なぜGPSが届かないはずの駅構内でも地図アプリは動くのか
はじめに
皆さんはスマホに搭載されてる地図アプリを使った経験ありますか?
多分皆さんあると思います。
この地図アプリを使うのに必須な情報。それは位置情報です。
つまり「今、自分がどこにいるか」という情報です。
さて、皆さん位置推定技術と言えば何が最初に出てきますか?
おそらくGPSですかね。
GPSの弱点
GPSは”Global Positioning System(全地球測位システム)”といい、地球上を周回する衛星が発する電波を利用して自己位置を推定します。
これにより絶対的な位置が地球上のどこでもわかります。
そんなGPSですが弱点があります。
それは衛星の電波が拾えない位置では位置推定ができない点です。
例えば地下や駅構内では衛星の電波が届かないのでGPSが使えません。
他にも高層ビルがたくさん建ってると衛星の電波がビルに反射して推定がうまくできません。
駅や地下でも地図アプリは使える
「例えば地下や駅構内では衛星の電波が届かないのでGPSが使えません」という文章に対して「いや?地図アプリ使えましたよ?」と疑問を持った方もいるかもしれません。
はい、そうです。地下や駅構内でも地図アプリが使える場合があります。
スマートフォンは多くの情報をもとに自分の位置を推定します。
例えばWi-Fiの電波強度があります。
単純に考えるとWi-Fiの基地局に近ければ近いほどそのWi-Fiの電波は強くなります。
つまり、あるWi-Fiの電波が強ければそのWi-Fiの基地局に近いとわかります。
複数のWi-Fiがあればより正確に場所がわかります。
例えばWi-Fiが正三角形の頂点 A,B,Cにあるとして
それぞれの電波強度から大体の位置を予測できます。
実際は電波強度は実数で取得できるので、
「この電波強度パターンはこの位置」というのを全ての場所で行えば正確な屋内推定が可能になります。
この技術を使ってGPSが届かない屋内でも現在位置を推定できます。
弱点としては「この電波強度パターンはこの位置」というデータがあらかじめ必要という点です。
実験してみよう
まずは大きめの駅に行ってみましょう。
そしたら地図アプリを起動して
ネットワークON/OFFで駅の構内を歩いてみましょう。
実際名古屋駅を歩くとこんな感じです。
GPSは衛星からの電波を取得/計算して現在位置を推定するので、ネットワークに接続しなくても使えます。
一方Wi-Fiの電波強度は電波強度パターンを端末が持っていないのでネットワークに接続しないと使えません。
つまりネットワークをON/OFFするだけで実験できます。
実際にやってみるとネットワークなし/屋内(斜線部)の時はGPSの電波が届かず位置推定ができません。
ネットワークありの場合は屋内でも推定できています。
向いてる方向もわかるよね
他にも最近の地図アプリでは向いてる方向もわかったりします。
この扇状のやつですね。
この向いている方向は移動方向と地磁気センサを使って推定されていると思われます。
地磁気センサはいわゆるコンパスです。
節分の時期に使う人もいるのではないでしょうか。
これで端末がどの方角を向いているかわかるので、後は地図情報と組み合わせるとユーザの向いている方向もわかります。
おわりに
このように皆さんが普段から使ってるマップアプリにも高度な位置推定技術が使われています。
ぜひ一度その技術について知ってみてください。
屋外での位置推定はGPSを使えば高精度に行えますが、GPSの使えない屋内推定は非常に困難です。
屋内で特定の電波やアクションで位置情報を推定する”絶対的”な位置推定や、
加速度や角速度、気圧を使って歩いた距離や角度、高度を計算する”相対的”な位置推定などを駆使して屋内推定は行われます。
もしよければ”PDR 位置情報”や”xDRチャレンジ”などで検索してみてください。
Discussion