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Difyとn8n、どっちを使うか?
はじめに
現段階のDifyとn8nの比較、使い分けを書いてみます。あくまで個人的な所感が多分に含まれるので、参考程度にご覧ください。
結論(先に)
- Dify: 既存システムへの埋め込みや、RAG/エージェントの構築に強いです。組み込み用のチャットUIが用意されており、会話履歴・セッション管理もしやすいです。日本語のドキュメントが豊富にあるので、情報収集が容易です。
- n8n: ノーコード/ローコード時代からの豊富なノード資産があり、ワークフロー起点でAIを組み込みやすいです。公開用のチャットUIは用意できますが、ChatGPTのような高度なUIは自前実装が基本です。認証や外部サービスの資格情報はワークフロー/クレデンシャル単位で設計・管理しやすいです。
使い分けの目安
- プロダクトにAIチャットやRAG機能を「埋め込み」たい → Dify
- SaaSやDB、レガシー/社内システム連携の「自動化基盤」にAIを載せたい → n8n
- 会話ログや評価・トレースまで含めてAIチャットアプリを運用したい → Dify
- 多数の外部API/イベントをトリガーにした業務オーケストレーション → n8n
機能比較表
| 項目 | Dify | n8n |
|---|---|---|
| 主な用途 | AIチャット/RAGの埋め込み、AIアプリ運用 | 業務自動化、SaaS/DB連携 |
| チャットUI | 組み込み用の高機能UIを提供 | 限定的なUI。高度なものは自前実装 |
| RAG機能 | 標準で強力な機能を提供 | 外部DBとの連携で実現 |
| コミュニティ | 日本語情報が豊富 | グローバルで活発 |
| 価格モデル | クラウド版、セルフホスト | クラウド版、セルフホスト |
Difyのポイント
-
組み込み用チャットUIとセッション: 公式の埋め込み手順が整っており、
user_idやconversation_idを渡して会話を紐づけられます(<script>/<iframe>両対応)。 - RAG/エージェント/ワークフローが最初から揃う: ナレッジ(RAG)管理、ビジュアルワークフロー、エージェント機能が統合されており、少ない手数で実運用に載せやすい構成です。
- 観測性・評価との連携: トレーシングや外部の評価基盤(例: Langfuse)との連携情報が公開されており、改善ループを回しやすいのも利点です。
n8nのポイント
- ワークフローベースのAI統合: 400+の統合や豊富なノードにより、LLM/ベクタDB/外部API/DB/通知などを一つのフローでつなぎやすいです。近年は「AI Agent」や複数LLMを切り替えるノードなど、AIまわりの強化も進んでいます。
- チャットUIの公開は可能、ただし高度UIは自前で: チャット系のトリガー/UIを公開できますが、本格的なチャット体験を作り込む場合はフロントエンドやプロキシを組み合わせる設計が現実的です。
- 認証・資格情報の見通しが良い: 外部サービスのクレデンシャルやWebhook/JWT/HMACなどを自分のドメインに合わせて設計しやすく、既存のユーザー管理やSaaS認証と組み合わせた運用がしやすいです。
導入・評価の進め方
- 基本的には両方を併用するのが理想です。得意分野が異なり、実務では補完関係になります。非定型業務サポートはDify、定型業務サポートはn8nで利用するのが良いでしょう。
- まず一つ試すならDify が手軽です。クラウドの無料枠で素早く評価できます。
- セルフホスティングで軽く試すならXserverを用いると、ほぼ難しいことをしなくてもDify、n8nどちらも簡単に構築できます。
- 定型業務が説明できるならn8n が良いでしょう。$1/回以下の業務なら、n8nでワークフロー実装すると、高い効果が得られると思います。
おわりに
両者は「重なる」部分もありますが、設計思想は異なります。プロダクトへのAI機能の埋め込みやRAG/エージェントの運用が主目的ならDify、業務オーケストレーションの中心にAIを置きたいならn8n、という住み分けが実務ではしっくり来ると感じています。
参考
- Dify Docs: Webサイト埋め込み(チャットUI・セッション): Embedding In Websites - Dify Docs
- Dify 公式ブログ(プロダクトアップデート・運用連携): Dify Blog
- n8n Docs: AIワークフロー入門: Tutorial: Build an AI workflow in n8n
- n8n 公式ブログ: LLM Agents解説: Your Practical Guide to LLM Agents in 2025
- n8n コミュニティ(Chat UI 公開の話題): How to make a chat public available in self-hosted n8n?
- 設計の参考(複数ユーザー・認証/プロキシ設計): I Deployed a Secure Multi-User AI Agent in n8n
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