ
・シェルスクリプト内での一時的なデータ保持に適している。
・シェル変数は現在のセッションでのみ有効
※子プロセスには引き継がれない
※シェルが外部コマンドを実行:新しいプロセス(子プロセス)を作って実行している
※https://l-study.arcjp.com/lpic/linux-essentials/linux-essentials-online-text/le-12-1/ より画像引用
※https://utsu-programmer.com/credentials/linuc-shell/ より画像引用
変数の設定
<変数名> = <値>
// シェル変数 var に値を設定
$ var='test'
// シェル変数 var を参照
$ echo $var
・設定した変数は$<変数名>
という形で参照できる。
・変数を設定する際、=
の左右にスペースをつけてはいけない。
※https://www.infra-linux.com/menu-lpic3/shell-env-op-cmd/ より画像引用
PS1 - プロンプト設定
シェルのプロンプトを設定するには、シェル変数に文字列を設定する。
PS1変数は、設定した文字列がそのままプロンプトとして表示される。
※https://linuxfan.info/ubuntu-open-terminal-emulator より画像引用
$ PS1='bash> '
// 出力
[user名]>
プロンプトで利用できる記号
記号 | 内容 |
---|---|
\d |
[曜日 月 日]という形式の日付 |
\h |
ホスト名のうち、最初の.までの部分 |
\H |
ホスト名 |
\n |
改行 |
\t |
HH:MM:SS:形式の現在時刻 |
\u |
ユーザ名 |
w |
カレントディレクトリ |
W |
カレントディレクトリの末尾のディレクトリ名 |
\$ |
root ユーザの場合:# それ以外のユーザの場合: $
|
\\ |
\ そのもの |
PATH - コマンド検索パス
シェル変数PATHには、コマンドを実行する際にシェルがコマンドの実体ファイルを探すディレクトリを指定する。
この変数には、シェルがコマンドを探すディレクトリを「:」区切りで連結した文字列が設定されている。
自分独自のコマンドを配置する場所として、ホームディレクトリ下に作成した bin という名前のディレクトリがよく使われる。
※https://qiita.com/_mi/items/1e1f1aa9e40ef6cfb935 より画像引用
※https://www.reqtc.com/blog/shell-kernel-bash.html より画像引用
※④では、bashは、execveなどのシステムコールを発行し、カーネルに実行ファイルの実行を要求する。
LANG - ロケール
ロケール(Locale):言語や国、地域などを特定するための識別子
表示する言語や日付の書式などは、ロケールを基準にして切り替えられる。
その他のシェル変数
代表的なコマンドライン履歴関連のシェル変数
シェル変数名 | 内容 |
---|---|
HISTFILE | コマンド履歴を保存するファイル名 デフォルト値: ~/.bash_history
|
HISTFILESIZE | 履歴ファイルに保存するコマンドライン履歴の最大行数 |
HISTSIZE | コマンドライン履歴を保持する最大行数 |
シェルの状態関連のシェル変数
シェル変数名 | 内容 |
---|---|
HOME | ホームディレクトリ |
SHELL | ログインシェルのパス |
PWD | カレントディレクトリ |

環境変数
シェル(ターミナル)やプログラムが動作するときに参照する値。
環境変数は、プログラムやコマンドが動作するときの設定情報として使われる。
ファイルシステム内のパスやアプリケーションの動作を制御する。
環境変数は、親プロセスから子プロセスにコピーされる。この仕組みにより、外部コマンドを使える。
シェルのプロセス内に格納される。
環境変数自体は export コマンドで設定される。
シェル変数と環境変数の関係
シェル変数
・シェル内で定義された変数で、現在のシェルセッション内でのみ有効。
・シェル変数は、子プロセス(外部コマンドなど)には引き継がれない。
環境変数
・シェル変数の一部で、exportコマンドを使って「環境変数」として設定されたもの。
・環境変数は、子プロセスにも引き継がれる。
・環境変数はシェル変数の「中」に存在する。環境変数は、シェル変数の一部としてシェルの内部に存在する。
※環境変数はシェル変数の一部。すべての環境変数はシェル変数だが、すべてのシェル変数が環境変数であるわけではない。
外部コマンド(例えば ls, grep, python など)は、環境変数を参照して動作し、特に重要なのが PATH。
※外部コマンドはシェルの一部ではなく、独立した実行ファイル(プログラム)
※https://utsu-programmer.com/credentials/linuc-shell/ より画像引用
※https://milestone-of-se.nesuke.com/sv-basic/architecture/env-variable/ より画像引用
外部コマンド
実行ファイルとしてファイルシステム上に存在するコマンド
組み込みコマンド
シェル自体に内蔵されているコマンド
※ type コマンドにより外部コマンドの判別をする。
シェル変数の値を外部コマンドは参照することができない
環境変数は、シェル上だけでなく、外部コマンドでも常に設定を反映しておけるよう、外部コマンドからも値を参照できるようにした変数
※このような値を参照できる・できないはシェルと外部コマンドのスコープの違いによるもの
シェル変数と環境変数の違い
※https://qiita.com/hitorigotsu/items/95cc3a89c7dc396ee3d5 より画像引用
主な環境変数
環境変数名 | 説明 |
---|---|
PATH | コマンドやプログラムを検索するためのパスリスト |
PWD | カレントディレクトリの絶対パス |
HOME | ユーザーのホームディレクトリ |
USER | 現在のユーザー |
HOSTNAME | ホスト名 |
PS1 | プロンプトの表示文字列 |
PS2 | 複数行にわたる入力時のプロンプト |
HISTFILE | コマンド履歴を格納するファイルの定義 |
HISTSIZE | コマンド履歴の最大値 |
HISTFILESIZE | HISTFILEに保存する履歴数 |
PATH
「どのディレクトリにあるコマンドを実行できるか」を決める環境変数。
外部コマンドを探すための環境変数。
外部コマンドの場所を指定するための仕組み。
コマンドの検索対象となるディレクトリ一覧が設定されている。
:(コロン)で区切られたパスのリストが表示される。
ファイルシステム内の実行ファイルの場所を指定。
※PATH に指定したプログラムのパスがないと、シェルは実行できない。
※PATHはディレクトリの一覧を保持する環境変数であって、ファイルのパスを設定するものではない。
→ファイルを直接PATHに追加するのは適切ではない。
シェルやプログラムは、コマンドを実行する際に、PATHに指定されたディレクトリを順番に検索し、最初に見つかった実行ファイルを実行する。
※このような仕組みにしている理由の一つは、コマンド(実行ファイル)やプログラムが独立したモジュールとして扱われることが挙げられる。PATHを通じてこれらのモジュールを呼び出すことで、システムの他の部分に影響を与えずに機能を追加・変更できるようになる。
/usr/local/bin:/usr/bin:/bin:/usr/sbin:/sbin
(例)ls コマンドを実行 → Linuxはリストの中から ls を探し、実行する
PATH にないディレクトリのプログラムを実行する方法
通常、PATHにないコマンドを実行すると、「command not found」と表示されてしまう。
①フルパスで実行する:直接プログラムを実行する
/opt/practice/example
②PATH に追加する
export PATH=$PATH:/opt/practice
printenv コマンド:環境変数の表示
現在シェルに設定されている環境変数を表示する
export コマンド:環境変数の設定
export <シェル変数名>
export すると 親プロセスの環境変数テーブルに登録される
子プロセスが作られるとき、環境変数がコピーされる
ディレクトリを追加することで、そこにあるプログラムやスクリプトを実行できるようになる。
※ファイルを直接PATHに追加するのは適切ではない。

シェルのコマンド実行の流れ
※https://lpi.or.jp/lpic_all/linux/intro/intro09.shtml より画像引用
(前提)
シェルには組み込みコマンド(builtin)と 外部コマンドの2種類のコマンドがある。
シェルはコマンドを受け取ったときに、まず 「これはビルトインか?外部コマンドか?」 を判断して、実行方法を変えている。
外部コマンドは実行ファイルとしてシステムに存在する。
①シェルがコマンドを受け取る
ターミナルに例えば ls と入力して Enter を押すと、シェル(Bash などのコマンドラインプログラム) がそのコマンドを解釈しようとする。
②ビルトインコマンドか外部コマンドかをチェック
cd, echo, export, alias などの ビルトインコマンド は、シェル自身が内部で処理するので PATH を検索せずにすぐ実行。
③ビルトインでなければ、PATH から外部コマンドを探す
ls, grep, python, vim などの外部コマンド は、PATH 環境変数に含まれるディレクトリから該当する実行ファイルを探して起動する。
外部コマンドだと分かったら、シェルは PATH に設定されているディレクトリを順番に探して実行ファイルを見つける。ファイルシステムが該当する実行ファイルを見つける。
(例)ls の場合、シェルは /bin/ls などの場所にある ls の実行ファイルを探し、見つかれば実行。
④カーネル(OS)がプログラムをロードして実行する
・シェルは execve() などのシステムコールを使って外部コマンドを起動
・OS(カーネル)がファイルを開き、プログラムをメモリ上にロードして実行する
⑤実行結果をシェルに返す
・ls が /home/user の内容を取得し、シェルに返す。
・シェルが結果をユーザーに表示。
⑥見つからなければ「コマンドが見つからない」エラーを出す
ビルトインでもなく PATH にもない 場合は、command not found エラーになる。
実行ファイルの種類
・実行ファイルは、コンパイルされたバイナリファイルだけでなく、シェルスクリプトなどのスクリプトファイルの場合もある。
・スクリプトファイルの場合、ファイルの先頭にどのインタプリタ(例えば、#!/bin/bash)で実行するかを指定する必要がある。
PATHの設定
PATH環境変数は、ユーザーのホームディレクトリにある.bashrcや.zshrcなどの設定ファイルで設定できる。これにより、よく使う実行ファイルがあるディレクトリをPATHに追加することで、毎回フルパスを入力しなくてもコマンドを実行できるようになる。
ハッシュ
シェルは、一度検索したコマンドのパスをハッシュテーブルに保存し、次回以降の検索を高速化する。
ポイント
①シェルはファイルシステムを直接操作しない。
シェルは PATH を参照 して実行ファイルの場所を探し、OS(カーネル)に実行を依頼する。
②ファイルシステムは「どこに何があるか」を管理するだけ。
実行可能ファイルが PATH 内のどこかにあれば、OSがそれを実行する。
③カーネルがプログラムをロード・実行する。
シェルは指示を出すだけで、実際のプログラム実行はカーネルが担当。

ファイルシステム
Linuxカーネルのファイルシステム全体像
※https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/1009/01/news108.html より画像引用
解説
ファイルシステムはユーザ(アプリ、プロセス)がディスクにデータを書き込む時に使われる面倒なことを引き受けてくれる仕組み。
OSが提供する機能の一つで、データをファイルやディレクトリ(フォルダ)として管理するための仕組み。
本来であればディスク(物理ストレージ)に書き込む時には「どのブロック(位置)に何Byte書き込むのか」を規定しなければなりませんが、利用する時にいちいち宣言するのは面倒なのでファイルシステムを介することでその負担を排除している。
ファイルシステムはユーザにとって意味のあるデータを名前や位置、サイズなどのメタデータをくっつけてファイルとして管理している。
ファイルシステムは、共通ファイルシステム(VFS) と 個別ファイルシステム(xfs/ext4など) の2つに分類できる。
※参照https://blog.framinal.life/entry/2020/04/21/193030 より画像引用、解説一部編集
ファイルシステムの基礎
そもそもデータを扱うということはどういうことなのでしょうか。通常OSを操作する上において、データを操作するということはファイルを操作することとほぼ同等の意味を持つかと思います。このため通常はデータが物理的にどのように格納されているかを意識する必要もなく、逆に意識できない作りになっています。これはOSの機能であるデータの抽象化によってもたらされる結果です。実際に物理的な記憶装置に格納されているデータを素で扱おうとすると、 HDDのどこのセクタのどの部分とどの部分を取り出して、データをメモリ上に読み込み、メモリに格納できないものは後からまた読む・・・といった大変面倒なことをする必要があります。現在のHDDの容量を考えてみると、何百ギガバイト(テラになりつつありますが・・・)という巨大なデータを格納できるような物体です。その中に入っている何かのデータを自力で探しだし、利用することは人間が行う作業として成立しないものだともいえます。このような物体に存在するデータを人間にわかりやすいファイルというものに抽象化、可視化し、データを永続的に管理しやすくするという役目を持つのがファイルシステムの基本的な考え方です。
ファイルシステムにはほかにもキャッシュメモリを利用して効果的にHDDなどの二次記憶装置を使うという機能も含まれており、Linuxではこの機能によって大きなファイルでも高速にアクセスすることが可能になっています。このようにファイルシステムは単にデータを扱いやすく管理するだけではなくH/Wリソースを効率よく利用するための機能も含まれています。
※https://lpi.or.jp/lpic_all/linux/intro/intro10.shtml より解説引用
VFS(Virtual File System)
Linuxでは全てをファイルとして扱うようになっています。これは通常のデータファイルだけではなく、HDD、CD-ROM、マウスなど様々なデバイスもファイルとして扱う仕組みになっています。この仕組みを提供するのがVFSという仮想的なファイルシステムです。VFSは下位の物理的な媒体を抽象化し、データ、デバイスを含む全てのコンピュータリソースに対して統一的なファイルアクセスという入出力インターフェイスを提供します。これによりリソースの差異を気にすることなく、様々な対象に対して統一のアクセスを行うことができます。
さらにVFSにはファイルシステムの抽象化という役割もあり、これによってことなる複数のファイルシステムに対して透過的にアクセスすることが可能になっており、ファイルシステムの種類を意識せずに利用することができます。VFSは、プログラムからのファイルシステムの操作を固有のファイルシステムの操作に変換します。このためユーザが実行するプログラムはファイルシステムの差異を意識する必要がなく、統一的なアクセス方法で実際にはことなるファイルシステムにアクセスできます。
※https://lpi.or.jp/lpic_all/linux/intro/intro10.shtml より画像・解説引用
具体的な役割
データの保存と読み取り
ファイルやディレクトリの階層構造の管理
ファイルのアクセス権限の管理
ディスク領域の効率的な利用
OSとファイルシステムの関係
・OSは、ファイルシステムを介してハードウェア(HDDやSSDなど)とアプリケーションの間の橋渡しをする。
・OSは環境変数を介して、ファイルシステムへのアクセスを制御する。
具体的な役割
抽象化
OSは、物理的なストレージデバイスを抽象化し、ファイルやディレクトリとして扱えるようにする。
アクセス制御
OSは、ユーザーやアプリケーションがファイルにアクセスする際の権限を管理する。
パスの解決
OSは、ファイルやディレクトリへのパスを解決し、正しい場所にアクセスできるようにする。

システムコール
ユーザー空間のプログラムがカーネル空間の機能を利用するためのインターフェース。
カーネルは、ハードウェアやシステムリソースを管理するための特権的な操作を行なうが、ユーザー空間のプログラムは直接これらの操作を行うことができない。そこで、システムコールを使ってカーネルに依頼し、必要な操作を行なってもらう。
※https://ascii.jp/elem/000/001/267/1267477/ より画像引用
※https://qiita.com/fujifuji1414/items/5373f3da51465c82d0d4 より画像引用
システムコールの具体的な流れ
(例)ls コマンド
(1) ユーザーがコマンドを入力
ユーザーがシェルに ls と入力する。
(2) シェルがコマンドを解釈
シェルは、入力された ls を解釈する。
ls は外部コマンド(シェルの組み込みコマンドではなく、別の実行ファイル)であることを認識する。
(3) 環境変数 PATH を参照
シェルは、ls コマンドの実行ファイルの場所を探すために、環境変数 PATH を参照する。
PATH は、実行ファイルが保存されているディレクトリのリスト。
(例)PATH=/usr/bin:/usr/local/bin
・シェルは、/usr/bin と /usr/local/bin ディレクトリを順に検索する。
(4) fork() システムコールで新しいプロセスを生成
シェルは、fork() システムコールを使って新しいプロセスを生成する。
この新しいプロセスは、親プロセス(シェル)の環境変数や設定を継承します。
新しいプロセスは、親プロセスの環境変数(例: PATH)をそのまま引き継ぐ。
(5) exec() システムコールで ls を実行
新しいプロセスは、exec() システムコールを使って ls コマンドの実行ファイルをメモリにロードし、ls プログラムを実行する。
exec() は、PATH 環境変数を参照して ls の実行ファイルを検索する。
(例)/usr/bin/ls が見つかると、そのプログラムを実行する。
※http://shivammitra.com/operating system/fork-exec-wait-in-operating-system/# より画像引用
(6) ls がシステムコールを発行
ls プログラムは、ディレクトリ内のファイル情報を取得するために、以下のようなシステムコールを発行する。
・open():ディレクトリを開く。
・read():ディレクトリ内のエントリ(ファイルやサブディレクトリ)を読み取る。
・stat():ファイルの詳細情報(サイズ、パーミッションなど)を取得する。
(7) カーネルがシステムコールを処理
カーネルは、ls が発行したシステムコールを受け取り、以下のような処理を行なう。
・ファイルシステムにアクセスしてディレクトリ内の情報を取得する。
・ハードウェア(ディスクなど)とやり取りしてデータを読み取る。
・取得した情報を ls プログラムに返す。
(8) ls が結果を表示
ls プログラムは、カーネルから受け取った情報を整形して、標準出力(通常はターミナル)に表示する。
(9) プロセスの終了
ls の実行が終了すると、プロセスは終了ステータスを親プロセス(シェル)に返す。
シェルは、このステータスを受け取って次のコマンド入力を待つ。
シェルは、wait() システムコールを使って子プロセスの終了を待ち、終了ステータスを受け取る。
まとめ
①シェルが PATH を参照
外部コマンドの実行ファイルを探す。
②fork() で子プロセスを生成
子プロセスは親プロセスの環境変数を引き継ぐ。
③子プロセスが exec() を呼び出す
外部コマンドの実行ファイルをメモリにロードし、プログラムを実行する。
④外部コマンドがシステムコールを発行
カーネルに処理を依頼し、結果を受け取る。
⑤外部コマンドが結果を標準出力に表示
シェルは直接関与しない。
⑥子プロセスが終了
終了ステータスを親プロセス(シェル)に通知する。
⑦シェルが wait() で終了を待つ
終了ステータスを受け取り、次のコマンドを待機する。

bashの設定ファイル
ログインシェル・非ログインシェル
ログインシェル
ユーザーがシステムにログイン(コンソールやターミナルで直接ログインするときや、ssh でリモートログインするときなど)するときに起動される。
設定ファイルの読み込み
※https://oxynotes.com/?p=5418 より画像引用
/etc/profile
① ・システム全体の シェル の設定ファイル。
・すべてのユーザーに適用され、すべてのシェル(Bash、sh、zshなど)に適用される。
~/.bash_profile
(または ~/.bash_login
、~/.profile
)
②・ユーザーごとのログインシェル用設定ファイル。
・ログインしたときだけに読み込まれる。
・ログインシェル固有の設定(環境変数の設定など)を記述する。
・ログインしたときに一度だけ実行したい設定を記述する。
(例)環境変数の設定や、ログイン時に実行したいコマンドなど
・多くの場合、このファイル内で ~/.bashrc を読み込むように記述されている。
~/.bashrc
※
③・ユーザーごとの非ログインシェル用設定ファイル。~/.bash_profile から読み込まれる。
・bash を起動するたびに読み込まれる。
・シェルを起動するたびに実行したい設定を記述する。
・ログインシェルと非ログインシェルの両方で共通の設定を記述できる。
・ユーザー独自のカスタマイズはこのファイルで記述する。
非ログインシェル
ログイン後(ログイン後にターミナルを新しく開くときや、既存のシェルから新しいシェルを起動するときなど)に新しいシェルを起動するときに実行される。
設定ファイルの読み込み
/etc/bash.bashrc
①・システム全体の Bashシェル の設定ファイル
・Bashシェルのみに適用される。
~/.bashrc
②・ユーザーごとのBash設定ファイル
・特定のユーザーのみに適用される。
・シェルを起動するたびに実行したい設定を記述する。
・ユーザー独自のカスタマイズはこのファイルで記述する。
(例)エイリアスの設定や、プロンプトのカスタマイズなど
設定ファイルの変更時の注意点
◎最初の状態の~/.bashrc ファイルはコピーを取っておき、バックアップを取っておくこと
◎設定を行なうシェルとは別にもう一つのシェルを起動しておくこと
こうすることで、もし間違えてログインできなくなった場合でも、別に起動しておいたシェルから復旧作業ができる。
(例)①Vimで誤った記述を削除する ②元のバックアップファイルで現在の ~/.bashrc を上書きする、などの方法が取れる。

ジョブ・プロセス・スレッド
ジョブ
・OS(特にバッチ処理環境)やシェルによって管理される、一連の処理のまとまり。
・ジョブは「何を実行するか」の指示であり、プロセスやスレッドは実際に作業をするもの。
・シェルやOSに対する命令(タスクの依頼)
(例)シェルスクリプトやバッチジョブ
・シェル(Bashなど)を介して実行される場合:ジョブはシェルが管理
・OSのジョブスケジューラ(cronやsystemd)を介する場合:OSが管理
・シェルでコマンドを実行すると、新しいプロセスが生成されるが、それをシェルは「ジョブ」として管理できる。
プロセス
・OSが直接管理する個々の実行単位。
・1つの独立した仕事(プログラムの実行単位)
スレッド
・プロセス内の個々のタスク
※プロセスは独立しているが、スレッドはプロセスの中で協力して動く。
→スレッドは同じメモリ空間を共有しているので、データの受け渡しが早いが、干渉しやすい。どこかでミスが発生すると、全体に影響が出る。

ファイルパーミッション
Linuxで扱われるファイルは、すべてに所有者(オーナー)が設定されている。
ファイルのオーナーは、ファイルへのアクセス権限を自由に設定できる。
ls
に-l
オプションをつけて詳細表示することで、ファイルのオーナーを確認できる。
グループ
ユーザをまとめた集まりのこと
ユーザは同時にいくつものグループに所属できるが、最低1つのグループに属してないといけない。
自分が現在どのグループに属しているかを確認する方法
$ groups
ファイルのパーミッション
パーミッション:1つ1つのファイルには「誰に、どのような操作を許可するか」という権限を規定する情報が設定されている。
3文字ごとの1つのブロックになっている。
・オーナー
・グループ
・その他のユーザ
パーミッションの記号と意味
記号 | 意味 |
---|---|
r | 読み取り(read) |
w | 書き込み(write) |
x | 実行(execute) |
ls
コマンドの-l
オプションでは、以下のように表示される
・操作が許可されているとき「r」「w」「x」
・操作が許可されていないとき「-」
ディレクトリのパーミッション
まとめ
パーミッション | ファイルの場合 | ディレクトリの場合 |
---|---|---|
r | ファイルの内容を読み込み可能(cat) | ファイル一覧を表示(ls) |
w | ファイルの内容を変更可能 | ファイルを作成・削除・名前変更可能 |
x | ファイルを実行可能(./script.sh) | ディレクトリ(cd)に移動可能 |
※ファイルの削除ができるかどうかはディレクトリのパーミッションで決まり、ファイル自身のパーミッションは関係ない。

chmodコマンド:ファイルモードを変更する
シンボルモード(相対的指定)
「誰に、どのような権限を追加(もしくは禁止)するのか」を表す
パーミッションの一部だけを変更したいときに便利
chmod [ugoa] [+-=] [rwx] <ファイル名>
// 複数のユーザをまとめて指定
// 例:グループとその他を read-only に設定
$ chmod go=r file.txt
記号 | 意味 |
---|---|
u | オーナー |
g | グループ |
o | その他のユーザ |
a | ugoすべて |
chmodコマンドの演算子
記号 | 意味 |
---|---|
+ |
権限を追加する |
- |
権限を禁止する |
= |
指定した権限と等しくする |
数値モード(絶対的指定)
元のパーミッションにかかわらず、新しいパーミッションの値へと変更する。
足した値を「オーナー」「グループ」「その他のユーザ」の順に3つ並べて指定する。
この3桁の数字がパーミッションを指定するための値。
chmod <8進数の数字> <ファイル名>
数値モードでのパーミッションの数値
意味 | 数字 |
---|---|
読み取り(r) | 4 |
書き込み(w) | 2 |
実行(x) | 1 |

スーパーユーザ
管理者権限を持つ特別なユーザ
ユーザ名が root であることから、root ユーザと呼ばれることもある。
ファイルのパーミッションの影響を受けず、あらゆる操作を許可された強力な権限を持つ。
※強力な権限ゆえに、操作を誤るとシステム自体を破壊してしまうこともあるため慎重に取り扱う必要がある。
通常、一般ユーザでログインして操作し、必要な時だけスーパーユーザとして作業する
スーパーユーザの利用を最小限にとどめることが大切
su コマンド:ユーザを変更する
一時的に別のユーザになるためのコマンド
主にスーパーユーザになるために使用される。
exit コマンドを明示的に終了するまで、スーパーユーザの権限が継続する。
※ディストリビューションの種類や設定によっては、このコマンドでスーパーユーザになれないこともある。
オプションをつけない su コマンドでユーザを切り替えると、環境変数やカレントディレクトリなどの現在の環境を維持したままユーザだけ切り替わる
su -(ハイフン)
スーパーユーザの環境に初期化されてユーザが切り替わる
sudo コマンド:コマンドを別のユーザとして実行する
一つのコマンドだけをスーパーユーザ権限で実行する。
一般ユーザにスーパーユーザの権限を与えるコマンド。
コマンドが終了すれば、元の一般ユーザの状態に自動的に戻る。
別のユーザとしてコマンドを実行するために使用される。
sudo コマンドを実行すると、現在ログインしているユーザのパスワードを求められる。
必要なときだけスーパーユーザとしてコマンドを実行する。
ユーザに sudo を許可するかどうかは、/etc/sudoers ファイルで管理されている。
sudoers ファイル
<ユーザ><マシン>=(<権限>)<コマンド>
の形式で記述する。
<ユーザ> の部分は、直接ユーザ名を書くか、%<グループ名>
の形でグループを指定する。
wheel, admin, sudo というグループ名が使われていることもある。
あるユーザにsudo が許可されていない場合、 スーパーユーザが /etc/sudoers ファイルに追記して権限を追加することができる。
visudo コマンド:sudoers ファイルを編集する
sudo の設定を行なう場合、 /etc/sudoers ファイルを直接テキストエディタを開いて編集してはいけない。
書き方を誤ってしまうと、sudo が動作せず、どのユーザも sudo を使えなくなってしまう。

プロセス
※http://ash.jp/linux/unyo/06.htm より画像引用
・メモリ上で実行状態にあるプログラム
・OSが直接管理する個々の実行単位。
・1つの独立した仕事(プログラムの実行単位)。
・Linuxカーネルから見た処理の単位。
・システム全体で一意のプロセスIDを持つ。
・Linuxでプロセスが新しく作られるときは、無から発生するのではなく、すでに存在している別のプロセスを元に作成されるというモデルをとっている(親子関係をとる)。
・コマンドをパイプで繋いだ場合、コマンドごとに生成される。
※https://howahowablog.com/process-and-job-1/ より画像引用
ジョブ・プロセス・スレッド
※https://itmanabi.com/job_task/ より画像引用
ps コマンド:プロセスの表示
現在動作しているプロセスを表示する。
・PID:プロセスID
※プロセスIDはプロセスが起動してから終了するまで変化しない。
・CMD:実行されているコマンド
・TTY:ターミナル
オプション形式
UNIXオプション:ハイフン付きでオプションを指定する
BSDオプション:ハイフンなしでオプションを指定する
※現在の主流
Linuxではマルチタスク機能により、さまざまなプロセスが同時に動作している
BSDオプション:よく使用される ps コマンドのオプション組み合わせ
オプション | 意味 |
---|---|
x | psコマンドを実行したユーザのプロセスをすべてを表示 |
ux | psコマンドを実行したユーザのプロセスすべてを、詳細情報を合わせて表示 |
ax | すべてのユーザのプロセスを表示 |
aux | すべてのユーザのプロセスを、詳細情報を合わせて表示 |
auxww | auxオプションで、コマンドラインが長くターミナルの右端で切れてしまう際に、、表示幅を制限せずすべて表示 |
プロセスとファイルディスクリプタ
※https://curtaincall.weblike.jp/portfolio-unix/api.html より画像引用
スレッド
・プロセス内の個々のタスク
※プロセスは独立しているが、スレッドはプロセスの中で協力して動く。
→スレッドは同じメモリ空間を共有しているので、データの受け渡しが早いが、干渉しやすい。どこかでミスが発生すると、全体に影響が出る。

ターミナルに接続していないプロセス
デーモン(Daemon)やバックグラウンドプロセスとして動作するプロセスのこと。
これらのプロセスは、ユーザーがターミナルから直接操作するのではなく、システムや他のプログラムの要求に応じて自動的に動作する。
ターミナルに接続していないプロセスの特徴
バックグラウンドで動作
ターミナルに表示されず、裏でひっそりと動作します。
ユーザーが気づかないうちに、システムの重要な処理を行っています。
ターミナルからの入出力がない
標準入力(stdin)、標準出力(stdout)、標準エラー出力(stderr)がターミナルに接続されていません。
ログファイルやシステムログに出力されることが多いです。
システム起動時に自動的に起動
多くの場合、システムの起動時に自動的に起動され、システムが終了するまで動作し続けます。
ターミナルに接続していないプロセスの例
デーモンプロセス
・Webサーバー(例: Apache, Nginx)
・データベースサーバー(例: MySQL, PostgreSQL)
・ネットワークサービス(例: SSHデーモン sshd)
バックグラウンドで実行されるユーザープロセス
・ユーザーがバックグラウンドで起動したプロセス(例: ./myprogram &)
・スクリプトやアプリケーションがバックグラウンドで実行するプロセス

ジョブ
・OS(特にバッチ処理環境)やシェルによって管理される、一連の処理のまとまり。
・ジョブは「何を実行するか」の指示であり、プロセスやスレッドは実際に作業をするもの。
・シェルやOSに対する命令(タスクの依頼)
・シェルから見た処理の単位。
・シェルごとに処理番号を持つ。
・コマンドをパイプで繋いだ場合、コマンドライン全体で一つ。
(例)シェルスクリプトやバッチジョブ
・シェル(Bashなど)を介して実行される場合:ジョブはシェルが管理
・OSのジョブスケジューラ(cronやsystemd)を介する場合:OSが管理
・シェルでコマンドを実行すると、新しいプロセスが生成されるが、それをシェルは「ジョブ」として管理できる。
コマンドの一時停止
Ctrl + z
:コマンドを一時停止 ※再開することができる
jobs
:ジョブの一覧を表示
・先頭の[1]や[2]はジョブ番号を表す。プロセスIDも表示したい場合はjobs -l
と-l
をつける。
※https://www.infraexpert.com/infra/linux21.html より画像引用
fg コマンド:ジョブをフォアグランドにする
ユーザ入力を受け付けるジョブの状態
指定したジョブ番号をキーボードで操作で状態に戻る
※復帰したときには、スクロール位置など停止状態にする直前の状態が復元される
※ジョブ番号を省略すると、カレントジョブがフォアグランドになる。
fg %<ジョブ番号>
bg コマンド:ジョブをバックグラウンドにする
ユーザが対話的に操作できないジョブの状態
指定したジョブ番号をキーボードで操作で状態に戻る
末尾の&
:ジョブがバックグラウンドの状態であることを表す。
はじめからジョブをバックグラウンドで実行したいときは、コマンドラインの末尾に&
を追加する
→Ctrl + z
で停止してから、bgコマンドでバックグラウンドにする、という操作は不要
bg %<ジョブ番号>
ジョブの状態遷移
フォアグラウンド
ユーザが対話的に操作しながら処理が実行されている状態
バックグラウンド
ユーザが対話的に操作せずに処理が実行されている状態
停止
処理を一時的に中断している状態
ジョブ・プロセスの終了
ジョブの終了
Ctrl + c
:フォアグラウンドジョブを終了する
※バックグラウンドジョブまたは停止の状態にあるジョブはキーボード入力を受け付けていないため、Ctrl + c
を入力することができないため、ジョブ番号を指定して kill コマンドを使う。
// ジョブの終了
kill %<ジョブ番号>
// プロセスの終了
kill <プロセスID>
プロセスの終了
プロセスの場合は、%
をつけずにプロセスIDをそのまま指定する。
※プロセスを終了できるのはその実行ユーザのみとなっている。
kill コマンド:シグナルの送信
「シグナルを送信する」コマンド
シグナル:プロセスに送信される信号
実行中のプロセスに対してシグナルを送ることで、プロセス間の通信を行なうことができる。
※ KILLシグナルは最後の手段として使用すること
→終了処理をせずに強制的にプロセスが終了してしまうため
kill -<シグナル名>
シグナル名を省略すると、デフォルト値としてTERMというシグナルを送信する。
ジョブは受け取ったシグナルを元に操作を実行している。
kill -l
:システムで利用可能なシグナル一覧の表示
シグナル名は先頭に"SIG"という接頭辞をつけて表示する。
◎kill コマンドでプロセスを終了させる場合は、始めにTERMシグナルを試し、それでもうまく終了できないときだけKILLシグナルを使用すること
※https://www.infra-linux.com/linux-cmd-menu2/job-state-transitions/ より画像引用

標準入力・標準出力・標準エラー出力
※https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02297/121500004/ より画像引用
標準入力(stdin)
プログラムの標準的な入力
通常はキーボードが使われる。ファイルの場合もある。
標準出力(stdout)
プログラムの標準的な出力
通常は端末ディスプレイが使われる。
標準エラー出力(stderr)
プログラムのエラーメッセージを出力するための標準的な出力
通常は端末ディスプレイが使われる。
※『新しいLinuxの教科書 第2版』より、画像引用
リダイレクト
標準入出力先を変更する機能のこと
入力リダイレクト:キーボードの代わりにファイルを標準入力につなぐこと
何かしらのコマンド作る際には、入力データを標準入力から読み込む仕組みを備えるようにすること
→より汎用性が高く、他のプログラムと連携しやすくなる。
標準出力のリダイレクト
コマンドの実行結果を画面に表示するのではなくファイルに保存したい場合に使用する。
※リダイレクト先のファイルは自動的に作成されるため、事前に touch コマンドなどでファイルをつくっておく必要がない。
標準出力と標準エラー出力は別々のチャネルになっている
標準出力をファイルにリダイレクトしてもエラーメッセージが画面に出力されるのは、標準エラー出力がリダイレクトされない限り、デフォルトで画面に出力される設定になっているから。
標準出力と標準エラー出力をまとめる
標準出力をリダイレクトした後ろに、2>&1 と書く。
Linuxの内部では標準入出力が数値として管理されている。
標準入出力の数値
入出力チャネル | 数値 |
---|---|
標準入力 | 0 |
標準出力 | 1 |
標準エラー出力 | 2 |
リダイレクトによる上書き
>
で標準出力をリダイレクトする際に、指定したファイル名と同一のファイル名が存在する場合は、上書きされて元のファイルが失われる
>>
:ファイルの末尾に追記する ※上書きしないため、元のファイルの内容が失われない
① ② シェルオプション noclobber という値を set コマンドで設定する
リダイレクトの記法
記号 | 意味 |
---|---|
< FILE |
入力リダイレクト 標準入力の入力元をFILEに変更する |
> FILE |
標準出力のリダイレクト 標準出力の出力先をFILEに変更する |
>> FILE |
標準出力の出力をFILEの末尾に追記する |
2> FILE |
標準エラー出力のリダイレクト 標準エラー出力の出力先をFILEに変更する |
2>> FILE |
標準エラー出力の出力をFILEの末尾に追記する |
> FILE 2>&1
|
標準出力と標準エラー出力の出力先を、共にFILEに変更する |
/dev/null
※https://www.digitalocean.com/community/tutorials/dev-null-in-linux より画像引用
UnixやLinuxシステムにおいて特殊なファイルとして存在し、「ビットバケット」や「ブラックホール」とも呼ばれる。その主な役割は、不要なデータを破棄すること。
・入力元として指定しても何も返さない
・出力先として指定しても、書き込んだデータはどこにも保存されずに消えてなくなる
・/dev/null に書き込まれたデータはすべて破棄される。
・/dev/null から読み取ろうとすると、常にEOF(End of File)が返される。
使い方例
① 標準入力を /dev/null にリダイレクト
コマンド < /dev/null
・標準入力(stdin)が /dev/null にリダイレクトされ、プログラムがキーボードからの入力を待たなくなる。
・プログラムが入力を受け取ろうとしても、何も得られない(EOFが返される)
→バックグラウンド実行時
バックグラウンドで実行するプログラムが標準入力を必要としない場合、/dev/null にリダイレクトすることで、不要な入力待ちを防ぐ。
→自動化スクリプト
ユーザーからの入力を必要としないスクリプトを実行する場合、標準入力を /dev/null にリダイレクトする。
② 標準出力を /dev/null にリダイレクト
コマンド > /dev/null
・標準出力(stdout)が /dev/null にリダイレクトされ、プログラムの出力が画面に表示されなくなる。
・出力データはすべて破棄される。
→出力を無視したい場合
プログラムの出力が不要な場合(例: ログが大量に出力される場合)に使用する。
→エラーのみを確認したい場合
標準出力を破棄し、標準エラー出力のみを表示する場合。
③ 標準エラー出力を /dev/null にリダイレクト
コマンド 2> /dev/null
・標準エラー出力(stderr)が /dev/null にリダイレクトされ、エラーメッセージが表示されなくなる。
・エラーメッセージはすべて破棄される。
→エラーメッセージを無視したい場合
エラーメッセージが不要な場合や、エラーが発生しても無視したい場合に使用する。
→正常な出力のみを確認したい場合
標準エラー出力を破棄し、標準出力のみを表示する場合。

|
パイプライン
※https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02297/121500004/ より画像引用
コマンドの標準出力を別のコマンドの標準入力につなぐ機能
標準出力に結果を表示するコマンドはなんでもパイプで less コマンドにつなぐことができる。
パイプラインは|
で好きなだけいくつでもつなげることができる。
パイプラインは標準出力だけを次のコマンドに送る。
パイプを使用している場合、ファイルの内容を直接変更しているのではなく、データの流れを操作している
標準エラー出力もまとめてパイプラインに送りたいときは、2>&1
という記法を利用し、標準エラー出力を標準出力へリダイレクトする。
※『新しいLinuxの教科書 第2版』より、画像引用
コマンドライン履歴
bash に入力されたコマンドラインは、~/.bash_history というファイルに履歴として保存される。
historyコマンド

フィルタ
※https://software.fujitsu.com/jp/manual/manualfiles/M070042/J2X06060/05Z200/xlmv05/xlmv0172.html より画像引用
標準入力を入力として受け取り、標準出力に出力するコマンド
フィルタコマンドとは、標準入力からテキストを受け取り、何らかの処理を施して標準出力に出力するコマンドのこと
ファイル名を引数として受け取ると、そのファイルの内容を読み込み、テキストデータとして処理する。
ファイル全体を一度に読み込むか、行単位で読み込むかはコマンドによって異なるが、結果としてファイル全体のテキストに対してフィルタリング処理が行われる。「ファイル」という単位で処理を行なう。
代表的なフィルタコマンド
コマンド | 役割 |
---|---|
cat | 入力をそのまま出力する |
head | 先頭の部分を表示する |
tail | 末尾の部分を表示する |
grep | 指定した検索パターンに一致する行だけ表示する |
sort | 順番に並び替える |
uniq | 重複した行を取り除く |
tac | 逆順に表示する |
wc | 行数やバイト数を出力する |
du コマンド:指定したファイルやディレクトリの使用容量を表示 ~disc usage~
du [オプション] [ファイル / ディレクトリ]
-b オプション:引数で指定されたファイルのサイズをバイト単位で表示
sort コマンド:(デフォルト)辞書順に並び替え
-n オプション:数値順でソート

テキスト処理
● wc コマンド:バイト数・単語数・行数を数える
※『新しいLinuxの教科書 第2版』より画像引用
オプション
-l:行数を表示
-w:単語数を表示
-c:バイト数を表示
フィルタを使う際に標準入力から読み取ることを明示的に指定したい場合は -
を入力ファイル名として利用する。
● sort コマンド:行を並べ替える
ソート:一定の規則に基づいて行を並び替えること
sort コマンドの デフォルトでは辞書順・アルファベット順に行を並び替える
フィールド:各項目
よく使用されるオプション
-k オプション:フィールド番号の指定
-n オプション:数値順にソート
-r オプション:逆順にソート
※sort コマンドはASCIIコード順にソートするため、純粋な辞書順にはならない
※ASCIIコードは歴史的な理由から、アルファベットは大文字の方が番号が小さく、小文字の方が大きい番号が割り当てられている。
-n オプション:数値順にソート
文字列を数値とみなして並び変えるためのオプション
-r オプション:逆順にソート
逆順にソートするためのオプション
-rn :ファイルサイズの大きい順に表示することができる**
逆順ソートと数値ソートの組み合わせ
● uniq コマンド:重複行を取り除く
同じ内容の行が連続している場合にのみ重複を取り除く
※重複行が連続していない場合には取り除かれない。
◎一旦 sort コマンドを使って対象ファイルの内容を並び替えておくと、ファイル全体から重複行を取り除くことができる
-u オプション
uniq コマンドを使わずに重複行を取り除くことができる
$ sort -u file3
/etc/passwd
※https://infosecwriteups.com/what-is-etc-passwd-group-shadow-file-in-linux-bd7b28f353f3 より画像引用

テキスト処理
● cut コマンド:入力の一部を切り出す
元のデータから特定の部分だけを取り出したいときに便利なコマンド
cut -d <区切り文字> -f <フィールド> [<ファイル名>]
<区切り文字> で指定した文字で入力行を分割し、その中の <フィールド番号> で指定したフィールドだけを出力する。
※ -d オプションをつけずに区切り文字を指定しない場合は、デフォルト値としてタブが区切り文字とみなされる。
※ -d:delimiter(デリミタ)の略。区切り文字を指定。
※ -f:fields(フィールド)の略。切り出すフィールドを指定。
● tr コマンド:文字を変換・削除する
trコマンドは1文字単位の文字置換
※文字列を置換したときは、sedコマンドやawkコマンドを利用する。
tr <置換前の文字> <置換後の文字>
※『新しいLinuxの教科書 第2版』より、画像引用
置換文字に-
(ハイフン)を使用することで文字範囲を指定することができる。
(例)a-z A-Z:小文字から大文字に変換
ファイル指定の注意
trコマンドは、ファイルから直接読み込むことができない
→ テキストファイルの内容に対してtrコマンドを実行したい場合は、ファイルをcat してパイプで渡すか、入力リダイレクトを使用する。
解説
trコマンドは、文字単位での置換や削除に特化しており、ファイル全体を処理するというよりは、ストリーム処理に特化している。そのため、他のフィルタコマンドとは異なり、ファイル名を直接引数として受け取るのではなく、標準入力を処理するように設計されている。
※ほとんどのフィルタコマンドは、ファイル名を指定しない場合に標準入力からテキストを読み込み、処理を行なう。
※trコマンドは例外的に、標準入力からの処理に特化したコマンド。
→ファイル名を直接引数として受け取るのではなく、標準入力からのストリームデータを処理するように設計されている。そのため、ファイルの内容を処理するには、リダイレクト (<) やパイプ (|) を使用して、ファイルの内容を標準入力に渡す必要がある。
文字の削除
tr -d <削除文字>
削除機能がよく使用されるのは、改行コードを取り除いて1行にしたいケース
● tail コマンド:末尾部分を表示する
オプションを指定しない場合、ファイルの末尾10行が表示される。
-n オプション:表示する行数を指定
ファイルへの追記の監視
ログの出力やデータ収集などで 常時追記されていくファイルを表示する際に、追記されるたびにその内容を表示してファイル監視をすることができる。
ファイルの内容が書き換えられると、その都度リアルタイムで表示される。
tail -f <ファイル名>
※Ctrl + c
で tail コマンド終了

テキスト処理
● diff コマンド:差分を表示する
設定ファイルやプログラムのソースコードに対して、編集前と編集後の変更内容を確認するためによく使われる。
dif [オプション] <比較元ファイル> <比較先ファイル>
変更コマンド:元ファイルからどの行をどのように変更したのかを示す
※『新しいLinuxの教科書 第2版』より、画像引用
変更範囲1 変更種別 変更範囲2の形式
※変更種別
・a(Add):追加
・c(Change):変更
・d(Delete):削除
変更コマンド内の変更種別
記号 | 内容 |
---|---|
<範囲1> a <範囲2> | 1つ目のファイルの範囲1の後に、2つ目のファイルの範囲2の内容が追加された |
<範囲1> c <範囲2> | 1つ目のファイルの範囲1の箇所が、2つ目のファイルの範囲2の内容に変更された |
<範囲1> d <範囲2> | 1つ目のファイルの範囲1の箇所が削除された |
※『新しいLinuxの教科書 第2版』より、画像引用
行の先頭にある<
:1つ目のファイルにだけある行
行の先頭にある>
:2つ目のファイルにだけある行
変更があった行だけ表示される。2つのファイルで共通する行は表示されない。
ファイル内で複数行を変更した場合には、それぞれの箇所が差分として表示される。
ハンク(hunk):それぞれの差分表示ひとかたまりのこと
※『新しいLinuxの教科書 第2版』より、画像引用
ユニファイド出力形式(Unified Format)
diff コマンドに-u
オプションに指定する
※https://www.miraclejob.com/recommend/detail?cd=3718 より画像引用
最初の2行に指定した2つのファイルのファイル名と更新日時が表示される。
・追加された行は先頭に+
・削除された行は先頭に-
が表示される。
差分は変更があった行だけではなく、それらの前後何行かも合わせて表示される。
※『新しいLinuxの教科書 第2版』より、画像引用
@@から始まる行:その差分が元のファイルの何行目に対応しているのかを表す
@@ -<1つ目のファイルの変更開始行>, <変更行数> +<2つ目のファイルの変更開始行>, <変更行数> @@ という形式
※変更開始行:それぞれのファイルの中での行番号
※変更行数:各ハンク部分の行数(変更があった行だけでなくその前後も含む)
差分の使い方とパッチ
あるファイルを変更した内容を他の人に伝える際に、変更後のファイル全体を送るのではなく、diff コマンドで出力された差分だけ送ることもできる。
差分を受け取った側は、元のファイルと差分ファイルから、変更後のファイルを復元できる。
こうすることで、大きなファイルに修正を加えた場合でも、ファイル全体を共有しなくて済む。
パッチ:修正内容を共有する目的で使用する差分ファイル
diff コマンドで出力された差分は、patch コマンドでパッチを当てる(修正を適用する)ことができる。
・パッチを当てる際、元のファイルが変更されていて行番号がずれていると、エラーとなることがある。しかし、ユニファイド形式だと、前後の内容も含まれているため、元のファイルの行が多少ずれていてもパッチとして適用できる。
・差分を表現する形式としてユニファイド形式がよく使用される。

正規表現
grep コマンド:ファイルから文字列を検索する
<ファイル名> から <検索パターン> に一致する行を出力する
※「マッチする」:検索パターンに一致すること。
grep コマンドはマッチした部分だけではなく、マッチした行全体を表示する。
grep [オプション] <検索パターン> <ファイル名>
・-n オプション:マッチした行の行番号を表示させる
検索したいパターンがファイルのどのあたりにあるのかを調べるときに便利
・-i オプション:大文字小文字を区別せずにマッチさせる
・-v オプション:マッチしなかった行を表示させる
ログファイルやデータファイルなどから、不要な値をもつ行を除いて表示したいときに便利
※別のコマンドの結果を grep で検索するのもよく使われる手法。
正規表現
条件に合致する文字列集合を表現するための記法
※『新しいLinuxの教科書 第2版』より、画像引用
正規表現はシェルに正規表現を展開させ内容にするために、' '
(シングルクォート)で囲んで指定する
メタ文字:正規表現で意味を持つ記号
文字にマッチするメタ文字
メタ文字 | 意味 |
---|---|
. |
任意の1文字 |
[ ] |
[ ] に含まれる、いずれかの1文字 |
[^ ] |
[ ] に含まれない、いずれかの1文字 |
\ |
直後のメタ文字の意味を打ち消す |
^ |
行の先頭 |
$ |
行の末尾 |
^$ |
空行 |
.
(ドット)そのものを検索したい場合は、\
(バックスラッシュ)をつけてエスケープする。
エスケープ:メタ文字の直前に\
を置くことでメタ文字の意味を打ち消すこと
[ ]:特定の文字を指定するメタ文字
-(ハイフン) を使うことで文字の範囲を指定できる
(例)[a-ZA-Z]
:アルファベットの大文字小文字すべて
[^ ]:指定した文字以外をマッチさせる
(例)grep 'text[^13]'
「text1」「text3」以外の文字列
※Linuxにおいて ^
が否定の意味を持つのは、正規表現の[ ]
の中
位置にマッチするメタ文字
他のメタ文字と組み合わせて、マッチする箇所を指定するために利用する。
^
:行の先頭に指定した文字列がある行だけが表示される。
※行頭に置く
$
:行の末尾に指定した文字列がある行だけが表示される。
※行末に置く
^$
:空行にマッチ
grepコマンドの -v オプションを利用して^$
にマッチしない行を出力すると、ファイルから空行だけを取り除いて表示することができる
繰り返しを指定するメタ文字
他の正規表現の後に置いて、直前の正規表現が一定回数以上繰り返されていることを意味する。
◎単独で使うのではなく、必ず後ろにくっついて置かれる。
*
:0回以上の繰り返し
※「0回」その直前の文字が存在しなくてもいいということ
[指定文字]* という形で、直前のいずれかの文字が0回以上繰り返される文字列にマッチする。
.*:あらゆる文字列にマッチ。

拡張正規表現
使えるメタ文字を増やした正規表現
-E
オプションを利用すると、拡張正規表現として解釈される。
Linuxで利用されているgrep(GNU grep)は独自拡張により、-E オプションをつけなくても、メタ文字に\
記号をつけることで一部の拡張機能と同等のパターンを基本正規表現で利用することができる。
※拡張正規表現を使うときは、-E
オプションを明示的につけて利用することが推奨される。
拡張正規表現による繰り返し回数の指定
基本正規表現 | 拡張正規表現 | 意味 |
---|---|---|
* |
* |
0回以上の繰り返し |
なし | + |
1回以上の繰り返し |
なし | ? |
0回または1回の繰り返し |
\{m, n\} |
{m, n} |
m回以上n回以下の繰り返し |
{m\} |
{m} |
ちょうどm回の繰り返し |
\{m,\} |
{m,} |
m回以上の繰り返し |
\(\) |
() |
グループ化する |
なし | ` | ` |
+
は*
に似ているが、0回を含まない。直前の文字が少なくとも1つは必要
ちょうどm回の繰り返しは、日本の郵便番号のチェックなどによく使われる。
(例)[0-9]{3}-[0-9]{4}

sed コマンド(ストリームエディタ)
sed (Stream Editer):非対話型エディタ
sed コマンドは編集結果を標準出力に出力するため、元のファイルを変更しない。
sed コマンドはフィルタとして動作するため、編集対象ファイルの指定がない場合には標準入力から読み込まれる。
sed は非対話型でフィルタとして動作し編集を行なうため、決まったパターンの編集を行なうケースでは非常に効率よく作業することができる。
対話型エディタ
※『新しいLinuxの教科書 第2版』より、画像引用
対話型エディタ(例えば、Vim、Emacs、VS Codeなど)は、ファイルをバッファ(メモリ内にある一時データ保管場所)に読み込み、画面上で編集し、その結果をファイルに保存するという流れで動作する。また、バッファに読み込まれた内容は、画面上で即座に表示される。
非対話型エディタ
※『新しいLinuxの教科書 第2版』より、画像引用
動作の流れ
- シェルから編集のためのコマンドを引数として与えて、sed コマンドを実行する
- sed コマンドは編集対象のテキストに対して、与えられた編集コマンドに対応する編集操作を行なう
- 編集後のテキストを、sed コマンドが標準出力に出力する

sed コマンド(ストリームエディタ)
sed は編集結果を表示するだけ、元のファイルを上書きしない。
sed のコマンドはアドレスで指定された行のみに作用する。
アドレスを指定していない(省略した)場合は、コマンドはすべての行に作用する。
アドレスは行番号だけでなく、正規表現で書くこともできる。その際には、正規表現を/
(スラッシュ)で囲む。
sed のアドレスとは、「コマンドの作用する範囲」という意味。
sedのデフォルト動作
すべての行を自動的に出力する仕様(-nオプションで抑制可能)
→ 各行が最低1回は必ず出力される
-nオプションを付けない限り、全行が必ず1回出力される
sed コマンドの形式
sed [オプション] <スクリプト> <対象ファイル>
スクリプト:「アドレス」と「コマンド」を組み合わせた文字列
コマンドは、引数とフラグを取ることがある。
アドレスは省略することができ、その場合はすべての行が対象になる。
※『新しいLinuxの教科書 第2版』より、画像引用
基本概念
sedには2つの重要な「作業領域」がある
※https://deep.tacoskingdom.com/blog/131 より画像引用
① パターンスペース
現在処理中の行が格納される場所(デフォルトの作業領域)
sedがファイルを1行ずつ読み込むとき、その行が最初に入る場所
通常のsedコマンド(s/置換/ここ/など)はすべてパターンスペースに対して作用する
読み込んだ行ストリームごとに「パターンスペース」という入れ物のように使えるメモリ空間にコピーされ、行が一つ一つ読み込まれる度にパターンスペースの中のテキストの内容が更新されている。
※https://deep.tacoskingdom.com/blog/131 より画像引用
② ホールドスペース
データを一時的に保持しておくための補助的なスペース
デフォルトでは空
明示的にコマンドを使わないとアクセスできない
複数行にまたがる処理をするときに便利
主要なコマンド
コマンド | 意味 |
---|---|
h | パターンスペース→ホールドスペースにコピー(上書き) |
H | パターンスペース→ホールドスペースに追加(改行して追加) |
g | ホールドスペース→パターンスペースにコピー(上書き) |
G | ホールドスペース→パターンスペースに追加(改行して追加) |
x | パターンスペースとホールドスペースを交換 |
● d コマンド:行の削除
// 1行目を削除
sed 1d drink.txt
// 2行目から5行目までを削除
sed 2,5d drink.txt
// 3行目から最後まで削除
sed '3,$d' drink.txt
// 先頭がBで始まる行を削除(正規表現を使用)
sed /^B/d drink.txt
$
を利用する際はシェルに解釈させないために、スクリプト部分はシングルクォートでくくる必要がある。
● p コマンド:行の表示
sed コマンドは行を読み込むと、まずパターンスペースという場所に一旦コピーし、そのパターンスペースに編集コマンドを実行してから、最後にパターンスペースの内容を出力する。
pコマンドの役割
指定した行を追加で出力(自動出力に上乗せする形)
→ 結果的に指定行だけ2回出力される
流れ
※『新しいLinuxの教科書 第2版』より画像引用
-n オプション:パターンスペースの出力をさせないようにする
パターンスペースに入れられた内容をその都度標準出力するpコマンドが暗黙的ルールで動作しているので、「何もしない」ことをsedにさせたい場合、このデフォルトでパターンスペースの内容を標準出力する機能を抑制する必要がある。
p コマンドを n オプションと同時に利用することで特定の行だけ表示させることができる。
-n オプションによりパターンスペースの出力をさせないという手法は、置換機能で「置換が発生した場合にだけ出力する」ケースなどに利用される。
● s コマンド:行の置換
s/置換元文字列/置換後文字列/フラグ
フラグは省略可能
g フラグ:見つかったすべての文字列を置換する
置換文字列には正規表現を利用できる
sed 's/B.*r/Whisky/g' drink.txt
・sコマンドを使用する際は、常にスクリプト全体をシングルクォートでくくっておくことが推奨される。
・置換後文字列を指定せず空にすることで、空文字に変換(=置換前文字列を削除)することができる
・パターンスペースを出力しない -n オプションと、置換が発生した場合に出力する p フラグを組み合わせて利用することで、置換が発生した行だけを表示することができる。
※長いテキストを置換する場合に、どこで置換が発生しているかを確認するときに便利
sed での拡張正規表現
sed では正規表現は基本正規表現として解釈される。
拡張正規表現を使用したい場合は、-E
オプションをつける。
また、-E
オプションの代わりに-r
オプションを付けても拡張正規表現が利用できる。
加えて、Linuxのsed(GNU sed)の独自拡張により、拡張正規表現である+
や ?
の直前に\
バックスラッシュをつけることで、基本正規表現として利用することができる。
sed -E 's/Be+r/Whisky/' drink.txt
sed 's/Be\+r/Whisky/' drink.txt
※これから学習をしていく人には、他の環境と互換性のある-E
オプションを使うことが推奨される。
後方参照
正規表現を( )
でグループ化した際に、そのマッチした文字列を\1
のなどの数値で参照できる機能。
複数のグループ化をした場合には、それぞれ\1
、\2
のように行の先頭からの順番に参照できる。
後方参照は\1
, \2
, \3
のように使い、この数字はキャプチャグループの順番に対応している。
基本ルール
最初の( ) → \1 で参照
2番目の( ) → \2 で参照
3番目の( ) → \3 で参
正規表現の中で「前に出てきた同じパターンをもう一度使いたい」ときに便利な機能。
基本正規表現と拡張正規表現
基本正規表現(BRE) | 拡張正規表現(ERE) |
---|---|
\( \) でグループ化し、\1 で参照 |
( ) でグループ化し、\1 で参照 |
sed 's/My (.*\)/--\1--/' drink.txt
アドレス指定
sコマンドで置換するときは、dコマンドやpコマンド同様アドレスを指定できる。
区切り文字の変更
sコマンドで置換するとき、文字列内で/
(スラッシュ)という文字そのものを指定したい場合には、区切り文字と区別するために\
(バックスラッシュ)を付けてエスケープして\/
と記述する。
さらにスマートな方法として、区切り文字を変える方法がある。
sの後ろの文字は自動的に区切り文字とみなされるため、一般的によく !
や %
がよく使われる。

awk コマンド:パターン検索・処理言語
テキストの検索や抽出・加工などの編集操作を行なうためのコマンド。
sed のようにシェルから指定した編集操作をテキストに対して実行し、その編集結果を表示する。
動作の流れ
※https://wlab.page/blog/awkコマンド/ より画像引用
特徴
テキストのパターン処理に強い
特定のパターン(行や列)にマッチしたデータを抽出・加工できる。
(例)ログファイルから特定の条件に合致する行だけを抽出。
フィールド(列)単位の操作が簡単
デフォルトでスペースやタブで区切られた列を扱え、$1(1列目)、$2(2列目)のようにアクセス可能。
(例)CSVやログの特定列を集計。
スクリプト言語としての機能
変数、ループ、条件分岐などプログラミング言語のような構文を持ち、複雑な処理も記述可能。
awkコマンドの形式
awk <スクリプト> <対象ファイル>
// スクリプトの部分はシェルに解釈されないよう''で囲む
awk 'パターン { アクション }' ファイル
対象ファイルを指定しない場合、標準入力から読み込み、フィルタとして振る舞う。
パターン { アクション }
パターン:アクションを実行するかどうかの条件を記述
この条件は対象テキストを1行読み込むごとに判定される。
※処理中に読み込んでいく1行の入力テキストをレコードと呼ぶ。
※パターンは省略可能。その場合、すべてのレコードに対してアクションが実行される。
アクション:テキストの抽出や置換、削除などの実際のテキスト編集処理を記述
パターンにマッチした場合にのみ、このアクションが実行される。
printとフィールド変数
awkコマンドでもっとも使用される処理は、特定のフィールドを抽出して表示するという列選択
レコードとフィールド
※https://wlab.page/blog/awkコマンド/ より画像引用
awkは各レコードを自動的にフィールドに分割し、それぞれのフィールドを$1
などのフィールド変数に代入する。レコード全体は$0
に代入される。
フィールド分割の際は、スペースもしくはタブが区切り文字とみなされる。
lsコマンドのように各フィールド間のスペース数がまちまちの表示を加工するのに便利
printする際、変数をカンマ付きで並べると、それぞれの値がスペース区切りで表示される。
※変数をスペースで並べると、表示結果にはスペースが入らないため注意。
組み込み変数 $NF
NF
:「Number of Fields」の略で、現在のレコード(行)に含まれるフィールド(列)の数を表す、代入されている組み込み変数。
$NF
:NF 変数の値を使って、その行の最後のフィールドの内容を参照するための特別な変数。$NFをprintするとレコードの最後のフィールドが表示される。
※awkではアクション内で演算が行えるため、$(NF-1)
「後ろから数えて2番目のフィールド」のように表示することもできる。
パターンの指定
awk コマンドで比較をする際に使用するチルダ ~
は、正規表現によるパターンマッチングを行なうための演算子。特定のパターンが含まれているかどうかを評価するために使われる。
変数 ~ /正規表現/
左側の 変数 の値が、右側の /正規表現/ で指定されたパターンにマッチする場合に真(true)を返す。
変数 !~ /正規表現/
チルダの前に ! を置くと、否定の意味になる。
左側の 変数 の値が、右側の /正規表現/ で指定されたパターンにマッチしない場合に真(true)を返す。