キーボードを自作した話 (dp9 Advent Calendar 2023)
初日はまるさんのグリッドシステムの記事で、2日目は小豆さんのVRによる創造行為の記事でした。
このアドカレだいぶ内容の縛りが緩い[1]のですが今日はキーボード作って最高になった話でも書こうかなと思ってます。ちなみに僕はふだん文字作ったり物理やったりしています。
できたもの
かわいい
- Velocifire Choice65
- Drop + Mito MT3 9009 PBT Keycap set
- Everglide Aqua King 55g
- Krytox GPL 205 grade0
- Durock Screw-in stabilizer
- nokke/cables(オーダーケーブル)
経緯
先代のキーボード
もう手放してしまって写真がないのですが、僕はこれまで122キーといわれるフルサイズよりデカいレイアウトのキーボードを使っていました。このレイアウトの別名をBattleshipというらしいです。デカいからですね絶対……
122キーレイアウトの元祖、IBM “Battleship” M122 keyboard
まあ特に理由もなくキーに不足はあっても過剰はないだろうくらいの気持ちでバカデカレイアウトを使ってきていたのですが、かれこれ4年半くらい経ってきてたらさすがにキーキャップもスレてきてもうじき新しいの買おうかなとふんわり思っていました。
最初は僕がもともとSteelSeriesのガジェットをよく使っていたのでSteelSeriesのキーボードにしようかな~と思っていたのですが、あれやこれや調べているうちにキーボードは組み立てられるらしいことを知ってしまいました。
もともとPCも自分で組むガジェットオタクがキーボードも組めると聞いたら取っ付いてしまうわけで、㍂となりながら適当に調べていたら先のキーボードキットを見つけて、かっこええなあなどと思って買いあぐねていました。
GBを知る
こんなのがあるけれど買いなのかどうなのかとキーボード作ってる知人に聞いてみたら爆速で買えと返事が来てビビりました。
まだこの時はGBのことをよく知っていなかった
GB(group buy)とはキーボードキットの販売でよくみられる形態で、先に買いたい人間をキーボードショップを媒介して募って、ショップがまとめてオーダー、そのあとに生産/発送する方式です。不良在庫を抱えなくてすむ反面、GB募集期間中でないと基本的にオーダーは通りません。
よほど人気がないと二回目以降のGB募集もかからないことが多いです。“欲しい時に欲しいGBがあるありがたみ”はこのことを指していました。
キーボードレイアウト
キーボードのキー配置はいくらかパターンがあって、先の122キーのほか
- フルキーボード
- 1800:フルキーボードをわずかに切り詰めたレイアウト
- テンキーレス:フルキーボードからテンキーを抜いたもの
- 75%:テンキーレスからさらに右側のキーを一部抜いたもの
- 65%:75%からFnキーを省いて、さらに矢印キーを詰めたもの
- 60%:65%から最右列と矢印キーを削ったもの
- 40%:さらに数字キーなどを削ったもの
といったレイアウトがあります。ゲーミングキーボードだとフルキーボードの他にテンキーレスや65%などが出ていることがあります。
カスタムキーボードだとテンキーレスや65%, 60%レイアウトが圧倒的な人気です。
スイッチとルブの話
欲しい時に欲しいGBがあることが買いだって分かったときにはもうカートに商品が入っていたので(ふしぎですね)既成事実を作れた僕はもはや揚々として遊舎工房さんに向かっていました(ふしぎですね)。
基本的にキーボードは
- 筐体
- 基板(PCB)
- プレート[2]
- フォーム[3]
- キースイッチ
- スタビライザー
- キーキャップ
で構成されることが多く、キーボードキットはこのうち筐体/PCB/プレート/フォームがセットになっています。キット以外にスタビーとスイッチとキーキャップは別で手に入れる必要があるということです。
ちなみに遊舎工房さんは自作キーボードのショップで実店舗を構えているショップです。電気街から少し外れたところに店舗があって実機触りたいときによくお世話になっています。
キースイッチはEverglide Aqua Kingの55gを手に入れました。スタビーは正直違いがよくわかってなかったので遊舎工房さんのやつを手に取って買いました。
スイッチはかなり迷ってしまって、静音軸であるか[4]とタクタイル[5]にするかリニア[6]にするかなどだいぶ勘案したのですが、まずはリニアで組むのがいいかということで試して選びました。
スイッチやスタビーは擦れ感を低減するため潤滑(ルブ)して使います。ルブにはKrytox GPL 205 grade0を用いました。
このスイッチあまりにもがたつきが無に近いのでスタビーだけルブして使っています。次に組むときはちゃんとスイッチもルブるかも……
キーキャップ
キャップはDrop + Mito MT3 9009 PBTのBase Kitを使いました。
キーキャップには何種類か形のプロファイルがあります。有名なのだとたいていの市販キーボードにあるOEMプロファイルとかCherryプロファイルとかがあります。
僕は割とハイプロファイル[7]に分類されるタイプのキャップ(SAプロファイルとかMT3プロファイル)が好みです。
キーキャップの素材としてメジャーなのはABSとPBTです。ABSは安く、融点が低く、密度が低くて割と摩耗します。PBTは融点が高く、加工がやや難しく、密度が高くて摩耗に強いです。
作ってみて
最高ですね。最高なのですが122キーレイアウトから65%まで小さくしたらテンキーがないのにほとほと困ることが多々あり、さっそく1800レイアウトで新しいのを組もうかなとか考えてます。でも打鍵感も音もキャップの感触も最高なのでいい買い物をしました。
唯一心配なのは財布ですね……[8]
この文章はChoice65で執筆しました。
-
そもそもデザインサークルだからZennとかQiitaで出しているわけじゃない人もいるし、さらにデザインに関係ないこと書いても正直許される ↩︎
-
PCBとキースイッチの間にあって、キースイッチを安定させるためにある。柔らかいと打鍵の時の衝撃が和らいで硬いとその逆 ↩︎
-
PCBやプレートと筐体の間に挟み込む吸音材 ↩︎
-
静音化されたスイッチ。中にダンパーになるゴムが仕込んであることが多いので音が小さくなる代わりに底打ちの際グニャっと若干沈み込む ↩︎
-
押下しているときに途中で押下圧が強くなるタイプ。ノートPCとかのキーみたいな押し心地 ↩︎
-
途中に引っかかりがないタイプ ↩︎
-
キーキャップ自体の高さがあるタイプ ↩︎
-
だいたい5万弱溶けた。次はもっと溶けそう。こわい ↩︎
Discussion