🔖

「コードを書く力」から「選択する力」へ—新卒エンジニアがAI時代で気づいた価値の変化

に公開

はじめに

今年の4月に新卒でログラスにエンジニアとして入社したアベです。
ログラスに入社して3ヶ月目から経営管理ログラスの開発に携わり、現在も機能開発に従事しています。新卒でスタートアップという環境に飛び込んでから、あっという間に半年が経過しました。

今回は、この半年間で自分の中で起きた考えや心境の変化について、棚卸しを兼ねてまとめてみたいと思います。

入社初期

入社して間もなく、研修課題である機能開発がスタートしました。そのタイミングで感じていたのは、自分のエンジニアリング力をいち早く向上させなければという課題感でした。
元々自分は学生時代、データ分析やパイプライン構築などを中心に扱っていた「データ系」の人間であり、Webアプリケーションの開発経験はほぼゼロと言っても過言ではないと思います。
同期や周りの先輩が当たり前のように話していることの理解に時間がかかるなというのが続き、
「圧倒的に知識が足りない」
そう悶々としていました。

Webエンジニアとしての基礎体力の無さを痛感したあと自分が出した結論はシンプルで、とにかく勉強するしかないというものでした。
業務時間外に周辺のコードを読んでみたり、知識が不足しているであろうドメインの技術書を読み漁ったりと少しでも多くの知識を吸収するために時間を使っていました。

AIコーディングツールが現れて

いち早くキャッチアップをしなければならないと思っていた矢先、Claude Code等のAIコーディングツールが流行り始めました。それまでもCursorなどは使ってはいたものの、性能がどんどん進化していくコーディングツールを実際の機能開発を使ってみたときの衝撃は大きいものでした。

きっかけは、オンボーディングの一環として取り組んでいた、プロダクトの機能の修正タスクでした。実際に現在のコードと修正後どうあるべきかをプロンプトとして渡してみたところ、実装自体はすぐに完了してしまいました。自分追加でやったことといえば、AIが出力したコードがコーディング規約に則っているかなどを確認したり、様々な観点でテストを行い、品質部分問題がないかどうかを確認するだけで完成した記憶があります。

正直なところ入社したてで深くまでロジックを理解していなかった自分が、形になるものと短時間で作れてしまったとき、AIの進化を感じ便利だなと思ったのと同時に、「あれ、これ自分必要なのか?」という気持ちになったのを覚えています。
新卒として成果を速く出せるようになりたいという気持ちとは裏腹に、エンジニアとして価値を発揮する領域が変化していく中で、大げさですがエンジニアとしての自分の存在意義が揺らぐ感覚を感じ、勉強のモチベーションをどこに持つべきか悩んでしまっていました。

技術は手段であり、価値は選択にある

ある改善のタスクに取り組んでいるときに、技術の捉え方についての変化がおきました。
AIは僕の指示通りに要件を満たすコードを書いてくれましたが、本当にこの解決策でPRを作成するべきなのか、という部分を考えなければならないなと立ち止まりました。このときにあくまでもAIはHowを提示してくれるけれども、適切に状況を鑑みて、最適な解決策を選択できないということに気づきました。
実装をAIとやりながらだからこそ、より解決策はどうあるべきかだったり、設計はどうあるべきかという部分に時間を割くことができるようになり、より課題解決のために最適な手法を選ぶことの重要性の考えにいち早くアップデートすることができたとそう思っています。

AI時代だからこそ理解しておく必要がある

実装はAIがほとんどやってくれるので、もう技術の勉強しなくてもと思った瞬間もありましたが、やはり実際に仕事をしながら良いプロダクトを作る事へと向かっていく中でその考えは否定されています。
むしろ、AIを適切に使っていくには、今まで以上に勉強をしておく必要がありそうだという結論に至りました。

理由としては2つあります。

  1. 開発スピードを維持するため
    AIが出力したコードを動いたからOKという考えではなく、何をしているコードなのか、責務の分離は今の状態で最適なのかどうか?などをAI出力を適切に判断する力がないと、AIがあっても開発効率は向上しないと思っています。
    この部分に関しては、色々な人の知見を蓄えたうえで自分なりの判断軸を持っていないと、結局人間がボトルネックになってしまうと思っており、自分自身課題感を持っている部分です。
  2. AIのポテンシャルを適切に引き出せるようになるため
    AIは優秀な指示待ちのパートナーであるとよく耳にすると思うのですが、これはその通りだと思っています。こちらがふんわりとした理解で曖昧な指示を出してしまうと、AIもそれなりのコードしか返してくれません。
    逆に自分がアーキテクチャやI/Oの流れを深く理解し、こうなるだろうなという選択肢を持てている状態だと、指示はより的確なものになりアウトプットの質も向上するのを実感しました。

結局自分が理解していない領域は、AIを使ってもうまく作れないということに気づいたとき、自分の中で勉強の定義が変化しました。
これまでは、自分でかけるようになるための理解に近かったものが、AIの出力を正しく評価し、導いていけるようにする判断ができる力を養っていく必要があると感じました。

これからの半年へ向けて

入社してから半年が経過し、周りの先輩つよつよエンジニアに指摘されながら、自分の伸びしろを日々実感し、とても刺激的な毎日を過ごせています。
一時的には、エンジニアの在り方で悶々としておりましたが、最近は自分の中で何を理解していくべきかを言語化できており、AIをうまく使いながら自身の成長につなげられていると思っています。

まだまだ技術力の部分も、本質的な解決策を持てるようにする力など足りない部分を実感していますが、一歩一歩自分がやるべきことにひたむきに取り組んでいきながら成長していきます!

株式会社ログラス テックブログ

Discussion