チーム目標を定めるときにやったワークショップの紹介と実際に定めた目標を運用してみた感想
はじめに
チーム目標を設定する際、メンバーの多様な思いや方向性を理解し、一つにまとめあげることは、思っていた以上に難しいなと感じておりました。
皆さんは、チームでの目標設定や振り返りをどのように行っていますか?
私たちはまだ完璧な方法を見つけ出せてはいませんが、チームで様々なワークショップを手探りで試行錯誤しながら、その過程で得た学びや感想を共有していきたいと思います。
前提
ログラスでは、全社的にOKR(目標設定のフレームワーク)を採用しています。このフレームワークを用いて、チームOKRや個人OKRを3ヶ月ごとに策定しています。
OKRの詳細についてはここでは深入りしませんが、大まかには以下の2つの要素から構成されています。
- Objective (目標): 達成を目指す具体的な目標。
- Key Results (主要成果): 目標達成のために測定可能な指標を設定します。
- Action Plan (アクションプラン): 実際に行動する内容
社内での目標設定に際しては、目標の設定意図や、その達成を証明するエビデンスなどを詳細に記述しています。
実際に行ったワークショップ紹介
インセプションデッキ
「アジャイルサムライ」という本に紹介されているインセプションデッキは、チームメンバー間での共通理解を深めるためのワークショップです。
このワークショップでは、プロジェクトのビジョン、目標、スコープを明確にできるかもしれないと思い採用しました。
インセプションデッキは、プロジェクトを核心まで煮詰めて抽出した共通理解を、開発チームだけじゃなく、より広範囲なプロジェクト関係者全員(いわゆるプロジェクトコミュニティ)へ手軽に伝えるためのツールだ
[引用]
タイトル: アジャイルサムライ――達人開発者への道
著者: Jonathan Rasmusson (著), 西村 直人 (監訳), 角谷 信太郎 (監訳), 近藤 修平 (翻訳), 角掛 拓未 (翻訳)
インセプションデッキを実際にやるときは、以下のテンプレートを利用しました。
実施した内容
会全体: 1時間
- 事前インプット (15分)
- 全社OKRのおさらい: 全社的な目標とその重要性を再確認。
- 「Qが終わったあとどうなっているのか?」: 期間終了時に達成していることを具体的にイメージ。
- 自分たちのチームのロードマップをおさらい: 現在の進行状況と目標に向けた道筋を確認。
- インセプションデッキ
- 我々はなぜここにいるのか? (15分)
- エレベータピッチ (15分)
- やらないことリスト・トレードオフスライダー (15分)
今回のワークショップでは、インセプションデッキの全ての要素を実施するのではなく、目標設定において特に重要だと思われるトピックを選択して取り組みました。
策定したOKRとインセプションデッキをどう関連付けたか?
OKRの策定プロセスにおいて、インセプションデッキの要素を活用することで、チームの目標と方向性を明確にしました。
具体的には、以下のように関連付けを行いました。
- Objective(目標):
- 「我々はなぜここにいるのか?」の内容で目指すべき目標を、OKRの目標として設定しました。
- 設定意図: エレベータピッチで作成した内容をもとに、OKRの設定意図を明確にしました。
- エレベータピッチによって簡潔にまとめられるので、そのまま策定の設定意図に利用しました。
また、内容に記載はしなかったですが、明示的に「やらないことリスト」や「トレードオフスライダー」で重点を置くべき領域とそうではない領域を明確にして、フォーカスポイントを明確にできました。
OKRを運用してみての感想
OKRを実際に運用してみた結果、我々はなぜここにいるのか?
をObjectiveとして設定したことにより、目標が壮大になりすぎてしまったと感じています。3ヶ月という短期間に絞ったスコープでの設定で作ったつもりでしたが、私たちがやりたいことと、実際の開発スピードの乖離が大きくなってしまいました。
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良かった点
中長期的に目指すべきチームの方向性が定められたことは良かったです。大きなビジョンとしては共通認識をとれました。 -
改善するべき点
より短期間に焦点を当てた実現可能性のある目標設定を置きたいと思います。チームのモチベーションもあまりに遠すぎると実感しにくくなってしまい次のアクションも取りにくいという課題がありました。
中長期的に目指すべきチームの方向性を定めるためには、とても良いワークショップだと思いました。
チームストーリー(未来)
「ふりかえりカタログ」を参考にOKRを策定で利用できそうなワークショップを利用してみました。
また、チームメンバー内のメンバーが一度やったことあるというのを聞いてこれで取り組んでみたという経緯もあります。
ふりかえりカタログのSpeakerdeckのLinkはこちらです。
実施した内容
会全体: 1時間
前提 (10分)
- ①未来 (10分)
- 5分で書く 30sで共有しながらグルーピング
- ②現在地 (10分)
- 5分で書く 30sで共有しながらグルーピング
- ③崖 (10分)
- 5分で書く 30sで共有しながらグルーピング
- ④脱出 (10分)
- 5分で書く 30sで共有しながらグルーピング
- ⑤加速度装置 (10分)
- 5分で書く 30sで共有しながらグルーピング
※ 今回のセッションでは、アイデアの発散を重視し、収束は意図的に行いませんでした。
策定したOKRとチームストーリー(未来)をどう関連付けたか?
OKRの策定プロセスにおいて、チームストーリー(未来)の要素を活用することで、チームの目標と方向性を明確にしました。
具体的には、以下のように関連付けを行いました。
- Key Results(主要成果): チームの方向性を決める
- チームストーリの未来に書いていることが、最終的に我々が出していきたい成果がまとまっていました。
- ActionPlan: 実際にやるべきアクション
- 脱出・加速度装置に書かれていることが実際に我々が目標を達成するために必要なアクションがエッセンスとして存在していました。
インセプションデッキと違い、文言レベルで、一致するようなものはなく、あくまでも方向性やエッセンスを拾ってきて、文言に落とし込むという点で利用しました。
OKRを運用してみての感想
チームの方向性やお互いに課題に思っていることが可視化され、具体的なアクションへの落とし込みが地に足のついたものになりました。
やるべきことや内容が割と詳細に決まったが、Objectiveを決めるという流れになってしまい、目標設定としては、チームの目指すべき方向性を決めてから内容詳細を詰めていくということが必要だとおもうので、そのバランス感が難しかったです。
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良かった点
チームの方向性やお互いに課題に思っていることが可視化され、具体的なアクションへの落とし込みが地に足のついたものになりました。
また、今回のチームストーリー(未来)策定に関しては、ログラスが掲げるvalueにとてもマッチしており、意見を出しやすかったのではないかと思います。
例えば、崖 = But We Go
と言い換えることができますし、加速度装置 = Amazing Speed
と言い換えることができ、Value起点で色々意見が出せたことは良かったです。 -
改善するべき点
チームの目指すべき目標(Objective)があり、それに対するアクションを私達がどうしていくかを決めていく必要があると思うので、定まるようなテーマを絞るべきだったかなと思います。
終わりに
今回は2つのワークショップにて実際にOKRを策定した話と、策定後に運用してみた感想をまとめてみました!
まだまだやり方はいっぱいあると思うので、皆さんが実際に取り組んだもっと素敵な方法があれば皆さんのご意見聞いてみたいです!
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