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スプリントゴールに川柳を導入してみた話

2023/11/27に公開

はじめに

ログラスでエンジニアをしているよしだといいます。SNSではお酒中心の生活を日々過ごしています。
https://twitter.com/hikoy

いきなりですがみなさん、スプリントゴール立ててますか?立てていたら、ゴールの立て方で悩んでいたりしませんか?今回は私が所属しているチームでスプリントゴールに川柳を導入してみてスプリントゴールとしてより良いものが出来た話をしようと思います。

そもそもスプリントゴールとは

詳細に書くとそれだけで一つの記事になりますので、ここではスクラムガイドの中でのスプリントゴールの定義を転記します。

スプリントゴールはスプリントの唯⼀の⽬的である。スプリントゴールは開発者が確約するものだが、スプリントゴールを達成するために必要となる作業に対しては柔軟性をもたらす。スプリントゴールはまた、⼀貫性と集中を⽣み出し、スクラムチームに⼀致団結した作業を促すものでもある。
スプリントゴールは、スプリントプランニングで作成され、スプリントバックログに追加される。開発者がスプリントで作業するときには、スプリントゴールを念頭に置く。作業が予想と異なることが判明した場合は、スプリントゴールに影響を与えることがないように、プロダクトオーナーと交渉してスプリントバックログのスコープを調整する。

太字にした箇所が大事だと考えていて、要はチームとしてそのスプリントでどこに向かうかを表したものとなります。スプリント中に何か問題に直面した際はゴールを元に次のアクションを決めるようになります。

これまでの課題

スプリントプランニングで次のスプリントのSBI(スプリントバックログアイテム、チケットに紐づく細かいタスク)を決定した後、スプリントゴールを設定していました。しかし、そこで立てていたスプリントゴールは スプリントの価値がゴールに設定できていないため、スプリントのアウトカムがわからない状態となっていました。

具体的に以下のようなスプリントゴールでした

  • スプリントゴールがリリースされる機能一覧の記載だけとなっている
  • 特定のタスクが完了したら終わりのようなスプリントゴール

これにより、SBIをひたすらに終わらせることがゴールとなり、淡々とタスクをこなすスプリントとなっていました。さらに、遅延が発生してしまった時には、どの機能を優先度するかメンバー間で意見が分かれることがありました。
また、アウトカムが定まっていないため、複数のエピックを同時並列するスプリントもあり、それらのスプリントでタスクが落ちてしまうことも度々発生していました。

この課題からチームでスプリントゴールの立て方を考え直そうという動きが始まりました。

スプリントゴールを見つめ直してみる

チームの勉強会において、スプリントゴールの立て方を改めて学びなおしました。

海外のスプリントゴールの例を読んでいき、まずはどのようなスプリントゴールがあるか全員で読み込んでいきました。その時に読んだのはこのサイトとなります。

読んだ中で一番目を引いたのはこのメタファーパターンでした。

Sprint Goal: An Apple Tree Bearing Fruit Has Deep Roots, but Still Produces at Least One Apple in the First Year
(実をつけるリンゴの木は根が深く、それでも1年目に最低1個のリンゴを実らせる)

Sprint Goal: The Bravest Warriors Conquer the Last and Most Complex Part of the Land
(最も勇敢な戦士は、土地の最も複雑な最後の部分を征服する)

Sprint Goal: Skillful Hairdressers Create a Sexy New Look
(腕のいい美容師がセクシーな新しいスタイルを作る)

こちらを最初に見た時は「そういうのでも良いのか!」、「こういう抽象的な雰囲気や何を目指すかは今までのスプリントゴールに足りていなかった」と目からウロコが落ちました。そして、これらを見ているとメンバーからとある発言がありました。

日本だと川柳ですかね?

そこから、まずは取り入れてみよう!となり次のスプリントからスプリントゴールを川柳で作成してみる流れとなりました。

スプリントゴールに川柳を取り入れてみた

まず、そもそも川柳とは何なのかを記載しておきます。

川柳とは
5・7・5のリズムかつ口語で、人情や人生などを滑稽に表したり、人や社会を風刺したりする詩

俳句と違って季語や切れ字などの制約はなく、口語を用いたものとなります。
スプリントゴールを作る上で「5 7 5」の17文字だけで表すのは大変なので、リズムに沿っていてチームメンバーがOKと判断すればOKということにしています。

これまでのスプリントゴールの立てる流れを大きく変えずに、SBIが並んだ後3~5分間と時間を決め、各メンバーが川柳を考えてSlackに投稿する流れをとっています。時間が終わったら、投票時間を取りそこで多数の票を得たものが次のスプリントゴールとして採択されます。

では実際に上がった川柳でのスプリントゴールを個人的に好きだったものをいくつかあげておきます。

「チーム超え  不具合ゼロで  権限を」
このスプリントでは、ほとんどの機能に影響を与える権限関連の変更がありました。そのため、バグが出ないように開発しつつも各チームとバグバッシュなど連携を密に行い品質良いものをリリースするぞというニュアンスも込められています。

「権限を 管理しやすく する宣言」
こちら1つ目の川柳の続編ですが、権限周りの変更をした際により開発者が実装しやすくするためのリファクタリングをしたスプリントとなります。権限周りは実装がシンプルである方が良く、権限周りを「他チームでも扱いやすいようにしていくぞ」というニュアンスも入ったゴールとなっています。

「今までの ぽちぽちぺいん さようなら」
このスプリントでは画面操作が多い機能に対して、修正をいれるスプリントでした。その修正によってユーザの画面操作の数が減り、より使いやすくなることを目指すことがゴールとなったスプリントです。
どういった価値をユーザに提供するか明記されていることで、より明確にスプリントで目指す方向がメンバーで認識がとれました。

「お引越し 次の場所では 主役だよ」
既存機能に対して新しく機能を追加しようとしている中でデータ構造の変更がありました。そこでこのスプリントではデータのマイグレーションを実施し、この機能が今後ユーザに大きな価値を提供できることを目指したゴールとなりました。

スプリントゴールに川柳を取り入れてみた効果

最初に書いたように川柳というのは「5 7 5」の17文字しか入れられません。
そこから副次的な効果として、「スプリント内に入るSBIが本当にそのゴールに向かうべきものだけなのか?」確認される効果も生まれました。それにより、上手く川柳が思いつかなった場合はメンバー間でSBIに色々なものを詰め込みすぎでいないか?という会話も起こるようになりました。

また、私のチームのプランニングではステークホルダーとしてCSの方にも参加してもらっています。
PdMはもちろん、CSの方なども含め色々な人を巻き込んで川柳を考えるようになり、メンバー全員がゴールについての共通の認識を得て納得度がより強まりました。


https://x.com/yukiasamin/status/1621385246888583169?s=20

スプリントゴールで川柳を詠むために取り組んだこと

さて、ここまで読んでくれた方は「これを導入して継続するのは難しいな」と感じたかもしれません。
そこで、川柳を詠むために行った施策も一緒にご紹介しようと思います。
(仕事ではありますが、何か楽しめる要素があると長続きしますので)

Nice川柳コレクター

Slackのリアク字チャンネラーで「nice川柳」という絵文字がついたものをチャンネルに集めるようにしています。ここに、各スプリントで採択されたスプリントゴールの川柳や日々の会話で出てきた川柳も保存しています。「nice川柳」の絵文字がつくと結構嬉しかったりします。

三要素のカスタムレスポンス

良い川柳とはなにか?川柳として何を大事にしたら良いのか?これらがすぐ出てくる人は稀だと思います。
そこで、「川柳の三要素」とSlackで打つと川柳で大事な要素を返してくれるカスタムレスポンスを仕込みました。

川柳を作る時にも見ますし、最後にどの川柳が次のスプリントのゴールになるか決定する際の投票でもこの三要素を見るようにしています。個人的に「うがち」の要素が一番好きです。

まとめ

川柳でスプリントゴールを定めると、そのスプリントでチームとしてどのようなスプリントにしていきたいかのメタファーが入るのでゴールとして意識がしやすくなりました。
また、チームとして川柳を考えている時間で和風のBGMを流したり、Slackリアクションでその川柳を保存したりと遊び心も取り入れてみています。楽しく仕事をすることは大事だと個人的には思っていますので、この記事を最後まで読んだ方はぜひ川柳をスプリントゴールに取り入れてみてください。

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