生成AIツールを“みんなの道具”に。Cursor活用促進のための社内整備
こんにちは!
リンクウェルに入社して半年弱が経過し、初めての社内ブログ投稿となりました、くのです!
今回は、Cursorを社内でより多くのメンバーがスムーズに、効率よく活用できるようにするための取り組みについてご紹介します。
これまでCursorはエンジニアを中心に導入が進んでいましたが、最近では経営戦略部のような普段コードを書かない部署のメンバーからも、業務効率化のために使いたいとの声を聞きました。社内全体で生成AIへの関心が高まりつつあると感じています。
一方で、社内でさらに利用を広げるためには、いくつかのハードルがあると感じていました。そこで私たちは、より多くのメンバーが使いやすいと感じられるような仕組みを整備しました。
Cursor活用を阻む「見えない壁」
まず最初に感じたのが、次のような課題です:
- ナレッジが個人に依存し、共有が進んでいないこと
- 経費申請の手続きが煩雑であること
- Project Rulesが整備されていないこと
「Cursorの利用補助あるけど、まだ試せていない」
「Visual Studio Codeからの移行方法も面倒そう」
「効率的な使用方法が理解できていない」
といった声も聞こえてきました。
この“小さな壁”を解消するため、最初に取り組んだのがハンドブックの作成です。
社内用の「Cursor活用ハンドブック」を整備
このハンドブックには以下の内容を盛り込みました:
- 経費としての申請方法
- Visual Studio Codeからの移行手順
- Cursorの基本的な使い方
- 便利なTipsや設定方法
- Project Rulesの利用方法
エンジニア以外のメンバーも理解しやすいように、実際の操作画面のキャプチャを添えたガイドを作成しています。Cursorのバージョンアップにも追随しながら、随時アップデートしていく予定です。
ハンドブックは社外公開していませんが、下記がイメージ画像です。
また、リンクウェルではOpenAI社が提供するChatGPTの有料プランを社内利用向けに導入しており、ChatGPTのデスクトップアプリとCursorを連携する方法についてもハンドブック内で紹介しています。
たとえば、Cursor上で選択したコードや文章をそのままChatGPTアプリに連携して相談するといった使い方が可能です。これは、Cursorの利用上限を超えてしまった場合の補完手段としても有用です。
Project Rulesを共有資産に
次に取り組んだのが、Project Rulesの社内共有の仕組みづくりです。
これまで、個人ごとにProject Rulesがバラバラで、ナレッジが属人化してしまうことが課題となっていました。この問題に対して、私たちは社内の主要リポジトリごとに適用すべきProject Rulesを事前に整備し、チーム間でより共通のナレッジ基盤を持てるような状態を目指しました。
リンクウェルでは、プロダクト開発において
- Flutter(アプリ)
- TypeScript・React(フロントエンド)
- Ruby on Rails(バックエンド)
といった技術スタックを採用しており、リポジトリごとに設計思想が異なります。
そのため、各リポジトリごとにカスタマイズした複数のProject Ruleファイルを追加しました。
また、社内には積極的にドキュメントを記述しているメンバーもいて、彼らの知見やナレッジをProject Rulesの作成に活用しました。
良質なドキュメントを集約し、それをもとにProject Rulesを構築していくプロセスをとることで、より実用的で再利用可能なProject Rulesの整備が進みました。
こうした取り組みによって、Cursorを立ち上げた時から、プロジェクトに適したProject Rulesが自動で適用される仕組みが完成し、迷わず開発業務を進められる環境が整いました。
多様なAIツールを活用できる環境づくりも社内で進行中
リンクウェルではCursorやChatGPTに加え、Devin AI、NotebookLM、Claude Codeといった生成AI技術を活用したツールや、MCPのようなAIエージェントの連携を支援するプロトコルも、社内ポリシーに則りセキュリティに配慮した上で利用が認められています。
AIを業務に取り入れることが特別なことではなくなりつつあり、日々の業務効率化や思考整理、ドラフト作成といった場面で自然にAIを使う文化が社内に根づき始めています。
AIによる業務効率化に興味があるエンジニアにとっても、日々の業務の中で試行錯誤しながらAIを活用しやすい貴重な環境だと感じています。
まとめ:生成AIを“みんなの道具”にするために
今回の取り組みは、単なるツールの導入にとどまりません。
目的は、生成AIが特定の人だけでなく、さまざまな立場のメンバーにとっても少しずつ役立つ“身近な道具”になることです。
ハンドブックの整備やProject Rulesの見直しといった小さな工夫の積み重ねが、結果として社内の生産性の向上につながっていくと信じています。
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