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データベースの種類と特徴をまとめてみた(中野哲平より)
データベースはアプリケーション開発において重要な役割を果たします。特に、生成AIや大規模言語モデルを活用するリーガルテックプロダクトにおいて、適切なデータベースを選定することはシステムの性能と拡張性に大きく影響を与えます。本記事では、代表的なデータベースの種類と、それぞれの特徴、メリット、デメリット、ユースケースについて整理し、最後に比較表を掲載します。
1. リレーショナルデータベース(RDBMS)
PostgreSQL
特徴: オープンソースのリレーショナルデータベースで、拡張性が高く、SQL準拠。
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メリット
- ACID準拠でトランザクション処理が強力
- JSONB型のサポートによりNoSQL的な運用も可能
- 拡張性が高く、カスタマイズ可能
- 外部キー制約やインデックスの豊富なサポート
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デメリット
- 高速なスケーリングには工夫が必要(スケールアウトが困難)
- 書き込み負荷が高いと性能が低下することがある
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ユースケース
- Webアプリケーションのバックエンド
- データの整合性が重要な金融・医療システム
- JSONBを活用したハイブリッドデータストレージ
MySQL
特徴: 世界で最も広く利用されているリレーショナルデータベース。
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メリット
- 高速な読み取り性能
- レプリケーション機能が充実
- オープンソースで広く普及
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デメリット
- 高度な分析・クエリの最適化が難しい
- PostgreSQLと比べて機能が少ない
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ユースケース
- 高トラフィックのWebサービス
- CMS(WordPressなど)
2. NoSQLデータベース
DynamoDB(AWS)
特徴: フルマネージドなNoSQLデータベースで、スケーラビリティが高い。
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メリット
- サーバーレスで管理不要
- 高可用性と自動スケーリング
- 低レイテンシで高速なデータアクセス
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デメリット
- クエリの柔軟性が低い(SQLライクな操作が難しい)
- RDBMSのようなトランザクション処理が苦手
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ユースケース
- IoTデバイスのデータ収集
- 大規模ユーザーデータの管理(SNS、ECサイト)
MongoDB
特徴: JSONライクなドキュメント型データベース。
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メリット
- 柔軟なスキーマ設計が可能
- 分散型のアーキテクチャでスケーラブル
- 開発が容易(JSONをそのまま保存可能)
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デメリット
- トランザクション処理が弱い(改善されつつある)
- メモリ消費量が大きい
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ユースケース
- ログデータの管理
- スキーマが頻繁に変わるアプリケーション
3. インメモリデータベース
Redis
特徴: 高速なキー・バリューストア型データベース。
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メリット
- 圧倒的な読み書き速度
- シンプルなデータ構造
- キャッシュ用途として最適
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デメリット
- データ永続化が課題
- メモリを多く消費する
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ユースケース
- キャッシュ(セッション管理、ランキングシステム)
- メッセージキュー
Memcached
特徴: 分散キャッシュシステム。
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メリット
- シンプルで高速
- 大規模なキャッシュ用途に最適
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デメリット
- 永続化機能がない
- データの複雑な操作が難しい
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ユースケース
- Webアプリのキャッシュ
- APIレスポンスの高速化
データベースの比較表
データベース | タイプ | メリット | デメリット | ユースケース |
---|---|---|---|---|
PostgreSQL | RDBMS | 高い整合性・拡張性 | スケールアウトが難しい | 金融・医療・Webアプリ |
MySQL | RDBMS | 高速な読み取り | 高度な分析が苦手 | 高トラフィックWebサイト |
DynamoDB | NoSQL | 自動スケール・低レイテンシ | SQLの柔軟性が低い | IoT・大規模ユーザーデータ |
MongoDB | NoSQL | 柔軟なスキーマ | メモリ消費が大きい | ログ・ドキュメント管理 |
Redis | インメモリ | 高速アクセス | メモリ消費が大きい | キャッシュ・メッセージキュー |
Memcached | インメモリ | シンプル・軽量 | 永続化なし | Webキャッシュ |
まとめ
データベースの選定はプロジェクトの要件によって異なります。例えば、
- データの整合性が求められる場合 → PostgreSQL / MySQL
- スケーラビリティが重要な場合 → DynamoDB / MongoDB
- 低レイテンシなデータ処理が必要な場合 → Redis / Memcached
このように、それぞれの特徴を理解し、適切なデータベースを選択することが重要です。
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