【ネットワーク基礎】L3スイッチの基本と役割
はじめに
VLANについて学んだ際に、L3スイッチが重要な役割を果たすことがわかりました。しかし、そもそもL3スイッチとは何で、どんな役割があるのでしょうか?
本記事では、L3スイッチの基本概念動作についてわかりやすくまとめていきます。
L3スイッチとは
L3スイッチとは、OSI参照モデルの第3層(ネットワーク層)で動作するスイッチのことです。
第3層では送られてきたパケットの送信先を、IPアドレスを用いて判断し、通信が行われます。
通常のスイッチ(L2スイッチ)はMACアドレスを見てフレームを転送しますが、L3スイッチはIPアドレスを見てパケットの転送(ルーティング)を行なうことができます。
つまり、異なるネットワーク同士の通信を中継するということです。
L3スイッチはスイッチングとルーティングの両方を行なうことができるため、L2スイッチよりも多用途です。
L3スイッチの主な役割: VLAN間の通信(ルーティング)
※https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01292/042800002/ より
L3スイッチは、複数のVLAN間でIPレベルの通信を可能にします。
たとえば、以下のような構成があるとします。
VLAN10:管理者ネットワーク(192.168.10.0/24)
VLAN20:開発者ネットワーク(192.168.20.0/24)
この2つのネットワークはL2スイッチだけでは通信できません。
L3スイッチがルーターのような役割を果たし、異なるサブネット間の通信を中継することによって通信できるようになります。
VLAN間通信のためのL3スイッチの動作例
https://image.itmedia.co.jp/l/im/mn/articles/1605/30/l_km_network4_6_2.jpg より
上記のイメージのような構成を考えてみましょう。
PC-A(192.168.10.10)── VLAN11 ──┐
│
L3スイッチ(SVI)
│
PC-D(192.168.20.20)── VLAN22 ──┘
このときの通信の流れは以下のようになります
① PC-AがPC-Dに通信したい(IP: 192.168.20.20)
② PC-Aは自分と異なるサブネットと判断し、デフォルトゲートウェイ(192.168.10.1)に送信
③ L3スイッチがIPルーティングテーブルをもとにパケットを中継し、VLAN22へ送信
④ PC-Bがパケットを受信し、応答を返す(同様にL3スイッチを経由)
これがL3スイッチによるVLAN間ルーティングの基本的な動作です。
※PC-Bは、VLANが異なるため通信ができません。
まとめ
L3スイッチは、IPアドレスをもとにルーティングを行える機能を備えたスイッチです。特に異なるVLAN間の通信を可能にする点が大きな特徴で、ネットワークを論理的に分割しつつ、それぞれを連携させる役割を担います。
また、通常のルーターと比べてパケット転送を高速に処理できるため、企業内ネットワークなどトラフィックが多い環境で広く利用されています。さらに、インターフェースVLANを使って各VLANごとにIPゲートウェイ(デフォルトゲートウェイ)を設定できるため、ネットワークの設計や管理が柔軟かつ効率的になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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