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【崩壊スターレイル】カットシーンを観る Vol.1

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本記事は『崩壊スターレイル』の VFX がどういったテクニックで制作されているかを観察・推察しながら紐解き、開発者向けに知見として形に残しておくことを目的としており、YouTubeに上がっている動画を引用させていただいています。

序章:宇宙ステーション「ヘルタ」

冒頭~主人公が動かせるまで

早速冒頭ですが、隕石が画面を横切った際に裏でショットを替えています。映像作品ではよくある手法ですが、3D ゲームでのリアルタイムだと少々テクい感じがします。まずこの岩は手描きの一枚絵に見えます。そしてブラーも入っていないため、単純に隕石の絵を板ポリに貼ってショットが変わっても関係なくカメラに対する座標を維持して移動させているだけか、もしくはカットシーン向けにポスプロまたは UI の描画パスでトランジションの演出として入れているかも知れません。この隕石をちゃんとした 3D モデルで行ってオブジェクトブラーも入れたいとなると、カメラが変わる際にそのままではベロシティに問題が起こると思うので厄介な気がします。

動画:https://youtu.be/_ZkiGS6Eug0?list=PLs4Nmf7JpBBQwIUNbEXJ_d76yuuNhfier&t=5

敵の出現時に輪郭が表示されていますが、カメラが近づくと太くなるため背面法かな?輪郭の色と体の色はちゃんと別々に色アニメーションできるようになっている感じがします。

動画:https://youtu.be/_ZkiGS6Eug0?list=PLs4Nmf7JpBBQwIUNbEXJ_d76yuuNhfier&t=18

出現直後はスクリーンスペース UV での銀河の絵を表示させている感じですね。ぽスプロというよりは敵キャラのマテリアルにそういう仕込みをする方が素直な気がします。画面全体に僅かに色収差を入れて生々しい写実的な印象を強めていますね。

動画:https://youtu.be/_ZkiGS6Eug0?list=PLs4Nmf7JpBBQwIUNbEXJ_d76yuuNhfier&t=31

よくある剣撃でのマズルフラッシュのようなシルエットの黄色い火花1つとっても、先端に向かってこげ茶色のグラデーションが入っていたりと、クオリティが出るのはこういう丁寧さの積み重ねですよね。周囲に出ている雷はモデルによる形状 + ディゾルブかな?

動画:https://youtu.be/_ZkiGS6Eug0?list=PLs4Nmf7JpBBQwIUNbEXJ_d76yuuNhfier&t=39

中央から強烈な発光が起こりますが、その際にキャラクターの色を暗く落として逆光感を強めてますね。こういうところからも丁寧な仕事ぶりが伺えます。ライティング(露出)の制御で行っているのかマテリアルやポスプロで行っているのかは分かりません。

動画:https://youtu.be/_ZkiGS6Eug0?list=PLs4Nmf7JpBBQwIUNbEXJ_d76yuuNhfier&t=51

予備電源または敵侵入による警戒モードに移行したかのようにキャラクターや背景全体が赤い色調に切り替わります。画面全体に均等に色味が変わっているのでポスプロによる色調補正と思いますが、空間に表示されるスクリーンにはその影響が無いためマスクできるようになっているのか、または色調補正後に描画しているかのどちらかかな?

動画:https://youtu.be/_ZkiGS6Eug0?list=PLs4Nmf7JpBBQwIUNbEXJ_d76yuuNhfier&t=57

側面からのショットでは敵をワープさせるエフェクトによるライトがカフカを照らしていますが、背後から青い光が当たっているかのように見せているこちらは均一に色が乗っているため、キャラクターのマテリアルで行っているかも。

動画:https://youtu.be/_ZkiGS6Eug0?list=PLs4Nmf7JpBBQwIUNbEXJ_d76yuuNhfier&t=305

トラックバックすると手前のオブジェクトが出てくる演出も定番のものですが、銀狼の手が DOF でボケています。空中に投影されたスクリーンは半透明ですが、崩壊スターレイルでは半透明は DOF の影響を受ける方針のようですね。ただし半透明に深度は描かれておらず、銀狼の手に重なった部分しかボケていないことが分かります。半透明に対して適切に DOF をかけるには深度情報が必要なので未だ悩ましい問題ですね。

動画:https://youtu.be/_ZkiGS6Eug0?list=PLs4Nmf7JpBBQwIUNbEXJ_d76yuuNhfier&t=306

オリジナルは中国語ボイスだと思いますが、日本語版も英語版もボイスと口パクがしっかり嚙み合っているため、リップシンクの自動化をちゃんとやっていると思います。しかもかなり良い感じ。崩壊スターレイルでは AI の研究にも力を入れているとインタビューにあったため AI も利用しているかも。ちなみに鳴潮はボイスと口パクが合ってないのですよね。せめて音声入力がある際には口がループででも動いて欲しいですね。

動画:https://youtu.be/_ZkiGS6Eug0?list=PLs4Nmf7JpBBQwIUNbEXJ_d76yuuNhfier&t=323

小さい口の中の歯もしっかり用意されていますが、眼球にちゃんと影が落ちているもののハイライトには落ちないようになっていたりと工夫が色々見られますね。

動画:https://youtu.be/_ZkiGS6Eug0?list=PLs4Nmf7JpBBQwIUNbEXJ_d76yuuNhfier&t=670

ワープでよくある画面中央に吸い込まれるように絵が中央に集まる表現。シーンのレンダリング後のバッファをスクリーンスペースの UV が画面中心に向かって詰まっていくようにアニメーション(手軽にやるなら UE で言う Power の値を高めていくとか)してあげることで実現できると思います。

動画:https://youtu.be/_ZkiGS6Eug0?list=PLs4Nmf7JpBBQwIUNbEXJ_d76yuuNhfier&t=860

続けて転送されているような演出。インターステラー的で良いですね✨マスクで切り抜かれたような絵が多重になっていて凝った作りな感じがします。ポスプロなのかモデル&マテリアルなのかは分かりません。最後に放射状の白い集中線的なパーティクル + ブラーだけでなく、画面の外側に青いフレア&虹色のフレアのような素材を重ねているのがとてもキレイ。。こういう一工夫を見習いたい。


動画:https://youtu.be/_ZkiGS6Eug0?list=PLs4Nmf7JpBBQwIUNbEXJ_d76yuuNhfier&t=861

終末獣戦後

主人公が三月なのかを庇うシーン。単にホワイトアウトさせるだけでなく DOF か何かでボケを強くしていっているのが良いですね✨

動画:https://youtu.be/_ZkiGS6Eug0?list=PLs4Nmf7JpBBQwIUNbEXJ_d76yuuNhfier&t=5891

ヴェルトの杖を赤く光らせています。これもまた、ほんのちょっと味付けを加えることでクオリティが高まっている事例ですね。単にフレネルで色を入れているよりもう少し凝った感じに見えます。。

動画:https://youtu.be/_ZkiGS6Eug0?list=PLs4Nmf7JpBBQwIUNbEXJ_d76yuuNhfier&t=5941

今回はここまで!

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