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【ネットワーク基礎】Ethernetについて

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はじめに

アプリケーションからデータが相手に届くまでを理解するために、これまで、さまざまな基礎知識をまとてきました。いよいよ全体の流れを理解できるまであと少しのところまできました。解説の途中で流れが変わったところもあり寄り道もだいぶありましたが、あと少しです。
今回は、Ethernetについて、ざっくりわかりやすく解説していきます。

Ethernetとは?

Ethernet(イーサネット)は、フレームの作成(L2)とフレームの信号への変換・伝送(L1)の両方を担当する規格です。OSI参照モデルでいうと データリンク層(Layer2)と物理層(Layer1) にまたがる通信方式で、ハードとソフト両方をまたぐ規格であり、データリンク層で使われるプロトコルとしての側面もあります。
つまり、「どのケーブルをどうつないで、どんな形式でどう通信するか」までセットでルールとして決まっています(Ethernetプロトコル)。

Ethernetは、家庭・オフィス・データセンターなどで広く使用されている有線ネットワークの標準規格で、コンピュータやネットワーク機器をケーブルで接続してデータ通信を可能にします。
Wi-FiルーターのLANポートにケーブルで接続することで、Ethernetに基づいたローカルネットワーク(LAN)が構成され、同じルーターに接続された機器同士が通信できるようになります。
Ethernetを使うことで、コンピュータやネットワーク機器をLANケーブル(ツイストペアケーブルなど)で直接接続し、安定したデータ通信が可能になります。

2つの役割

データリンク層: データのやり取りのルール

ネットワーク層(L3)から渡されたIPパケットに、ヘッダ(宛先MACアドレス・送信元MACアドレス・EtherType)とトレーラー(FCS(エラーチェック))を追加して、送受信単位である(Ethernet)フレームという形式でデータを包みます。

物理層の役割: 物理的なつなぎ方

この層では、データリンク層で作られたフレームを、実際に通信に使える物理的な信号(電気信号・光信号など)に変換して送信します。
「通信に使える物理的な信号」とは、ビット列(0と1)のことを指します。
つまり、フレームをビット列(0と1)に分解し、それを電気信号などに変換してケーブルに流します。
受信側の物理層では、受け取った電気信号を再びビット列に戻し、非カプセル化しながら上位のデータリンク層に渡していきます。
これにより、相手にデータが送られるようになります。

自分のアプリケーションから相手のアプリケーションへデータを送る際の流れは、その名称が以下のように変化しながら届けられます。

https://shinmeisha.co.jp/newsroom/2020/01/23/osi参照モデルとは/ より

データ → セグメント → パケット → フレーム → ビット列
→ 電気信号
→ ビット列 → フレーム → パケット → セグメント → データ

Ethernetフレームの構造


https://gear-hd.co.jp/company/domain/teq/ethernet-frame/ より画像引用

Ethernetで送受信されるデータは「フレーム」という単位で構成されており、基本的な構造は以下のようになっています。

① プリアンブル (Preamble): 6バイト
送信側と受信側で通信の同期を取るための信号パターン
10101010...のようなビット列で構成されており、受信機側に「今からフレーム送るよ」と伝える準備信号です。

② SFD (Start Frame Delimiter): 1バイト
フレームの開始を明示的に示す印です。
最後のビットパターンが10101011となっており、プリアンブルの後に必ず来る「フレームの本体はここから始まる」という合図です。

③ 宛先MACアドレス: 6バイト
フレームの受信対象となる機器のMACアドレスを指します。
つまり、「このデータはこの機器(NIC)宛ですよ」という情報。
イーサネットスイッチなどがこの情報を見て転送先を決定します。

④ 送信元MACアドレス: 6バイト
このフレームを送った側のMACアドレスを指します。
受信側が「誰から来たのか」を知るために利用され、返信時などにも利用されます。

⑤ タイプ / 長さ: 2バイト
上位層(L3)のプロトコルを識別する番号、またはデータ長を指します。
EtherType(0x0800 = IPv4、0x86DD = IPv6 など)として機能するときは、「何のプロトコルか」を示しています。
※IEEE 802.3では「この後のデータ部の長さ」を示す使い方もされています。

⑥ データ(Payload): 46~1500バイト
上位層(通常はIP)のデータはここに格納にしています。
IPパケットがここに入り、実際に通信したい内容が入る部分です。
最小サイズ(46バイト)に満たない場合はパディングを追加して長さを調整します。

⑦ FCS (Frame Check Sequence): 4バイト
フレームに誤りがないかをチェックするためのCRC(巡回冗長検査)コードです。
受信側でこの値を計算し直して、受信データと照合し、一致しない場合は「エラーがある」として破棄されます。

Ethernetのメリット

・信頼性が高い:無線に比べて接続が安定
・速度が速い:無線よりも高速な通信が可能
・セキュリティ:物理的に接続が必要なので、外部からの侵入が困難
・遅延が少ない:リアルタイム通信に適している
・相互運用性:ベンダーを問わず接続可能

まとめ

Ethernetは、聞き慣れない技術ですが、私たちが日々使っているインターネットや社内ネットワークを支える基本的で重要な技術です。
私たちが使用するデータは形を変えケーブルを伝って相手に届けられますが、その際にEthernetはとても重要な役割を果たしていることがわかったと思います。
フレームやMACアドレスといった基本的な概念から、実際の通信がどのように行われるかを理解することで、ネットワークがどんな仕組みで成り立っているのか、理解を深めていきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考・画像引用元URL

https://tech.pjin.jp/blog/2021/08/29/ccna_011/
https://ascii.jp/elem/000/000/427/427324/
https://e-nexty.dxp.nexty-ele.com/static/articles/column_ethernet_frame
https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20060927/249083/
https://gear-hd.co.jp/company/domain/teq/ethernet-frame/
https://shinmeisha.co.jp/newsroom/2020/01/23/osi参照モデルとは/

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