プロダクト組織の一体感を醸成した「アドベントカレンダー」企画推進の裏側
こんにちは、ログラスでエンジニアをしております浅井 (@mixplace) です。
2025年も6月に入り、あと半年もすればアドベントカレンダーの季節ですね。
昨年末、私たちログラスのプロダクト組織はアドベントカレンダー企画に一丸となって取り組みました。今回はアドベントカレンダーの企画推進者としてリードした中で、どのように進めたのかを紹介したいと思います。
少し気の早いテーマに感じられるかもしれませんが、今年の企画を検討されている方々の参考になれば幸いです。
はじめに
「アドベントカレンダー」は、IT業界では技術者同士の知識共有の機会として、毎年12月に行われる恒例イベントとなっています。
個人で投稿されている方も多くいますし、プロダクト組織・開発組織全体で取り組む企業も増えているように感じます。
「毎年恒例でやっているし、習慣付いている」という組織もあれば、「組織全体で取り組んでみたいが、なかなか大変で…」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私たちログラスでは、毎年組織全体でアドベントカレンダーに取り組み、記事発信を行なっています。
昨年の2024年はプロダクト組織全体で取り組み、合計50本(25本 × 2トラック)もの記事を公開する成果を上げました。当時のプロダクト組織全体の80%以上のメンバーを巻き込み、組織全体でやり遂げたものとなります。
Qiita.com の「株式会社ログラス Productチーム Advent Calendar 2024」のカレンダーページより引用
どのように進めていったのか
今回の記事では「How(どう進めていくか)」に焦点を当てて、どのような組織でも実践しやすい、再現性のある4つのポイントを紹介します。
企画・推進はメンバー主体で
私がこの企画を推進すると決めたとき、まずはじめに意識したのは、アドベントカレンダーを「やらされるタスク」ではなく「みんなで楽しむイベント」にすることでした。
そのためにも、EM(エンジニアリングマネージャー)からではなく、メンバーが主体となって企画・推進することを徹底しました。
マネジメントラインからトップダウンで企画を進めると、「通常業務に加わる追加タスク」として受け止められかねません。
そうではなく、「メンバーのやってみたい!」という純粋なモチベーションを尊重することが、大きな熱量を生む第一歩となります。
もしあなたが企画推進の担当者になったなら、一人で抱え込まず、協力的な仲間を見つけて共に進めることをお勧めします。
特に直近数年間、毎年アドベントカレンダーで記事投稿している仲間がいれば、一緒に企画を推進してもららうよう、協力を求めると良いでしょう。
推進者の「熱量」で、「他人事」を「自分事」に変える
企画者が決まったら、次に行うのは地道で、しかし最も重要な「声かけ」です。
全体出社日などを活用してオフィスフロアを歩き回り、「雑談のついでに、アドカレを書いてみませんか?」と、プロダクト組織のメンバー一人ひとりに声をかけて回りました。
ログラスでは記事発信・登壇発信を積極的に行うメンバーが多く、称賛される文化があります。
アドカレ記事を書くことに対してポジティブな反応をくれるメンバーが多く、その場で Qiita Advent Calendar のカレンダー枠を埋めていただきました。
ここで重要なのは、ただ作業的に声をかけるのでは意味がないということです。
人の心を動かすのは、論理や建前ではなく **「熱量」**です。
推進者である私自身が「このイベントを絶対に成功させたい、みんなで楽しみたいんだ」という想いと熱意を乗せて話すことで、協力いただけるようになりました。
もちろん、組織全体で取り組むのであれば「Why(なぜ組織全体でアドベントカレンダーに取り組みたいのか)」も、予め言語化しておくことが重要です。
初めて記事を書くメンバーや、エンジニア以外の職種でアドカレ自体の存在を初めて知ったメンバーもいました。
そんなメンバーにもアドカレ文化と自社の文化を伝えながら、理解を深めてもらうことができました。
もちろん、一度で全員が快諾してくれるわけではありません。今後の業務量を考えて参加を迷う方もいます。
大切なのは、相手の状況を尊重しつつも、すぐには諦めないことです。
私の場合、フロントエンドチームという横断チームで活動していることもあり、業務の話題や支援、相談事にも乗りながら、頃合いを見て再度声をかけるようにしました。
相手の負担にならないよう配慮しつつ、繰り返し想いを伝えることで、最終的に多くの方に参加の意思を示していただきました。
「心理的安全性」がアウトプットを最大化する
「アドカレで記事を書いてみることにした!」という想いを持ち、いざ書こうと思っても、次に立ちはだかるのが「何を書くか」という壁です。
私たちは、この心理的ハードルを下げるために、「心理的安全性」、すなわち「失敗しても大丈夫」「完璧でなくても良い」という安心感を醸成することを何よりも重視しました。
具体的には、以下のメッセージを全体定例の場でも、個別でも伝え続けました。
- テーマは「自分が本当に書きたいこと、話したいこと」で良い。
- 書くモチベーションが上がるテーマ、楽しめる話題を最優先に。
- 記事内の文章量が少なくても良い。力作は求めない。
もしテーマで行き詰まったら、同じチームのメンバーに壁打ちしてもらいましょう。自分では気づかない得意分野を、他者が客観的に見つけてくれることもあります。
「こんな記事でも、きっと役に立つ人がいるかもしれない」「文章が上手ではなくても良い」という安心感を醸成することに努めました。
組織として個人のアウトプットを最大化したいのであれば、まず誰もが安心してバッターボックスに立てるような「土壌」を耕すことが不可欠なのです。
全力で「楽しみ、盛り上げる」文化醸成
アドベントカレンダー期間中は、お祭りのような雰囲気を作ることも心がけたポイントです。
私を含め有志で「アドベントカレンダー応援団」と称して、Slack上でアドカレに関する発言があった際には、すかさず応援のカスタムスタンプで盛り上げていました。
Slackで「アドカレの記事執筆の進捗、ダメです…」という弱音も、「記事公開しました!」という報告も、すべてがポジティブなコミュニケーションのきっかけになります。
さらに、本来のアドベントカレンダーが持つ「窓を開けるとお菓子や贈り物が入っている」というワクワク感に倣い、記事を公開までやりきったメンバーには、アドベントカレンダーチョコレートをプレゼントしました。
アドベントカレンダー 記事執筆・公開が出来たらチョコレートをプレゼントしました
このような遊び心が、イベントを最後まで楽しむためのエネルギーになると思い、最終日12月25日まで企画を運営しました。
おわりに
今回の取り組みのポイントを改めて振り返ると、以下の3点に集約されると感じています。
- 推進者の「熱量」が、周囲の「他人事」を「自分事」へと変えること
- 「やらされ感」をなくし、誰もが楽しめる環境・雰囲気を作ること
- 「心理的安全性」の土壌が、個人のアウトプットを最大化させること
この取り組みから得られた気付きは、アドベントカレンダーに限らず、あらゆる組織内イベントに応用できる「人を巻き込み、ムーブメントを創り出すためのヒント」と言えると感じました。
今年の「アドベントカレンダー 2025」も年末恒例の文化として盛り上がることを期待して、この記事を締めたいと思います。
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