エンジニアとして新規事業立ち上げに挑戦して得た学び
はじめに
こんにちは、ログラスでエンジニアをしております、田中です(@kakke18_perry)。
突然ですが、皆さんは新規事業立ち上げについてどのような印象を持ってますか?
面白そうだけど、何をするのかわからないという方も多いと思います。
私自身もそのように感じている中で、新規事業の立ち上げに携わる機会をいただき、その中で学んだことについてまとめていこうと思います。
ログラスにおける新規事業立ち上げの進め方
なぜ新規事業を立ち上げるのか?
我々ログラスはこれから2年で新規事業を10個立ち上げますと宣言しています。
理由は上記のnoteにも記載されていますが、我々の掲げるミッションである「良い景気を作ろう。」の実現にはまだまだ遠いからです。会社中のデータを集め、関連性を読み解き、意思決定の選択肢やリスクを提示する。これにより、より良い経営意思決定ができるようになり企業が成長する。結果、良い景気につながっていくと信じています。
どのように新規事業立ち上げを進めているのか?
ログラスでは新規事業をフェーズごとに分けており、それぞれのフェーズにおいてチーム構成の目安や次のフェーズへの移行条件が明確に定められています。
フェーズ | 名前 | チーム | 期間 |
---|---|---|---|
フェーズ0 | 営業検証 | 事業担当1名 | 3ヶ月 |
フェーズ1 | 要件策定 | 事業担当1名、エンジニア1名、デザイナ0.5名 | 2ヶ月 |
フェーズ2 | 初期開発 | 事業担当1名、エンジニア2~3名、デザイナ0.5名、PdM1名 | 6~12ヶ月 |
フェーズ3 | Go to Market | 事業担当1名、エンジニア4~5名、デザイナ1名、PdM1名 | - |
2024年8月に「2年で10個の新規事業立ち上げ」を宣言してから4ヶ月が経過した現在、複数のフェーズ0案件が進行中であり、既に有料契約でのPoCも複数始まっております。
新規事業立ち上げ時のエンジニアの仕事
フェーズによってエンジニアの役割は大きく異なりますが、フェーズが進むにつれて既存事業のエンジニアの業務内容に近づいていきます。
フェーズ0では、事業担当者1名体制の中で営業検証を行います。実際の業務はお客様との商談が中心となり、エンジニアバックグラウンドの方がアサインされたとしてもエンジニアリング業務は全くないです。
フェーズ1では、営業検証で関心を示されたお客様との要件策定が主な業務となります。このフェーズではエンジニアはPdMに近い役割を担当します。ログラスでは、この段階のPdM業務を意図的にエンジニアバックグラウンドの人材が担当するようにしています。これは「エンジニアがお客様を深く理解することで、より良いプロダクトが作れる」という考えに基づいています。具体的な業務としては、Miroなどのツールを活用した業務フロー整備やβ版実装スコープの策定が中心となり、実装などのエンジニアリング業務は含まれません。
フェーズ2では、本格的なエンジニアリング業務が始まり、β版の迅速なリリースに向けた開発を行います。ログラスには既存プロダクトとしてLoglass経営管理やLoglass人員計画があるため、これらとの機能の棲み分けや共通化が重要な検討事項となります。
フェーズ3では、β版のリリース後、PMF(Product Market Fit)達成に向けてお客様フィードバックを積極的に取り入れながら開発を進めていきます。
学んだこと
新規事業に専念できる環境作りの大切さ
新規事業に参画する場合、ほとんどの場合は既存のプロジェクトやチームから異動することになります。その際、移行期間を設けて完全移行の日時を決めるのが一般的です。
私自身も同じように3週間の移行期間を経て、新規事業への完全移行を行いました。しかし、この3週間の振り返りでは「時間が取れなかった」という反省が多く、次のアクションに繋げにくい状況でした。
この経験から、移行期間はできるだけ短くし、移行後は既存プロジェクトを完全に手離れして、新規事業に100%リソースを割ける環境作りが重要だと実感しています。
また、リソースを100%新規事業に投入できる方が、実行強度高くトライアンドエラーを繰り返しやすいとも感じています。
目的を見失わない
「目的を見失わない」というと当たり前のように聞こえますが、改めて大切だと感じました。新規事業は売上がゼロで利益もマイナスからのスタートなので、未来への投資として成果を出していく必要があります。
私たちのチームでは、具体的に以下のような取り組みを行っていました:
- 1週間単位のスプリントでスクラムを進める
- スプリントごとにゴールを決めて振り返りを行う
- 朝会で「今日はここまでやる!」という約束を各自が決める
スクラムのような1週間単位の振り返りは以前から慣れていましたが、朝会で日々のタスクを明確にすることで、より目標に向かって全力で進められた実感があります。
また、私はCEO布川と一緒に新規事業立ち上げを進める中で、以下の記事にあるように「明日までにできない理由は何ですか?」という問いかけをいただき、常に目的を意識した行動ができるようになっていきました。
お客様のことを深く理解することの大切さ
エンジニアとして新規事業に関わり始めた時は、正直「どんなプロダクトを作ろうか」「どうやって実装しようか」といった技術的な部分にばかり目が行っていました。しかし、実際にお客様の話を聞いていくうちに、もっと手前の部分、つまり「お客様が本当に困っていることは何か」「この課題を解決することで、お客様の事業がより良くなるのか」といった部分の理解が大事だということに気づきました。
具体的な活動としては、お客様との商談への同席や、業務フローを整理するミーティングへの参加、ドメインエキスパートの方々との対話を重ねていきました。特に業務フローの整理では、実際にお客様が日々使っているExcelファイルを見せていただき、私自身でその業務ができるようになるまで理解を深めていきました。このように実際の業務に深く入り込むことで、表面的には見えてこない本当の課題が見えてくることが多かったです。
ログラスでは、プロダクト部のメンバーみんなで商談の動画を見る文化があるのですが、このようにお客様のことを深く理解することが、本当に良いプロダクトを作ることにつながるんだなと実感しています。
さいごに
ログラスは「良い景気を作ろう。」というミッションの実現に向けて、2年で10個の新規事業立ち上げという挑戦的な目標を掲げています。本記事では新規事業担当としての顧客理解や業務フロー把握についての経験を主に共有しましたが、実際にはマルチプロダクト戦略の策定など、イネーブリング&プラットフォーム領域の活動も並行して進めています。
こうした活動に興味がある、チャレンジしたいという方はぜひお話ししましょう!
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