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"黄金時代へのラブレター" 有料フォント・Berkeley Monoレポート

2022/09/14に公開

https://berkeleygraphics.com/typefaces/berkeley-mono

Berkeley Mono is a love letter to the golden era of computing. The era that gave rise to a generation of people who celebrated automation and reveled in the joy of computing, when transistors replaced cogs, and machine-readable typefaces were developed, for when humans and machines truly interfaced on an unprecedented scale.
Berkeley Mono wears a UNIX® T-shirt and aspires to be etched on control panels in black synthetic lacquer. It is Adrian Frutiger visits Bell Labs. It is Gene Kranz's command. It operates with calibrated precision and has a datasheet.
Berkeley Mono is a typeface for professionals.

Berkeley Monoは、コンピューティングの黄金時代――自動化を謳歌し、コンピューティングの喜びに浸る世代が生まれ、歯車に代わってトランジスタが使われ、機械が読める書体が開発され、人間と機械が前例のないスケールで真に相互作用した時代へのラブレターです。
UNIXのTシャツを着たBerkeley Monoは、制御盤に黒い合成樹脂で刻まれることを熱望しています。Berkeley Monoはベル研究所を訪れたアドリアン・フルティガーです。Berkeley Monoはジーン・クランツの指令です。Berkeley Monoは高い精度を持ち、データシートもついてきます。
Berkeley Monoはプロフェッショナルのための書体です。

話題のBerkeley Mono、購入してみたレポートです。
エンジニア向けのこのフォント、上記の紹介文からも分かる通り、非常に明確なイメージ・哲学を持って作られています。
見ていきましょう。上がBerkeley Mono、参考として下がJetBrains Monoです。



一言でいうと、Berkeley Monoの哲学は「スクエア」であると思います。そのスクエアさはたとえば{}に現れています。下の31行めに出てきますが、JetBrainsの柔らかい曲線的なカッコに対し、Berkeleyは工業的と言っても言い過ぎではないようなフォルム。しかし決して生硬さはなく、どこか愛嬌のある、人間臭いとも呼べるようなわずかな親しみやすさも感じられるのが特徴のように思います。
それは英字にも言えて、たとえば下・25行めのエラーメッセージ。Cannotのこの感じといったらどうでしょう! 決してエレガントではないが、一方で自らを隠すことも大きく見せることもしない、等身大のn…とでも評せるでしょうか。JetBrainsの美しく滑らかなアルファベットと対比すると、この愚直なまでのCannotにもやはり愛すべきキャラクターを感じてしまいます。
また、reにもかなりの違いが表れていますね。
こう比較してみると、JetBrainsは思ったよりも曲線的に構成されていたのだな、と気づかされます。

もっと大きく見てみましょう。

どうでしょうか、このErrorargs.len()あたりの感じ。スクエアでありながら硬すぎない、非常に微妙なバランスの上に成り立っているフォルム、といった印象を受けます。std::env::の並びも美しく、計算に計算を重ねた結果のデザインなのだということがよく分かりますね。

もうひとつ注目したいのは「数字の並びの美しさ」。行ナンバーのところを見ると、数字が並んでいる様が非常に、なんというかきっちりとしたまとまりを感じるのですね。曲線的に構成したJetBrainsと比較すると、そのスクエア性が、数字の並びにきわめて精緻なたたずまいを与えていることがよく分かります。

そんなBerkeley Monoですが、Developer Licenseは75米ドル・買い切りでの販売となっております。有料のフォントなんてなかなか受けが悪い今の時代にチャレンジングですね。
3年弱JetBrains Monoを愛用してきた私ですが、おそらくこれからはBerkeley Monoを使っていくと思います。非常に明確な哲学を持った美しいフォントなので、ハッときた方はぜひ購入を検討してみてください。

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