2023年の社内勉強会を振り返る ~参加する側から主催する側に~
はじめに
この記事はLancers(ランサーズ) Advent Calendar 2023の23日目の記事です。
こんにちは、ランサーズ株式会社の高橋です。
業務では新機能の開発に携わっており、UI/UXの考案をしたり、フロントエンド・バックエンドの実装をしたりと割と幅広く仕事をさせてもらっています。
この記事では、僕がここ一年で僕が参加・主催した社内勉強会を振り返り、その中で大切だと感じたことをまとめています。
参加した社内勉強会
2月~4月: ミノ駆動本勉強会
書籍
良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門―保守しやすい 成長し続けるコードの書き方
レギュレーション
毎週1回30分で2章ずつ扱い、
- 読んだ内容説明10分×2人
- ラスト10分でディスカッション
の進行で全9回で完走しました。
学んだこと・感想
10ヶ月近く前でだいぶ昔のような気がしますが、「あーこういうのあるある」「ごめんなさいこれ僕やってました」みたいな懺悔みたいなことを話していた記憶ですw (そのくらい本の内容は具体的で実践的なものでした)
ちゃんと学んだことのなかった、クラス設計や良いオブジェクトのモデルなどの基本的なことをディスカッションしながら学習できたのでめっちゃ良い勉強会でした。
昨年10月~8月: フロントエンド勉強会
レギュレーション
Lancersのフロントエンドエンジニアの谷さん(@high_g_engineer)が主催・教材作成をして約一年をかけて行われました。(詳しくは上の神記事をご覧ください。)
学んだこと・感想
谷さんが自身で作ってくださった教材を使って説明したり、時にはハンズオン形式で実践したりして、マークアップ・スタイルの基本〜モダンなReact開発の知識を学習していきました。
今でも時々この教材を見るくらい有益で、本当に感謝しています。(余裕で有料で販売できるレベルだと思います)
主催した社内勉強会
5月~7月: オブジェクト指向UIデザイン読書会
書籍
オブジェクト指向UIデザイン ―使いやすいソフトウェアの原理
レギュレーション
デザイナー・フロントエンドエンジニア・バックエンドエンジニアが集まって、毎週30分1章ずつ進めていきました。
参加者は勉強会で扱う章を事前に読んできて、感想やディスカションしたいこと、共有したいことを事前にNotionにまとめてきます。
勉強会ではまとめた内容をそれぞれが発表して、自由にディスカッションしました。
学んだこと・感想
分かりやすいUI、分かりにくいUIの違いが明確に理解できるようになったのは非常に大きな学びでした。また、その実践の仕方まで学ぶことができたのですぐに業務でも生かすことができました。
また、デザイナー・フロントエンドエンジニア・バックエンドエンジニアが集まって学べたのがとてもよかったと思います。自分では見えていなかったものが他の方には見えていることがあり、書籍の内容以上のことを学べました。チーム・職種の垣根を超えた勉強会サイコー。
主催してみて
「主催してみて」とかカッコつけて書いてるんですが、実際にファシリ・運営していたのはほぼ谷さんだったので、厳密には発起してみてですね🙇 僕は読書会やりましょうという声掛け・書籍の選定・読書会形式の決定に携わりました。
振り返ってみると、ミノ駆動本読書会が終わった直後、僕が「え、当然読書会継続するよね?」の空気を作れたのが良かったなと思いました。読書会の書籍を決める時の速度も爆速でよかったです。熱いうちに鉄を叩くの大事。
8月~11月: フロントエンド開発テスト入門読書会
書籍
フロントエンド開発のためのテスト入門 今からでも知っておきたい自動テスト戦略の必須知識
レギュレーション
毎週30分で、参加者は事前に決められたところまで読んでおく。
読書会は、僕が画面共有をして、コードを見たり動かしてみる時間に使いました。
学んだこと・感想
ReactやNext.jsのコードでjestやstorybookを使ったUT, E2Eテストなどなど、モダンなフロントエンドのテストを幅広く学ぶことができました。
僕が読書会までに事前に動作環境を作り、読書会中も画面共有をしながらコードの説明していたので、テストに関することだけでなくフロントエンド開発の勉強にもなりました。
主催してみて
この勉強会は自分たちが学びたい題材を選んで少数で行われたので、組織のためというよりも自分たちの学習の延長といった感じでした。これはこれで、じっくりと柔軟に進行できたので良かったのですが、組織の足りていない部分を補うような組織のための勉強会もしたいといった意志も生まれました。
11月~現在: HTML解体新書
書籍
HTML解体新書 仕様から紐解く本格入門
レギュレーション
事前に読む章(大体2~3章ずつ)とそれぞれの担当の人を決めます。読書会は毎週30分行い、担当の章のある人2~3人が説明を行います。そして、会の終わりに次回の章の発表する人を挙手制で決めています。
学んだこと・感想
HTMLの要素の意味、ベストな使い方、アクセシビリティ観点など深い部分まで理解できるので、今までなんとなくでHTMLを書いていた僕には学びが多いです。
また、現在のHTMLに至るまでの歴史的な背景やHTMLに関わるさまざまな規約・組織も学べるので、HTMLの骨の髄まで理解できるのはとても良いです。
しかし、一回の勉強会で扱っている量が多く、内容も知ってるか知らないかの知識の話になりがちなので、ディスカッションに発展しづらいのは最近の悩みです。
主催してみて
今回は谷さんと相談して明確に「組織のフロントエンド技術の底上げ」を目指して勉強会を開きました。勉強会の周知も開発者全員が参加する会議やSlackチャンネル等を利用して積極的に複数回行いました。さらに、誰でも気軽に参加できるようにするために、予め何も準備をする必要がない、または資料だけを読んでも理解できるような形式の勉強会にしました。
これらの取り組みのおかげで、毎回10人近くが参加し、組織の学習文化を多少なり生み出せていることを実感しつつあります。
社内勉強会で大切なこと
この一年で、個人のための勉強会や組織のための勉強会を主催してきましたが、結局のところどちらも良し悪しがあり優劣はつけられないと感じました。
大事なことは事前に以下の要素を中心に考えて実施することだと思います。
- 目的を明確にする。
- その目的に沿った適切な運営・形式を考え、どのような勉強会にするかイメージする。
僕は継続して勉強会を開くことを意識していて、勉強会の規模はさまざまですが、目的の軸だけは明確に持つようにしています。
継続して勉強会を開くことを意識しているのは、社内勉強会の存在は組織に良い影響を生むということが科学的に証明されているためです。
GoogleのDevOps 文化: 学習文化
の記事によると、学習文化のある組織は良い効果があるということが証明されています。
DevOps Research and Assessment(DORA)(PDF)のチームの研究によると、学習を重視する組織文化は、以下の点でソフトウェア配信のパフォーマンスに貢献することがわかっています。
- デプロイ頻度の増加
- 変更に伴うリードタイムとサービス復元時間の短縮およびエラー率の変化
- 強固なチーム文化
まとめると、
- 勉強会の目的を明確にしてそれを軸に運営を考える
- 勉強会は開発生産性に寄与するため、継続的に実施することを意識する
終わりに
1年を振り返ってLancersで行われてきた勉強会を紹介してきました。勉強会は学習することのみならず、組織に対してもさまざまなメリットを生み出してくれます。みなさんの勉強会を開くきっかけになればと思います。
僕自身は、2023年は社内勉強会に参加する側から主催する側まで体験することができました。2024年は多面的な視点の良いサービスを生み出していくために、デザイナー・エンジニアなど職種の垣根を超えた勉強会を行いたいと思っています。
明日は12月24日、クリスマスイブですね。窓の外の夜の中で点滅しているイルミネーションもとっても綺麗です。そんなクリスマスイブに素敵な記事を書いてくださるのは、いさなさん(isanasan_)です。(最後にハードルを上げていく)
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