🐍

Claude Code Sub-Agents入門 - 4つのAIエージェントを並列実行してDiscord MCPを作った話

danielvo

2025/12/06に公開

Discord

Model Context Protocol

 はじめに最近、Claude CodeにSub-Agents（サブエージェント）という機能があることを知りました。これは特定のタスクに特化したAIアシスタントを作成し、並列で実行できる機能です。
今回はこのSub-Agentsを活用して、Discord APIを操作するMCPサーバーを自作してみました。CursorやClaude DesktopからDiscordを対話式に操作できるようになります。
この記事では以下について解説します：
Sub-Agentsの概要とSkillsとの違い
サブエージェントの作成方法
実際の開発でSub-Agentsをどう活用したか
完成したDiscord MCPの紹介

 対象読者・前提条件対象読者：
Claude Codeを使っている方
Sub-Agentsに興味がある方
MCPサーバーを自作してみたい方
前提条件：
Claude Code（CLI版）の基本的な使用経験
PythonまたはTypeScriptの基礎知識
MCPの概念を知っている（知らなくても大丈夫）

 環境Claude Code v2.0.1
Python 3.11+
FastMCP 2.0.0+

 Sub-AgentsとはSub-Agentsは、Claude Codeの中で特定のタスクを担当する専門化されたAIアシスタントです。
主な特徴：

独立したコンテキスト: 各サブエージェントは独自のコンテキストウィンドウを持つ

並列実行: 複数のサブエージェントを同時に実行可能

ツール制限: エージェントごとに使用できるツールを制限できる

モデル選択: sonnet、haiku、opusなどモデルを指定可能

 Sub-AgentsとSkillsの違いClaude Codeには「Sub-Agents」と「Skills」という2つの拡張機能があります。似ているようで、目的が異なります。


観点
Sub-Agents
Skills


目的
特定タスクを別コンテキストで実行
知識・手順の提供

コンテキスト
独立（メインと分離）
共有（メインに読み込まれる）

並列実行
○ 可能
× 不可

実行方式
別のClaudeインスタンスが動く
情報としてClaudeに渡される

利用可能範囲
Claude Codeのみ
Claude Code、Claude.ai、API


 使い分けの指針Skillsを使うべき場面：
コーディング規約を守らせたい
プロジェクト固有のルールを定義したい
特定の知識・手順を提供したい
Sub-Agentsを使うべき場面：
別コンテキストで調査・作業させたい
並列で複数タスクを実行したい
MCPツールを特定タスクだけに使わせたい
今回のDiscord MCP開発では、技術調査やコードレビューを並列で行いたかったので、Sub-Agentsを選択しました。

 作成したSub-Agents今回の開発用に4つのProject agentsを作成しました。


作成したサブエージェント一覧。User agentsとProject agentsが分けて表示される

 1. mcp-expertMCP（Model Context Protocol）の仕様・実装パターンを調査するエージェント。
---
name: mcp-expert
description: MCPの仕様、実装パターン、ベストプラクティスを調査。MCPサーバー開発時に使用。
tools: Read, Grep, Glob, Bash, WebSearch, WebFetch
model: sonnet
---
FastMCPの最新実装方法や、MCP公式仕様を調べてくれます。

 2. discord-api-expertDiscord APIの専門家エージェント。
---
name: discord-api-expert
description: Discord API、discord.py、discord.jsの専門家。Discord連携機能の実装時に使用。
tools: Read, Grep, Glob, Bash, WebSearch, WebFetch
model: sonnet
---
REST API仕様、Rate limiting、Intents設定などDiscord特有の知識を持っています。

 3. security-reviewerセキュリティ観点でのコードレビュー専門エージェント。
---
name: security-reviewer
description: セキュリティ観点でのコードレビュー。トークン管理、認証、脆弱性を確認。
tools: Read, Grep, Glob, Bash
model: sonnet
---
トークンのハードコード、環境変数の使用、入力バリデーションなどをチェックします。

 4. test-runnerテスト実行と失敗修正を担当するエージェント。
---
name: test-runner
description: テストの実行と失敗時の修正。コード変更後に使用。
tools: Read, Edit, Bash, Grep, Glob
model: sonnet
---
pytestを実行し、失敗があれば原因を分析して修正してくれます。

 サブエージェントの作成方法
 /agents コマンド（推奨）Claude Code内で /agents と入力すると、対話的にサブエージェントを作成・管理できます。


mcp-expertの作成確認画面。Description、Tools、Model、System promptが表示される

 入力画面

discord-api-expertの作成画面。日本語でも入力可能
以下の項目を入力します：

name: エージェント名（英数字とハイフン）

description: いつ使うかの説明（Claudeがこれを見て判断）

tools: 使用可能なツール（省略すると全ツール）

model: 使用するモデル（sonnet、haiku、opus、inherit）

System prompt: エージェントの役割・振る舞いの定義

 作成完了

作成後の確認画面。保存するとすぐに利用可能
sキーまたはEnterで保存すると、すぐに利用可能になります。

 Markdownファイルで直接作成/agentsを使わず、Markdownファイルを直接作成することもできます。
ユーザーレベル（全プロジェクト共通）:
~/.claude/agents/agent-name.md
プロジェクトレベル（そのプロジェクトのみ）:
.claude/agents/agent-name.md

 Discord MCP開発の実践
 技術調査（並列実行）仕様書をClaude Codeに渡すと、まずタスクを整理してくれました。
そして注目すべきは、2つのサブエージェントが並列で技術調査を開始したことです。


mcp-expertとdiscord-api-expertが同時に調査を実行している様子
画面を見ると：

Task: FastMCP implementation research — mcp-expertが担当

Task: Discord API specifications research — discord-api-expertが担当
2つのTaskが同時に動いています。それぞれが独立したコンテキストでWeb検索やドキュメント調査を行い、結果をメインのClaudeに返しています。
Todoリストも自動で作成され、調査タスクに✅がついていきます：
✅ FastMCPの最新実装パターンを調査（mcp-expert）
✅ Discord REST API認証・Rate limit仕様を確認（discord-api-expert）
□ プロジェクト初期化
□ Discord APIクライアント実装
...
この並列実行により、通常なら順番に行う調査が同時に完了し、開発スピードが大幅に向上しました。

 各エージェントによるレビュー実装完了後、4つのサブエージェント全員にリポジトリをレビューしてもらいました。


4つのサブエージェントが順番にレビューを実行。それぞれの完了時間とツール使用回数が表示される
各エージェントの実行結果：


エージェント
タスク
ツール使用
トークン
時間


mcp-expert
MCP実装レビュー
13回
40.3k
3m 57s

discord-api-expert
Discord API統合レビュー
13回
42.8k
2m 52s

security-reviewer
セキュリティレビュー
17回
45.1k
1m 54s

test-runner
テスト実行・分析
31回
43.2k
4m 3s

それぞれが独立したコンテキストで動作し、専門的な観点からレビューしてくれます。
MCP Expert の発見事項:
✅ FastMCP 2.0+の適切な使用
✅ 非同期設計とエラーハンドリング
💡 改善点: 型ヒントの強化、エラーレスポンス形式の統一
Discord API Expert の発見事項:
✅ Discord API v10使用
✅ レート制限実装、バリデーション充実
⚠️ 重要な問題: レート制限処理の競合状態
Security Reviewer の発見事項:
トークン管理の確認
入力バリデーションのチェック
情報漏洩リスクの評価
Test Runner の発見事項:
テストの実行と結果分析
カバレッジの確認
失敗テストの修正提案
このように、1つのプロンプトで4つの専門家に同時にレビューを依頼できるのがSub-Agentsの強みです。

 実装〜完成技術調査とレビューの結果を踏まえて、Claude Codeが実装を進めていきます。


実装完了後の画面。プロジェクト構造と実装済みツールが表示される
最終的に以下の構成で完成しました：
discord-manage-mcp/
├── src/discord_mcp/
│   ├── __init__.py          # パッケージ初期化
│   ├── server.py            # MCPサーバーエントリポイント
│   ├── tools.py             # MCPツール定義
│   ├── discord_client.py    # Discord REST APIクライアント
│   ├── models.py            # Pydanticデータモデル
│   └── validators.py        # 入力バリデーション（セキュリティ対策）
├── tests/
│   ├── test_discord_client.py
│   └── test_tools.py
├── pyproject.toml           # プロジェクト設定
├── .env.example             # 環境変数テンプレート
└── .gitignore               # Git除外設定

 完成したDiscord MCP
 実装されたツールPhase 1（基本機能）:


ツール
説明


send_message
メッセージ送信（Embed対応）

get_messages
メッセージ取得

list_channels
チャンネル一覧取得

add_reaction
リアクション追加

Phase 2（拡張機能）:


ツール
説明


create_thread
スレッド作成

get_guild_members
メンバー一覧取得

search_messages
メッセージ検索


 セキュリティ対策security-reviewerの指摘を反映して、以下の対策を実装しました：
Snowflake ID形式のバリデーション
入力値の長さ制限・サニタイズ
Rate limitヘッダーのエラーハンドリング
エラーメッセージの情報漏洩防止

.gitignoreによる認証情報の保護

 動作確認Cursorから実際にDiscord MCPのテストを実行してみました。


全てのテストが成功。チャンネル一覧取得、メッセージ送信、メッセージ取得が正常に動作
テスト結果：


機能
結果


チャンネル一覧取得
✅ 成功（13チャンネル取得）

メッセージ送信
✅ 成功（mcp-testチャンネルへ送信）

メッセージ取得
✅ 成功（最新メッセージ確認）

Cursorを再起動すると、以下のMCPツールが使えるようになります：

mcp_discord-mcp_send_message - メッセージ送信

mcp_discord-mcp_get_messages - メッセージ取得

mcp_discord-mcp_list_channels - チャンネル一覧

mcp_discord-mcp_add_reaction - リアクション追加

mcp_discord-mcp_create_thread - スレッド作成

mcp_discord-mcp_get_guild_members - メンバー一覧

mcp_discord-mcp_search_messages - メッセージ検索

 使い方1. セットアップ:
# クローン
git clone https://github.com/danielvo594520/discord-manage-mcp.git
cd discord-manage-mcp

# 依存関係インストール
uv sync

# 環境変数設定
cp .env.example .env
# .envにDISCORD_BOT_TOKENを設定
2. MCP設定（Claude Desktop）:
claude_desktop_config.json
{
  "mcpServers": {
    "discord-mcp": {
      "command": "uv",
      "args": ["run", "--directory", "/path/to/discord-manage-mcp", "discord-mcp"],
      "env": {
        "DISCORD_BOT_TOKEN": "your_bot_token",
        "DISCORD_DEFAULT_GUILD_ID": "your_default_guild_id"
      }
    }
  }
}
3. MCP設定（Cursor）:
.cursor/mcp.json
{
  "mcpServers": {
    "discord-mcp": {
      "command": "uv",
      "args": ["run", "--directory", "/path/to/discord-manage-mcp", "discord-mcp"],
      "env": {
        "DISCORD_BOT_TOKEN": "your_bot_token",
        "DISCORD_DEFAULT_GUILD_ID": "your_default_guild_id"
      }
    }
  }
}

 まとめClaude Code Sub-Agentsを使ってDiscord MCPサーバーを自作しました。

 Sub-Agentsの活用ポイント
並列実行が強力: 技術調査を同時に行うことで開発スピードが向上

専門性の分離: mcp-expert、discord-api-expertのように役割を分けることで精度向上

セキュリティレビューの自動化: security-reviewerで脆弱性を早期発見

コンテキスト分離: メインの会話を汚さずに調査・作業ができる

 Skills との使い分け
Skills: 知識・ルール・手順の提供（コーディング規約など）

Sub-Agents: 独立した作業の並列実行（調査、レビュー、テストなど）
両方を組み合わせることで、より効率的な開発ワークフローが構築できます。

 今後の展望TRPGツール用のMCPサーバー開発にも活用予定
Slack API専門のサブエージェント（既に作成済み）との連携
Sub-Agentsは、複雑なプロジェクトを効率的に進めるための強力なツールです。ぜひ試してみてください。

 参考リンク

観点	Sub-Agents	Skills
目的	特定タスクを別コンテキストで実行	知識・手順の提供
コンテキスト	独立（メインと分離）	共有（メインに読み込まれる）
並列実行	○ 可能	× 不可
実行方式	別のClaudeインスタンスが動く	情報としてClaudeに渡される
利用可能範囲	Claude Codeのみ	Claude Code、Claude.ai、API

エージェント	タスク	ツール使用	トークン	時間
mcp-expert	MCP実装レビュー	13回	40.3k	3m 57s
discord-api-expert	Discord API統合レビュー	13回	42.8k	2m 52s
security-reviewer	セキュリティレビュー	17回	45.1k	1m 54s
test-runner	テスト実行・分析	31回	43.2k	4m 3s

ツール	説明
`send_message`	メッセージ送信（Embed対応）
`get_messages`	メッセージ取得
`list_channels`	チャンネル一覧取得
`add_reaction`	リアクション追加

ツール	説明
`create_thread`	スレッド作成
`get_guild_members`	メンバー一覧取得
`search_messages`	メッセージ検索

機能	結果
チャンネル一覧取得	✅ 成功（13チャンネル取得）
メッセージ送信	✅ 成功（mcp-testチャンネルへ送信）
メッセージ取得	✅ 成功（最新メッセージ確認）

リバナレテックブログPublication

使い倒せ、テクノロジー。（MAX OUT TECHNOLOGY）をミッションに掲げる、株式会社リバネスナレッジのチャレンジを共有するブログです。Buld in Publichの精神でオープンに綴ります。 Qiita：qiita.com/organizations/leaveanest

はじめに

対象読者・前提条件

環境

Sub-Agentsとは

Sub-AgentsとSkillsの違い

使い分けの指針

作成したSub-Agents

1. mcp-expert

2. discord-api-expert

3. security-reviewer

4. test-runner

サブエージェントの作成方法

/agents コマンド（推奨）

入力画面

作成完了

Markdownファイルで直接作成

Discord MCP開発の実践

技術調査（並列実行）

各エージェントによるレビュー

実装〜完成

完成したDiscord MCP

実装されたツール

セキュリティ対策

動作確認

使い方

まとめ

Sub-Agentsの活用ポイント

Skills との使い分け

今後の展望

参考リンク

Discussion