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ジョブクラフティングのすすめ

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はじめに

これまでの3年間、私は一人前のエンジニアになるべく土日も技術研鑽に励んできました。新卒1年目に幸か不幸かChatGPTの到来を経験し、「エンジニアとして突き抜けないと終わる」と焦燥感と危機感に突き動かされていました。
AIに代替されないためには、①課題を定義する側, ②技術的な最先端にとどまり続ける、しかないとゴールを基準高いところに設定でき、土日もエネルギッシュに自己研鑽に励むことができました。

3年目の終わり頃には、全社でのプロジェクト成功があり、AIに代替されないまでも危機を脱したと自信を持てるようになりました。

しかし、ある時ふと“伸び悩み”や“エネルギー切れ”を感じるようになったのです。
なぜなら今までは危機感ドリブンで動いていたのが、満足してしまったからです。

そんな折、上記の課題感「危機感ドリブンで動けなくなってしまった...」をCTOとの面談で相談したところこのようなアドバイスをもらいました。

「危機感を煽ると競争的なものの見方から脱することができない。」
「(学校的な)競争ではなく、自由に考えた方が面白いよ」

その一言で視野を広げられました。

とはいえ、自由に考えるとは何か?

私はこれまで自身の成長戦略として「先輩や上司のタスクを奪い取るには?」という問いをしてきました。
定義された仕事はプロセスや基準を一回覚えてしまえば自分ごと化しやすく、自分よりパフォームする人(事業的には相対的に単価が高い人)の時間を節約することで直接的に組織にも貢献できるからです。

この成長戦略は再現性高く機能したものの、自由とは程遠く「タスクは奪い合うもの」という固定観念があったことに気づきました。
業務の見方を根本から変えるきっかけになり、数値目標やKPIだけで仕事を評価していた自分に初めて疑問を抱きました。

しかし、自由に考えると決めても、2つの壁に直面しました。

  • 自由に考え方がわからない.
    • 今までタスクの奪い合いの前提を持っていたので、どこから問いを始めればいいかわからなかった.
  • より高いレイヤー役職のタスクの奪い方がわからない.
    • 前提、執筆当時、直属の上司がCTO直下のVPoEクラスだった.
    • スキルセットや視座が異なり、タスクのやり取りが難しく感じていた.
    • また、ステークホルダーマネジメントを含む調整が多い印象があり、「やりたい」「奪いたい」と思えていなかった

この壁を越えるカギが「ジョブクラフティング」です。
タスクの再構築、関係のデザイン、認知のリフレームという3つの視点で仕事そのものをデザインし直す。これにより、自律的にチームを牽引できる「勘がいいエンジニア」、つまり次世代リーダーへの第一歩を踏み出せます。

対象

  • 3年目以降の社会人
  • チームリーダーを目指している方

ジョブクラフティングとは?

従業員一人ひとりが仕事に対する認知や行動を自ら主体的に修正していくことで、退屈な作業や“やらされ感”のある仕事を“やりがいのあるもの”へと変容させる手法のこと。会社や上司の指示・命令ではなく、働く人々が自分自身の意思で仕事を再定義し、自分らしさや新しい視点を取り込んでいくことで、モチベーションが高まり、パフォーマンスの向上につながるという考え方です。

ナレッジコミュニティ「日本の人事部」様の記事より定義を引用

https://jinjibu.jp/keyword/detl/779/

仕事に対する認知や行動を変えることでモチベーションやパフォーマンスの向上を図ると言うものです。

私は今まで良くも悪くも課題の困難さにモチベーションが左右されていました。
困難な課題なら燃えるし、逆に誰でもできることは早く終わらして次の課題に行きたいなーと言う考えることが多かったです。
要は、課題すなわちタスクにモチベーションやパフォーマンスが依存していました。

ジョブクラフティングで変わった仕事観

Before: 仕事とは「タスク奪い合い」

  • 成長戦略として、先輩や上司のタスクを奪い取る
  • ロールやスキルセットの違いでタスクの受け渡しが困難

After: 仕事は作り出すもの

  • タスクを「仕事の一部」と捉え直し、自分で再構築
    • タスク・関係性・認知の3つの視点で主体的に最適化
  • 仕事全体を俯瞰し、チームに新たな価値を提供

ジョブクラフティングの3要素

  1. タスククラフティング(Task Crafting)

    • 仕事の中のタスクを細分化/再編成し、得意領域にフォーカス
    • 例:単調な作業に自動化ルールを組み込む、要件定義を先行して巻き取る
  2. 関係性クラフティング(Relational Crafting)

    • 関わるステークホルダーや人間関係を意図的に拡張
    • 例:他部署PMと週次で知見共有、信頼できる同僚とペアレビュー
  3. 認知クラフティング(Cognitive Crafting)

    • 仕事の意味づけをリフレームし、やりがいや価値を見出す
    • 例:「資料作成」を「チームの意思決定を支える重要アウトプット」と捉える

具体的なクラフト例の深掘り

私は実践ステップとして下記のチェックポイントを設け、タスククラフトできそうなポイントを振り返っています.

  1. 現状タスクの棚卸しとギャップ分析

    • 日報やチケットから自分が担っているタスクを洗い出し、Type(定常 / イレギュラー)別に分類
  2. 関係性の“足りない”を補うアクション

    • キーパーソンをリスト化し、定期/突発の接点を設ける仕組みを考案
  3. 仕事の価値を言語化し、周囲に共有

    • 日報やドキュメントで「このタスクがチームにもたらす価値」を明示し、共通認識を獲得

Case1: 社内ツール n8n の運用ルール化

  • 課題/違和感
    社内でn8nの本格運用に際して、マネージャーレイヤーで「n8n運用ルール化」が課題になっていたが、先行事例がなく話が止まっていた

  • タスククラフティング

    1. 「セルフホスト要否検討」「ドキュメント雛形作成」「ステークホルダー確認」をタスク分解
    2. 「このルール系は僕がリードします」とマネージャーに宣言し、責任範囲を確定
  • 関係性クラフティング

    • インフラ/SREチームにも案を共有し、横断合意を形成
  • 認知クラフティング

    • 「ルール化」は単なるドキュメント作成ではなく、「開発フローの標準化」「品質担保」の重要タスクにリフレーム
  • 学び/改善ポイント

    • 誰も手を付けづらい領域こそ、タスク、関係性の作成ポイントにできる
    • 初期段階で協力者を定め、巻き込みを強化することが鍵

まとめ

意識変革ポイントとして、「タスクを奪う」のではなく「タスクを共創する」視点と感覚を少し掴むことができた学びを言語化しました。
またこれはメンバーからリーダーになるための儀式のようなものなのかなと思いました。

危機感をいたずらに煽るのではなく、自律的に仕事を再設計し、チームに新たな価値をもたらしていきたいと思います。

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