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画像特徴量抽出モデルの比較:ResNetの進化と他のモデルとの違い

2025/02/27に公開

🟢 はじめに

画像の特徴量を抽出する際に、最もよく使われるのが**CNN(畳み込みニューラルネットワーク)**です。その中でも ResNet(Residual Networks) は、さまざまなバージョンがあり、用途に応じて選択されます。

また、ResNet以外にも、EfficientNet・VGG・Inception・MobileNet など、画像の特徴量を抽出するための強力なモデルが存在します。

今回は、ResNetの各バージョンの違いを徹底比較し、他の画像特徴量抽出モデルとの違いを詳しく解説します。


📌 1. ResNetとは?

🔹 残差学習(Residual Learning)とは?

ResNet(Residual Network)は、**「層を深くしても学習が進む」**という特徴を持つニューラルネットワークです。

従来のCNN(VGGなど)では、層を深くすると勾配消失が発生し、学習が進みにくくなる という課題がありました。
ResNetは、この問題を解決するために**スキップ接続(Skip Connection)**を導入しました。

🔍 スキップ接続とは?

  • 通常の畳み込み層(Conv)では、出力 = 活性化関数(畳み込み(入力)) となる。
  • ResNetでは、「入力 + 出力」 を足し合わせることで、勾配の伝播をスムーズにする。
  • これにより、層が深くなっても情報が失われにくくなる

📌 2. ResNetの種類と違い(18~152)

ResNetには ResNet18, ResNet34, ResNet50, ResNet101, ResNet152 という複数のバージョンが存在します。
それぞれの違いは、ネットワークの深さ(層数) にあります。

🔹 ResNetの各バージョンの比較

モデル 畳み込み層の数 パラメータ数 出力次元 (GAP後)
ResNet18 18層 11.7M 512
ResNet34 34層 21.8M 512
ResNet50 50層 25.6M 2048
ResNet101 101層 44.5M 2048
ResNet152 152層 60.2M 2048

🔹 モデルごとの特徴

  • ResNet18 / ResNet34
    • 軽量で処理が速い
    • エッジデバイス(スマホ、IoT)やリアルタイム処理向け
    • 特徴量の次元数は 512
  • ResNet50
    • バランスが良い
    • ほとんどの画像分類・特徴抽出タスクで使用
    • 特徴量の次元数は 2048
  • ResNet101 / ResNet152
    • 精度が高いが計算コストが高い
    • 大規模な画像データセット向け(医療画像解析、AIアート)
    • 特徴量の次元数は 2048

📌 3. ResNet以外の画像特徴量抽出モデル

ResNetの他にも、画像の特徴量抽出に優れたモデルが存在します。
以下に、それぞれの特徴を詳しく説明します。

🔹 EfficientNet(最新の高効率モデル)

ポイント

  • 「小さいのに強い」 → 少ないパラメータで高精度を実現
  • MobileNetのように軽量、ResNetのように高精度
  • EfficientNet-B0 ~ B7 の7つのバージョンがある

活用シーン

  • スマホ・組み込み機器(エッジAI)
  • 高精度なリアルタイム画像認識

出力次元

EfficientNet パラメータ数 出力次元
B0 5.3M 1280
B3 12M 1536
B7 66M 2560

🔹 VGG(シンプルだけど計算量が多い)

ポイント

  • 「ResNetの前身」 → 直感的なアーキテクチャ
  • 非常にシンプルな設計(3×3畳み込みを繰り返す)
  • パラメータ数が非常に多く、計算コストが高い

活用シーン

  • 計算コストを気にしないオフライン処理
  • 事前学習済みモデルを使う画像分類

出力次元

モデル パラメータ数 出力次元
VGG16 138M 4096
VGG19 144M 4096

💡 VGGはResNetと比較して精度が劣るため、特徴抽出にはあまり使われない。


🔹 Inception(Google開発の多スケールモデル)

ポイント

  • 「1つの畳み込みカーネルサイズに依存しない」
  • 複数の異なるカーネルサイズ(1×1, 3×3, 5×5)を同時に適用
  • 特徴の多様性を維持

活用シーン

  • 多様な物体が混在する画像認識
  • 画像分類(Googleの画像検索エンジン)

出力次元

モデル パラメータ数 出力次元
InceptionV3 23M 2048
InceptionV4 43M 2048

📌 4. どのモデルを選ぶべきか?

用途 最適なモデル
軽量 & 高速 ResNet18, EfficientNet-B0, MobileNet
バランス ResNet50, InceptionV3
高精度 ResNet101, ResNet152, EfficientNet-B7
多スケール特徴抽出 InceptionV3, InceptionV4
オフライン計算(計算コスト無視) VGG16, VGG19

📌 5. まとめ

  • ResNetはスキップ接続を導入し、深層学習の勾配消失を解決した
  • ResNetのバージョン(18〜152)は、層数・パラメータ数・出力次元が異なる
  • EfficientNetは最新の高効率モデル
  • VGGはシンプルだが計算コストが高く、あまり特徴抽出には向かない
  • Inceptionは異なるカーネルサイズを同時に適用し、多スケール特徴を抽出可能

✅ 結論
「計算コストが許すなら ResNet50 or EfficientNet-B3 を選べばOK!」
この2つはバランスがよく、ほとんどの画像特徴抽出タスクで最適です! 🚀

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