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【ネットワーク基礎】トラフィックについてざっくりまとめ

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はじめに

開発や学習をしていると「トラフィック」や「トラフィックを捌く」などという言葉を耳にしたことがある方が多いでしょう。
トラフィックは、インターネットやアプリ、サーバーがどのように動いているのかを知る上で、とても大切なキーワードです。
本記事では、トラフィックとは何か、その仕組みや重要性について、初心者の方でも理解できるように解説していきます。

トラフィックとは


https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20060328/233609/ より

トラフィックとは、ネットワーク上で送受信されるデータの流れのことを指します。
ネットワークにおいては、ある地点における通信の「量」(パケット全体の量)を表しています。
たとえば、スマホで動画を見たり、パソコンでWebサイトを開いたりすると、そのたびにデータが送受信されます。この「送ったり受け取ったりしているデータ」がトラフィックです。

トラフィックには以下の2種類があります。
上りトラフィック(アップロード): クライアントからサーバに送られるデータ
下りトラフィック(ダウンロード): サーバからクライアントに送られるデータ
通常、ネットの利用では「下りトラフィック」が多くなります。

トラフィックが多いと起こること


https://www.tohknet.co.jp/service/telework/use/ より画像を切りとり引用

トラフィックが多くなるということは、ネットが混雑するということを意味します。
道路の交通渋滞と同じで、道路(ネットワーク帯域)を走る車(トラフィック)が多くなると渋滞が発生しやすくなります。その結果として、
・通信が遅くなる
・ページがなかなか開かない
・動画が止まる
といった現象が起こることがあります。

トラフィックが増えてネットワークが混雑すると、スループット(実際に送れるデータ量)が落ちることがあります。
つまり、「ネットにはつながってるけど遅い」という状態を意味します。
スループットを最大化するためには、トラフィックが集中する部分を効率的に処理できる仕組みが必要となります。

トラフィックが多くなる原因

・多くの人が同時にネットを使っている(混雑)
・重たいデータを扱っている(例:高画質動画、ゲームなど)
・不正アクセスや攻撃(DDoS攻撃など)

トラフィックを管理・監視する意味

企業やプロバイダでは、トラフィックを監視することによって、
・問題の早期発見(遅延やトラブル)
・セキュリティ対策(異常なトラフィックの検出)
・負荷分散(複数のルートに分けて混雑回避)
などが可能になります。

快適な通信環境を実現するため、PrometheusやDatadogのような監視ツールを使用し、トラフィックを監視しています。これにより、問題が発生する前に対処しているのです。

トラフィックに関連するログをしっかり管理しておくことも重要です。
これにより、トラフィックが増えた際にどのエンドポイントがボトルネックになっているかを特定できます。

負荷分散の重要性

トラフィックの集中を避ける

特定のサーバーやサービスにトラフィックが集中すると、そのサーバが処理しきれなくなり、レスポンス遅延やシステム障害を引き起こす可能性があります。これを防ぐために、負荷分散が不可欠です。
そのために、たとえば、ロードバランサーを使って、トラフィックを複数のサーバに分散します。
その他、Auto Scalingを利用して、トラフィックの増加に応じてサーバリソースを動的に調整することもあります。


https://www.ntt.com/bizon/glossary/j-r/load-balancer.html より画像引用

APIの設計とトラフィック

非同期処理とAPIの効率化

バックエンドではAPI経由でデータをやり取りすることが多いため、API設計がトラフィックの効率に大きな影響を与えます。

非同期通信
長時間かかる処理(例:画像処理や外部APIへのリクエスト)は非同期にして、APIのレスポンスをブロックしないようにすることで、トラフィックが集中しても応答性が向上します。

バッチ処理
定期的に大量のデータを処理する場合は、トラフィックが高くならないようにバッチ処理を検討することも有効です。

レート制限(Rate Limiting)
APIのレート制限は、過剰なリクエストを防ぐために重要です。APIが過負荷になると、全体のシステムのパフォーマンスが低下します。レート制限により、1秒あたりのリクエスト数を制限し、トラフィックの急増を防ぐことができます。

トラフィックの最適化と圧縮

データ圧縮

ネットワーク越しのデータ送信は、可能な限り圧縮することで転送速度を改善し、トラフィックを削減することができます。
代表的なものとして、Gzip圧縮があります。HTTPレスポンスに対してGzip圧縮を適用することで、データ量を大幅に削減することができます。

ページの最適化

Webアプリケーションのトラフィックを最適化するために、
・画像の圧縮: 大きな画像ファイルを圧縮して転送量を減らす
・遅延読み込み(Lazy Loading): 必要な部分だけを読み込んで、初期表示のトラフィックを減らす
といった方法を検討する必要があります。

その他、キャッシュを活用することもトラフィックの最適化のために有効です。

まとめ

トラフィックとはネット上のデータの流れを指していることを理解いただけたと思います。
トラフィックが多くなると通信が遅くなることがあるため、トラフィック管理を行なうことで、快適な通信やセキュリティを実現しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考・画像引用元URL

https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20060328/233609/
https://www.tohknet.co.jp/service/telework/use/
https://www.arteria-net.com/business/column/traffic_increase/
https://www.ntt.com/bizon/glossary/j-r/load-balancer.html
https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2004/14/news004.html
https://www.dsp.co.jp/tocreator/web/takumi-web/dds_webbrowser_part2
https://www.kagoya.jp/howto/it-glossary/network/loadvalancer/
https://cloud.sakura.ad.jp/column/load-balancer/

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