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[SORACOM]ソラカメによる施設管理の費用対効果について考える

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はじめに

ソラカメの事例を見て、なんとなくどのくらいの費用対効果が期待できるかを考えてみました。
とりあえずわかりやすくするために、事例として多く見られる施設管理を対象とし、以下の課題を想定してみます。

  • 人手不足: 拠点数に対して点検要員が不足
  • 移動コストの増大: 多拠点・遠隔地への巡回・駆けつけが固定費を圧迫
  • トラブル対応の遅れ: 現地確認前提のワークフローで初動が遅延
  • 属人化: 目視・紙記録中心でナレッジが分散

本記事では、低コストでクラウド録画を実現するソラカメを施設管理に導入した際の具体的な費用対効果を、実運用を想定した前提で整理します。多拠点・遠隔地のユースケースをもとに、工数削減効果を時間・金額で試算し、投資回収期間をまとめてみます。

注意事項

あくまで試算であり、部材も環境によって異なるため、基本的にはこの試算よりも多めに見積もる必要があります。もしこれを外注する場合は、別途工事費や設置箇所によっては設計・製造費なども発生するため、この限りではありません。屋外でない限りは設置も容易なので、ある程度は社内で行うと良いと思います。

各社ごとに価格やサービスが異なるため、あくまで参考程度にご覧ください。

課題の分解

「はじめに」で挙げた課題をもう少し分解し、想定される効果も併せて整理します。

  • 移動・出張コスト: 定期巡回や緊急駆けつけが恒常的な負担です。遠隔監視により物理移動を大幅に削減できます。
  • 監視・点検の非効率: 目視や紙記録は非効率で、分析が難しいです。映像を客観記録として残すことで属人化を抑止できます。
  • 運用負荷・複雑性(DXの障壁): 詳細なサーバー・ストレージ・ネットワークの設計は不要です。AI活用や外部連携もローコードで実現でき、ソラカメビューワーで運用負荷を最小化できます。

費用構造の徹底分析

ケースA:電源あり環境(標準・安価モデル)

屋内や電源が確保された屋外など、最も導入しやすい環境を想定。室内であれば、ルーターを用意する必要もないケースがほとんどですが、ネットワークは問題になりやすいので、最悪ケースとして必ず必要なものとしています。

費用項目 概算 内訳
初期費用 約2.9〜3.9万円 カメラ本体(約4,000円)+ ルーター(約2〜3万円)+ 付帯費用(約5,000円)
ランニング(月額) 2,160円〜 クラウド常時録画ライセンス(30日間プラン)

重要: クラウド常時録画ライセンスには、カメラ1台あたり「月72時間の録画視聴可能時間」が含まれます。長時間の分析や多人数視聴が想定される場合は超過料金に注意してください。

ケースB:独立型電源が必要な環境(高コストモデル)

電源がない遠隔地(建設現場、インフラ設備など)を想定。独立電源は、無日照時間をどの程度考慮するかによって値段が変わりますが、だいたい3~7日程度で考えると良いと思います。

費用項目 概算 内訳
初期費用 約22.9〜25.9万円 カメラ本体(約4,000円)+ ルーター(約2〜3万円)+ 付帯費用(約5,000円)+ 独立電源(約20万円)
ランニング(月額) 2,160円〜/台 クラウド常時録画ライセンス(台数に応じて積み上げ)

最大のメリット

ソラカメの導入効果は、導入・運用のシンプルさに支えられています。

  • 極めて低い設計難度: NASベースの監視(例: Synology)と異なり、サーバー/ストレージ/複雑なNW設計が不要。IT部門の負荷とリードタイムを大幅削減。
  • AI/データ連携のローコード化: SORACOM Fluxを使い、コードレスにAI機能追加やデータ転送を設定可能。高度な開発スキル不要。
  • 柔軟な増減設: 台数単位で容易にスケール。クラウド集約により拠点追加も迅速。
  • 容易な初期設定: 室内設置であればWi‑Fi設定が簡便。現場担当でも導入可能。

ソラカメビューワー

  • 現在は追加費用なしで利用可能。多台数運用における「映像探しの工数」を最小化。
  • シンプルUIと「ビュー」機能: 担当や業務で映像をグルーピング/保存。検索時間を大幅短縮。

事例分析

人件費単価を「3,000円/時間」として試算します。

ケース1

  • 導入前提: ケースA(電源あり)、カメラ60台、ルーター60台。巡回を90%削減、映像確認は月20時間。
  • 初期費用合計: 約204万円
  • 年間ランニングコスト: 約155.52万円(2,160円 × 60台 × 12ヶ月)
  • 年間削減効果: 約1,080時間(約324万円)
    • 60拠点 × 月1回の巡回(1時間/回)を90%削減 → 月54時間削減 → 年648時間
    • 遠隔からの映像確認により、トラブル対応などで発生していた追加の現地移動を削減(月20時間)→ 年240時間
    • ほか付随効率化(調整・報告等の短縮)を仮に年192時間と仮定
  • 投資回収期間: 約15ヶ月
  • 結論: 台数が増えても運用コストは低位に保て、巡回コストの削減により約1年強での回収が見込めます。

ケース2

  • 導入前提: ケースB(独立電源)、単一遠隔拠点、カメラ3台、ルーター1台。月3回の立ち会いを75%削減。
  • 初期費用合計: 約65〜68万円(3台分の電源・架台を含む。ルーターは拠点内で共有)
  • 年間ランニングコスト: 約7.8万円(2,160円 × 3台 × 12ヶ月)
  • 年間削減効果: 約270時間(約81万円)
    • 月3回 × 8時間/回 × 75%削減 → 月18時間削減 → 年216時間
    • 付随業務の短縮・調整工数の圧縮等を年54時間と仮定
  • 投資回収期間: 約11ヶ月
  • 結論: 独立電源の初期費を含めても、遠隔地の出張コスト削減により約1年程度での回収が見込めます。

おわりに

ソラカメは単なる「監視カメラ」ではなく、現場の解像度を上げ、人手を削減し、AI活用までローコードで実現するDXツールです。導入の柔軟性、運用容易性、そしてソラカメビューワーによる運用負荷の極小化は、人件費・移動コストという最大の固定費を削減する強力な武器になります。

まずは電源ありの環境にて自分でカメラを設置し、小規模にスタートし、費用対効果と運用の容易さを確認して拡張していくことが良いと思います。

繰り返しになりますが、本稿の数値はあくまで試算です。部材や設置環境によって変動するため、基本的には本試算よりも多めに見積もってください。外注の場合は工事費や設計・製造費が別途発生するケースもあります。屋外でない限り設置は比較的容易なため、内製も選択肢として検討すると良いと思います。

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