【個人開発】TikTokで1000万再生されてもユーザが5人しか増えなかった話
はじめに
SIer社員としてそれなりに忙しなく働きながら、同期の友人と2人でちまちま個人開発をして約1年、先日ついにリリースを迎えた。達成感に浸りながらも「ここからがスタート」と息巻いて各種SNSを開設。1ヶ月間、ユーザ獲得に向けたマーケティング活動に注力した。
本記事ではこの1ヶ月間足らずに私が実施したことと、その効果を話したい。
個人開発の企画、設計、開発、リリースまでの流れやシステムアーキテクチャ的な話は自身の体力と相談しながら別の記事として執筆する(予定)。「アプリをリリースしたけどどうやってユーザ獲得をすればいいかわからない」そんな方に是非良き失敗例として読んでいただきたい。
リリースしたアプリ
リリースしたのはティアリストの作成・共有アプリAnyTier
こんな感じで自分なりのティアリストを作成して投稿できるWebアプリケーションだ。
アプリを作った動機等は今後どこかで語りたい。今回は割愛する。

今こそCursorやClaude CodeなどのAI開発サポートサービスが充実しているが、1年前はそんなモノはまだなく、ChatGPTに都度相談しながら地道にコツコツ作っていた。ドラッグ&ドロップの実装がムズイとか、テーブル設計がかなり悩ましい。。。etc 試行錯誤しながらやってたらとんでもなくリリースまでに時間を要してしまった。
(途中モチベがかなり下がって全く稼働していない期間もあった)
しかしなんとかやり切ってリリース。本当に感慨深い。
ユーザ獲得に向けた施策と効果
1. Twitterアカウント開設・ヘビーユーザになってくれそうなアカウントへ声かけ
やったこと:およそ20アカウントに声かけ
反応:リプ返信1アカウント
アプリ内アカウント登録:0
評価:Dティア
もともとTwitterアカウントを運用していたわけでもなかったので新規にアカウント作成した。ティアリストを投稿しているアカウントに無作為に攻撃(リプ)を仕掛ける。いきなり怪しい💩みたいなアイコンのアプリに声をかけられて皆様をいたずらに怖がらせるだけに終わる。本当にごめんなさい。
相方に「💩みたい」と揶揄された毒々しいアイコン↓

2. TikTokアカウント開設・ティアリストを作成して投稿
やったこと:ティアリスト関連の投稿を30ほど公開
反応:総再生数1000万超
アプリ内アカウント登録:5
評価:Cティア
ちなみにアカウントは↓
TikTokは見る専で投稿なんて一度もしたことなかったが、Twitterの手応えがなさすぎたのでダメ元で始めた。TikTokは投稿してすぐ、300再生程が保証されているのでフォロワーが0でも物議醸す系のティアリストを作成すればそれなりにコメントがついて、いわゆる「バズ」を簡単に生み出せた。
しかしユーザの流入はほとんどなく、当初プロフィール欄にアプリのURLをベタ打ちしておりタップしても遷移できない状態だった。それもありユーザの流入はほとんどなかった。TwitterのようにプロフィールにWebサイトのリンクを掲載できたら良いのだが。。。と思っていたのだが、どうやらTikTokはビジネスアカウントのみプロフィールへのリンク添付が許可されているようで、急遽ビジネスアカウントへ変更、リンクを追加した。
アプリへの流入はやや増えたが、成功とは呼べないレベル。
コンバージョン率を計算してみる
-
実績値
TikTokの再生数:およそ1000万
AnyTierへの流入:1ヶ月のアクティブユーザ 414
AnyTier内アカウント登録:5名 -
コンバージョン率
TikTok→AnyTier:0.00414%
AnyTier閲覧→AnyTier内アカウント登録:1.2%
TikTok閲覧→AnyTier内アカウント登録:0.00005%
低すぎ
ちなみにこのコンバージョン率でアカウント登録者を1万人Web広告で獲得しようとするとだいたい7000万円かかるらしい。おもしろい。
敗因その1 アプリのターゲット層と訴求した層のアンマッチング
AnyTierはティアリストの作成・共有ツールなので、ティアリストを一度「見て満足」する層ではなく
リリース直後はティアリストを作って「発信したい」層に本来は訴求すべきなのだろう。
TikTokのユーザのほとんどが前者に該当すると思われる。
しかし、「発信したい」層へのアプローチはTwitterであまり効果を得られずだったためもう少し他の方法を模索すべきなのだろうか。。そもそもTwitterでのアプローチの掛け方が誤っていたかもしれない。もう少し💩っぽくないアイコンで再チャレンジしてみよう。
敗因その2 サービス設計がそもそも微妙
今回リリースしたAnyTierだがサービス設計がかなり微妙。
ティアリストを作成するには作成までの導線がやや複雑。他人が作ったティアリストを見るにも導線がやや複雑。どちらか一方をメインユーザとしてペルソナ設定を置いてそこに機能を集中すれば良かったのだが、どちらも捨てたくない気持ちが先行して結局中途半端なアプリになってしまった感が否めない。
TikTokからアプリへ流入してもニーズを満たせず離脱させてしまったのではと思う。
敗因その3 ユーザに感情移入できていない
特にティアリストを作成して発信したいという層に私自身あまり感情移入できていないというのがある。
なので、その層が普段どんな行動をしていて、どのようなアプローチをかけたら心を打ち抜けるのかピンとこない。詳細は省くが今回の開発に踏み切ったのは既存サービスの成功事例とそのサービスの明確な改善案が見えていたからであり、ユーザ視点がかなり欠如していたと思う。サービスを作る上でユーザをどこまで細かく想像できるかはやはり最重要であるということにリリース後のマーケティング活動で強く再認識させられた。
まとめ
この1ヶ月間、マーケティング活動を通して痛感したのは「プロダクトの価値は、ユーザに届いて初めて意味を持つ」ということだ。
開発中は機能改善やUI調整など“プロダクトそのもの”に意識が向きがちだったが、いざリリースしてみると「誰に」「どんな気持ちで」「どんな導線で」使ってもらうかの方が圧倒的に重要だった。
SNSを通じてある程度の露出は得られたものの、ユーザ登録や継続利用といった“行動変容”にはほとんど結びつかなかった。
これは単純にマーケティング施策の技術不足というより、「誰に向けたサービスなのか」「その人にとってのベネフィットは何なのか」を明確にできていなかったことが最大の要因だと思う。
「そんなこと言われなくてもわかってる」
私も当初そうだったがやはり自身でゼロからサービスを作ってみると、ここを意識する難しさを痛感する。
「リリースして終わり」ではなく「リリースしてからが本当のスタート」。
そう実感できた1ヶ月だった。
みんな大好き「勉強代」で終わらせないようにもう少し足掻いてみようかな。
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