【ネットワーク基礎】IPv6の基本と構造
はじめに
現在、私たちが普段利用しているインターネットの多くはIPv4という通信プロトコルをベースにしています。しかし、IPv4ではIPアドレスの枯渇が深刻な問題となっており、それを解決するために登場したのがIPv6(Internet Protocol version 6)です。
本記事では、IPv6の基本的な概要と構造についてできるだけわかりやすく解説していきます。
IPv6とは
IPv6は、次世代のインターネットプロトコルであり、IPv4の後継として1998年にIETF(Internet Engineering Task Force)という国際機関によって標準化されました。
IPv6は、IPv4の後継として設計された新しいインターネットのルールで、最大の特徴は使えるIPアドレスの数が圧倒的に多いことです。IPv4の43億個に対し、IPv6では340澗(3.4×10^38)個という、ほぼ無限とも言える数のアドレスが使えるようになりました。
このIPv6の登場によって、インターネットに接続できる機器の数にはもはや制限がないと言っても過言ではありません。
IPv6アドレスの表記方法
IPv6アドレスは、128ビットを16ビットずつ8つのブロックに分け、コロン(:)区切りで表記します。
※https://ja.wikipedia.org/wiki/IPv6アドレス より
※短縮表記ルール:先頭のゼロは省略可
(例)0042 → 42、0000 → 表記なし
※連続するゼロのブロックは「::」で一度だけ省略可
(例)
2001:0db8:0000:0000:0000:ff00:0042:8329
→ 2001:db8::ff00:42:8329
IPv6のアドレス構造
※https://www.rapidseedbox.com/ja/blog/what-is-ipv6 より
(1) ユニキャストアドレス(1対1の通信)
IPv6アドレスの中で最も一般的なタイプで、1台の端末を一意に識別するアドレス。
特定のデバイス間の直接通信を可能にします。
また、ユニキャストアドレスには以下の2種類があります。
① グローバルユニキャストアドレス
インターネット上で一意で、インターネット上で利用可能なアドレスのこと(例:2000::/3)
② リンクローカルアドレス
ローカルネットワーク内でのみ機能する、同一リンク内でのみ通信可能なアドレス(例:fe80::/10)
(2) マルチキャストアドレス(1対多の通信)
複数のノードに同時にデータを送信(例:ff00::/8)
(3) エニーキャストアドレス(1対最も近い1通信)
同一アドレスを持つ複数のノードのうち、最も近いものにのみ通信するアドレス。明確なアドレス帯はなく、ユニキャストと共有します。
IPv6ヘッダの構造
※https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/1201/05/news113.html より
主なフィールド
フィールド | ビット数 | 内容 |
---|---|---|
Version | 4ビット | バージョン番号(IPv6では常に6) |
Traffic Class | 8ビット | QoSなどの優先制御 |
Flow Label | 20ビット | フロー識別子 |
Payload Length | 16ビット | ペイロード(データ部分)の長さ |
Next Header | 8ビット | 次に続くヘッダ(TCP, UDPなど) |
Hop Limit | 8ビット | 最大中継数(IPv4のTTLに相当) |
Source Address | 128ビット | 送信元IPアドレス |
Destination Address | 128ビット | 宛先IPアドレス |
IPv6では拡張ヘッダという仕組みで必要な情報だけを追加できます。これにより、ルータでの処理が高速になります。
まとめ
現在の主流はIPv4ですが、IoTの世界ではすべてのものがインターネットに接続するため、それだけ多くのIPアドレスが必要になります。IPv6は、インターネットの未来を支えるプロトコルで、アドレスの大幅な拡張、シンプルなヘッダ構造など、多くの利点を持っており、IPv4を補完します。今後ますます利用する機会が増えていきそうなので、基礎を理解しておきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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