【ネットワーク基礎】サブネットマスクとCIDR
はじめに
ネットワークアドレスの設計や管理に欠かせないのが、「サブネットマスク」と「CIDR(クラスレスアドレス表記)」です。どちらもIPアドレスのネットワークとホストの区別を明確にするための仕組みですが、その使われ方や表記には違いがあります。
本記事では、サブネットマスクとCIDRの基本的な仕組みと役割を解説していきます。
サブネットとは
※https://www.cloudflare.com/ja-jp/learning/network-layer/what-is-a-subnet/ より
サブネット(Subnet)とは、「大きなネットワークを小さなネットワーク単位(区画)に分割したもの」を指します。つまり、ネットワークの中に存在する小さなネットワークのことです。
このようにネットワークを分割する「サブネット化」を行うことで、ルーターは宛先ネットワークをより素早く見つけられるようになり、効率的なルーティングが可能になります。また、ネットワークに接続されるデバイス数に合わせて適切な大きさのネットワークを構築することができます。
クラスフルアドレッシングでは、IPアドレスの範囲があらかじめクラス(A/B/Cなど)ごとに固定されているため、必要以上に大きなネットワークになってしまい、管理が煩雑になることがあります。
※https://ascii.jp/elem/000/000/562/562310/ より
たとえば、クラスAのネットワークでは、数百万台のデバイスを収容可能ですが、現実的にはそこまでの台数が不要な場合がほとんどです。このような過剰な規模のネットワークでは、パケットが目的のデバイスにたどり着くまで時間がかかることがあり、通信効率が低下する原因となります。
こうした問題を解消するために、サブネット化によってIPアドレス空間をより細かく制御し、必要最小限の範囲でデバイスを収容できるネットワークを構築することが重要です。
さらに、サブネット化によって、1つのネットワーク内に存在するデバイス数を制限することができるため、ルーターが「どのネットワークにパケットを送ればよいか」をより簡単に判断できるようになります。
これにより、トラフィックの軽減やネットワーク全体のパフォーマンス向上につながります。無駄なブロードキャスト(ネットワーク内の全端末への通知)も減少し、データの渋滞が起こりにくくなることで、安定した通信環境が実現されるのです。
サブネット化による注意点
サブネット化によってネットワークを小さな単位に分割することができますが、異なるサブネット間で通信を行なう場合には、ルーターが必要になります。
もともと同じネットワークに属していたデバイスが、サブネット化によって別々のネットワークに属することになると、ネットワーク間での通信を行なうためのルーターが追加で必要になるということです。
サブネット化されたネットワークは、それぞれ独立したネットワークとして扱われます。
異なるネットワーク間の通信は、単純なL2スイッチやハブでは処理できないため、IPパケットのルーティングができる機器=ルーターが必要になります。
ルーターは、宛先のIPアドレスと自分の持つルーティングテーブルを使って、どのネットワークにどうやって転送するかを判断します。
サブネットマスクとは
サブネットマスクとは、IPアドレスの中で「ネットワーク部」と「ホスト部」を区別するために使用されるビットマスクです。
IPアドレス単体では、どこまでがネットワークを示し、どこからがホスト(端末)を示すのかが分かりません。そこで、サブネットマスクをIPアドレスと組み合わせることで、「どの範囲が同一ネットワークか」を明確に区別することができます。
このため、IPアドレスとサブネットマスクは常にセットで使われるのが基本です。
また、サブネットマスクを変更することでネットワークの分割(サブネット化)も可能となります。
例えば、IPアドレスが 192.168.1.10、サブネットマスクが 255.255.255.0 の場合、上位24ビット(先頭の255.255.255)はネットワーク部、下位8ビット(最後の0)はホスト部を意味します。
※https://net-skills.net/intro-menu1/subnetmask/ より
サブネットマスクによって「どこまでがネットワーク部分か」が決まり、
その設定によってサブネットがどのように分割されるかが決まる、という関係です。
CIDR(Classless Inter-Domain Routing)とは
CIDR(Classless Inter-Domain Routing) は、IPアドレスとネットワーク部の長さをスラッシュ(/)で区切って表す表記方法です。
サブネットマスクの役割をビット長で簡潔に記述でき、クラス(A, B, Cなど)に依存しないため「クラスレスアドレス」とも呼ばれます。
CIDRの記法
※https://note.com/good_canna6647/n/n58609da45c44 より
この「/24」は、IPアドレスの最初の24ビットがネットワーク部であることを示します。
※表記については別記事でまとめていきます。
サブネットマスクでは 255.255.255.0 のようにIPアドレスの各ビットを 10進数で表記しますが、CIDR表記では /24 のように「ネットワーク部のビット数」を簡潔に記述できます。
ネットワーク部のビット数だけを明示するので、読みやすく、誤解が少ないのが利点です。
このように CIDR表記はシンプルで誤解を生みにくいため、現在ではネットワーク設計やルーティング設定で一般的に使用されています。
まとめ
サブネットマスクとCIDRは、IPアドレスの管理とネットワーク分割の基礎となる概念です。これらを正しく理解することで、ネットワーク設計につながりますので、理解を深めていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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