🎓

University of LondonのBachelor of Science in Computer Scienceにオンライン入学した

2023/07/12に公開

書いたこと

  • University of LondonのBachelor of Science in Computer Scienceにオンライン入学した
  • オンラインで入学できるCSの学部にはいくつか選択肢がある
  • 選び方・進め方について

現状としては、University of London(以下UoL)からOffer letterをもらい、最初のセメスターでとるmoduleを登録し、オンライン学習サービスのcourseraに紐づけたところです。実際のセメスターは始まってもいません(10月からスタート)。ですので、具体的な中身というよりは、入学までの進め方や注意ポイントを自分なりにまとめつつ、こうして公開することでめげずに最後まで頑張るモチベーションとする、というのが主な狙いになります。

なぜ

私は普段Rust製のツールやself-hostのアプリケーションをいくつか作ったりしつつ、たまにOSSにコントリビュートしています。細々とした活動ですが、そんな中でも、ちょっとしたことで自分の知識に欠けている部分…レントゲンで言うと影のようなものを認識することがたくさんあります。その都度付け焼き刃でキャッチアップを試み、一応解決はするのですが、どこかで漠然と、今の状態でプログラムを書き続けることへの限界のようなものを感じるようになりました。自分で作っているものに満足していないわけではないけれど…

  • 同じところをぐるぐる回っているような気がする
  • 自己模倣をしている気がする
  • ちょっと飽きてない?

全部同じことで、要するにインプットが不足しており、アウトプットする機会も自分で作りきれていない、ということだと思います。
これらは自給自足で得られるときもあるのですが、私は職業としてプログラムを書いているわけではないので、その分さまざまな機会が外からやってくることがより少ない、という事情もありました。技術系記事を読んだりそっとコミュニティに参加したりはしているのですが、何かがまだ足りない。

そこでふと思いついたのが、たまに目にする「社会人を続けながらCS(Computer Science, 情報科学)の学位をとる」でした。社会人CS学位/大学院については何人もの先人たちが足跡を記録してくれています。それらを読んだときに感じた「大変だけど楽しそうだな」という気持ちが、CS学位という選択が頭に浮かんだとき、よみがえってきました。少し悩みましたが、家族にも相談した結果、思いきってやってみよう!と決め、調べつつ応募を進めていきました。

選択肢

まず「社会人が働きながら」という条件により相当程度選択肢が絞られます。こちらの記事に網羅的にまとめられています。

働きながら取得可能な情報系学位の大学一覧【社会人】 - Qiita

まず重要なのは受講形式&開講日時で、ふつうにフルタイムで仕事をしている身なので、100%オンライン・かつ・いつでも受講可能でないと学ぶのは不可能でした。つまり、(いずれ同期的に課題をこなしていくタイミングがやってくるとしても)MOOC(Massive Open Online Courses)形式でスタートするコースである、というのが最低条件でした。

加えて自分が条件として考えていたのは「英語での学習」というもので、これは半分趣味のようなものなので当てはまらない方もいらっしゃると思いますが、この「MOOC」と「英語」という時点で選択肢は実質2つに絞られます。

University of People

The world's first tuition-free online university University of the People

Shai Reshef: An ultra-low-cost college degree | TED Talk

低コストで学べるアメリカ発の完全オンライン大学です。日本でもこちらに通っている方はかなり多く、オンラインコースの中では日本語の情報量も飛び抜けて多い印象です。教材としてはオリジナルのOpen Educational Resources (OER)を使う…と書かれていますが、詳細は不明。

University of London

Computer Science | University of London

Bachelor of Science in Computer Science | University of London | Coursera

こちらは「実地」の学習も選択できる、リアルに存在する(?)大学。CSのコースはcourseraと連携しており、オンラインの場合、授業は基本coursera経由で受けることになります。
ちなみにいわゆるadministrationはUoLオリジナルのものがちゃんとあります。

ふたつの大学の違い

このふたつで悩まれた方も多そうですが、主な違いとしては以下だと思います。

  • 学費
    • UoPeopleの学位(Bachelor’s Degree)の場合、最終的にはトータルで$4,860、今の日本円で70万円弱。単位移行や非母語話者向けの英語講義のスキップができた場合はもう少し安くなる可能性があります。
    • UoLの場合は"£12,654 to £18,840 total degree cost"とcourseraにありますので、円相場次第ですが最終的には300万円ほどかかるのを覚悟しないといけません。
  • 期間
    • UoPeopleはアメリカの大学なので、学位取得までに4〜8年。一方UoLはイギリスの大学なので、3〜6年で修了。
  • 教材
    • 上記の通り、UoPeopleは独自教材を使い、UoLはcourseraで学びます。
  • 英語のrequirement
    • UoPは各種英語試験のスコアを持っていなくても入学が可能ですが、その場合、CSのコースが始まる前に、英語を第二外国語として学ぶ人向けのコースを履修する必要があります。一定のスコアを持っていれば、この英語学習のコースが一部もしくは全部免除になります。
    • UoLは各種英語試験のスコアがないと入学ができません。英語については後述します。

私としては学費のアドバンテージがあったため、最初はUoPeopleでの学位取得を考えていたのですが、途中で考えが変わり、最終的にはUoLに登録した、という流れになります。

英語

UoPeopleでもUoLでも、実際のコースは英語で行われる以上ある程度の英語力が必要とされるのは当然ですが、入学のステップとして必須かどうかは前述したように違いがあります。
入学しようと思い立ってから時間がなくてスコアがとれない、もしくは英語に自信がないので授業を受けて力をつけたい、といった場合でもOKなのがUoPeopleです。英語コース免除の基準はおそらく各試験のアップデートに合わせてUoPeople内でも都度調整が行われていると思いますのでここには記載しませんが、私の場合、Duolingo English Testで総合130のスコアで全免除でした。
UoLはEnglish requirements | University of Londonが規定されており、これも随時アップデートがあるかと思いますので都度確認が必要ですが、私はUoPeopleと同じくDuolingo English Testのスコアで基準をクリアしました。

英語試験について

私が最後に受けた試験は留学のために必要だったIELTSですが、当時はブリティッシュ・カウンシルに足を運んだのを覚えています。最近はだいたいどの試験もオンライン版があるみたいで、いい時代になりました。
それぞれの試験で内容などはもちろん異なるのですが、そのあたりは大学側も把握しているでしょうからどの試験でも最終的には同じ、と考えたほうが気が楽です。一番安上がりなのはDuolingo English Testで、結果もすぐ出ます。しかも点数がかなり甘く出る実感があります。公式に対応表 がありますが、Duolingoで130とれたらIELTSで7.0とれるなんてことは絶対にないと思いますので勘違いしないよう自分を戒めています。
ただ、Duolingoは事前学習用の教材がほとんど出回っておらず、わりと素の状態で受けなくてはいけないというデメリット(?)があります。きちんと準備できるIELTS/TOEFLももちろんよいと思います。個人的な感想としてはIELTSが一番正確に英語力が出るのではないかと思っています。

単位移行について

UoPeopleのほうが単位移行がしやすい印象ではありますが、UoLも関連する単位を過去にとっていれば移行は不可能ではないと思います。私は文系学部出身で、移行できそうなのは教養学部時代にとった数学の単位2つ3つくらいだったのでさっぱり諦めました。
ただし、単位移行をするつもりがなければ過去の成績についてノータッチでいいかといえば、そういうわけでもありません。UoLにはStandard EntryとPerformance Basedという2種類の入学方法があり、前者は過去の成績で判断されますが、後者は条件付きで英語の志望動機等を揃えれば大丈夫、というものになります。前述したように私は文系だったので後者での応募でしたが、その場合でも過去の成績はなるべく英文のものを用意しておいたほうがよさそうです。大学にもよりますが、発行に時間がかかるケースもあるので、早めに取り寄せておきましょう。

単位評価について

まじめに単位移行をするつもりなら、アメリカの成績評価機関に成績を送って評価してもらう(アメリカの学位に変換してもらい、お墨付きをもらう)必要があります。これについては詳細は省きますが、海外で通用する身分証明書≒パスポートが必須なので、失効している方などはこれも早めに動きましょう(UoLへの応募も基本パスポートがあれば身分証についてはOKなので、あるに越したことはないです)。ちなみに東京のパスポートセンターはいま、人多すぎで地獄です。
成績評価機関はやはり入学前シーズンということで忙しそうで、(UoPeopleを考えていた時期に)Ucredoに申し込みましたが、6月中旬に申し込んで6月末に戻ってきました。先人の体験談では数日、という話も見かけましたが、最近はそこまで速くはないようです。

なぜUoLにしたか(UoPeopleをやめたか)

6月上旬にCS学位取得を思いついてからしばらくはUoPeople一択で動いていたのですが、下旬に入っていろいろとクエスチョンマークが出てきたこともあり、思いきってUoLに切り替えることにしました。英語試験や成績表取り寄せなど、共通する部分は多かったのでそこまでの苦労はありませんでしたし、まだ大学への支払いもしていなかったので特にトラブルなく切り替えることができました。
UoLに切り替えた理由について。まず、ポータルサイトが激重でした。操作可能になるまで毎回たっぷり数十秒かかっており、このレスポンスの感じで授業も受けるとなるとけっこうきついな…というのは当初から感じていました。
加えて、英語講義の免除や単位移行についての情報が、きれいにまとまっているように見えて実際に進めていくと急に期限を切られたり、こちらとadvisor(学費を払う前でも登録するとついてくれる相談窓口の人)とポータルサイトそれぞれで現状の認識がずれていたりと、細かくストレスを感じるところが多かったです。
おそらく人気のあるサービスなので、サイトに負荷がかかっていたり窓口が多忙であったりするというのはある程度仕方のないことかもしれません。これらは他の方にはどうでもいいことである可能性も高いと思います。ただ個人的には、これで100%オンラインでやっていくのはちょっとつらいかな…と思ってしまったので、急遽もうひとつの選択肢=UoLへの応募を進めることにしました。
また、卒業までにかかる時間も実はちょっと気になっており、UoPeopleの4年〜8年というのがどうしても長く感じてしまった…というのも正直なところです。めちゃくちゃ時間をかけられるような歳でもないですし…。ただこれについても、若い方ならばあまり気にしなくてもいいポイントだとも思います。
UoLが連携しているcourseraは過去に利用した経験があり、サービスとして信頼できる手応えがあったというのも大きかったです。
いずれにせよ、ノーコストで進められるところまで進めてみて、実感としてどう思うかを試すというのはけっこう大事ですね。

現状

先述した通りUoLから、submit後約1週間でOffer letterをもらい、入学費用を支払い、courseraと紐付けるところまで来ました。
UoLはCSの学生向けに3つ、courseraのコースを無料で受けられる特典を用意してくれていて、その中でUoLの単位に変換できるGoogle IT Supportというコースを今受講しているところです。数か月かかる…と公式では言っていますが、ふつうにプログラムを書いたり自作PCを組んだりLinuxをいじってきた経験があれば、ほぼ動画をスキップして/倍速で見て数週間で単位取得できそうな雰囲気です。ただ、その中でもやはり自分の知識に穴があるな…と感じるところも多いです。雑に画用紙に大きめの丸を描いたとき、その中のことはだいたいわかるがその外側についてはさっぱり、というような感覚です。
あらためて触ってみるとcourseraはやはり使いやすくて、WEB版だけでなくタブレット/スマートフォンアプリの出来もいいのが素晴らしいです。途中途中にクイズ/テストがあって先に進む形ですが、かゆいところに手が届く…という感じで、上記の「丸の外側」を意識させてくれる作りになっているように思います。

がんばる/がんばりましょう

実際どれくらい時間をかけることになるのか、果たして年単位の学習が続くのか、不安は尽きないところではありますが、しいたけ占いによると水瓶座の2023年下半期は「新鮮で、刺激的で、大好きな外の空気を吸っていく」時期とのことなので、がんばりたいと思います。
まだUoPeopleもUoLも、秋からのスタートに応募できるはずなので、興味のある方はぜひ調べてみてください。知りたいことがある方は、こちらからメールででも連絡をもらえれば答えられることは答えたいと思います。
同じタイミングで入学される方、一緒に無理せずがんばりましょう!

参考にさせていただいたもの🙏

UoL

UoPeople (Transfer credits)

Discussion