Claude Code Web版 - スマホで指示、帰宅後に完成する開発の未来
Claude Code Web版 - スマホで指示、帰宅後に完成する開発の未来
はじめに
2025年10月20日、Anthropicが「Claude Code Web版」をリリースしました。これまでターミナルでのみ利用可能だったClaude Codeが、ついにブラウザから直接使える時代が来たのです。
筆者は、このweb版を使ってQ-Learningの迷路問題をStreamlitで実装してみました。開発スタイルが大きく変わる可能性を感じる一方で、いくつかの制限や課題も見えてきました。
この記事では、実装を通じて感じたClaude Code Web版の実用性、メリット・デメリット、そしてMCP設定での注意点をまとめます。
対象読者と前提条件
本記事は以下の方を想定しています。
- Claude Code(CLI版)の使用経験がある方
- Claude Pro / Maxプランのユーザー
- 開発効率を高めたい方
- Claude Code Web版を試してみたい方
前提知識として、GitHub、npm、基本的なコーディング知識があると理解しやすいです。
Claude Code Web版とは
基本情報
Claude Code Web版は、Anthropicが管理するクラウドインフラ上で実行されるAIコーディングエージェントです。
特徴をまとめると以下のとおりです。
項目 | 詳細 |
---|---|
アクセス |
claude.ai/code または claude.com から「Code」タブ |
動作環境 | Anthropic管理のクラウドサンドボックス |
複数実行 | 複数のタスクを同時実行可能 |
料金 | Pro / Maxプランに含まれる |
CLI版との主な違い
CLI版(ターミナル):
- ローカル開発環境で実行
- 最大限のカスタマイズが可能
- 複数タスクは順次処理
Web版(ブラウザ):
- クラウドサンドボックスで実行
- セキュリティが強化されている
- 複数タスクの並列実行可能
実装してみたプロジェクト
プロジェクト概要
筆者はweb版を使って、以下のプロジェクトを実装しました。
Q-Learningデモアプリケーション
- 迷路問題を解く強化学習エージェント
- Streamlitを使用したWeb UI
- Python 3.11 + NumPy + Matplotlib
このプロジェクトでは、環境構築からUI実装まで、Claude Code Web版に大部分を任せました。
仕様書をClaude Code Web版で作成して実装に活用
実装の流れ
Claude Code Web版に指示を出すと、自動的に環境構築から実装まで進めてくれます。
実装処理が進行中の様子
Streamlitアプリケーションの実行画面
完成したアプリケーション
実装が完了すると、Q-Learningによる迷路の最適ルート探索を可視化できるアプリケーションが完成しました。
完成したQ-Learningデモアプリケーション
エージェントが学習した最適ルート
学習過程の統計情報
今回実装したプロジェクトのソースコードは、GitHubで公開しています。
Claude Code Web版の使い心地
メリット:複数タスクの並列実行
Web版では複数のコーディングタスクを同時に実行できます。
例えば、以下のような場面で効果的です。
- リポジトリAでバグ修正
- リポジトリBで新機能実装
- 複数の修正を同時進行
デメリット:細かいコード確認が限定的
ブラウザ版での作業には制限があります。詳細なコード内容の確認やデバッグが難しいという点が考えられます。
以下のような作業が必要な場面では、やはりCLI版がおすすめです。
- 複雑なエラーメッセージの詳細確認
- コード構造全体の理解と修正
- デバッグ時の変数確認
デメリット:複雑なトラブルシューティングに向かない
MCP設定のエラー対応など、複雑な問題の解決が難しいと考えられます。
以下のような場合はCLI版でのローカル実行が効果的です。
- MCP設定のエラー対応
- 型エラーの複雑な修正
- パフォーマンス問題の調査
MCP設定での気を付けるポイント
Claude Code Web版でMCPサーバーを設定する際、筆者はパッケージ名のミスで失敗してしまいました。
試行錯誤の結果、最終的にはMCPの設定に成功しました。
MCPサーバーが正常に動作している様子
実は、同じMCP設定をCursorで試した時はサッと設定できたんですよね。Cursorは設定周りがかなり親切な印象です。Claude Code Web版はリサーチプレビュー版なので、今後の改善に期待します。
推奨される使い分け
実装を通じて、CLI版とWeb版の使い分けが重要だと気づきました。
Web版が活躍する場面
- 簡単なバグ修正
- 小さな機能追加
- 複数リポジトリの並列作業
- 進捗確認
CLI版がおすすめな場面
- 本格的な機能開発
- 複雑なコード確認が必要な場合
- MCP設定の詳細な設定
- ローカル開発環境の構築
- パフォーマンス最適化
ブラウザ版があるため、ローカルにClaude Code環境を構築する必要がなくなったのは、大きなメリットです。
セキュリティとサンドボックス
Claude Code Web版はセキュリティを重視して設計されています。
隔離環境での実行
すべてのタスクは以下の制限がある隔離されたサンドボックス環境で実行されます。
- ネットワークアクセスの制限
- ファイルシステムアクセスの制限
- GitHubアクセスは安全なプロキシ経由
この仕様のため、以下のことが保証されます。
- Claudeが許可されたリポジトリのみにアクセス
- 認証情報が保護される
- 意図しないアクセスを防止
ハマりそうなポイント
レート制限に注意
Claude ProやMaxプランには使用量の制限があります。
中規模なプロジェクトでは制限の40%程度を消費するという報告もあります。以下のような作業で制限に達しやすいと考えられます。
- デザインの修正
- 複数の機能追加
- バグ修正
- パフォーマンス改善
5時間ごとにリセットされるため、
大規模プロジェクトは計画的な実行が必要です。
MCP活用のベストプラクティス
1. 信頼できるソースから情報を取得
- npm レジストリで直接確認
- GitHub公式リポジトリ
- 公式ドキュメント
2. 必ず事前検証を行う
設定前に以下を確認します。
# 複数の方法で確認
npm view パッケージ名
npm search キーワード
git clone リポジトリURL
3. セキュリティを考慮
- API キーは環境変数で管理
- ファイルシステムアクセスの範囲を限定
- 必要最小限の権限のみ付与
スキルと自動化のポイント
Claude Code Web版では、スキル機能も活用できます。
スキルとは
Claude Skills は、AI に専門知識や組織的な文脈を事前に与えるための仕組みです。再利用可能なナレッジとして機能します。
実装時に感じたことは、スキルを活用することで以下が可能になるということです。
- 開発パターンの自動化
- プロジェクト固有の知識の共有
- チーム間での標準化
Claude Skillsについては、以前詳しく記事を書きましたので、興味がある方はこちらもご覧ください。
まとめ
Claude Code Web版は、開発スタイルを大きく変える可能性を持つツールです。
本記事で説明したポイント:
- ブラウザからのアクセスが便利 - 進捗確認や軽い修正に最適
- 複数タスクの並列実行が強力 - 複数リポジトリでの作業効率が向上
- コード確認はCLI版がおすすめ - 複雑なコード検証にはCLI版が必須
- MCP設定には注意が必要 - パッケージ存在確認が重要
- セキュリティが強化されている - サンドボックス環境で安全に実行
個人的な感想としては、Web版とCLI版を使い分けることで、開発効率がかなり向上すると感じました。特に、外出先からの軽い修正指示と、家での本格的な開発の組み合わせは、これまでにない働き方を実現します。
将来的には、スマホ片手で「このバグ直しといて」と気軽に指示を出して、AIがサクッと実装してくれる…そんな日常が本当にやって来そうです。移動中にお願いして、家に帰ったらもう完成、なんて時代も近いかもしれない。
ただし、MCP設定など細かい設定が必要な場合は、やはりPC版での丁寧な作業が重要です。
Claude Code Web版とCLI版の両方を上手く使いこなすことで、AIを活用した開発の新しい形が見えてくるのだと思います。
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