【ネットワーク基礎】IPパケットを理解する
はじめに
現代のインターネット通信は、膨大な量のデータが世界中を行き交っています。
このデータの最小単位となるのが「IPパケット」です。
IPパケットは、宛先や送り主、データ本体といった情報を一つにまとめ、インターネット上を効率的に運ぶ役割を担っています。
本記事では、IPパケットとは何か、その基本構造、実際の通信における役割についてわかりやすく解説します。
IPパケットとは?

※https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00780/052700001/ より
IPパケット(Internet Protocol Packet) は、インターネット上でデータを送るときに「小分けにされたデータの単位」です。このパケットには、
・宛先IP(宛先の住所)
・送信元IP(差出人)
・データ(荷物の中身) などが詰め込まれていて、インターネットを通って相手に届きます。
IPパケットは送り先に荷物を届けるための「段ボール箱」のようなものとイメージすることができます。
IPパケットの構造

※https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01606/032400002/ より
IPパケットは、大きく2つの部分で構成されています。
順番に解説していきます。
① IPヘッダー(Header)

※https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00780/052700001/ より
ヘッダーは送受信に必要な管理情報を含む部分で、宛先やルーティング、通信制御に使われます。
IPv4 のヘッダー構造
IPv4ヘッダーは、送信元から宛先にデータを正しく届けるための制御情報を含む部分です。全体で20バイト(オプションを除く)の固定長となっており、以下のようなフィールドで構成されています。
※以下、ChatGPTの解説より引用
| フィールド名 | サイズ | 説明 |
|---|---|---|
| Version(バージョン) | 4ビット | 使用するIPのバージョン(IPv4なら4) |
| IHL(Header Length) | 4ビット | ヘッダーの長さ(単位は4バイト) |
| Type of Service(ToS) | 8ビット | パケットの優先度や遅延・信頼性の要求を指定 |
| Total Length | 16ビット | ヘッダー+データの合計長(バイト単位) |
| Identification | 16ビット | パケットの識別子。フラグメント再構築に使用 |
| Flags | 3ビット | フラグメント(断片化)の制御 |
| Fragment Offset | 13ビット | フラグメントの順序を示す |
| Time to Live(TTL) | 8ビット | パケットが生きられるルーター数(寿命) 無限ループ防止のため、ルーターを1つ通るごとに減少。0になると破棄される。 |
| Protocol | 8ビット | 上位のプロトコル(例: TCPは6、UDPは17) |
| Header Checksum | 16ビット | ヘッダー部分のエラーチェック用 ヘッダー内容が壊れていないか確認 |
| Source IP Address | 32ビット | 送信元IPアドレス |
| Destination IP Address | 32ビット | 宛先IPアドレス |
| Options(省略可) | 可変長 | 拡張用フィールド(使用されないことが多い) |
② データ(ペイロード)
ヘッダーの後ろに続くのが実際の中身のデータです。
上位のプロトコル(TCP, UDP, ICMPなど)が載っており、たとえば
・Webアクセス → TCPヘッダー+HTTPリクエストなど
・メール → TCP+SMTP
・動画ストリーミング → UDP+映像データ
といったデータが含まれています。
TCP/UDPはIPパケットの中身(ペイロード)として扱われるのです。
パケットで送る理由
① 効率的に送るため
大きなデータをそのまま送ると、途中で失敗したときに全部やり直しになってしまいます。そのため、大きなデータを分割して小さなパケットにして送ることで、再送時の無駄を減らすことができます。
② 回線によって最大サイズ(MTU)が違うため
回線により一度に流せるパケットサイズ(MTU)が違うため、それに合わせて分割されます。
③ 経路の最適化
IPパケットごとに、リアルタイムでネットワークの混雑状況や障害に応じて異なるルートで送ることができる(個別にルーティングされる)ため、より効率的で柔軟な通信が可能になります。
パケットに宛先IPアドレスがあるからこそ、ルーターがそのパケットをどこに届ければよいかを判断できます。
まとめ
IPパケットは、「どこからどこへ、何を、どうやって運ぶか」という通信の基本を担っています。
ヘッダーとペイロードというシンプルな構造ですが、宛先にデータを届けるための「住所情報」をもっており、これにより正確かつ効率的なデータの配送を支えています。
その点が理解できれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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