小ネタ:黒電話のWeb Componentをつくってみたよ
はじめに
先日、電話番号の入力UIについて雑談していたときのこと。
「最近の入力フォーム、テンキーとか色々工夫されてるよね」
「そういえば昔は黒電話で番号回してたんだよな...」
「今の若い人って黒電話使えるのかな・・・?」
この何気ない一言でとりあえず作ってみました!
確かに、昭和生まれの私には馴染み深い黒電話のロータリーダイヤル。
でも、平成・令和生まれの人たちにとっては「見たことはあるけど使ったことない」という人も多いはず。
そこで思いついたのが、
「Web上で黒電話を体験できるUIを作ったら面白いんじゃない?」
というわけで、勢いでWeb Componentとして黒電話のロータリーダイヤルを実装してみました。
デモ
まずは実際に触ってみてください!

穴に指(カーソル)を入れて、銀色のストッパーまでグイッと回す。
あの独特の感触(?)を再現するために、Canvas APIでゴリゴリ描画しています。
11/10 コメントいただきまして・・・
数字は残るのでは……?
(フレームが回転して、数字は移動しないのでは?
黒電話って確かにそうだった〜!となって以下のように改良しました。

技術スタック
- Web Components (Custom Elements V1)
- Canvas API (ダイヤルの描画・アニメーション)
- Shadow DOM (スタイルのカプセル化)
- GitHub Actions (CI/CDパイプライン)
- jsDelivr CDN (npm不要で誰でも使える)
完全にバニラJS。フレームワークは一切使っていません。
黒電話へのリスペクトとして、できるだけプリミティブに実装しました。
使い方
npmから
npm install kuro-denwa
import 'kuro-denwa';
CDNから(npm不要)
<script type="module" src="https://cdn.jsdelivr.net/gh/tamoco-mocomoco/kuro-denwa@latest/kuro-denwa-component.js"></script>
あとはHTMLに配置するだけ:
<kuro-denwa id="myDial"></kuro-denwa>
<script>
const dial = document.getElementById('myDial');
// モーダルを開く
dial.open();
// 番号が入力されたときのイベント
dial.addEventListener('number-dialed', (e) => {
console.log('入力された番号:', e.detail.number);
});
</script>
モーダルで開くので、既存のアプリケーションに簡単に組み込めます。
実装のこだわりポイント
1. 本物の黒電話の配置を再現
番号の配置は、実際の黒電話と同じように:
- 0 が一番下(180度の位置)
- そこから反時計回りに 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1
当時の写真を見ながら、角度を計算して配置しました。
const numbers = [0, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1];
const clockAngle0 = 180; // 0は下
const totalAngle = Math.PI * 7 / 6; // 210度
2. 銀色のストッパー金具
黒電話といえば、あの右側にある銀色の金具。
これがないと雰囲気が出ません。
Canvasでグラデーションを使って金属感を表現:
const gradient = ctx.createLinearGradient(-12, 0, 12, 0);
gradient.addColorStop(0, '#4a4a4a');
gradient.addColorStop(0.5, '#e8e8e8'); // ハイライト
gradient.addColorStop(1, '#5a5a5a');
3. ドラッグ中のハイライト
どの番号を回しているか分かりやすいように、
ドラッグ中の番号を光らせています。
if (isHighlighted) {
ctx.shadowBlur = 20;
ctx.shadowColor = '#667eea';
}
4. スマホ対応
タッチイベントにも対応しているので、
スマホでもサクサク動きます。
canvas.addEventListener('touchstart', (e) => {
const touch = e.touches[0];
// タッチをマウスイベントに変換
});
CI/CDパイプライン
GitHub Actionsで自動化しています:
- mainブランチへpush → GitHub Pagesに自動デプロイ
- vX.X.Xタグをpush → GitHubリリース作成 + jsDelivr CDN更新
# .github/workflows/pages.yml
on:
push:
branches: [main]
# .github/workflows/release.yml
on:
push:
tags: ['v*.*.*']
タグを打つだけで、CDN経由で全世界に配信されます。便利!
苦労したポイント
横スクロールバー問題
スマホで見たときに横スクロールバーが出る問題に悩まされました。
原因は overflow-x: hidden と 100vw の組み合わせ。
100vw はスクロールバーを含めた幅なので、ずれが生じていました。
最終的には、シンプルに max-width: 100% だけにすることで解決。
モーダルのサイズ調整
PC・スマホ両方で見やすいサイズにするのが大変でした。
const isMobile = window.innerWidth <= 768;
const heightFactor = isMobile ? 0.3 : 0.48;
const maxSize = Math.min(
containerWidth,
window.innerHeight * heightFactor,
isMobile ? 300 : 420
);
画面サイズに応じて動的にCanvasのサイズを調整しています。
まとめ
ネタで作り始めた黒電話ですが、
Web Componentにすることで誰でも気軽に使えるようになりました。
こういう小ネタでも誰かに使ってもらえるよう公開できてよかったかなと思います。
- レトロUIのデモページに
- ノスタルジックな演出が欲しいサイトに
- 「黒電話を体験したことがない人」への教材に
おまけ:今後の展望
- 音を追加(ダイヤルを回す音、戻る音)
- 呼び出し音の実装
- 受話器を上げ下げするアニメーション
- 10円玉を入れる公衆電話バージョン(?)
- まあ、いずれはTypeScriptにしたいよね・・・
Discussion
数字は残るのでは……?
(フレームが回転して、数字は移動しないのでは?
言われてみれば確かにそうですね・・・。
数字はそのままで枠だけクルクル回る感じですね。
コメントいただき、気付きました!
ありがとうございます!!
ちょっと時間があるときに対応しますね!
枠だけ回るようにしてみました。
枠だけ回ると、どの番号を回しているかわからないので、
少しわかりやすくしてみました。
面白いUI/UX、何かに使えないかな。
タイマー作動させるときとか、繰り返しトリガー発火させるときとか
他には何かあるかな。
黒電話の技術的な話をすると、ダイヤルを回して戻るときにパルスを出して電話局の交換機に数字を伝えます。1なら1回、9なら9回、0の場合は10回パルスを出します。
回すときはスムーズに回るのですが、戻るときにはゆっくり戻ります。
焦っているときはもどかしいけど、落ち着くための時間稼ぎともいわれています。
ダイヤルを戻す動力はゼンマイで、とてもアナログな手法だと思います。
インターネット老人会の暗証番号の入力とかに使えたりしそうですね。
これで入力できないと本当の老人会のメンバーじゃないという感じで・・・。