中途入社6ヶ月目の朝、会社のトイレで倒れてから知った『運の差』の話
はじめに
中途入社から6ヶ月。新しい職場(=ランサーズ)にも慣れ始めた、ごく普通の朝。まさかその日、会社のトイレで倒れることになるとは思ってもいませんでした。
これは、突然のくも膜下出血(のちに脳梗塞を併発)で倒れた私が、治療と回復過程で知った 「運の差」 について書いた体験談です。
あの朝のこと
いつもの朝が一変
参画していたプロジェクトが佳境を迎えていた頃です。連日終電帰り、朝食を食べる時間が取れない日々。あと少しで試用期間が明ける時期なので頑張っていました。
いつものように出勤。会社に着いてから朝食代わりにオレンジジュースを飲んだ後、トイレに入った後でした。
側頭部を「バットで思い切り殴られたような」激痛。これまで経験したことのない痛みと激しい嘔吐。立っていることすらできませんでした。
幸い同僚がすぐに発見してくれて、救急搬送。「くも膜下出血」という診断でした。
記憶の空白期間
手術の記憶が飛んでいる
緊急手術を受けたのですが、この時の記憶が完全にありません。どんな手術だったのか、時間はどのくらいかかったのか、全く覚えていません。
さらに不思議なことに、手術後に脳梗塞の症状も出て、別の手術を行ったそうです。これも記憶にありません。
精神的な混乱期間
覚えているのは、術後の精神的におかしかった期間。ベッドから脱走しようとして、拘束具を付けられていました。この頃に見た夢が文字通り「悪夢」だったことだけは、なぜかはっきりと覚えています。(意識の混濁によるものだったと今は思います)
急性期(手術や手術直後の治療)の記憶はほとんど残っていないのに、発症前の仕事関連の記憶は残っていました。脳って本当に不思議です。
復職後の意外な出会い
同じ病気の同僚
リハビリと自宅静養を経て、約2年後に復職すると、驚くべき偶然が。私の休職中に入社した同僚が、同じ脳梗塞を経験していたんです。
「これは話が合いそうだ!」と思ったのですが...
症状が全然違った
その同僚:
- 杖がないと歩けない
- 滑舌は普通
私:
- 平地なら杖なしで歩ける(段差や階段は手すりが必要)
- 滑舌に麻痺が残ってうまく喋れない
あるあるネタが盛り上がらない
数回ランチに誘い合って行きましたが、同じ病気なのに「あるあるネタ」が全く盛り上がりませんでした。症状が違いすぎたんです。
彼「杖をついて歩くこと自体が大変で...」
私「でしょうね...(平地での歩きはそんなに困らない)」
彼「一体どうやって、そんなにスイスイと歩けるようになったんですか」
私「懸命にリハビリしてたら、徐々に歩けるようになっただけで...コツなんてわからないですよ」
私「日常会話でうまく喋れないことが多くて、喋るのが嫌になっちゃいます...」
彼「でしょうね...(滑舌は問題ない)」
私「一体どうやって、そんなにスラスラと喋れるようになったんですか」
彼「最初から構音麻痺は発症しなかったんで...コツなんてわからないですよ」
同じ病名でも、こんなに違うものかと驚きました。
結局は「運の差」
利き手の違いが大きい
リハビリ病院で、利き手側に麻痺が残った患者さんにも出会いました。右利きの人の右半身に麻痺が残ると、本当に大変そうでした。食事から排泄から何から、何をするにも思い通りにできないことだらけ。「なんで...つらい...」と呟く場面を何度か見ました。
私は利き手じゃない方の麻痺で済んだ。これは完全に「運」だと思います。
記憶障害も人それぞれ
私は仕事の記憶は残っていましたが、家族の名前を思い出すのに苦労する患者さんもいました。脳のどの部分がダメージを受けるかで、症状が全く変わるんですね。
今思うこと
現在も隔週でリハビリに通っています。完全に元通りは難しいかもしれませんが、少しずつ改善しています。
一番思うのは、あの朝発見してくれた同僚への感謝。そして「運が良かった」ということ。
- 早期発見できた運
- 利き手じゃない方の麻痺で済んだ運
- 復職できた運
- 記憶障害が軽度で済んだ運
同じ病気でも、症状は千差万別。結局のところ、個人差という名の「運不運」に左右される部分が大きいんだなと実感しています。
おわりに
完全な予防は難しいですが、健康管理は大切。そして、いざという時に支えてくれる人がいることの有難さを痛感しました。
もし同じような経験をしている方がいらっしゃれば、症状は人それぞれでも、きっと改善の道はあると伝えたいです。
そして何より、今健康でいられることに感謝して過ごしてほしいと思います。
医学的な情報については必ず医師にご相談ください。
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