CREを1年間やってみたふりかえり
こんにちは。株式会社ログラス で CRE(Customer Reliability Engineer)をやっている山﨑(@zaki___yama)です。
早いもので、CRE として専任になってから約 1 年が経過しました。そこで、CRE としての最初の 1 年間をふりかえってみようと思います。
現在の体制
中身に入る前に、現在のログラスにおける CRE およびその周辺のチーム体制を紹介します。
現在、CRE はプロダクトチームに属しており、メンバーは私一人です。また、お客様のフロントに立って導入・活用支援を行う CS(カスタマーサクセス)チームがあり、主に CS チームと連携しながら活動しています。
これまでにやったこと
時系列でトピックを並べてみます。
- 2022 年 2 月〜2022 年 7 月(プロダクト開発と兼務)
- CRE というロールの立ち上げ。責務の言語化
- 顧客要望をプロダクト開発につなげるまでの開発プロセスの改善
- ※ 詳細は ログラスで CRE を立ち上げた背景とこれから 参照
- 2022 年 8 月〜2022 年 12 月
- CRE 専任へ
- 顧客のプロダクト利用状況をデータで可視化する取り組み
- ※ 詳細は プロダクトと顧客をつなぐログラスの CRE の取り組み - Speaker Deck 参照
- 2023 年 1 月〜2023 年 2 月
- CS(カスタマーサクセス)チームとともに中長期的な理想の言語化、課題の整理
- 2023 年 4 月〜2023 年 8 月
- カスタマーサポート体制の立ち上げ
- ※ 詳細は 組織一丸となってカスタマーサクセスを実現するための取り組みと悩み - Speaker Deck 参照
節目節目でブログや登壇を通してアウトプットしていたため、各トピックについての詳細はそちらをご覧ください。
Keep: やって良かったこと
立ち上げ時に責務を言語化した
CRE としての活動をはじめるにあたり、ログラスにおいてなぜ CRE が必要なのか?どういった領域に責任を持つのか?を言語化するのを一番最初にやっておいたのは良かったなと感じています。社内の他のメンバーと期待値をすり合わせる効果だけでなく、自分自身も定期的にこの責務を見直し、今の活動はどの責務とリンクしているのかを考えるきっかけにもなりました。
CS チームと中長期的な理想を言語化した
この 1 年間で一番のターニングポイントになった出来事があるとするとこれかもしれません。
それまでは施策も単発的、かつ CS チームが考える課題を正確に捉えたうえで施策に落とし込めているか、確証が持てない状況でした。そのため、1 年〜1.5 年先に組織やビジネスがどの程度成長しているのかイメージを膨らませ、そこから起こりうる課題について CS チームとともにディスカッションしました。これにより、今目の前で起きている課題だけでなくこれから取り組むことになるであろう課題について CS チームと認識を揃えることができ、CRE としても今後 1 年間ぐらいで取り組むであろうことがロードマップという形で整理できました。
あわせて、CS チームの定例ミーティングに参加したり、チームのマネージャーと定期的な 1on1 を実施したことも効果がありました。これまでは四半期に一度、OKR の策定に合わせてチームの課題感をヒアリングするに留まっていましたが、それだけでは CS チームが日頃どういった業務を行い、何を考えているか、解像度高く捉えることができませんでした。また、四半期に一度お伺いをたてるだけで信頼関係を構築できていたとも思えません。一度チームの中にぐっと入り込む動きをしたことで、それ以降の進め方がずいぶん変わりました。
活動内容を定期的にアウトプットした
この 1 年で 1 本のブログ記事、2 回の社外勉強会での登壇を経験しました。
およそ半年に 1 回ぐらいコンスタントにアウトプットの機会を設けることで、それまでの活動をまとめ、ふりかえる良いサイクルができたように感じます。
こういった職種向けの勉強会は数少ないですが、Customer 系エンジニア座談会 というアウトプットの場があることは大変ありがたかったです。
また、ありがたいことに、これらのアウトプットを見たという声も少しずついただくようになりました。ログラスの CRE を知ってもらうきっかけになったり、他社で近しい職種をされている方に少しでも参考にしていただけたら幸いです。
Problem: 失敗したこと
中長期的な理想の言語化をはじめにやるべきだった
先ほどやってよかったこととして挙げた点ですが、本来であればこれをまずはじめにやるべきだったかもなあ、と思っています。
実際、この活動を行うまでは、なんとなく必要そうなことに手を出してはいるものの「それってどういう理想のためにやってるんだっけ?」や「今、最優先でそれをやるべきって関係者全員が思っているんだっけ?」という点がすり合わせできていたとは言えず、今思うと少々独りよがりな施策の決め方になっていたように感じます。
そのため、ロールを立ち上げ、責務を言語化したタイミングで、こういった活動を行っていれば認識の齟齬なくスタートが切れていたのではないでしょうか。
運用イメージまで固めたうえで施策を実施すべきだった
これは主に、2022 年 8 月〜2022 年 12 月頃に行っていたプロダクトの利用状況データを可視化する取り組みに関しての反省です。
CS チームが顧客にアクションを起こすうえで判断材料となりそうな指標を定義、可視化したところまでは良かったのですが、具体的な運用イメージ(いつ、誰がこの指標を見るのか?見て、どういうアクションを実行するのか?)が描けておらず、可視化から運用まで間があいてしまうという出来事がありました。現在は CS チーム内で定期的にモニタリングするデータとして活用できているのですが、一歩間違うと「作ったけど使われない」という事態になりかねませんでした。
そのため、なぜ(Why)・何を(What)可視化するかに加えて、それをどのように運用するかまで最初に設計できていれば良かったです。
Try: 今後やりたいこと
プロダクトチーム・CS チームと「対等に喧嘩し合える」関係に
「CS チームと中長期的な理想を言語化した」で触れましたが、特に 1 年の後半は CS チームの業務にぐっと入り込むアプローチをとったことで、連携を強めることができました。
反面、プロダクトチーム(特に、プロダクト開発を担当する複数のスクラムチーム)とは業務上の接点が弱まってしまい、「プロダクトと顧客をつなぐ」という責務に対して十分に貢献できていないという課題感があります。
CS チームやその先のお客様を誰よりも理解しているエンジニアとして、時にはプロダクトチームにとって耳の痛いことを伝える存在でありたいと考えています。
同じことが、CS チームとの関係性においても言えます。CS チームのやりたいことに 100%迎合するのではなく、お互いに良い距離感を維持しながら共通の理想に向かって歩んでいる姿が理想だと思います。たとえば、CRE は直接お客様のフロントに立たないからこそ、データを中心とした分析によって CS チームがまだ気づいていないお客様の課題を浮き彫りにする、といった貢献が考えられます。
ここに関しては、立ち上げ時から一緒にやってきた CS チームの方から 「対等に喧嘩し合える関係になりましょう」 と言われたのが強く印象に残っています。
このように、プロダクトチーム・CS チームと CRE とがお互いに良い緊張状態を保つために何ができるか?を今後は考えていきたいです。
二人目 CRE の採用、CRE を「組織化」するチャレンジ
というわけで最初の 1 年は一人目 CRE としてがむしゃらに目の前の課題と向き合いつつ、徐々に中長期的な方向性にも目を向けることができました。
そして、これからはCRE を持続可能な組織にすべく、二人目の CRE を募集することにいたしました。
CRE としてやりたいことはまだまだたくさんあり、以下はその一例です。(上記 Job Description から引用)
- カスタマーサポート体制の構築
- スムーズな問い合わせフローの構築や、お客様からの問い合わせ数を減らすための仕組み作り
- 問い合わせ数を減らす・問い合わせ対応の工数を削減するために技術的にどんなことができるか考え実現する
- プロアクティブなカスタマーサクセスを実現するためのデータ分析基盤の構築
- お客様の契約情報や日々の問い合わせ内容、プロダクトの利用状況データなどを分析し、解約リスクや活用促進機会を早期に検出する
- どういったデータが必要なのか、と、どういったサービスを組み合わせてデータ分析基盤を構築するのか、の設計
これまでにも、リソース不足から実現が叶わず、悔しい思いをしたことが多々ありました。
人が増えれば活動の幅を広げたり、これまでできなかったことへのチャレンジもできるようになります。
興味を持っていただけたら、ぜひカジュアルにお話するところから始めさせてください!
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