国産ヘッドレスCMS3社の無料プランと課金の内容を比較(2025年)
microCMSの価格改定があるので、改めて国産ヘッドレスCMSの料金プランを比較してみました。
今回比較するのは無料プランを持つ以下の3社です。
- microCMS
- Newt
- Kuroco
料金プランの確認
microCMS
サービス概要
国産ヘッドレスCMSの先駆け的存在で、チュートリアルも言語ごとに存在していて充実しています。
料金プラン
2025年6月10日より新料金プランを導入されるのでそちらを参照します。
無料プランからAPIリクエスト数及びメディアのストレージがなんと無制限!
プラン自体はプランを上げるにつれて、利用できる機能が解放されていくような設計になっています。
プロジェクトの要件によって必要な機能が決まれば必要なプランもある程度決まるので、料金の見積もりは容易かもしれません。
プラン | 価格 | 特徴 |
---|---|---|
Hobby | 無料 | APIリクエスト数、メディアのストレージが無制限、データ転送量20GB/月を超えると止まる。 |
Team | 4,900円〜 | Hobbyに加えて、POST系のAPIが使える、画像以外のファイルが扱える。 |
Business | 75,000円〜 | Teamに加えて、メンバーの権限設定、IP制限ができる |
Enterprise | お見積もり | Businessに加えて、メディアの独自ドメイン化、ログ、SLA、SSO、2要素認証の必須化ができる |
無料のプランでは、POST系のAPIが使えない、画像以外のファイルが使えないという制限があるため、自社サイトを自分で作るかってぐらいの用途だとTeam以上が必要になってくるかと思いますが、個人利用のブログ等に対しては無料プランで十分使い勝手が良いと思います。
Newt
サービス概要
ヘッドレスフォームなどとも呼ばれる、フォームの内容を指定のエンドポイントに送るだけで問い合わせを管理したり自動返信・通知などが使えるForm Appという機能の使い勝手が良いです。
CMS AppとForm Appは別料金となっていますがどちらも無料版の提供があります。
料金プラン
CMS App:
Form App:
公式サイトの比較表を見るとわかる通り、プランによる機能の制限がほぼありません。
メンバー数やAPIリクエスト数、転送量、コンテンツ数など、使う量によって金額が上がっていくような設計です。
一番大きいプランの差は Freeは規定量を超過するとAPIが止まるのに対して、Smallのプランだと超過料金が発生するものの、機能としては止まらない点でしょうか。
例えば、APIリクエストの場合は +40円/10万回で利用が可能です。
Smallプラン3,980円/月に対してProfessionalプラン49,800円/月とプラン間の値段の剥離が大きいので、無料プランで実装、実運用になったら利用料でサイトが止まらないようにSmallプランに変更、発生する費用の様子を見ながらProfessionalプランへの変更を検討といった流れになるかもしれません。
CMS App:
プラン | 価格 | 特徴 |
---|---|---|
Free | 無料 | 有料プランに対して機能の制限は少ない。ただし、規定量を超えると機能が止まる。2要素認証、Googleアカウントによるサインアップ・ログインが可能。 |
Small | 3,980円/月 | Freeに対して各機能の割り当てが増加。規定量を超えても超過料金が発生するものの機能としては止まらない。 |
Professional | 49,800円/月 | Smallに対して割当量が増加。復元、メンバーへの権限設定、IP制限ができる。 |
Enterprise | 298,000円/月~ | Professionalに対して割当量が増加。ログ、SLA、SSO、2要素認証の必須化ができる |
Form App:
プラン | 価格 | 特徴 |
---|---|---|
Entry | 無料 | 月間メッセージ数:30、主要な機能はすべて使えそう |
Basic | 2,000円/月 | 月間メッセージ数:1,000 |
Advanced | 5,000円/月 | 月間メッセージ数:10,000、カスタマイズ可能な権限管理 |
Form Appは便利ですが、有料プランであってもメッセージ数が規定量を超えると、超過分のメッセージを確認できなくなってしまうのが怖いです。
CMSと同じように超過料金で動く選択肢がほしいところ。。。
CMS Appでは無料で2要素認証や、Googleアカウントによるログインができるのは魅力的です。
セキュリティに対してしっかりと対策がとれるうえ、機能的な制限も少なく、Form Appでフォームの実装も合わせてNewtでできるので、無料やSmall程度のプランで利用できる範囲は広そうです。
Kuroco
サービス概要
元がエンタープライズ向けのRCMSなので、Kurocoもエンタープライズ向けの機能が充実しています。
料金プラン
Kurocoの料金プランは従量課金なので、無料プランというのはないのですが、1100円/月までの無料枠があり、クレジットカード不要で登録できるので実質無料プランとして即利用が可能です。
従量課金として課金される項目と、課金なしで利用できる機能の確認をしました。
項目 | 価格 |
---|---|
APIリクエスト | 55円/1,000hit |
キャッシュされたAPIリクエスト | 44円/10,000hit |
コンピューティング | 0.0132円/1,000ミリ秒 |
CDN転送量 | 110円/5GB |
メール | 11円/100通 |
ファイルストレージ | 55円/1GB |
AI | 150円/1,000ユニット |
技術サポート | 132,000円/月~ |
課金なし | メンバー数、コンテンツ数、CSVインポート、API数、APIkey数、APIインポート/エクスポート、APIの種類、メディアの種類、メディアの独自ドメイン化、メンバーへの権限設定、IP制限、ログ、SLA、SSO、2要素認証、複数環境管理 |
従量課金になるので、無料で使う場合は思わぬところで無料枠を超えて機能が止まるっていうのは心配です。
しかし、メンバー数、コンテンツ数、API数に制限が無いのは魅力ですね。
また、メンバーへの権限設定やIP制限、ログ、SSOといった機能が無料で使えてしまうのも従量課金ならではかと思います。
プラン比較
ここまで調べた結果を表にしてみます。
単純に比較ができないので無料プラン(無料枠)でどれだけ使えるか、追加機能にいくら必要かといった視点で表にします。
microCMS | Newt | Kuroco | |
---|---|---|---|
メンバー数 | 3 | 1 | 無制限 |
APIリクエスト数 | 無制限 | 100万回 | 約6万回 |
データ転送量 | 20GB | 100GB | 10GB |
コンテンツ数 | 10,000 | 10,000 | 1,000,000 |
メディアのストレージ容量 | 無制限 | 無制限 | 4GB |
画像以外のファイル保存 | 4,900円~ | 無料 | 無料 |
APIによるコンテンツの追加 | 4,900円~ | × | 無料 |
フォーム機能 | △(4,900円〜) | 30通 | 約300通 |
メンバーの権限設定、IP制限 | 75,000円/月~ | 49,800円/月~ | 無料 |
ログ、SLA、SSO、2要素認証の必須化 | Enterprise~ | 298,000円/月~ | 無料 |
メディアの独自ドメイン化 | Enterprise~ | × | 無料 |
技術サポート | 75,000円/月~ | 298,000円/月~ | 132,000円/月~ |
所感
Kurocoが従量課金のため簡単に比較できず困りました。加えて、見積もりが難しい。。。
用意されたプランの機能中で利用する場合は、microCMSやNewtがAPIリクエスト数やデータ転送量のコストの点で優位です。
この2つの大きな違いはForm Appの存在でしょうか。
ただ、Kurocoは従量課金ならではで、無料で利用できるうちからすべての機能が解放されているので、無料で利用しつつログも残るし、メンバーの権限やSSO、2段階認証の実装までできる。っていうのは面白いです。
他社と明確に違う使い勝手になりますね。
簡単なのはmicoroCMSやNewtになりますが、自分でいろいろ設定できて、APIのリクエスト数などを節約するような使い方ができれば、Kurocoが安いかつ高機能となるかもしれません。
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