🔹 非同期（async/await）だと、なぜ大量の処理が可能なのか？

この前、生徒さんに聞かれたので、少しまとめてみたいと思います

非同期処理（async/await）を使うと、「待ち時間」 を有効活用できるため、大量のリクエストを効率よく処理できます。
特に FastAPI は非同期処理に対応しているため、大量のリクエストを並列に処理する API を作るのに適しています。

では、具体的に 「非同期だと何が違うのか？」 を、以下の流れで解説します。

---

🔹 1. 同期処理（従来の処理）の問題点

まず、従来の 同期処理（同期I/O） では、1つの処理が終わるまで次の処理が実行されません。

📌 同期処理の流れ

例えば、以下のような データベースからユーザー情報を取得するAPI を考えます。

import time

def get_user():
    print("ユーザー情報を取得開始...")
    time.sleep(3)  # データベースからデータを取得（3秒待機）
    print("ユーザー情報を取得完了！")

print("処理開始")
get_user()
print("次の処理を開始")

📌 実行結果

処理開始
ユーザー情報を取得開始...
（3秒待機）
ユーザー情報を取得完了！
次の処理を開始

✅ 問題点

• get_user() の処理が終わるまで 「他の処理が実行されない」
• 1つのリクエストを処理するのに CPUが何もしていない時間（I/O待ち）が発生
• リクエスト数が増えると、サーバーが処理しきれなくなる

---

🔹 2. 非同期処理（async/await）の仕組み

一方、非同期処理（非同期I/O） では、「待ち時間」を有効活用 できます。
1つの処理がデータベースのレスポンスを待っている間に、他の処理を進める ことができます。

📌 非同期処理の流れ

import asyncio

async def get_user():
    print("ユーザー情報を取得開始...")
    await asyncio.sleep(3)  # 3秒待機（非同期処理）
    print("ユーザー情報を取得完了！")

async def main():
    print("処理開始")
    await get_user()
    print("次の処理を開始")

asyncio.run(main())

📌 実行結果

処理開始
ユーザー情報を取得開始...
（3秒待機）
ユーザー情報を取得完了！
次の処理を開始

✅ ポイント

• await を使うことで、処理が「待機状態」の間に他の処理が実行できる
• CPUが 「待機時間」に他の処理を並行実行できる ため、高速化
• 大量のリクエストをさばけるようになる！

---

🔹 3. 非同期だと大量のリクエストを処理できる理由

実際に、API サーバー を例にして 同期 vs 非同期 を比較してみましょう。

📌 【同期API】リクエストが増えると詰まる

from flask import Flask
import time

app = Flask(__name__)

@app.route("/sync")
def sync_api():
    time.sleep(3)  # 3秒かかる処理
    return "完了"

app.run()

🚀 10リクエスト発生すると…

• 1リクエストごとに 3秒かかる
• 10リクエスト処理するのに 30秒
• リクエストが詰まり、レスポンスが遅くなる

---

📌 【非同期API】リクエストを並列に処理

from fastapi import FastAPI
import asyncio

app = FastAPI()

@app.get("/async")
async def async_api():
    await asyncio.sleep(3)  # 3秒かかる処理（非同期）
    return "完了"

import uvicorn
uvicorn.run(app)

🚀 10リクエスト発生すると…

• await により、待ち時間に他のリクエストを処理できる
• 10リクエスト処理しても、約3秒で完了！
• スケーラブルなAPIになる

---

🔹 4. 【図解】非同期の仕組み

同期処理（Flaskなど）

[リクエスト 1] ---- (処理 3秒) ----→ [完了]
[リクエスト 2] ---- (処理 3秒) ----→ [完了]
[リクエスト 3] ---- (処理 3秒) ----→ [完了]

➡ 10リクエスト処理するのに 30秒かかる

---

非同期処理（FastAPI）

[リクエスト 1] --->
[リクエスト 2] --->
[リクエスト 3] --->
（すべて同時に処理）
（3秒経過）
[リクエスト 1 完了]
[リクエスト 2 完了]
[リクエスト 3 完了]

➡ 10リクエスト処理しても 3秒で完了！

---

🔹 5. 非同期処理が有効なケース

非同期処理が特に有効なのは、以下のような 「I/O待ちが発生する処理」 です。

✅ データベースからデータを取得するAPI（asyncpg を使うと高速）
✅ 外部APIを呼び出す処理（httpx で非同期HTTPリクエスト）
✅ ファイルのアップロード/ダウンロード処理
✅ 機械学習APIの推論処理（複数のリクエストを同時処理）

---

🔹 6. まとめ

処理	同期（Flaskなど）	非同期（FastAPI）
リクエストの処理方法	1つずつ処理（直列）	並列に処理
待機中のCPU利用	何もせず待機	他のリクエストを処理
リクエスト数が増えたとき	遅くなる（リクエストが詰まる）	速い（並列処理が可能）
適した用途	小規模なAPI、同期的な処理	高負荷API、非同期処理

🔥 「大量のリクエストを処理したい」「I/O待ち時間を有効活用したい」なら、FastAPI の async/await を活用しよう！ 🚀