WSL で Sui 開発環境を構築する(Sui CLI、Node.js、pnpm)
Windows の WSL(Ubuntu)環境に、Sui ブロックチェーン開発に必要な開発ツールをインストールする手順を、初心者向けに分かりやすく解説します。
この記事でできるようになること
- WSL(Ubuntu)に Sui CLI をインストールする
- NVM を使って Node.js 環境を構築する
- pnpm パッケージマネージャーをセットアップする
前提条件
- Windows 10(バージョン 2004 以降)または Windows 11
- WSL2 と Ubuntu がインストール済み
- Ubuntu ターミナルにアクセスできる状態
Ubuntu ターミナルの起動方法:
- スタートメニューから「Ubuntu」を起動
- または PowerShell で
ubuntuまたはwslを実行
1. Sui CLI のインストール
Sui CLI は、Sui ブロックチェーンの開発に必要なコマンドラインツールです。suiup という専用のインストールツールを使って導入します。
1.1. suiup のインストール
Ubuntu ターミナルで以下のコマンドを実行します。
curl -sSfL https://raw.githubusercontent.com/MystenLabs/suiup/main/install.sh | sh
インストールが完了すると、以下のようなメッセージが表示されます。
Successfully installed suiup to /root/.local/bin/suiup
Warning: /root/.local/bin is not in your PATH
Add the following to your shell profile (~/.bashrc, ~/.zshrc, etc.):
export PATH="/root/.local/bin:$PATH"
1.2. 環境変数の設定
~/.bashrc に PATH を追加します。以下のコマンドを実行してください。
echo 'export PATH="$HOME/.local/bin:$PATH"' >> ~/.bashrc
このコマンドは、~/.bashrc ファイルの末尾に環境変数の設定を追加します。
1.3. 環境変数の読み込み
設定を反映させるため、以下のコマンドで ~/.bashrc を読み込みます。
source ~/.bashrc
1.4. suiup のバージョン確認
suiup が正しくインストールされたか確認します。
suiup --version
バージョン情報が表示されれば成功です。
suiup v0.0.4
1.5. Sui CLI(testnet 版)のインストール
suiup を使って Sui CLI の testnet 版をインストールします。
suiup install sui@testnet
インストールが進むと、以下のような出力が表示されます。
Do you want to set this new installed version as the default one? [y/N]
1.6. インストール確認
以下のコマンドで、Sui CLI が正しくインストールされたか確認します。
sui --version
バージョン情報が表示されれば成功です。
sui 1.x.x-testnet
2. Node.js と npm のインストール
Node.js は JavaScript の実行環境で、Sui の開発で TypeScript SDK を使う際に必要です。NVM(Node Version Manager)を使ってインストールします。
2.1. NVM のインストール
NVM を使う理由:
- 複数の Node.js バージョンを簡単に管理できる
-
sudoを使わずにグローバルパッケージをインストールできる - プロジェクトごとに異なるバージョンを使い分けられる
以下のコマンドで NVM の最新版をインストールします。
curl -o- https://raw.githubusercontent.com/nvm-sh/nvm/$(curl -s https://api.github.com/repos/nvm-sh/nvm/releases/latest | grep -oP '"tag_name": "\K(.*)(?=")')/install.sh | bash
2.2. 環境変数の読み込み
NVM のインストール後、環境変数を読み込みます。
source ~/.bashrc
2.3. NVM のバージョン確認
NVM が正しくインストールされたか確認します。
nvm --version
バージョン情報が表示されれば成功です。
0.40.3
2.4. Node.js LTS 最新版のインストール
LTS(Long Term Support)版は、長期サポートが保証された安定版です。
nvm install --lts
インストールが完了すると、以下のようなメッセージが表示されます。
Downloading and installing node v20.x.x...
Now using node v20.x.x (npm v10.x.x)
2.5. デフォルトバージョンの設定
新しいターミナルを開いたときに、自動的にこのバージョンを使うように設定します。
nvm alias default lts/*
2.6. インストール確認
Node.js と npm が正しくインストールされたか確認します。
node -v
npm -v
それぞれのバージョン情報が表示されれば成功です。
v20.x.x
10.x.x
3. pnpm のインストール
pnpm は、npm の代替となる高速で効率的なパッケージマネージャーです。
3.1. pnpm の特徴
- 高速:並列インストールで npm より高速
- 省ディスク容量:シンボリックリンクを使い、重複インストールを避ける
- 厳密な依存関係管理:より予測可能なビルド
3.2. pnpm のインストール
npm を使って pnpm をグローバルインストールします。
npm install -g pnpm@latest-10
3.3. インストール確認
pnpm が正しくインストールされたか確認します。
pnpm -v
バージョン情報が表示されれば成功です。
10.x.x
よくあるトラブル
コマンドが見つからない(command not found)
問題:
sui --version や nvm --version を実行すると「command not found」と表示される。
原因:
環境変数がまだ読み込まれていない、またはインストールしたシェルと現在のシェルが異なる。
解決方法:
- シェル設定ファイルを再読み込みする
source ~/.bashrc
-
または、新しいターミナルを開く
- PowerShell で
ubuntuまたはwslを実行して Ubuntu を再起動
- PowerShell で
-
それでも解決しない場合、シェルの種類を確認する
echo $SHELL
-
/bin/bashの場合 →~/.bashrcを使用 -
/bin/zshの場合 →~/.zshrcを使用
zsh を使っている場合は、上記の source ~/.bashrc を source ~/.zshrc に置き換えてください。
環境変数が反映されない
問題:
インストールは成功したようだが、コマンドが使えない。
確認手順:
- PATH の確認
echo $PATH
- 以下のパスが含まれているか確認
-
~/.sui/binまたは~/.local/bin(Sui CLI) -
~/.nvm/versions/node/...(Node.js)
まとめ
この記事では、WSL(Ubuntu)環境に Sui 開発に必要な 3 つのツールをインストールしました。
最終確認として、すべてのツールが正しくインストールされているか確認しましょう。
sui --version
node -v
npm -v
pnpm -v
すべてのコマンドでバージョン情報が表示されれば、開発環境の構築は完了です!
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