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「ヤフーの1on1」を読んだ

2023/10/30に公開

はじめに

最近ヤフーの1on1を読みました。少し前からメンターとして振る舞う必要性が出てきたのですが、1on1 をなんとなくで進めてしまっていました。しかし、もっと有意義な時間にすべきだと感じ、「ヤフーの1on1」はそのヒントを得るために手に取った一冊です。この本には、1on1 の基本的なやり方はもちろん、その心構えまでわかりやすく書いてあります。ここでは、その中から特に印象に残ったポイントを、所感を交えつつ紹介します。
※以下では メンター->上司、メンティー->部下 と、本の中での言葉に合わせて書いています。

基本的な心構え

「ヤフーの1on1」によると、1on1 の最大の目的は部下の成長を支援することです。1on1 は部下のための時間です。プロジェクトの進捗確認など、上司がしたいことをするための時間ではありません。
そのため、基本的に 1on1 の中で話すテーマは、可能な限り部下がチョイスします。抱えているプロジェクトの悩みであったり、キャリアに関する悩みなど、その内容は多岐に渡ると思いますが、それらの中から部下が話したいものを話します。一方で、どうしても話したいテーマが見つからない、という場合もあるでしょう。そのような事態に備え、上司はあらかじめ2,3個テーマを用意しておくのが良いようです。
ちなみに、1on1 の副産物として、上司が部下をより深く知ることができる、というものがあります。1on1 についての理解が浅い状態では、これが真の目的のように感じられることもあるかと思いますが、あくまで副産物であることに注意したいです。

実践的なアプローチ

心構えの章で述べたよう、1on1 は部下の成長のための時間です。そこで、本の中では 1on1 中の上司側の振る舞いとして注意すべき点が多数紹介されています。その中から印象的だったものを紹介します。

話を最後まで聞く

文字にすると当たり前のように感じますが、実際には自分自身もできていないことがたくさんありますし、同じような感想を持つ方も多いのではないでしょうか。1on1 は部下が内省し、言語化する機会となるべきです。そのため、話を遮ってしまうと、部下が自身で思い出し、学ぶ機会を奪うこととなります。また、上司側は部下が話している最中にその解決策が即時に浮かび、話したくなることも多いかと思いますが、NG です。これをやり続けると、部下は自分を意見を言い出しにくくなりますし、もっと悪い状況になると、上司が意見を出すまで受け身でいることが当たり前となってしまいます。これは、「1on1 は部下の成長を支援するためのもの」という観点から考えると、必ず避けるべき状態と言えそうです。

行動で終わる

アクションプランも基本的には部下が考えるという前提で、上司としてはそのプランに至るまでの部下の思考を手助けする「壁打ちの相手」くらいのスタンスでいるべきです。「~をやった方がいいと思います」ではなく、「どうしたらいいでしょうか」などの、思考を深めてもらう問いかけをする方が良いようです。「いつまでにやりましょうか」などの問いかけも一緒にすると良さそうです。

痛みとサポートを一緒に提供する

フィードバックをする際には伝えにくい内容も含まれることが多いと思います。
伝える側もですが、伝えられる側にはさらに痛みが伴います。しかし、成長に痛みは避けて通れません。そのため、素直に伝える必要があります。しかし、やはり痛みだけでは辛いです。そのため、上司としてはアクションプランを実施していく上でのサポートを提供します。
ちなみに、このフィードバックはよくある半期の目標の面談とは異なり頻度が高いため、フィードバック内容がタスクレベルで具体的になりえます。これは部下の成長に大きく貢献します。

1on1 をする上でのマインドセットを整える

ヤフーでは経営層がまず 1on1 を理解、導入し、また人事側からなぜ導入するかなどの背景の説明を社員に何度も行ったようです。そのような動きがあり、1on1 が浸透したようですが、その上で 1on1 の考え方に賛同できない人も一部いたようです。そこでヤフーは、「自分が活躍するのではなく、部下が活躍する舞台を作るのが上司の仕事」という定義のもと、これに賛同できない社員は管理職から外れてもらう、と示し、実際に大規模な人事異動まで行っています。個人的には上記のような 1on1 での上司側の役割は管理職として必要なものであり、それに賛同できない、もしくはそのスキルがないなら管理職から外す、という考えは、組織として社員に成長してもらう、結果を求めるというゴールを考えると理にかなっているように感じます。各人のマインドセットを揃える、という動きは会社として必要そうです。でないと 1on1 という有効なツールが時間の浪費になりかねません。

1on1の効果的な運用

1on1を効果的に運用するためには、まず定期的に開催することが重要です。可能なら毎週30分のような頻度、時間でするようにします。もちろん業務の状況によっては難しい場合もあると思いますので、隔週にするなどの調整も可能です。しかし、よくある評価面談のような半年に一回、のような頻度ではあまり効果はなく、可能な限り頻度を増やした方が良いようです。
例えば、極端な例ですが、3ヶ月に1.5時間の時間を取るより、隔週に15分やる方が良いです。
事前に非同期コミュニケーションでアジェンダを擦り合わせておくなど、準備を怠らなければ15分でも可能です。

結論

「ヤフーの1on1」から学んだことを書いてみました。
注意して 1on1 を実践することで、社員の成長、そして会社の成長に繋がりそうな気はします。
しかし、まだ学びを書いただけで全く実践できていませんし、その効果を感じることもできていません。実践し、改善を重ねることで、1on1 というツールを活かしていきたいと思います。どなたかの参考になれば嬉しいです。

参考文献

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