ChatGPTのAPI✕LINE botのマネタイズ!個人開発のAIサービスを収益化した話
2023年1月からOpenAIの文章生成AIのAPI(text-davinci)を使ったLINE bot「GPT応答AIダヴィンチさん」ですが、お陰様で友達登録数が1000人を突破しました!
その中でマネタイズにもチャレンジしていたのですが、うれしいことに有料プランを利用いただくことができて、売上>経費のマネタイズに成功しています。
金額的には正直しょぼいですが、AIを活用した個人開発のマネタイズ方法の1つとして参考にいただければとアウトプットしたいと思います。
※マネタイズの詳しい数字や決済の実装詳細について動画でもまとめてみました。
LINE bot「GPT応答AIダヴィンチさん」個人開発
2023年1月にLINE bot「GPT応答AIダヴィンチさん」を個人開発しました。
下記のQRコードをまたはリンクから友達追加できます。
ChatGPTを開発したOpenAIが、文章生成AIであるtext-davinciをAPIとして提供していることを知り、なにか作ってみたいと思って個人開発しました。
以前にもAIチャットボットを開発したことがありましたが、OpenAIのAIは応答精度が高く、会話内容が豊富で楽しめるLINE botになりました。
公開から55日でLINE友だち1000人突破!
そんな個人開発したLINE bot「GPT応答AIダヴィンチさん」は、ChatGPTの盛り上がりとともに友だち登録数もグングン伸びて行きました。
以前、写真の英文をOCR高精度和訳するLINE botを個人開発しましたが、その時よりも比べ物にならないスピードで登録数が増え、公開後1ヶ月で友だちが678人になりました。
LINE公式アカウントの認証がないため、Qiitaまたはブログ紹介記事しか導線がありません。
しかし、公開後55日でLINE友だち1000人を超えることができました。
「多くの人が熱中する分野に取り組め」 とよく言われますが、その意味を体感できました。
個人開発のマネタイズで収益化に挑戦!
自分が開発したLINE botの友だちが増えるのはとても喜ばしいことです。
しかし、友だちが増える=OpenAIのAPIの利用料が増えることを意味します。
ChatGPT含めOpenAIのAPIは無料ではないので、コストがかかります。
個人開発サービスは日々のランニングコストに耐えきれず、クローズしてしまう事例がほとんどです。
そこで、持続可能なLINE botにするため、マネタイズに取り組みました。
通常の無料利用では1日3回までの投稿に制限していました。
投稿制限のないフリープランを用意しました。
月300円の有料プランによるサブスクリプションでマネタイズに挑戦しました。
決済サービスは外部サービスを使おう
なお、ユーザーにサブスクリプションを利用してもらうためには決済が必要です。
決済をどのように実装するかは色々なやり方がありますが、決済機能の自作は絶対にやめましょう!
決済情報は悪意ある攻撃者がほしい情報ランキング、毎年ダントツ1位 です。
めちゃくちゃ狙われる上にクレジットカード情報を抜かれれば被害額もうなぎのぼりに高まります。
決済サービスは外部サービス一択です。
Stripeなど便利な決済サービスを使えば、簡単にサブスクリプションサービスを組み込むことができます。
特商法や解約方法などをしっかり整備
またネット上でサービス提供やサブスクリプションを行う場合には、特定商取引法に従う必要が出てきます。
特にサブスクはネット配信などでも多くトラブルが起きています。
特定商取引法に基づく表記や解約方法の連絡窓口などの準備が必要です。
こうした部分も大手の外部決済サービスを使っておけば、キャンセル・解約機能や返金機能もあり、利用者からアピールを受けた時に対応しやすくなっています。
公開20日で有料プランの売上発生
GPT応答AIダヴィンチさんでは、1月10日に公開してなんと月内に有料プランの売上が発生しました。
自分でも「本当に申し込む人いるかな?」と半信半疑で有料プランを用意していたので、とても驚きました。
ただ、価値の感じ方は人によって大きく異なります。
「1日3回まで無料で使えるのに、有料プランなんて使わないよ」と思ってても、申し込んでくれる人もいることがわかりました。
ChatGPTのAPIに変更でコスト削減に成功
サブスクリプションによる売上が出ていても、収支が黒字化しなければ意味がありません。
有料プランの売上があっても、サーバー利用料やAPI使用料で赤字ではサービスが持続可能ではないからです。
LINE bot開発にはGoogle Apps Script(GAS)を利用していたので、インフラは無料で運用しています。
ただ、OpenAIのAPIは2023年2月時点では毎日約0.5$ほど利用料が発生していました。
毎月に換算すると$15ドルで約2000円ほどかかり、売上<経費でした。
そこに光明の一筋が差したのは、3月2日に発表されたChatGPTのAPIです。
ChatGPTのAPIは利用料がtext-davinciの1/10になっています。
API利用モデルの変更で、text-davinciよりも応答性能を高められ、かつAPI利用料を抑えることができました。
個人開発はいかに売上>経費に持ち込むか
個人開発のサービスはいかに経費よりも売上を大きくできるかが肝心です。
売上>経費にするためにやることはシンプルに2つしかありません。
- 売上を上げる
- 経費を下げる
この原則に従い、それぞれに取り組んだ結果、GPT応答AIダヴィンチさんのLINE botは黒字化に成功しました。
正直黒字といってもウハウハというわけではなく、小学生のお小遣いレベルです。
しかし黒字化できていれば、費用負担を理由とした個人開発のクローズを回避できます。
個人開発サービスを持続可能なものにするには、この原則をいかに達成するかが大切と感じています。
終わりに
個人開発したLINE bot「GPT応答AIダヴィンチさん」でマネタイズを行い、売上>経費の黒字化に成功したことを紹介しました。
ChatGPTへの注目から予想よりも多くの友だちを獲得できたことを受け、有料プランを試しに用意してみたところ、売上を発生できました。
ただ、売上があってもサーバー使用料やAPI利用料の経費で赤字になれば、個人開発サービスは続けられません。
そこでChatGPTのAPIに切り替えることでAPI利用料を減らし、売上>経費を実現しました。
自分でもマネタイズできるかやるまでは半信半疑ですが、やってみると上手くいくことがあります。
ChatGPTの流行でAIを活用した個人開発サービスが増えていくと思うので、GPT応答AIダヴィンチさんのマネタイズ事例が参考になれば幸いです。
Discussion
大変興味深く拝見させていただきました。
当方、非エンジニアでして、分かりにくい点ありましたら大変申し訳ないのですが、1点ご質問させていただきたく思います。
ChatGPTのAPI(GPT-3.5 Turbo、GPT-4、GPT-4 Turboなど)はどれを使用されていますか?
当方の理想は下記2点です。
①安価
②2022年1月以降の情報にも回答できる
「GPT応答AIダヴィンチさん」を利用させていただいたところ②を満たしており(2023年12月の事項に回答してくれた)、記事中に「ChatGPTのAPIに変更でコスト削減に成功」との記載があったため①も満たしていると推測し、「GPT応答AIダヴィンチさん」同じAPIを使用したく思った所存です。
微力ですが、大変ためになる記事だったためバッジも贈らせていただきました。
五月雨式に失礼いたします。
素人質問で大変恐縮なのですが、LINE公式アカウントを運営するための費用(https://www.lycbiz.com/jp/service/line-official-account/plan/)は永久に発生しない認識であっていますでしょうか?また、その理由もご教示いただけますと幸いです。
何度も失礼いたしました、バッジを贈らせていただきます。
miyu様
コメントありがとうございます。記事がご参考になったみたいでよかったです。
ご質問いただいた2点について回答させていただきます。
>ChatGPTのAPI(GPT-3.5 Turbo、GPT-4、GPT-4 Turboなど)はどれを使用されていますか?
→GPT-3.5 Turboのモデルを利用しています。OpenAIのテキスト型の生成AIではGPT-3.5 Turboが性能とコストのバランスがよいです。そのため、いただいた要件的にGPT-3.5 Turboが最有力かと考えます。
>LINE公式アカウントを運営するための費用は永久に発生しない認識であっていますでしょうか?
→運用によって変わることはございますが、「GPT応答AIダヴィンチさん」の運用方法は、LINEヤフー社が料金プランを変更しない限り、LINE利用料金は発生しません。
いただいたリンクで料金プランに関連するメッセージ送信数は、いわゆる一斉に送信するプッシュメッセージが対象です。「GPT応答AIダヴィンチさん」ではユーザーからの投稿に対する返信メッセージのみ利用しています。この返信メッセージは料金プランのメッセージとは異なり無料で何通でも可能なため、費用はかかっておりませんし、今後も発生しない見込みです。
※ただしあくまでLINEヤフー社が料金プランを改定しない前提になります。
ありがとうございます。下記について一応確認ですが、GPT-3.5 Turboであれば、回答できる期間の制限(2022年1月までなど)なく、例えば、少し先の未来のこと(2024年1月に開催されるイベントについてなど)についても、回答できる認識であっていますでしょうか?
>GPT-3.5 Turboのモデルを利用しています。OpenAIのテキスト型の生成AIではGPT-3.5 Turboが性能とコストのバランスがよいです。そのため、いただいた要件的にGPT-3.5 Turboが最有力かと考えます。
下記大変よくわかりました、ありがとうございました。
>運用によって変わることはございますが、「GPT応答AIダヴィンチさん」の運用方法は、LINEヤフー社が料金プランを変更しない限り、LINE利用料金は発生しません。
いただいたリンクで料金プランに関連するメッセージ送信数は、いわゆる一斉に送信するプッシュメッセージが対象です。「GPT応答AIダヴィンチさん」ではユーザーからの投稿に対する返信メッセージのみ利用しています。この返信メッセージは料金プランのメッセージとは異なり無料で何通でも可能なため、費用はかかっておりませんし、今後も発生しない見込みです。
※ただしあくまでLINEヤフー社が料金プランを改定しない前提になります。
>ありがとうございます。下記について一応確認ですが、GPT-3.5 Turboであれば、回答できる期間の制限(2022年1月までなど)なく、例えば、少し先の未来のこと(2024年1月に開催されるイベントについてなど)についても、回答できる認識であっていますでしょうか?
こちらについてですが、アップデートされたのがたしか11月だったと思いますが、その時点で判明しているイベントでしたら、回答可能と思います。(例:箱根駅伝2024など)
ただ、アップデート後に情報が出たイベントなどは回答が難しいと思います。