AI Studio で転送時の録音について
はじめに
みなさん、こんにちは。KDDI ウェブコミュニケーションズで CPaaS のエバンジェリストをしている高橋です。
この記事では、AI Studio の Call Routing ノードを利用した場合の録音の挙動について解説をします。
本記事の対象となる読者
- Vonage AI Studio で電話の転送をしたい方
- US番号に転送したときに録音ができない事象に困っている方
Vonage AI Studio とは
Vonage AI Studio (以下、AI Studio)は、ノーコード・ローコードでコールフローを作成できるツールです。Vonageが提供しており、ブラウザ上で動作します。
上の図のように、ノードと呼ばれる部品をドラッグ・アンド・ドロップして接続するだけで、簡単にコールフローが作成できます。
Call Routing ノードとは
AI Studio の中で、別の電話や SIP に対して電話を転送するためのノードです。
上の例では、通話を外部の電話(PSTN)に転送をする設定になります。
このノードは、電話を簡単に転送できるためよく利用されるノードですが、録音に関しては少し注意が必要です。
転送中は通話録音ができない
AI Studio では、Start ノードでRecord Call
にチェックをいれることで録音が可能です。
この状態で Call Routing ノードを使った転送をした場合、転送前までは録音されますが、転送した時点で録音が終了してしまいます。
ただし、これには以下の条件があります。
- AI Studio のエージェント設定で、
Language
に日本語(Japanese)を選択している。 - AI Studio に割り当てをした電話番号が US 番号である。
- 転送先の電話番号が日本の番号である。
Vonage で日本の番号を取得するには、法人か個人事業主、自治体などであることが条件になっているため、上記の条件に当てはまってしまうケースが少なくありません。
なぜ録音できないのか
これは、上記の条件の中の「AI Studio のエージェント設定で、Language
に日本語(Japanese)を選択している」に起因しています。
日本語を選択した場合、Call Routing パラメーターには、本来表示されるべきオプションが表示されません。
上の図は、Language
に英語を選択した場合のスクリーンショットです。
Record call
というオプションが確認できると思いますが、これが日本語環境では表示されません。
このオプションが転送中にも録音を継続するかどうかの設定になっていて、デフォルトはオフ(録音しない)になっています。
日本語環境ではそもそもこのオプションが表示されないため、転送中の録音が継続されないことになります。
この仕様であれば、AI Studio を日本語環境で構築するとすべて録音はできないはずですが、なぜか録音は継続されます。
これについてはサポートにも問い合わせをしていますが、現状その仕様に変更はないとの回答をもらっています。
確実に転送録音を継続する
日本語環境でも確実に録音を継続するには、Call Routing ノードを使わずに、NCCO ノードを使うことをおすすめします。
NCCO ノードの Body は、以下のようになります。
{
"endpoint": [
{
"number": "8190XXXXXXXX",
"type": "phone"
}
],
"ringbackTone": "https://studio-prompts.s3-eu-west-1.amazonaws.com/ringtone3.wav",
"eventUrl": [
"https://stairway-us-east-1.ai.vonage.com/integrations/vapi/webhooks/event?agent_id=XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX&route_call=true&should_record=true"
],
"action": "connect",
"from": "120XXXXXXXX",
"timeout": "45"
}
-
endpoint
内のnumber
は、転送先の電話番号(MSISDN形式)を指定してください。 -
eventUrl
内のagent_id
には、今作成している AI Studio の AgentId を指定してください。 -
from
には Vonage の電話番号(MSISDN形式)を指定してください。
まとめ
今回は、AI Studio の Call Routing ノードの録音について解説しました。
今回のように、日本語環境は US 環境とは一部仕様が異なる部分がありますので注意が必要です。
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