GopherCon 2025に行ってきました!
どうもこんにちは。
ブログを書くのは久しぶりのTakuto Nagamiです。
今回の記事は、8/26~28にアメリカ・ニューヨークで行われたGopherConに参加してきた体験レポートです!🇺🇸
前置き
今回のGopherCon参加にあたり、一般社団法人Gophers Japanの海外カンファレンス向けスカラーシップ制度で旅費支援をしていただきました。
これによって今回必要になった費用の大部分をカバーしていただき、非常に少ない自己負担でGopherConを楽しむことができました。
改めてこの場で御礼申し上げます。誠にありがとうございました!!🙇
海外カンファレンスに行きたいけれど、資金面の問題で難しい...という皆さん!
ガイドラインをよく読んだ上で、ぜひ以下のフォームから応募してみて下さい!!
なぜGopherConに参加するのか
いきなり体験記に入る前に、まずは何故僕がGopherConに参加することにしたのか、経緯をお話しさせて下さい。
海外カンファレンスへの興味
僕は昔から海外に興味がありました。
小さい頃に見たテレビ番組の影響で「異文化圏に住んでみたい」という思いが強く、海外の大学への入学を目指していたほどです。
結局海外の大学には行けませんでしたが、大学のプログラムで短期留学を何回か楽しんでいました。
そんな僕が日本Goコミュニティで「海外カンファレンス」という言葉を聞いた時、挑戦しない手はありませんでした。
しかし学生の身分ゆえ、ただ参加するだけで資金援助はそうそう受けられません。
登壇者として資金援助を受けて海外カンファレンスに参加するため、去年の4月あたりから手当たり次第プロポーザルを出し始めました。
そんな中で僕が目をつけたカンファレンスの一つが、GopherConです。
GopherConとは
8/26~28にアメリカ・ニューヨークで行われた、世界最大(?)のGo言語カンファレンスです。
(世界情勢のこともあり、本当に世界最大かは現在定かでないです)
今年のGopherConは850人ほどが参加していたようです。
特に今年のGopherConは特別で、開催都市のニューヨークがGo Team (Go言語のメンテンナスを専門に行うGoogleの部署) メンバーの大半が住んでいる都市であったため、Go Teamメンバーの8割ほどが会場にいたようです。
Gophers EXとGopherCon Tour
僕は2025年の初めから、Gophers EXという日本Goコミュニティの海外進出を手助けするコミュニティプロジェクトを実施しています。
以下のような目標を掲げ、3つの主軸となる取り組みを定めて活動している真っ最中です。
- 最終目標
- 日本Goコミュニティにおける海外カンファレンス登壇者を増やす
- 中間目標
- 日本Goコミュニティにおける海外カンファレンス参加者を増やす
- 日本Goコミュニティから海外に挑戦するプロポーザルの量・質を共に高める
今年、このGophers EXの取り組みの一環として、株式会社令和トラベルさんにご協力いただき、GopherConに参加するための日本人向けパッケージツアー「GopherCon Tour」を企画・主催させていただきました。
詳しくは以下の募集要項、ならびにGopherCon Tour 報告会での登壇「GopherCon Tourのつくりかた」をご覧ください。
このツアーを開催するにあたって、半ばツアーガイド的な役割を果たす僕が現地に行かないわけにはいかなかったのですが、不運にも提出したプロポーザルは通らず、登壇者として資金援助を受けることも叶わず...
自費での参加を覚悟していましたが、前述した通り幸いにもGophers Japanのスカラーシップを利用して参加させていただいた、という次第です。
体験記
ここからは、いよいよGopherConの様子をお届けします!
会期中、GopherCon Tourの企画として大量のXへのポストを行っていたので、それと共に振り返っていきます。
日本を出発!✈️
成田空港から、ZIPAIR (JAL系のLCC) で乗り継ぎのサンフランシスコへ。
GopherCon Tourの参加者であるMakkiさんとmazreanくんが合流し、愉快な3人旅の始まりです。
サンフランシスコは入国審査がありました。
何度かアメリカに来ている僕は簡単な質問2~3問で済まされたのに対し、アメリカへの入国が初めてだった二人は泊まるホテルやスケジュールを事細かに聞かれるという、初心者トラップのようなものが発動していました😅
サンフランシスコでは8時間ほどの待ち時間があり、空港内をうろついて時間を潰していました。
夜中11時ごろ発のフライトで、いざニューアーク空港へ!
ニューヨーク1日目🗽
ニューヨークに着いたのは早朝でした。
ここからニューヨークの中心、マンハッタンまで移動し、この日は1日観光です!
日本とは少々違うサブウェイに舌鼓を打ったり、タイムズスクエアで観光客特攻ビジネスに少々痛い目を見たり、ロックフェラーセンターの上からマンハッタンの全貌を眺めたり...と非常に楽しい一日を過ごしました。
1日の歩数が22,000歩だったらしいです。我ながらよく足が持ったな...
夜には日本コミュニティメンバーでの懇親会があり、GopherCon Tourのもう一人の参加者Tamさんと合流できた他、去年に引き続きGopherConに参加していたtenntennさん、nsegaさん、task4233くんらと美味しいご飯を食べていました。
ニューヨーク2日目/GopherCon 1日目
ついにGopherCon初日です!
この日はWorkshopとCommunity Dayの日でしたが、Workshopは別料金なので選択せず、Community Dayを楽しんでいました。
僕は主に午前のContributors' Summitと、午後のMeet the Go Teamに参加していました。どちらもGo Team (Go言語のメンテンナスを専門に行うGoogleの部署) の方々とお話ができる貴重な機会です。
僕はGo言語の内部にあまり強い意見/思いがある方ではないので人の話を聞くことがメインでしたが、使っているだけではわからないGoの裏側にある思いがたくさん聞けて面白かったです。
また、去年の秋に登壇者として参加させていただいたGoLabで会った方々 (Go TeamのRuss CoxさんとAlan Donovanさん) と再開したり、オンラインでは1年半くらい交友があったけど直接会ったことは無かった、GopherCon Co-ChairのMadhav Jivrajaniさんとお会いできたりと、イベント初日らしく「Hey!」のラッシュでした🤝
他の日本コミュニティのメンバーはほとんどTinyGo Hardware Hack Sessionに入り浸っていたようです。特にMakkiさんとTamさんは日本でTinyGo Keebのスタッフをされているので納得ですね。
お二人とRon Evansさん (TinyGoのAuthorの1人) が会話を交わしているシーンもあり、充実した時間を過ごされていたようです。
またこの日はGo Conferenceの参加申し込み日程が発表されましたが、日本に帰る前に申し込みが始まることが発覚し、結構慌てました。
幸い皆さんチケットを確保できたので結果オーライでしたが。
夜にはCommunity Meetup (対象カテゴリを定めた懇親会) が行われ、他の参加者と23時ごろまで酒を飲み交わしていました🍻
ニューヨーク3日目/GopherCon 2日目
GopherCon 2日目からはトークセッションが行われます!
超豪華な照明・音響でビビっていました。
特に気に入ったセッションを感想と共に綴っていきます。
Go's Next Frontier (Cameron Balahanさん)
Goのプロダクトマネージャー、CameronさんによるKeynote。
Go言語をプロダクトとして見た時、Goは言語だけでなくエコシステム全体を提供しており、それがAIコーディングの時代に生きてくるはずだ、というメッセージが印象的でした。
Goをプロダクトとして見ることは少ないので、結構驚きのセッションでした。
LLM Agents in Production: Why Go is the Missing Piece (Kartik Rameshさん)
LLM AgentをGoでライブコーディングしながら、その動作原理を紐解くセッション。
個人的な趣向の問題でLLM Agentを深掘りはしてなかったんですが、思っていた100倍くらいシンプルな仕組みで動いていることが良くわかる、素晴らしいセッションでした。
Understanding Escape Analysis (William Kennedyさん)
言わずと知れたGoコミュニティの巨匠、Bill Kennedyさんのセッション。
Heap EscapingとEscape Analysisについてのセッションで、特に目新しいことを話していたわけではないですが、とにかく話が上手い!!!
スライドは無く、ライブコーディングをしながら話していましたが、長い間Go言語のインストラクターを務めているだけあって、人の引き込み方を心得ているな...という話し方をされていました。
あの熱量と緩急、僕も見習いたいものです。
夜はAsian Alliance Meetup (アジア人・アジアにルーツがある方々の懇親会)!
日本コミュニティ勢は全員が参加しました。
参加者はアジア系アメリカ人の方がほとんどで、日本から10人弱来てるよ、という話をすると非常に驚かれました。
ニューヨーク4日目/GopherCon 3日目
GopherConもついに最終日。この日もトークセッションの日です。
特に気に入ったセッションを感想と共に綴っていきます。
An Operating System in Go (Patricio Whittingslowさん)
TinyGoの熱心なコントリビューター、Patricioさんのセッション。
内容に関してはMakkiさんのRecapを見ていただくのが良いかと思います。
BigGo (普通のGoコンパイラ & ランタイム、TinyGo界隈の人たちはこう呼ぶ) はOSに強く依存しているので、どうやったらOSの無い環境でGoが動かせるか、というセッションでした。
隣で聞いていたRon Evansさんがめっちゃ楽しそうに聞いていたのが印象的でしたね。
Profiling Request Latency with Critical Path Analysis (Felix Geisendörferさん)
Datadogにお勤めのFelixさんから、runtime/traceを使ったプロファイリングの話。
内容に関してはtask4233さんのRecapを見ていただくのが良いかと思います。
runtime/traceに詳しくないので本筋をあまり理解できていないところがあるのですが、プロファイリングにおいてクリティカルパスという考えを適用するのが非常に面白いと思いました。
特にいくつものgoroutineが絡んでくる処理の計測においては、改善すべきポイントの特定に力を発揮しそうですね!
Lightning Talks
LTもダイバーシティに富んでおり非常に面白かったです。
Go Static Analysis with the Single Static Assignment (tenntennさん)
我らがtenntennさんのLT。
セッション自体は、Go 1.25 リリースパーティーにて本人が日本語でやってくださっています。
tenntennさんには申し訳ないですが、個人的に一番心に残っているのはtenntennさんが準備中の一幕です。
司会の方が「日本から来た人何人いる?」と聞いて下さって、僕含め10人ほどの手が上がり、「はるばるやってきてくれた皆さんに拍手!」と会場のみなさんから拍手をいただきました。
日本コミュニティ、認知されましたよ。やりましたね💪
Compile Time Errors My Belovéd (Branden J Brownさん)
型に色んな工夫をして、コンパイルエラーで見つけられるミスを増やしたいというLT。
登壇者のBrandenは懇親会で仲良くなった生粋のアニメオタクで、スライドの中でぼっち・ざ・ろっくのキャラの名前を変数/型の名前に使用しており、僕も思わずテンションが上がってしまいました。
曰く「foo、barみたいな何も意味が無い言葉を使うより、同志ならわかる言葉の方が面白いだろ?どうせわからないやつにはわからないし」とのこと。日本人よりサムライしてるじゃん。
その心意気、あっぱれ。
A Small Update on TinyGo - GopherCon 2025 Edition (Ron Evansさん)
Ron Evansさんによる最近のTinyGo動向紹介LT。
sagoさんを中心とする日本TinyGoコミュニティの動向についても触れていただき、技術書典で出していたTinyGo Keebookや、世界初の試みであるTinyGo Conferenceなどを宣伝していただきました。
"The very first TinyGo Conference is going to be this year, in Akihabara, Japan!"
↑ ここ激アツポイント
Advancing Go Garbage Collection with Green Tea (Michael Knyszekさん)
僕がGopherConで一番楽しみにしていた、Green Tea GCのセッション!
実際にGreen Teaの開発をリードした、Go TeamのMichael Kさんから直接Green Teaの解説が聞けるという激アツコンテンツでした。
僭越ながら僕がRecapさせていただいたので、まだ見ていない方は是非ご覧になって下さい。
Green Teaは理解にメモリ管理の高度な知識を要する難しい概念ですが、それを恐ろしいほどわかりやすい図解によって一発で理解できる形にした化け物セッション(誉め言葉)です。
本当に分かりやすかった。脱帽としか言いようが無いです。
サンフランシスコ観光🌉
GopherConが終わった翌日、朝5時前にホテルを出て、サンフランシスコに向けて出発しました🛫
サンフランシスコではグーグル本社・コンピューター歴史博物館・アップル本社・ゴールデンゲートブリッジ (しかも夕日) といった様々な観光名所をめぐり、アメリカ旅行の良い締めくくりになりました!
この日の夜は泥のように眠った記憶があります。
日本に帰国!🇯🇵
ついに帰国日😭
朝ごはんを食べた後、Tamさんは早めの飛行機だったため、ホテル近くのショッピングモールでお土産を買ってすぐにお別れでした。
GopherCon Tour参加者のうち残りの3人は夕方の飛行機だったので、たまたまショッピングモールでやっていたワイン祭りでワインをしばいたり、現地民に人気のハンバーガー店In-N-Out Burgerで昼ご飯を食べたりと、飛行機の時間までゆったり過ごしていました。
10時間ほどのフライトを経て、ついに成田空港に到着!
飛行機が遅れてしまったこともあって、到着が21時過ぎに😱
その時唯一空いていた吉野家で足りなかった日本食成分を補い、各自帰宅となりました。
吉野家に感謝...
参加してみて
体験記の部分で感じていただけたとは思うんですが、GopherCon、最高に楽しかったです。
やはり地理的な問題で普段会えない人たちに会えるというのは、それだけで非常に価値があることだなぁと思います。
今後もこの楽しさを得るために、海外カンファレンスにたくさん参加したいですね!
次に繋げるために
僕のGopherConは、ただ行くだけでは終わりません。
スカラシップ受給者として魅力を日本コミュニティに伝えるのはもちろんのこと、特にGopherCon Tourの文脈では、来年一緒にツアーに行く人を増やしたいという思いが強くあります🙌
海外カンファレンスに興味を持つ方が増えるように、また興味を抱いてる方々に行く勇気を与えられるように、以下のような施策に取り組んでいます!
報告会×2
既に文中で何度か登場していますが、Gophers Japan主催のGopherCon 報告会およびGophers EXと令和トラベル様で共催したGopherCon Tour 報告会にて登壇させていただきました。
どちらも (僕以外の方々含め) 非常に充実したコンテンツとなっております。是非ご覧下さい。
Vlog
期間中計1~2時間に及ぶ動画を撮ってきたので、これをVlog (ダイジェスト動画) として公開すべく、絶賛編集中です!
Vlogのコンテンツの一環として、Go Teamの新旧Tech Lead (Russ CoxさんとAustin Clementsさん) をはじめ世界のGo界隈を牽引する人たちにインタビューが叶い、彼らの日本コミュニティに向けたメッセージが公開できる予定です!
乞うご期待!
長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました!
GopherConは、普段会えない人に直接会えることの価値を改めて実感できた、最高の体験でした。
Gophers EXの活動も、より一層頑張っていきたいと思います。
この記事で海外カンファレンスに興味が持った皆さん、ぜひ挑戦してみてください!
世界があなたを待ち望んでいます。
来年のGopherConに、この記事を読んで下さったあなたの姿がありますように...!
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