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マニュアル作成用の「バニラな作業環境」を作りたい

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これは Livesense Advent Calendar 2025 DAY 16 の記事です。

はじめに

こんにちは。tkymaと申します。
リブセンスでは情報システムグループで、社内のIT環境の改善や効率化に取り組んでいます。
特に最近は、セキュリティ強化やSaaSの導入・検証に力を入れています。

情シスの業務として、新しいソフトウェアやOSバージョンを検証したり、導入・操作マニュアルを作る機会が多くあります。
しかし、いつも地味ながらも悩ましい「あるある」がつきまといます。

  • 手順書に自分のアカウントや余計なアプリが映り込んでしまう
  • テストでインストールしたら2回目以降は設定の残骸が残っていたりして初回と同じ画面にならない
  • メインPCの設定をカスタムしていて、ユーザー環境と画面が異なってしまう
    (Macのターミナルあたりは手順書向きではなくなっていることがよくあります)

そんな時、「常に初期状態の、真っさらな環境」 が欲しくなりますが、そのために検証用のPCを準備したり、IaaSでVMを作成したりするのはちょっと大変です。
(私個人であれば逸般の誤家庭なので仮想基盤とか転がっていたりするのですが……)

そこで、Windows/Macそれぞれの標準機能をベースにお手軽に仮想環境を作る方法のご紹介です。

【Windows】 Windows Sandbox

Windows Sandboxは、Windows 10 Pro/Enterprise/Education以降に標準搭載されている機能です。DockerやVMwareといった仮想化ソフトは一切不要で、誰でも手軽に利用できます。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/security/application-security/application-isolation/windows-sandbox/

準備

Windows Sandbox機能はデフォルト「オフ」のため、
「Windowsの機能の有効化または無効化」から
「Windows Sandbox」にチェックを入れて有効化します。

自動的にインストールが始まるので、PCを再起動したら準備完了です。

使い方

スタートメニューから「Windows Sandbox」と検索して起動します。

すぐにまっさらなWindows環境がウィンドウとして立ち上がります。

ファイルはホストOSとクリップボードを共有可能なので、コピー&ペーストでやり取りすることができます。
検証が完了したら、「×」ボタン終了するだけで環境が破棄されるため、余計な残骸も残りません。

【Mac】 Virtualization Framework + tart

Macには公式にVirtualization Frameworkという仮想化フレームワークが提供されていますが、
https://developer.apple.com/documentation/virtualization
Xcodeでビルドしたりと少し手間がかかるので、オープンソースのtartをお借りします。
https://github.com/cirruslabs/tart

準備

tartのインストール(Homebrewのインストール方法は割愛)

brew install cirruslabs/cli/tart

使い方

必要なmacOSのブートストラップイメージを取得。

tart clone ghcr.io/cirruslabs/macos-sonoma:latest sonoma-base

色々なイメージが公開されているので必要な物を選択できます。

仮想マシンを起動。

tart run sonoma-base

すぐにまっさらなmacOS環境がウィンドウとして立ち上がります。

黒や透明じゃないピュアなあの頃の白いターミナルを拝むことができます。

※その他にもUbuntuや下位バージョンのmacOSを実行することができます。

ファイルの持ち込み

クリップボードの共有はできません。
その代わりに仮想マシンを実行する際にディレクトリのマウントが可能です。

tart run --dir=project:~/src/project sonoma-base

リセット方法

Windows Sandboxと違い、こちらは仮想環境上のデータが保持されます。
再度まっさらな環境が必要になった場合は、仮想マシンの削除→再作成→起動が必要です。

仮想マシンを削除。

tart delete sonoma-base

仮想マシンを再作成。(既にダウンロード済みであれば、ローカルイメージが利用されます)

tart clone ghcr.io/cirruslabs/macos-sonoma:latest sonoma-new

仮想マシンを起動。

tart run sonoma-new

おわりに

どちらの方法も、大がかりな準備を必要とせず、手元のPCで簡単に「まっさらなあの頃の環境」を手に入れることができます。
それぞれ、仮想マシンの一部カスタマイズも可能なので、製品導入や初回設定の確認に限らず様々な用途でも活用可能かと思います。

今回の記事が、日々の検証業務や手順書作りの参考になれば幸いです。

Livesense Engineers

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