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開発メンバーからEMが誕生するまで

に公開

ログラスのよしだです。猛暑日が続きすぎて、毎日暑さと格闘しております。
皆様も暑さには引き続きご注意ください。

はじめに

今回は、開発メンバーの一人がEMになるまでのストーリーと、その道のりを伴走したマネージャー視点(私)での学びを共有しようと思います。
弊社では、EM候補の外部採用もしていますが内部登用も行っております。
私自身もキャリアに悩みがあり入社直後はエンジニアでしたが途中でEMになっておりますので、改めてどのように内部登用を進めれば良いのか?をまとめてみようと思います。EMが希少な中で外部からの採用以外にも「内部登用を試したい」と考えている方にとってヒントになれば嬉しいです。

想定読者

  • EM採用で困っている方
  • メンバーの育成をしていて、EMチャレンジをさせたいと考えている方

EMになるまで時系列

まず最初にどのような流れで開発メンバーがEMになったかのストーリーを記載します。
※本人の許可を得て記載しています

始まりの1on1(2024/07)

本人との1on1を実施している中でWillを確認しました。新しく入社された方には早めにWillの把握はするようにしており、初回のお互いの自己紹介時の流れで確認しました。
教えてもらったWillが

(将来的に)チームや組織のマネジメント 顧客への価値提供や開発組織の生産性向上に貢献するマネジメントをしたい

でした。そこに対して、EMの数も潤沢ではなかったので、出来るだけ早く叶え挑戦できる状況にすることで、組織としても良い状態になるだろうと捉えていました。そのため、ここから私としてはいつにEMになれるタイミングがありそうか?そこから逆算するとどういうことをするかなど大まかに計画がスタートしています。ただ、まずは会社に慣れる必要が最優先であるため、オンボーディングを優先し伴走していきました。

期待値のすり合わせ(2024/10)

オンボーディングも一定落ち着き、本人と周りの連携も上手くいくようになってきたタイミングで改めて期待値をすり合わせました。そこでは「挑戦的だが4ヶ月後の2月にはEMにならないか?」と伝えています。
この時点で私の目からは、本人がWillに沿ってチームをより良くする活動を率先して実施されていたこと、そして新しい環境でも臆さず次々に挑戦されるマインドと成果が垣間見えていたため、このタイミングで問題ないと考えていました。また、この期待値をあわせる際に本人とも懸念点の洗い出し(同じチームメンバーがEMになった時にどう捉えるか?)も確認してEMになるまでのイメージをより具体的に描けるようサポートしていました。

葛藤と対話(2024/12)

順調に進められていたと思っていたのですが、この時期に本人からEMになることを率直に悩んでいると、相談がありました。相談としては、EMになるより今の延長線でエンジニアとして価値を出す方がチームや組織に対して寄与できるのではないか? と。
そこを受けて、私としてもEMはあくまで1手段でしかないと考えているので「そういった組織課題へのアプローチも出来るよね」や「よりアプローチしたい具体のものやことはなんだろう」といったことを対話しながら深堀っていき「Willに至った原体験」、「どうなれば一番理想状態の組織なんだろうか?」など会話していきました。色々会話した上でEM1名のみとの会話であるとバイアスが大きいかもしれないと考え、別のEMとも会話する場を設け改めて本人にそのWillに向き合っていただくことをしました。その結果、彼の中で迷いや悩みが解消され、彼はEMになる決心に至りました。

プレEM行動(2025/2〜)

この時はEMに向けて、メンバーであっても出来ることをしていき個人目標(OKR)でも絡めていくことを提案しました。具体的には機能開発をしながらも、下記の行動をしてもらっていました。

  1. メンバーの会社Valueに即した行動の称賛と共有
  2. 新しく参画したメンバーのオンボーディング
  3. メンバーとの1on1で成長のサポート

実際に動いていく中で、特に1.を多く発信してもらったことで組織全体の雰囲気も良くなりました。また、2のオンボーディングもオンボーディングを受けた方の立ち上がりが早く素晴らしい結果になったと考えています。

これら目標に絡めて動いてもらったことや、詳細はここでは触れませんが、様々な成果をもとに社内の登用の承認も得られ、このあと晴れてEMになることが決定しました。
そこからは、実際の移行プランと実施していくことを本人と練り、独り立ちを支援していきました。

成功要因

改めて、今回EMの内部登用に成功した要因をまとめてみます。

Point 1: 「Will」の早期発見と継続的な対話

個人のキャリア志向(Will)を早い段階で認識できたことが結構効いたなと思います。
今回、書いたメンバーの場合はWill=EMがとても分かりやすかったこともあります。

個人的な考えですが、人によっては、自己認知としてサーバントリーダーシップが得意&本人も好きであれば、チームや他者に貢献してチームをより良くすることに興味があることが多いので、EMチャレンジを提案してみても良いかもしれません。

Point 2: 「助走期間」を設けたこと

いきなり任命するのではなく、OKRを使ってEMの仕事を疑似体験する期間を設けたこと。これにより、本人も自信がつきますし周囲も「これまでの動きを見てもあの人がEMになっても任せられる」という共通認識や周りとの信頼関係がとれたことがあるかと思います。

今回EMになったメンバーは機能開発を続けながら、オンボーディングのメンター、採用活動、新卒メンター、更にメンバーの行動の称賛を3ヶ月で60件ほど実施されていました。
この助走期間において私はマイクロマネジメントするのではなく、あくまで本人とやることの壁打ちしながら方向性を示唆し、困った時にすぐに助けられるよう1on1で負荷状況を聞いたりして伴走する、というサポート役に徹しました。その結果、彼はこれまで持っていた素質を、実践を通じてより強化させていきました。

彼がEM就任した際には、メンバーからもこういった声も届いており、しっかり彼が作った成果からメンバーとの信頼関係が出来たと感じています。

Point 3: 心理的安全性の高い関係性

何事にも言えることですが、本人の懸念を率直に話せたこととそれらを会話出来る関係性構築ができたこと。「3. 葛藤と対話」で書いたように、彼が「エンジニアとして価値を出す方が良いのでは」というキャリアの根幹に関わる悩みを率直に話してくれたのも、こうした関係性があったからこそだと感じています。

まとめ

EMの内部登用について書きましたが、EMに限らずメンバー育成は本人だけの課題ではなく、組織全体で「伴走」すべきプロジェクトであると考えています。また、最終的な成功はEMとしての価値発揮をしてからですので、当たり前ですがメンバーがEMになってからも伴走は続きます。

この記事が、読者の皆さんの組織における人材育成のヒントになれば幸いです。

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