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各データベースの落とし穴・よくハマる罠

2025/02/28に公開

データベースを選定・運用する際には、それぞれの特性に応じた落とし穴や罠が存在します。本記事では、代表的なインメモリデータベース(Redis)およびNoSQLデータベース(MongoDB, DynamoDB)の落とし穴を解説します。

1. Redis(インメモリデータベース)の落とし穴

(1) メモリ管理の問題

  • Redisはすべてのデータをメモリ上に保持するため、大量のデータを格納するとメモリ不足になり、OSによる強制終了のリスクがある。
  • メモリが圧迫された際に、古いデータが意図せず削除される(Eviction Policyの誤設定)。

(2) データ永続性の問題

  • Redisはデフォルトで永続化を保証しない(AOF, RDBを明示的に設定する必要がある)。
  • RDBスナップショット方式では障害発生時にデータ損失の可能性がある。

(3) クラスタリングの落とし穴

  • クラスタ構成時にキーの適切な分散設計をしないと、スロットの偏りが発生しパフォーマンスが低下。
  • マスター・スレーブ間のレプリケーション遅延が発生し、データの一貫性が失われる可能性がある。

(4) コネクション管理

  • コネクションプールを適切に設定しないと、接続数が増加しパフォーマンスに悪影響。
  • 過度なパイプライニングの利用で遅延が増加。

2. MongoDB(ドキュメント型NoSQL)の落とし穴

(1) スキーマレスの罠

  • スキーマレスの柔軟性が逆に仇となり、データの一貫性が崩れる。
  • アプリケーションの異なるバージョン間でデータフォーマットが不一致になり、想定外のバグを生む。

(2) インデックスの誤用

  • インデックスを適切に設定しないと、クエリが遅くなりスキャンが増加。
  • インデックスの増加が逆に書き込みパフォーマンスを低下させる(Too many indexes問題)。

(3) レプリカセットの問題

  • プライマリのフェイルオーバー時に、一時的に書き込みができなくなる。
  • レプリカ遅延により、セカンダリから取得するデータが古くなる可能性がある。

(4) 大量データ削除の問題

  • deleteMany() を一度に実行するとパフォーマンスが大幅に低下し、ストレージのフラグメント化が発生。
  • TTLインデックスを適切に設定しないと、不要データのクリーンアップが発生せずストレージを圧迫。

3. DynamoDB(AWS NoSQL)の落とし穴

(1) 課金モデルの罠

  • 読み込み/書き込み容量の設定を誤ると、予想以上のコストが発生。
  • オンデマンドモードでは急激な負荷に対応できないことがある。

(2) パーティションキー設計のミス

  • パーティションキーの分散が悪いとホットパーティションが発生し、スループットが極端に低下。
  • 一部のキーにリクエストが集中すると、スロットリング(Throttling)が発生。

(3) クエリ制限の罠

  • DynamoDBはRDBMSのような柔軟なクエリができず、フィルタリングが後処理になるため、大量データ取得時にパフォーマンスが悪化。
  • Scan() の利用は避け、適切に Query() を活用する必要がある。

(4) トランザクションの制約

  • DynamoDBのトランザクションは制約があり、ACID特性が限定的。
  • 1つのトランザクションで扱える項目数が25までという制約。

(5) データの変更履歴管理の問題

  • DynamoDBにはデフォルトでデータの変更履歴を保持する機能がない。
  • バージョニングを実装する場合、手動で管理する必要がある。

まとめ

データベースを利用する際には、それぞれの特性に応じた落とし穴が存在します。

データベース 落とし穴・罠
Redis メモリ管理の問題、データ永続性、クラスタ構成の罠
MongoDB スキーマレスの問題、インデックス最適化不足、レプリカ遅延
DynamoDB 課金モデルの誤解、パーティションキーの偏り、クエリ制約

システム構築の際には、これらのポイントを事前に考慮し、適切な設計と運用を行うことが重要です。

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