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Scrum Fest Fukuoka 2024 参加報告

2024/03/13に公開

こんにちは、ログラスでシニアエンジニアリングマネージャーをしている飯田(@ysk_118)です。

3/8(金)-9(土)で行われたScrum Fest Fukuoka 2024に株式会社ログラスとしてスポンサーをさせていただき、現地に参加してきましたのでその参加報告を書かせていただきます。

Scrum Fest Fukuokaについて

公式の説明を引用します。

スクラムフェス福岡はアジャイルコミュニティの祭典です。
この祭典は、プロダクト開発における技術や開発プロセスだけでなく、そこで働く人やチーム、組織にも価値をおきます。
エンジニア、デザイナー、QA、SM、POなどのロールに関係なく、アジャイルに興味・関心のある全ての人が楽しむことができます。
金融、行政など大規模な組織からスタートアップなどの小規模な組織の運営のノウハウがシェアされます。その中で活躍する方々と生々しい話題を共有し、相談することもできます。

2023年が始めての開催ということで、2024は2回目の開催にあたります。(飯田個人としては始めての参加でした。)

スクラム系のカンファレンスはRSGTが最も大きいですが、最近は各地の地域カンファレンスが増えてきており、現地・オンライン含めて盛り上がりを見せています。

スポンサーの背景

ログラスではここ1年ほどで技術系カンファレンスへのスポンサー件数を増やしてきました。スポンサーの背景としては、会社視点で言えば技術広報・採用広報の一環として実施しているものという説明が最も合理的かつシンプルですが、より数値化しにくい観点としては、

  • 社内の学びの促進
  • 社外への知見の発信および還元
  • コミュニティへの支援

という点を重要視しています。

年明けに策定したテックバリューであるUpdate Normalの副文でも触れているのですが、社内の当たり前の水準をより高めていき、その経験・知見を社内に閉じさせるのではなく、お世話になったコミュニティに還元していくことを推奨していくスタンスを取っています。

https://note.com/itohiro_loglass/n/n355fde3dbbd2

言うまでもなく昨今のプロダクト開発はOSSや勉強会などコミュニティによって成り立っている状況です。「いい景気を作ろう」というミッションを掲げているログラスだからこそ、社会への還元、しいてはコミュニティへの還元をしていきたいという思いがあります。

私個人のバックグラウンドとしてもそうですし、今現在のログラスの組織の変遷においても様々な知見をコミュニティから得ることで前に進められているところがあります。

足元では組織規模の拡大に伴い開発プロセスのアップデートも推進していく必要があり、スクラムコミュニティの人にログラスを知ってもらいたいという意図でスポンサーを意思決定しています。
ここからログラスに関心を持ち、一緒に変革を進めていただける人に参画いただけたらこの上ないですが、単にそれだけでなくその経験・知見をコミュニティに還元してける人、さらにはコミュニティを作ることそのものに貢献したい人と働きたいと考えています。

ログラス参加メンバー

今回も社員から多くのプロポーザルを出していたのですが採択には至らず・・RSGTは以前から競争率が激しかったですが、スクラムフェスも競争率が高くなってきているように感じています。
今井さんは現在業務委託スクラムマスターとして支援いただいていますが、今井さんプロポーザルが今回採択となっておりました!現地で見ていただいた方もいたのではないかと思います。

https://confengine.com/conferences/scrum-fest-fukuoka-2024/proposal/19529/leandevops-four-keys

スライドもとても反響があったようです。ぜひご覧ください。

https://twitter.com/bonotake/status/1767084626340909089

現地でやりたかったこと

今回スポンサー企業の中の人として現地に行っていましたので、何かしらで覚えていただけるようなトライをしたいと思っていました。

ログラスにはアジャイルコミュニティでの愛されキャラである大平さんがおり、彼は各地のスクラムフェスに等身大パネルを送って登壇するという面白い取り組みをやっています。パネルで大平さんを見たことがある人も多いはずなので、今回その大平さんのアクリルスタンド(以下アクスタ)を作ったら面白いのではないかと思い作ることにしました。

ちょうどRSGT2024の頃に思いつき、飲み会でいろいろな人に話したところニーズが確認でき、本人のGoも出たため実現した企画です。

https://twitter.com/ysk_118/status/1746914319122702495

実際持って行って滑ったらどうしよう、、という気持ちもなくはなかったですが、全くの杞憂でした。

https://twitter.com/ysk_118/status/1766005498896429399

最終的には #旅する大平 というハッシュタグが作られ、様々な福岡をエンジョイする写真が上がるほどになり、盛り上げの一役を担えたのかなと感じています。大平さんの偉大な人柄に感謝。

ログラスでは個性豊かなメンバーが集まっており、現場の個にフォーカスした遊び心のある発信を引き続きやっていきたいと考えています。

セッションについて

私が参加したセッションのみとなりますが、以下感想となります。

Keynote: 想像力(エンジニア力)

confengine:
https://confengine.com/conferences/scrum-fest-fukuoka-2024/proposal/19677

資料:
https://docs.google.com/presentation/d/1cE_vbormmZuc4Iy8A7SogG0aL7gqT9G2PPnB1cldDTc/edit#slide=id.g4e93d47573_0_0

福岡の企業でCTO、またブロックチェーンコミュニティの立ち上げや飯塚市でのテックコミュニティの中心メンバーである中城さんの基調講演です。

主題としてはソフトウェアがどう未来・世界を変えていくか? という話でしたが、中城さんのバックグラウンドや、ここ半世紀くらいの時代の変遷を踏まえて抽象化しこれからのエンジニアに求められる考え方をわかりやすくお話いただきました。

AIの進化に伴い、JIT Compilerが進化しJIT Deploymentになっていくのでは?という話などはまさに想像力から生まれる未来のイメージということで、こうしたことを日常的に考えていく重要性を再認識させられました。

まとめにあった、

想像力を育むためにやるべきこと

  1. SFを見る・ゲームをする
  2. 今興味があることに全力で取り組む
  3. アウトプットする

という観点は私自身のエンジニア当事者としてもそうだし、父親としての視点からも非常に重要だなと思うところがありました。(スライドの写真をすぐ妻に送りました。)

勇気を出してコミュニティの仲間になろう

プロポーザル:
https://confengine.com/conferences/scrum-fest-fukuoka-2024/proposal/19486

資料:
https://speakerdeck.com/mitsuriver/be-courageous-be-a-part-of-the-community

Day2トップバッターセッションとしてミツカワさん(@mitsuriver)のお話を聞きました。

RSGT2023で初めてアジャイルコミュニティに参加され、当時の懇親会でもお話した記憶がありましたが、そこから一年で登壇するほどまで活動をしている背景の思いが純粋に気になり参加しました。

アジャイル系のコミュニティに関わらず、コミュニティに継続的に参加して発信活動を行うというのは初心者からするとハードルに感じる人もいると思います。最初の体験としていい体験になるか?もそうですし、その後ただ参加する側から発信する側になるかはとても大きな壁があります、そして発信を継続できるか?もさらに大きな壁があります。

アジャイルコミュニティで言えば私が初めて参加した頃から比較しても年々大きくなってきており、それでも毎年初めて参加する人がおり、その人たちから初めて参加する人の今後の背中を押すような発信が定期的にあることが非常に素晴らしいことだと感じました。

「推し活」記憶術〜学んだことを15倍記憶するためにやっていること〜

プロポーザル:
https://confengine.com/conferences/scrum-fest-fukuoka-2024/proposal/19569/15

資料:
https://speakerdeck.com/aki_moon/oshikatsu-memory-technique

今回のScrum Fest Fukuokaで最も尖った発表だったと感じているのがaki.mさん(@Aki_Moon_)のこちらの発表です。

カンファレンスや勉強会での学びが後日すぐ忘れてしまうという人もいると思いますが、どうやってその学びの質と量を向上させるか?という話でした。

"推し活"という捉え方で相手のことを徹底的(ある意味狂気的)に知りに行くことでInput/Output効率を上げていくということでしたが、普段採用責任者をやっている人間の視点からすると「職務経歴だけ読み込んで相手のこと知った気になってないよね?」というメッセージにも捉えられると思い、もっと人のことを知るということに向き合わなければいけないと感じた次第です。

デザイナーの帽子をかぶったわたしが、プロダクト開発するうえでスクラムチームに提供したいこと

プロポーザル:
https://confengine.com/conferences/scrum-fest-fukuoka-2024/proposal/19575

資料:
https://speakerdeck.com/hiromitsuuuuu/what-i-want-to-provide-to-scrum-teams-when-developing-products

X上では以前からよく知っているひろみつさん(@hiromitsuuuuu)の話を聞きました。

スクラムにおいてデザイナーがどう関わっていけば良いのか?は多くのデザイナーが悩むポイントだと思っており、ログラスでも例外ではありません。エンジニアやスクラムマスターが多い場においてデザイナー視点の発表はそれだけで価値があるのでもっと増えていくといいなと個人的には思っています。

テーマとしては仮説検証やリサーチが主なテーマでした。登壇後に直接お話しした感想も含めての感想ですが、スクラムではクロスファンクショナルチームを前提とし、チームで成長していくという考え方があるため、仮説検証の際にもチームで取り組むことがあると思いますが、この時になんでもかんでもユーザーの声を聞きにいけばいいというわけではないという視点は納得感がありました。

あまり答えがないところではありますが、ドメイン知識をどのように各メンバーが体得していくか? という観点とも近いと感じました。仮説検証は無限にできてしまう沼の側面もあるため、デッドラインとHowを意識して進めることが重要ですね。

アジャイルコーチはなにをもたらすのか?なにを考えて、どんなことをしているのか?

プロポーザル:
https://confengine.com/conferences/scrum-fest-fukuoka-2024/proposal/19491

資料:
https://www.docswell.com/s/yohhatu/5XYJMG-2024-03-09-123553

アジャイルコーチが現場に入る時にどのようなことを考えどのようなプロセスで意思決定するのかについて関心があったためようさん(@yohhatu)のセッションに参加しました。

特にコーチとしてクライアントに問いかける具体の質問の例が参考になりました。

  • 本気で取り組むと去る人がでてくるかもしれませんが、それでもやります?
  • 自分もこの状況を引き起こしている要素のひとつとしたら、変わる気あります?
  • 自分がお金を出すなら同じことする?
  • ・・・

2つ目の問いなどはなかなか手厳しい質問ですね。

また、実際に参画する際の観点やプロセスを後から質問しましたが、スライドにもあるように"ありたい姿"のイメージがあるか?を確認しそこに向かっていけるか?なければそれを一緒に作っていけるか?といった観点を擦り合わせているとのことでした。

スクラムガイドに載っていないスクラムのはじめかた - チームでスクラムをはじめるときに知っておきたい5個のコツ -

プロポーザル:
https://confengine.com/conferences/scrum-fest-fukuoka-2024/proposal/19555/5

資料:
https://speakerdeck.com/takaking22/how-to-start-scrum-that-is-not-written-in-the-scrum-guide

RSGTに引き続きおよべさん(@TAKAKING22)の話を聞きました。今回は初心者向けのテーマでしたが、どう説明するのかに関心があり参加しました。

スクラムの始め方もそうですが、取り巻く環境の変化として、アジャイルへの理解度があがったという点はたしかにと思いました。スクラムかどうかはさておきプロダクト開発していく上でアジャイルな考え方に反対されるようなシーンというのは全然聞かなくなったように感じています。

スクラムガイドについては社内の参加メンバーでも実はあまりきちんと読んだことなかったかもという声もあり、基本を押さえるということでこうした発信を定期的にやることは非常に重要だと思いました。

主題であるスクラムガイドに載っていないコツについてはパターンをまとめたスライドが非常にわかりやすかったのでスクショも載せておきます。

楽しく勉強会ができる組織へ(チーム勉強会に挫けた人にお勧めのスクラムガイド勉強会)

プロポーザル:
https://confengine.com/conferences/scrum-fest-fukuoka-2024/proposal/19511

資料:
https://www.docswell.com/s/Insurtech-lab/ZVVWQP-2024-03-09-083047

スクラムフェス神奈川で始めてお話しした小泉さん(@koitake_)の発表を聞きました。
小泉さんもここ一年でコミュニティにおいて積極的な発信をされており、社内を巻き込んで登壇まで実現した内容が気になっており参加しました。

およべさんの話に続いてスクラムガイドがテーマでしたが、社内の巻き込みにおける勉強会運営の試行錯誤がまとまっており、かつ独自の視点も多く面白い取り組みだと感じました。

スクラムガイドの最新版の1回切りだけではなく過去に遡っていく形で歴史的な理解を深めたり、クイズ形式で参加者が楽しめるようにしている点も非常に面白かったです。

プロダクトの仕様などでも同じ観点があると思っていますが、最新のコードだけみてもなぜこの仕様になったか?がわからず適切な仕様変更がしにくいケースがあると思います。当初実装された時のコンテキストや議論を把握できると未来の議論がしやすくなるという経験があると思いますが、スクラムガイドにおいても歴史的なコンテキストを知ることで最新のスクラムガイドで求められていることが正しく理解できると感じています。

公正な文化(Just Culture)とは何か?

プロポーザル:
https://confengine.com/conferences/scrum-fest-fukuoka-2024/proposal/19504/just-culture

資料:なし

最後のセッションとして、スクラムとは少し異なるテーマですがKiroさん(@haradakiro)のJust Cultureの話を聞きました。

医療や航空など人命に関わる仕組みの改善の根底にある考え方で、記憶にも新しい年始の事故に関する声明でも触れられており認知があったためプロポーザル時点から気になっていたセッションでした。

Just Cultureという言葉はこれまで知らず、Justiceの形容詞としてのJustということも話を聞いて初めて知ることができました。
日常業務の中でも責任を明確にし何か問題が起きた時にそれを明らかにするということをよくやりますが、正しい再発防止・改善になっているか? をJust Cultureの観点から考え直してみるということには価値がありそうだと感じました。

アジャイル系のカンファレンスに参加しはじめた2018年ごろはすべてが新鮮ですべてのセッションがとても考えされられるもので脳の疲労感がすごくあったのを覚えているのですが、久しぶりにその感覚が呼び起こされるような学びの言語化が難しいお話でした。

全体を通して

わたしが参加したセッションでは、共通してオタク的思考というか、物事に深く入り込んでいくという視点をもった話が多かったように感じました。目の前の課題に対して本質を捉え、深い思考からどうすればそれが正しく解決されるのか? というテーマが共通してあったように思います。

会場のGROWTH1も素晴らしい会場でした。

強いていえば、"廊下"をもう少しワークさせられるような設計にできるとギャザリングがより盛り上がりそう、と感じました。

全体通して運営チームのホスピタリティにより素晴らしいカンファレンスとなりました。ありがとうございました。

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