Vue 2 で書かれた SPA を Svelte/SvelteKit に移行すべき理由
Vue 2 で作られた SPA (シングルページアプリケーション) のメンテナンスが困難になり、技術的負債となっている場合、React/Next.js か Svelte/SvelteKit への移行を検討することになります。本記事では、移行の容易さや学習コスト、コードのシンプルさを考慮し、Svelte/SvelteKit への移行がより簡単であり、SPA の開発に最適である理由を解説します。
1. Vue 2 からの移行における課題
Vue 2 は 2023 年 12 月に公式の LTS (長期サポート) が終了しました。そのため、
- セキュリティアップデートが提供されなくなる
- 最新のライブラリとの互換性がなくなる
- Vue 3 への移行には Composition API への書き換えが必要
特に Vue 3 では setup
関数や ref
/reactive
などの API 変更があり、Vue 2 の Options API からの移行には大きな手間がかかります。
2. React/Next.js への移行の難しさ
React はコンポーネントベースの思想が Vue と共通していますが、以下の点で Vue 2 からの移行が難しくなります。
- JSX の学習コスト: Vue のテンプレート構文に慣れていると JSX に適応するのに時間がかかる
-
状態管理の違い:
computed
やwatch
の概念がuseState
やuseEffect
に置き換わるため、リファクタリングが複雑になる -
SSR (Server Side Rendering) の移行: Nuxt.js を使っていた場合、Next.js の
getServerSideProps
やgetStaticProps
などの異なるデータフェッチ戦略を学ぶ必要がある
そのため、Vue 2 から React/Next.js への移行は構文や状態管理の違いを理解し、書き換えを行う負担が大きくなります。
3. Svelte/SvelteKit への移行が簡単な理由
Svelte は Vue と同じくテンプレートベースの記法を採用しており、Vue 2 のコードをシンプルに移行できます。また、Svelte は React のような実行時の処理を持たず、コンパイル時に最適化されるため、コードが小さく、高速に動作するという特徴があります。SPA の開発には特に適した環境です。
(1) Svelte のテンプレート記法が Vue に近い
Vue 2:
<template>
<h1>{{ title }}</h1>
</template>
<script>
export default {
data() {
return { title: 'Hello Vue' }
}
}
</script>
Svelte:
<script>
let title = 'Hello Svelte';
</script>
<h1>{title}</h1>
Vue の data
が Svelte では let
に置き換わるだけで、非常に直感的に移行できます。
reactive
や useState
を使わなくていい
(2) 冗長な React:
import { useState } from 'react';
function App() {
const [count, setCount] = useState(0);
return <button onClick={() => setCount(count + 1)}>{count}</button>;
}
Svelte:
<script>
let count = 0;
</script>
<button on:click={() => count++}>{count}</button>
状態管理がシンプルなため、Vue 2 のコードをそのまま移植しやすいです。
(3) SvelteKit は Vue/Nuxt の開発フローと近い
Nuxt.js:
pages/
index.vue
about.vue
SvelteKit:
src/routes/
+page.svelte
about/+page.svelte
Vue の pages
ディレクトリ構成が routes
に変わるだけなので、大きな改修なしに移行できます。
4. Svelte/SvelteKit へ移行するメリット
- 学習コストが低い: Vue のテンプレート構文と近く、状態管理が直感的
- パフォーマンスが良い: コンパイル時に最適化されるため、バンドルサイズが小さく、高速
- SPA 開発に最適: 不要なランタイムを削減し、軽量なコードを実現できる
-
余計なライブラリが不要: React では
useState
、useEffect
、Redux などが必要になるが、Svelte では組み込み機能で完結
5. まとめ
Vue 2 のメンテナンスが終了した今、SPA の移行先として React/Next.js よりも Svelte/SvelteKit を選ぶ方が簡単である理由を紹介しました。
- Svelte のテンプレート構文が Vue に似ているため、書き換えが容易
- React では
useState
やuseEffect
などの概念を学ぶ必要があるが、Svelte では変数をそのまま使える - SvelteKit は Nuxt.js と似た開発フローで移行しやすい
- Svelte はコンパイル時に最適化されるため、コードが小さく、高速に動作し、SPA に最適
これらの理由から、Vue 2 の技術的負債を解消する最良の選択肢として、Svelte/SvelteKit をおすすめします!
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