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各データベースの落とし穴・よくハマる罠
データベースを選定・運用する際には、それぞれの特性に応じた落とし穴や罠が存在します。本記事では、代表的なインメモリデータベース(Redis)およびNoSQLデータベース(MongoDB, DynamoDB)の落とし穴を解説します。
1. Redis(インメモリデータベース)の落とし穴
(1) メモリ管理の問題
- Redisはすべてのデータをメモリ上に保持するため、大量のデータを格納するとメモリ不足になり、OSによる強制終了のリスクがある。
- メモリが圧迫された際に、古いデータが意図せず削除される(Eviction Policyの誤設定)。
(2) データ永続性の問題
- Redisはデフォルトで永続化を保証しない(AOF, RDBを明示的に設定する必要がある)。
- RDBスナップショット方式では障害発生時にデータ損失の可能性がある。
(3) クラスタリングの落とし穴
- クラスタ構成時にキーの適切な分散設計をしないと、スロットの偏りが発生しパフォーマンスが低下。
- マスター・スレーブ間のレプリケーション遅延が発生し、データの一貫性が失われる可能性がある。
(4) コネクション管理
- コネクションプールを適切に設定しないと、接続数が増加しパフォーマンスに悪影響。
- 過度なパイプライニングの利用で遅延が増加。
2. MongoDB(ドキュメント型NoSQL)の落とし穴
(1) スキーマレスの罠
- スキーマレスの柔軟性が逆に仇となり、データの一貫性が崩れる。
- アプリケーションの異なるバージョン間でデータフォーマットが不一致になり、想定外のバグを生む。
(2) インデックスの誤用
- インデックスを適切に設定しないと、クエリが遅くなりスキャンが増加。
- インデックスの増加が逆に書き込みパフォーマンスを低下させる(Too many indexes問題)。
(3) レプリカセットの問題
- プライマリのフェイルオーバー時に、一時的に書き込みができなくなる。
- レプリカ遅延により、セカンダリから取得するデータが古くなる可能性がある。
(4) 大量データ削除の問題
-
deleteMany()
を一度に実行するとパフォーマンスが大幅に低下し、ストレージのフラグメント化が発生。 - TTLインデックスを適切に設定しないと、不要データのクリーンアップが発生せずストレージを圧迫。
3. DynamoDB(AWS NoSQL)の落とし穴
(1) 課金モデルの罠
- 読み込み/書き込み容量の設定を誤ると、予想以上のコストが発生。
- オンデマンドモードでは急激な負荷に対応できないことがある。
(2) パーティションキー設計のミス
- パーティションキーの分散が悪いとホットパーティションが発生し、スループットが極端に低下。
- 一部のキーにリクエストが集中すると、スロットリング(Throttling)が発生。
(3) クエリ制限の罠
- DynamoDBはRDBMSのような柔軟なクエリができず、フィルタリングが後処理になるため、大量データ取得時にパフォーマンスが悪化。
-
Scan()
の利用は避け、適切にQuery()
を活用する必要がある。
(4) トランザクションの制約
- DynamoDBのトランザクションは制約があり、ACID特性が限定的。
- 1つのトランザクションで扱える項目数が25までという制約。
(5) データの変更履歴管理の問題
- DynamoDBにはデフォルトでデータの変更履歴を保持する機能がない。
- バージョニングを実装する場合、手動で管理する必要がある。
まとめ
データベースを利用する際には、それぞれの特性に応じた落とし穴が存在します。
データベース | 落とし穴・罠 |
---|---|
Redis | メモリ管理の問題、データ永続性、クラスタ構成の罠 |
MongoDB | スキーマレスの問題、インデックス最適化不足、レプリカ遅延 |
DynamoDB | 課金モデルの誤解、パーティションキーの偏り、クエリ制約 |
システム構築の際には、これらのポイントを事前に考慮し、適切な設計と運用を行うことが重要です。
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