【基本】回線事業者とプロバイダー
はじめに
ここまで、インターネットにつながるまでのざっくりとした流れとデータが相手にどのように届けられるのか、TCP/IPに基づいてその一部を解説してきました。
TCP/IPにおけるIP層・ネットワークインターフェース層を見ていく前に、押さえておくべきポイントや基礎があるため、その点をしばらくまとめていきます。特に、データがどのような流れで届けられるのかを意識して理解することが重要です。
今回は、私たちが携帯電話の契約などをするとき、一度は目にしたことがあるであろう、回線事業者とプロバイダーについて見ていきます。インターネットに接続するためには、この2つの役割がとても重要になります。
回線事業者・プロバイダーとインターネット接続の関係

私たちが使用している環境から回線事業者の回線を使ってプロバイダーを経由することでインターネットにつながっています。
回線事業者とは?
「物理的な通信回線」の所有し、管理している事業者のことを指します。
光ファイバーや海底ケーブルなどのインフラを敷設・維持しており、自宅〜ISPまでの「光ファイバーという道路」を提供しています。
私たちが送受信するデータは、この回線事業者が建設した物理的な道路を通っているのです。
回線事業者として、例えば、NTT東日本/西日本(フレッツ光)やKDDI(auひかり)などが該当します。
回線事業者はISP(プロバイダー)に回線を貸し出しており、この回線を使用してISP(プロバイダー)はインターネット接続のためのサービスを提供しています。
Wi-fi契約をすると、自宅に業者の方がきて回線工事を行なうことがありますが、データの送受信がインターネット上で行えるようにするための物理的な道路を作っているのです。データは宙に浮いているようなイメージを持ちがちですが、物理的な回線の中を電気信号などとして通っているのです。
プロバイダーとは?
インターネットへの入り口を提供するサービス提供者のことを指します。
具体的には、回線事業者が整備した「物理的な道路(光ファイバーや銅線)」を利用するために、ユーザーに対して「インターネット接続の許可証」を発行する役割を果たします。
このプロバイダーが発行する通行許可証(IPアドレス割り当て)には、
・IPアドレス:インターネット上の住所
・認証情報:回線利用の正当性を確認。許可証のID/パスワードに相当する
・ルーティング設定:データが通る最適な経路を指示
が含まれています。
プロバイダー3つの大きな役割
① IPアドレスの発行
インターネット上の「住所」となるグローバルIPアドレスを割り当てをユーザーに行なっています。
※動的IP(接続ごとに変更)と固定IP(常に同じ)がありますが、この点は別記事でまとめていきますので、ここでは割愛します。
② 接続認証サービス
PPPoE/IPoEによる認証
PPPoE:ユーザー名/パスワードで接続(従来型)
IPoE:認証不要で高速接続(IPv6対応)
※PPPoE/IPoEによる認証についても、別記事にまとめていますので、割愛します。
③ インターネットへのゲートウェイ
家庭・企業のネットワークとインターネットバックボーンを接続します。
※バックボーン:基幹通信網のことで、コアインターネットとも呼ばれます。以下のイメージ図をご参照ください。
ここでは、インターネットと接続するための最適な通信経路を選択(ルーティング)しています。
※ネットワーク区間の名称の違い

接続までの流れ
以下、ChatGPT解説を引用
実際の処理の流れ(データの通り道)
(例)YouTubeのサーバーに接続されるまで
①PCが「ネットにつなぎたい!」という信号を出す
↓
②ルーターがその信号を受けて、LANの中で整理し、外に出す
↓
③モデム(またはONU)が、信号をインターネット用に変換
↓
④その信号が回線事業者(例:NTTフレッツ光)のネットワークを通る
↓
⑤さらにISP(例:OCN、So-net、BIGLOBEなど)を通ってIPアドレスを割り当てられ、ネットへ
↓
⑥最終的にインターネット上の目的のサーバー(YouTubeなど)に到達
まとめ
私たちがインターネットに接続するためには、回線事業者とプロバイダーと契約することで、回線事業者が作成した道路を使ってインターネットに接続し、データの送受信ができるようになります。
多くは、回線事業者とプロバイダーが分離していますが、最近では回線事業者とプロバイダーが一体化したサービスが増えてきています。携帯ショップに行くと、〜光やプロバイダーといった聞きなれない言葉が出てきますが、これはインターネットに接続するために必要な契約先であるのです。
回線だけ契約してもインターネットには接続できないので、注意したいところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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