画像特徴量抽出モデルの比較:ResNetの進化と他のモデルとの違い
🟢 はじめに
画像の特徴量を抽出する際に、最もよく使われるのが**CNN(畳み込みニューラルネットワーク)**です。その中でも ResNet(Residual Networks) は、さまざまなバージョンがあり、用途に応じて選択されます。
また、ResNet以外にも、EfficientNet・VGG・Inception・MobileNet など、画像の特徴量を抽出するための強力なモデルが存在します。
今回は、ResNetの各バージョンの違いを徹底比較し、他の画像特徴量抽出モデルとの違いを詳しく解説します。
📌 1. ResNetとは?
🔹 残差学習(Residual Learning)とは?
ResNet(Residual Network)は、**「層を深くしても学習が進む」**という特徴を持つニューラルネットワークです。
従来のCNN(VGGなど)では、層を深くすると勾配消失が発生し、学習が進みにくくなる という課題がありました。
ResNetは、この問題を解決するために**スキップ接続(Skip Connection)**を導入しました。
🔍 スキップ接続とは?
- 通常の畳み込み層(Conv)では、出力 = 活性化関数(畳み込み(入力)) となる。
- ResNetでは、「入力 + 出力」 を足し合わせることで、勾配の伝播をスムーズにする。
- これにより、層が深くなっても情報が失われにくくなる。
📌 2. ResNetの種類と違い(18~152)
ResNetには ResNet18, ResNet34, ResNet50, ResNet101, ResNet152 という複数のバージョンが存在します。
それぞれの違いは、ネットワークの深さ(層数) にあります。
🔹 ResNetの各バージョンの比較
モデル | 畳み込み層の数 | パラメータ数 | 出力次元 (GAP後) |
---|---|---|---|
ResNet18 | 18層 | 11.7M | 512 |
ResNet34 | 34層 | 21.8M | 512 |
ResNet50 | 50層 | 25.6M | 2048 |
ResNet101 | 101層 | 44.5M | 2048 |
ResNet152 | 152層 | 60.2M | 2048 |
🔹 モデルごとの特徴
-
ResNet18 / ResNet34
- 軽量で処理が速い
- エッジデバイス(スマホ、IoT)やリアルタイム処理向け
- 特徴量の次元数は 512
-
ResNet50
- バランスが良い
- ほとんどの画像分類・特徴抽出タスクで使用
- 特徴量の次元数は 2048
-
ResNet101 / ResNet152
- 精度が高いが計算コストが高い
- 大規模な画像データセット向け(医療画像解析、AIアート)
- 特徴量の次元数は 2048
📌 3. ResNet以外の画像特徴量抽出モデル
ResNetの他にも、画像の特徴量抽出に優れたモデルが存在します。
以下に、それぞれの特徴を詳しく説明します。
🔹 EfficientNet(最新の高効率モデル)
✅ ポイント
- 「小さいのに強い」 → 少ないパラメータで高精度を実現
- MobileNetのように軽量、ResNetのように高精度
- EfficientNet-B0 ~ B7 の7つのバージョンがある
✅ 活用シーン
- スマホ・組み込み機器(エッジAI)
- 高精度なリアルタイム画像認識
✅ 出力次元
EfficientNet | パラメータ数 | 出力次元 |
---|---|---|
B0 | 5.3M | 1280 |
B3 | 12M | 1536 |
B7 | 66M | 2560 |
🔹 VGG(シンプルだけど計算量が多い)
✅ ポイント
- 「ResNetの前身」 → 直感的なアーキテクチャ
- 非常にシンプルな設計(3×3畳み込みを繰り返す)
- パラメータ数が非常に多く、計算コストが高い
✅ 活用シーン
- 計算コストを気にしないオフライン処理
- 事前学習済みモデルを使う画像分類
✅ 出力次元
モデル | パラメータ数 | 出力次元 |
---|---|---|
VGG16 | 138M | 4096 |
VGG19 | 144M | 4096 |
💡 VGGはResNetと比較して精度が劣るため、特徴抽出にはあまり使われない。
🔹 Inception(Google開発の多スケールモデル)
✅ ポイント
- 「1つの畳み込みカーネルサイズに依存しない」
- 複数の異なるカーネルサイズ(1×1, 3×3, 5×5)を同時に適用
- 特徴の多様性を維持
✅ 活用シーン
- 多様な物体が混在する画像認識
- 画像分類(Googleの画像検索エンジン)
✅ 出力次元
モデル | パラメータ数 | 出力次元 |
---|---|---|
InceptionV3 | 23M | 2048 |
InceptionV4 | 43M | 2048 |
📌 4. どのモデルを選ぶべきか?
用途 | 最適なモデル |
---|---|
軽量 & 高速 | ResNet18, EfficientNet-B0, MobileNet |
バランス | ResNet50, InceptionV3 |
高精度 | ResNet101, ResNet152, EfficientNet-B7 |
多スケール特徴抽出 | InceptionV3, InceptionV4 |
オフライン計算(計算コスト無視) | VGG16, VGG19 |
📌 5. まとめ
- ResNetはスキップ接続を導入し、深層学習の勾配消失を解決した
- ResNetのバージョン(18〜152)は、層数・パラメータ数・出力次元が異なる
- EfficientNetは最新の高効率モデル
- VGGはシンプルだが計算コストが高く、あまり特徴抽出には向かない
- Inceptionは異なるカーネルサイズを同時に適用し、多スケール特徴を抽出可能
✅ 結論
「計算コストが許すなら ResNet50 or EfficientNet-B3 を選べばOK!」
この2つはバランスがよく、ほとんどの画像特徴抽出タスクで最適です! 🚀
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