※完全に趣味の領域です

最近はAI・LLM関連の論文を日常的に閲覧することが多くなっているが、ふと思い立って競馬に関連しそうな論文を探してみた。

※論文はClaude-3.5-Sonnetで読ませて気になったらQAしてます。
※順不同、結構古いものもあり

Efficient Market Dynamics: Unraveling Informational Efficiency in UK Horse Racing Betting Markets Through Betfair's Time Series Analysis

https://arxiv.org/abs/2402.02623

以下Claude-3.5-Sonnetによる落合プロンプト

効率的市場のダイナミクス：Betfairの時系列分析を通じた英国競馬ベッティング市場における情報効率性の解明

どんなもの？

この論文は、英国の競馬市場におけるベッティング取引所Betfairのデータを分析し、オンライン・スポーツ・ベッティング取引所の特性を明らかにしたものです。具体的には、金融市場で観察される「定型化された事実」と呼ばれる統計的特徴を、ベッティング取引所のデータに適用して調査しています。

分析の結果、ベッティング取引所のリターン分布には「軽い裾」が見られ、金融市場で一般的に観察される「重い裾」とは対照的であることが分かりました。また、利得と損失の非対称性は見られず、リターンは平均回帰性と定常性を示しました。さらに、自己相関の減衰が速いことも明らかになり、これらの特徴はベッティング取引所が高い情報効率性を持つ可能性を示唆しています。

この研究は、ベッティング取引所と金融市場の類似点と相違点を明らかにし、オンライン・スポーツ・ベッティング取引所の独自の統計的特性を理解するための基礎を提供しています。

先行研究を比べてどこがすごい？

この研究の革新的な点は、金融市場で長年研究されてきた「定型化された事実」の概念を、比較的新しい分野であるオンライン・スポーツ・ベッティング取引所に適用したことです。先行研究では、ベッティング取引所の効率性や予測精度に焦点を当てたものが多かったのに対し、この研究は取引所のデータの統計的特性を包括的に分析しています。

特に、リターン分布の裾の性質、利得損失の非対称性、時間依存性などの特徴を詳細に調査しています。これにより、ベッティング取引所が金融市場とは異なる特性を持つことを明らかにしました。例えば、金融市場では一般的に観察される「重い裾」が、ベッティング取引所では見られないことを示しています。

また、この研究は大規模なBetfairのデータセット（100万以上の価格変動シグナル、73の市場、10のイベント）を使用しており、先行研究よりも包括的な分析を可能にしています。これにより、ベッティング取引所の特性をより正確に把握し、金融市場との比較を行うことができています。

技術や手法の肝はどこ？

この研究の主要な技術的アプローチは、金融市場の分析で使用される統計的手法をベッティング取引所のデータに適用することです。具体的には以下の手法が用いられています：

1. リターン分布の分析：対数リターンを計算し、その統計的特性（平均、標準偏差、歪度、尖度）を調査しています。
2. 裾の重さの分析：Hill推定量を使用して分布の裾の指数を推定し、一般化ガウス分布をデータにフィッティングしています。
3. 利得損失の非対称性の分析：正と負のリターンの分布を比較し、コルモゴロフ・スミルノフ検定を実施しています。
4. 時間依存性の分析：自己相関関数を計算し、その減衰の速さを調べています。また、絶対リターンの非線形自己相関も分析しています。
5. 定常性の検定：ADF検定とKPSS検定を使用してデータの定常性を確認しています。

これらの手法を組み合わせることで、ベッティング取引所のデータの多面的な特性を明らかにし、金融市場との比較を可能にしています。また、データの前処理や、市場ごとの個別分析など、詳細な分析手法も研究の重要な部分となっています。

どうやって有効だと検証した？

この研究の有効性は、主に以下の方法で検証されています：

1. 大規模データセットの使用：100万以上の価格変動シグナル、73の市場、10のイベントを含む包括的なデータセットを分析することで、結果の信頼性を高めています。

2. 既存の金融市場研究との比較：リターン分布、自己相関、ボラティリティ・クラスタリングなど、金融市場で well-established な「定型化された事実」との比較を行い、ベッティング取引所の特徴を明確にしています。

3. 統計的検定の実施：コルモゴロフ・スミルノフ検定、ADF検定、KPSS検定など、複数の統計的検定を行うことで、結果の統計的有意性を確認しています。

4. 複数の分析手法の適用：リターン分布、裾の重さ、時間依存性など、異なる側面から分析を行うことで、結果の頑健性を確保しています。

5. 視覚化：自己相関プロットやリターン分布のフィッティングなど、結果を視覚的に表現することで、発見された特徴を明確に示しています。

これらの方法により、研究結果の信頼性と有効性を高めています。ただし、著者らは研究の限界（例：データ期間の短さ）も認識しており、将来の研究の方向性も示しています。

議論はある？

著者らは研究結果に基づいて以下のような議論を展開しています：

1. ベッティング取引所の効率性：金融市場と比較して、ベッティング取引所がより効率的である可能性が示唆されています。これは、リターン分布の「軽い裾」や自己相関の速い減衰などから推測されています。

2. 予測可能性の差異：スポーツイベントの結果が、世界経済に影響を与える出来事よりも本質的に予測しやすい可能性があると議論しています。これが、金融市場とは異なるリターン分布の特性につながっている可能性があります。

3. 参加者の特性：ベッティング取引所の参加者が、金融市場の参加者よりもリスク回避度が低い可能性があると指摘しています。これが、より均等な利益と損失の分布につながっている可能性があります。

4. データの制限：研究で使用したデータが1か月間のものであり、長期的な傾向や季節性を捉えきれていない可能性があることを認識しています。

5. 今後の研究方向：より長期のデータ分析、異なるスポーツや市場の比較、ベッティング取引所特有の季節性の調査など、将来の研究課題を提案しています。

これらの議論は、ベッティング取引所と金融市場の違いを理解し、今後の研究の方向性を示す上で重要な役割を果たしています。

次に読むべき論文は？

著者らは直接的に次に読むべき論文を推奨していませんが、研究の文脈と将来の方向性から以下の論文が関連性が高いと考えられます：

1. Restocchi, V. (2018). "It Takes All Sorts: the Complexity of Prediction Markets." この論文は予測市場のリターン分布を分析しており、本研究と比較することで、ベッティング取引所の特性をより深く理解できる可能性があります。

2. Smith, M. A., Paton, D., & Williams, L. V. (2006). "Market efficiency in person-to-person betting." Economica, 73(292), 673-689. この論文はベッティング取引所の効率性を研究しており、本研究の効率性に関する議論を補完する可能性があります。

3. Franck, E., Verbeek, E., & Nüesch, S. (2010). "Prediction accuracy of different market structures - bookmakers versus a betting exchange." International Journal of Forecasting, 26(3), 448-459. この論文はベッティング取引所の予測精度を分析しており、本研究の効率性に関する議論と関連付けることができます。

4. Hardiman, S. J., Richmond, P., & Hutzler, S. (2010). "Long-range correlations in an online betting exchange for a football tournament." New Journal of Physics, 12(10), 105001. この論文はサッカー市場におけるベッティング取引所の長期相関を研究しており、本研究の時間依存性分析を補完する可能性があります。

これらの論文を読むことで、ベッティング取引所の統計的特性や効率性について、より包括的な理解を得ることができるでしょう。

この論文から、馬券購入者の行動について読み取れることはこんな感じだと思う。

• リスク管理：極端な勝ち負けが少なく、慎重にベットする傾向がある。
• 情報活用：利用可能な情報を効果的に使い、合理的な判断をする傾向がある。
• 予測能力：スポーツに関する知識や分析力を活かしてベットを行っている可能性が高い。
• バランス：過度に利益を追求したり損失を恐れたりせず、比較的バランスの取れた態度でベットしている。
• 学習適応力：経験から学び、市場の動向に適応する能力がある。
• コミュニティ性：独自の知識や経験を共有する特殊なコミュニティを形成している可能性がある。
• 娯楽志向：多くの参加者が過度のリスクを避け、主に娯楽としてベッティングを楽しんでいる可能性がある。

パリミュチュエル方式では馬券購入者間での取り合いなので、情報の非対称性ってのはオッズを生む要素として大きかったと思う。ただ、このあたりが今は埋まってきていて、日本でも最近はオッズが渋くなってきていると思うし、肌感的には納得できるところがある。

Optimal speed in Thoroughbred horse racing

https://arxiv.org/abs/2006.10530

以下Claude-3.5-Sonnetによる落合プロンプト

サラブレッド競走馬のレースにおける最適速度

どんなもの？

この論文は、競走馬（サラブレッド）がレース中にどのように速度を調整すべきかを、数学的モデルを用いて分析したものです。競走馬は全力疾走を維持できないため、ペース配分と最後のスパートのタイミングが重要です。著者らは、力学、エネルギー代謝（有酸素・無酸素）、運動制御を考慮したモデルを構築しました。このモデルは、速度、推進力、無酸素エネルギーに関する連立常微分方程式からなり、最適制御問題として解かれます。フランスのシャンティー競馬場でのレースデータを用いてパラメータを同定し、数値シミュレーションにより、レース中の最適な速度、酸素摂取量の変化、エネルギー消費、推進力を予測しています。さらに、コースの地形（高低差やカーブ）に応じて、馬がどのように努力と速度を変えるべきかも予測しています。

先行研究と比べてどこがすごい？

この研究の革新的な点は、競走馬のレース戦略を数学的にモデル化し、最適化した点です。先行研究では、主にトレッドミル上での測定や、レース中の単純な速度分析に留まっていました。例えば、Eaton et al. (1995)やRose et al. (1988)は、トレッドミル上での最大酸素摂取量（VO2max）を測定していましたが、実際のレース中の完全なVO2プロファイルは不明でした。Spence et al. (2012)はレース中のペース戦略を分析していますが、エネルギー代謝や地形の影響は考慮していません。本研究は、実際のレースデータを用いて、力学、エネルギー代謝、運動制御を統合したモデルを構築し、レース全体を通じての最適戦略を予測している点で画期的です。さらに、坂道やカーブがレース戦略に与える影響を定量的に分析している点も新しい貢献です。

技術や手法の肝はどこ？

この研究の核心は、競走馬のレース戦略を最適制御問題として定式化した点にあります。具体的には以下の要素が重要です：

1. 連立常微分方程式モデル：速度、推進力、無酸素エネルギーの時間変化を記述
2. エネルギー代謝の考慮：有酸素系（VO2）と無酸素系のバランスをモデル化
3. 地形の影響：坂道やカーブが推進力と速度に与える影響を組み込み
4. パラメータ同定：実際のレースデータを用いて馬の生理学的パラメータを推定
5. 最適制御問題の解法：BOCOPツールボックスを使用
6. 粒子群最適化：パラメータ同定のためのヒューリスティック最適化手法

これらの要素を組み合わせることで、レース距離、コース形状、馬の能力に応じた最適なペース戦略を導出しています。特に、VO2の変化とエネルギー消費のモデル化が、現実的なレース戦略の予測を可能にしている点が重要です。

どうやって有効だと検証した？

著者らは、フランスのシャンティー競馬場で行われた実際のレースデータを用いてモデルの検証を行っています。具体的には、以下の手順で検証を実施しました：

1. データ選択：他の馬との相互作用が少なく、特別な戦略を取っていないレースを選択
2. パラメータ同定：選択されたレースデータを用いて、モデルのパラメータを同定
3. シミュレーション：同定されたパラメータを用いて、最適な速度プロファイルを計算
4. 比較検証：シミュレーション結果と実際のレースデータ（速度プロファイル）を比較
5. 複数距離での検証：1300m、1900m、2100mのレースでモデルの適用性を確認
6. 予測の妥当性：得られたVO2プロファイルや無酸素エネルギーの消費パターンが、既知の生理学的知見と整合的かを確認

結果として、モデルによる予測が実際のレースデータとよく一致し、また生理学的にも妥当な結果が得られたことから、モデルの有効性が示されています。特に、カーブや坂道がレース戦略に与える影響を定量的に予測できる点が、モデルの強みとして示されています。

議論はある？

論文では以下のような議論点が挙げられています：

1. VO2プロファイル：モデルは、レース中のVO2の変化を予測しており、これは直接測定が困難な重要な情報です。特に、VO2maxに到達する時間や、レース終盤でのVO2の低下開始時期について新たな知見を提供しています。
2. エネルギー代謝：有酸素系と無酸素系のエネルギー供給バランスについて、レース距離による違いを定量的に示しています。これは、トレーニング戦略の最適化に貢献する可能性があります。
3. 最適ペース戦略：モデルは、強いスタートダッシュの重要性を示唆していますが、馬の能力に応じて適切に調整する必要性も指摘しています。
4. 地形の影響：坂道やカーブが単に局所的な影響ではなく、レース全体の戦略に大きく影響することを示しており、コース特性に応じた戦略の重要性を強調しています。
5. モデルの限界：現段階では他馬との相互作用（ドラフティング効果など）や馬の心理的要因を考慮していない点が限界として挙げられています。
6. 応用可能性：個々の馬の能力評価や、適性距離の予測など、実践的な応用の可能性について議論しています。

これらの議論は、モデルの有用性と今後の研究方向性を示唆しています。

次に読むべき論文は？

本研究の発展や関連分野の理解を深めるために、以下の論文が参考になると考えられます：

1. Spence AJ, et al. (2012) "Speed, pacing strategy and aerodynamic drafting in Thoroughbred horse racing" - 競走馬のペース戦略とドラフティング効果に関する研究
2. Hanon C, Thomas C. (2011) "Effects of optimal pacing strategies for 400-, 800-, and 1500-m races on the VO2 response" - ヒトの中距離走におけるペース戦略とVO2応答の関係を分析
3. Self ZT, et al. (2012) "Speed and incline during Thoroughbred horse racing: racehorse speed supports a metabolic power constraint to incline running but not to decline running" - 競走馬のスピードと坂道の関係を分析
4. Aftalion A, Trélat E. (2020) "Pace and motor control optimization for a runner" - ランナーのペースと運動制御の最適化に関する理論研究
5. Cottin F, et al. (2010) "Oxygen consumption and gait variables of Arabian endurance horses measured during a field exercise test" - 持久走馬の酸素消費量と歩様変数の関係を分析
6. Sih A, et al. (2004) "Behavioral syndromes: an ecological and evolutionary overview" - 動物の行動特性に関する生態学的・進化学的研究

これらの論文は、競走馬のパフォーマンス、エネルギー代謝、最適化モデル、行動特性など、本研究と関連する様々な側面をカバーしています。

以下の書籍にレースにおけるペース配分やエネルギー消費などがまとめられているのだけど、内容的には一致する所も多いので納得。

https://www.amazon.co.jp/競走馬の科学-速い馬とはこういう馬だ-ブルーバックス-ＪＲＡ競走馬総合研究所-ebook/dp/B01851E3MG/ref=reads_cwrtbar_d_sccl_2_12/357-8982526-8306900?pd_rd_w=53TDT&content-id=amzn1.sym.20c110f4-3a51-44ea-8394-01c79a137f82&pf_rd_p=20c110f4-3a51-44ea-8394-01c79a137f82&pf_rd_r=CGMWHVPD1FTHT8EFK9WZ&pd_rd_wg=liuQY&pd_rd_r=7a846990-adef-4de9-9ec6-e518707c6446&pd_rd_i=B01851E3MG&psc=1

ちょっと面白いので色々聞いてみた。

騎手はどう言うことを考えて乗ればいい？具体的なものもあれば教えて。

騎手が考慮すべき具体的な点について、論文の内容に基づいて以下にまとめます：

1. スタートダッシュの重要性

   • 論文によると、強いスタートダッシュが重要です。これにより、馬のVO2（酸素摂取量）を素早く最大値に到達させることができます。
   • 具体的には、スタート後200-300メートルで最高速度に達するようにペースを調整することが推奨されています。

2. 馬の能力に応じたペース配分

   • ただし、スタートダッシュは馬の能力に応じて適切に調整する必要があります。
   • 馬の無酸素性エネルギー供給能力（e0パラメータ）とVO2maxを考慮し、レース後半で極端に失速しないようなペース配分が重要です。

3. コース地形の影響を考慮

   • 坂道やカーブがレース全体の戦略に大きく影響することを認識する必要があります。
   • 上り坂では速度が落ちるため、その前後でペースを調整します。
   • カーブでは遠心力の影響で推進力が制限されるため、カーブに入る前にやや速度を落とし、カーブ抜けで加速するのが効果的です。

4. レース距離に応じたエネルギー配分

   • 短距離（例：1300m）では無酸素性エネルギーの割合が高くなります（論文では約47%）。
   • 中距離（例：1900m、2100m）では有酸素性エネルギーの割合が増加します（論文では約62-68%）。
   • レース距離に応じて、スタートダッシュの強さと中盤のペース維持のバランスを調整します。

5. ラストスパートのタイミング

   • 論文によると、残りの無酸素性エネルギーが初期値の約30%になった時点でVO2が低下し始めます。
   • これがラストスパートを仕掛けるべき最適なタイミングとされています。
   • 具体的には、ゴール前500-600メートル付近でのスパートが効果的である可能性が高いです。

6. 他馬との位置関係

   • 論文では直接扱われていませんが、ドラフティング（風よけ）効果を考慮することも重要です。
   • 特に中長距離レースでは、他馬の後ろにつけてエネルギーを温存し、最後の直線で抜け出す戦略も効果的かもしれません。

7. 馬の心理状態への配慮

   • これも論文では直接扱われていませんが、馬の性格や心理状態に応じたライディングも重要です。
   • 例えば、神経質な馬には落ち着いたペース配分で、闘争心の強い馬には他馬との競り合いを意識したライディングを心がけるなどの工夫が必要でしょう。

これらの点を総合的に考慮しながら、個々の馬の特性とレースの状況に応じて最適な戦略を立てることが、騎手には求められます。

コース地形の影響を考慮ってところをもっと詳しく

コース地形の影響についての詳細な考察は、この論文の重要な貢献の一つです。騎手がコース地形を考慮する際の具体的なポイントを、論文の内容に基づいてさらに詳しく説明します：

1. 坂道の影響

   • 上り坂：
     • 上り坂では馬の速度が自然に低下します。論文のシミュレーションでは、3%の上り坂で約1-2 m/s の速度低下が見られました。
     • 上り坂の位置によって戦略が変わります：
       • レース序盤の上り坂：最大速度に到達するのを妨げるため、通常よりも強めのスタートダッシュが必要かもしれません。
       • レース中盤の上り坂：平均速度を下げるため、その前後でペースを上げて補完することが効果的です。
       • レース終盤の上り坂：馬がまだ十分なエネルギーを持っていれば、他の馬よりも強い最後の追い込みができる可能性があります。
   • 下り坂：
     • 下り坂では自然に速度が上がりますが、これを利用してエネルギーを温存することが重要です。
     • 特にレース序盤や中盤の下り坂では、過度に速度を上げすぎないよう注意が必要です。

2. カーブの影響

   • カーブでは遠心力の影響で有効な推進力が減少します。論文のモデルでは、これを f_tot = √(f^2 + c^2v^4) ≤ f_M という制約で表現しています（f は推進力、c はカーブの曲率、v は速度、f_M は最大推進力）。
   • カーブの位置による影響：
     • レース序盤のカーブ：最高速度への到達を遅らせるため、スタートダッシュ後の加速を控えめにする必要があります。
     • レース中盤のカーブ：全体的な平均速度への影響が最小限になるため、ここでのペース調整が重要です。
     • レース終盤のカーブ：最後のスパートのタイミングに影響するため、カーブ出口での加速が勝負の鍵となる可能性があります。
   • 具体的な戦略：
     • カーブに入る前にやや速度を落とし、カーブ中は一定のペースを保ち、カーブを出たところで加速するのが効果的です。
     • 論文のシミュレーションでは、半径100mのカーブで約1-1.5 m/s の速度低下が見られました。

3. クロソイド（緩和曲線）の利用

   • 論文では、直線とカーブをつなぐクロソイド（曲率が距離に比例して増加する曲線）の重要性も指摘されています。
   • クロソイドでは、馬が滑らかに速度を変化させることができます。
   • 騎手は、クロソイド区間で徐々に体勢を整え、カーブに備えたり、カーブ出口で加速の準備をしたりすることができます。

4. 複合的な地形変化への対応

   • 実際のコースでは、坂道とカーブが組み合わさっていることが多いです。
   • 例えば、論文で分析されたシャンティー競馬場の2100mコースでは、スタート後すぐに上り坂のカーブがあり、その後下り坂になっています。
   • このような複合的な地形変化に対しては、個々の要素の影響を総合的に考慮したペース配分が必要です。

5. コース全体を通じての戦略

   • 論文は、局所的な地形変化がレース全体の戦略に影響を与えることを強調しています。
   • 例えば、序盤の上り坂を強く攻めると、後半のペースが維持できなくなる可能性があります。
   • したがって、コース全体の地形を把握し、馬のエネルギー消費を最適化する総合的な戦略が重要です。

これらの点を考慮することで、騎手は馬の能力を最大限に引き出し、コースの特性を活かしたレース運びをすることができます。

馬券購入者の立場で考えると、これらの内容を馬券購入時に活かすことはできますかね？

馬券購入者の立場から、この研究の内容を活用する方法について考察します：

1. コース適性の評価

   • 各馬の過去のレース結果を、コース形状（坂、カーブの位置など）と照らし合わせて分析します。
   • 例えば、終盤に急な上り坂があるコースで好成績を残している馬は、強い持久力や無酸素性能力を持っている可能性が高いです。

2. 距離適性の判断

   • 論文によると、短距離（1300m）では無酸素性エネルギーの貢献が約47%、中距離（1900m-2100m）では約32-38%です。
   • 各馬の過去のパフォーマンスから、無酸素性能力と有酸素性能力のバランスを推測し、適正距離を判断できます。

3. ペース予想

   • コースの特徴（early険しい坂、タイトなカーブなど）から、レース全体のペース展開を予想できます。
   • 例えば、序盤に上り坂がある場合、ペースが抑えられる可能性が高く、後続馬に有利かもしれません。

4. 騎手の戦術評価

   • 各騎手のコース攻略法を過去のレースから分析し、この研究の知見と照らし合わせて評価します。
   • 例えば、カーブ前後でうまくペースコントロールできる騎手は高評価できます。

5. コンディション変化の影響予測

   • 馬場状態の変化（良→重など）が、地形の影響をどう変えるかを予測します。
   • 例えば、重馬場ではカーブの影響がより大きくなる可能性があります。

6. 展開予想

   • スタート直後の地形から、各馬のポジション取りを予想できます。
   • 例えば、スタート後すぐに急カーブがある場合、内枠有利の展開が予想されます。

7. 末脚の予測

   • コース形状と距離から、ラストスパートのタイミングと強さを予測できます。
   • 例えば、ゴール前600mでVO2が低下し始めるとの知見を活用し、そこからの追い込み力を評価します。

8. 調教評価の精緻化

   • 調教内容を、実際のレースコースの地形特性と照らし合わせて評価します。
   • 例えば、急坂のある調教コースでしっかり乗り込まれている馬は、同様の特徴を持つ競馬場で好走する可能性が高いかもしれません。

9. 長期的な馬の成長評価

   • 年齢や調教による馬の生理学的パラメータ（VO2max、無酸素性能力など）の変化を推測し、将来性を評価します。

10. 穴馬の発見

• コース形状と馬の特性（スタートダッシュの強さ、持久力など）のマッチングから、オッズほど人気でない好走馬を見つけられる可能性があります。

これらの視点を組み合わせることで、より精度の高い馬券購入の判断材料とすることができるでしょう。ただし、実際のレースでは様々な要因が複雑に絡み合うため、これらの知見は参考程度に留め、総合的な判断が必要です。

What AI can do for horse-racing ?

https://arxiv.org/abs/2207.04981

競馬においてAIができることとは？

1. どんなもの？

この論文は、人工知能(AI)が競馬にどのような影響を与えるかについて論じています。著者は、コンピュータビジョン、統計学習、ゲーム理論という3つの主要なAI分野が競馬に応用される可能性を探っています。具体的には、レース結果の予測精度向上、馬と騎手の相性評価、馬の感情や行動の理解などが挙げられています。また、競馬をAI研究の実験場として活用することで、人間中心ではない動物行動の理解につながる可能性も示唆しています。著者は、これらの技術が今後10年間で競馬業界に大きな変革をもたらすと予測しています。

2. 先行研究と比べてどこがすごい？

この論文の革新的な点は、競馬におけるAI応用を包括的に論じている点です。従来の研究は、単にレース結果の予測に焦点を当てているものが多かったのに対し、この論文は競馬全体をAI研究の実験場として捉える視点を提示しています。特に、コンピュータビジョン、統計学習、ゲーム理論の3分野の融合を提案している点が独特です。また、競馬データの秘匿性が高いという業界特有の問題を指摘し、オープンな研究コミュニティの必要性を訴えている点も注目に値します。さらに、AIを通じて馬の感情や行動をより深く理解できる可能性を示唆している点も、従来の研究にはない新しい視点です。

3. 技術や手法の肝はどこ？

この論文で提案されている主要な技術的アプローチは、3つのAI分野（コンピュータビジョン、統計学習、ゲーム理論）の融合です。具体的には、以下の3つのフロンティアを提案しています：

1. 統計学習とゲーム理論の融合：反事実分析を用いて、馬の予測行動と実際の行動を比較し、騎手の戦略的判断を抽出する。
2. 統計学習とコンピュータビジョンの融合：レース映像から馬の感情や動きを分析し、統計モデルに組み込む。
3. ゲーム理論とコンピュータビジョンの融合：ウォーミングアップや馬体の外観から馬主や調教師の期待を推測する。
   これらの手法により、レース結果の予測精度向上だけでなく、馬と騎手の相性評価や馬の行動理解など、より広範な応用が可能になると著者は主張しています。

4. どうやって有効だと検証した？

この論文は主に理論的な提案を行っており、具体的な実験による検証は行われていません。しかし、著者は既存の研究や事例を引用しながら、提案手法の潜在的な有効性を示唆しています。例えば、反事実分析を用いた戦略的判断の抽出については、サッカーでの類似研究を引用しています。また、コンピュータビジョンを用いた馬の感情分析については、馬の表情や耳の位置から注意力を推測できるという先行研究を引用しています。馬と騎手の相性評価については、16頭の馬と21人の騎手を対象とした小規模な研究を例に挙げ、AIを用いることで大規模なデータセットでの分析が可能になると主張しています。しかし、これらの提案の実際の有効性を検証するには、今後の実証研究が必要であることも著者は認めています。

5. 議論はある？

著者は、AIが競馬に与える影響について、いくつかの重要な議論点を提起しています。まず、AIによる予測精度の向上が、ベッティング市場にどのような影響を与えるかという点です。著者は、より正確なオッズ設定が可能になる一方で、一部のAI技術を持つ集団が市場を支配する可能性も指摘しています。次に、AIを用いた馬の感情や行動の理解が、動物福祉の向上につながる可能性を論じています。例えば、鞭の使用が馬のスピードに影響を与えないという研究結果を引用し、AIがこうした知見をさらに深める可能性を示唆しています。また、AIによる競馬分析が、人間中心ではない動物行動の理解につながる可能性も議論されています。最後に、こうしたAI技術の発展が公開された研究コミュニティで行われるべきか、それとも私的な利益のために秘密裏に行われるべきかという倫理的な問題も提起されています。

6. 次に読むべき論文は？

この論文の内容をさらに深く理解し、関連する研究を探るためには、以下の論文を読むことをお勧めします：

1. Tuyls, K., et al. (2021). "Game plan: What AI can do for football, and what football can do for AI." この論文は、サッカーにおけるAI応用を論じており、本論文の多くのアイデアの基礎となっています。
2. Benter, B. (1994). "Computer Based Horse Race Handicapping and Wagering Systems: A Report." 競馬におけるコンピューター予測システムの古典的な論文です。
3. McGreevy, P. D., et al. (2012). "Whip Use by Jockeys in a Sample of Australian Thoroughbred Races–An Observational Study." 鞭の使用と馬のパフォーマンスの関係を研究した論文で、AIを用いた動物行動理解の可能性を探る上で参考になります。
4. Wathan, J., & McComb, K. (2014). "The eyes and ears are visual indicators of attention in domestic horses." 馬の感情や注意力を視覚的に分析した研究で、コンピュータビジョンの応用可能性を示唆しています。

統計学習については、もはや一般的になっていて、なんならオッズへの影響も出つつある感。コンピュータビジョンは面白そうなんだけど、学習データがね。。。

ゲーム理論、イマイチわからなかったので聞いてみた。

この文脈でのゲーム理論はどういうものですかね？

この文脈でのゲーム理論は、主に競馬における戦略的な意思決定を分析・モデル化するために適用されています。以下に、論文で言及されているゲーム理論の主な適用領域をまとめます：

1. シーズンレベルの戦略：

• 馬主や調教師が、どのレースに出走するかを決定する際の戦略分析。
• 出走によるメリット（賞金獲得、馬の価値向上）とデメリット（怪我のリスク、コスト）のバランスを考慮。

2. レースレベルの戦略：

• レース全体の戦略立案（例：ペース配分、ポジショニング）。
• 短距離走と長距離走での最適戦略の違いを分析。

3. アクションレベルの戦略：

• ドラフティング（他の馬の後ろに付いて風の抵抗を減らす）とアタック（先頭に立つ）のタイミング決定。
• 鞭の使用に関する戦略的判断。

4. 騎手と馬の相互作用：

• 騎手の戦略的判断と馬の生理的能力のバランスを分析。
• 人間（騎手）と動物（馬）の意思決定の相互作用をモデル化。

5. 複数エージェントの相互作用：

• レース中の各馬・騎手のペアを独立したエージェントとして扱い、その相互作用を分析。
• 他の競争相手の行動を予測し、最適な戦略を選択するプロセスをモデル化。

6. 反事実分析：

• 予測された馬の行動と実際の行動を比較し、騎手の戦略的判断を抽出。
• この分析により、馬の生理的パフォーマンスと騎手の戦略的判断を分離して評価することが可能に。

これらの適用により、ゲーム理論は競馬における複雑な意思決定プロセスを理解し、モデル化するための強力なツールとなっています。さらに、AI技術と組み合わせることで、より洗練された戦略分析や予測が可能になると論文は示唆しています。

なるほどね。馬券購入の立場だとどうか？

馬券購入者の購入判断に応用することはできますか？

はい、ゲーム理論とAIの組み合わせは、馬券購入者の購入判断に非常に有効に応用できる可能性があります。以下に、その応用可能性をいくつか挙げてみましょう：

1. オッズ分析：
   ゲーム理論を用いて、他の購入者の行動を予測し、オッズの変動を分析することができます。これにより、「オーバーレイ」（実際の勝率に比べてオッズが高すぎる馬）を見つけ出す可能性が高まります。

2. 情報の非対称性の利用：
   ゲーム理論は、情報の非対称性がある状況での意思決定を分析するのに適しています。馬券購入者が持つ独自の情報（例：馬の調子に関する目視情報）を、どのように賭けに反映させるべきかの判断に役立ちます。

3. 複合的な賭け戦略の最適化：
   単勝、複勝、馬連など様々な賭け方がある中で、期待値を最大化する組み合わせをゲーム理論的アプローチで分析できます。

4. 他の購入者の行動予測：
   大口の賭けが入った際の市場の反応など、他の購入者の行動をモデル化し予測することで、より戦略的な購入判断が可能になります。

5. リスク管理：
   ゲーム理論的アプローチにより、長期的な収益を最大化しつつリスクを管理する戦略を立てることができます。

6. パリミューチュエル方式の分析：
   競馬の多くで採用されているパリミューチュエル方式（賭け手同士で勝ち負けを競う方式）は、ゲーム理論的分析に適しています。他の購入者の行動が自分の払戻金に直接影響するため、この相互作用をモデル化することで有利な賭けが可能になる可能性があります。

7. AIとの統合：
   論文で提案されているように、ゲーム理論とAI（特に機械学習やコンピュータビジョン）を組み合わせることで、より高度な分析が可能になります。例えば：

• レース映像からリアルタイムで馬の状態を分析
• 過去のデータから各騎手・馬の特徴を学習し、現在のレース条件での最適戦略を予測
• SNSなどの非構造化データから馬の人気度を分析し、オッズの変動を予測

8. 倫理的考慮：
   ただし、こうした高度な分析技術の使用には倫理的な問題も伴います。論文でも指摘されているように、一部の技術を持つ集団が市場を支配する可能性があります。また、過度のギャンブル依存を助長する可能性もあるため、責任ある使用が求められます。

これらの応用により、馬券購入者はより情報に基づいた戦略的な判断が可能になると考えられます。ただし、競馬のような複雑なシステムでは常に予測不可能な要素が存在するため、これらの分析はあくまでも判断の一助として捉えるべきでしょう。

LLMを活かせないか？

では、大規模言語生成モデルを使うとすると、統計学習・コンピュータビジョン・ゲーム理論それぞれでどういう活用が考えられるでしょうか？

大規模言語生成モデル（LLM）の競馬分析における活用:

1. 統計学習での活用:

• データ統合と前処理:
  LLMを使って、様々な形式や言語で記述された馬のデータ（過去の成績、血統情報、調教報告など）を統合し、構造化されたデータに変換できます。これにより、異なるソースからのデータを一貫した形式で分析に利用できるようになります。
• 特徴抽出:
  LLMは自然言語で書かれた情報（例：調教師のコメント、レース分析記事）から重要な特徴を抽出し、数値データと組み合わせて分析に活用できます。
• モデル解釈:
  複雑な統計モデルの結果を自然言語で説明することで、専門家でない人にもわかりやすい形で分析結果を提示できます。

2. コンピュータビジョンでの活用:

• 画像・動画の説明生成:
  レースの画像や動画を入力として、馬の状態、走り方、レースの展開などを自然言語で説明するテキストを生成できます。これにより、視覚情報を数値化しにくい要素も分析に取り入れられる可能性があります。
• マルチモーダル分析:
  LLMは画像や動画の特徴と、テキストデータ（レース結果、コメントなど）を統合して分析することができます。これにより、より包括的な馬の状態や能力の評価が可能になります。
• アノテーションの自動化:
  レース映像のアノテーション（例：馬の動きの特徴、騎手の行動などのラベル付け）を自動化し、大規模なデータセットの作成を支援できます。

3. ゲーム理論での活用:

• 戦略の言語化:
  数学的に表現されたゲーム理論モデルの戦略を、自然言語で説明することができます。これにより、騎手や調教師が直感的に理解しやすい形で最適戦略を提示できます。
• シナリオ生成:
  様々なレース展開のシナリオを自然言語で生成し、それぞれのシナリオに対する最適戦略を分析することができます。これにより、より柔軟で包括的な戦略立案が可能になります。
• 他者の意図推論:
  レース中の他の騎手の行動から、その意図や戦略を自然言語で推論し説明することができます。これにより、より高度な戦略的意思決定が可能になります。

4. 分野横断的な活用:

• 総合的なレース分析:
  統計データ、視覚情報、戦略分析を統合し、包括的なレース予測や分析レポートを自然言語で生成できます。これにより、複雑な要因を考慮した高度な分析結果を、わかりやすい形で提供できます。
• インタラクティブな分析支援:
  ユーザーからの質問に対して、統計データ、画像情報、戦略分析を組み合わせた回答を生成できます。これにより、ユーザーの関心に応じた柔軟な分析が可能になります。
• 継続的学習と知識更新:
  新しいレース結果や分析記事を常に学習することで、最新の傾向や知見を反映した分析が可能になります。

注意点:
LLMの出力は常に検証が必要であり、特に重要な意思決定には人間の専門家による確認が不可欠です。また、個人情報の扱いや公平性の確保など、倫理的な配慮も重要になります。

Kelly betting on horse races with uncertainty in probability estimates

https://arxiv.org/abs/1701.02814

1. どんなもの？

この論文は、確率推定の不確実性を考慮したケリー基準ベッティング（Kelly criterion betting）の最適化モデルを提案しています。特に、多項ロジスティック回帰（multinomial logistic regression）を用いて推定された確率を持つ相互排他的な結果に対する投資の最適化に焦点を当てています。著者は、確率推定の誤差がベッティングの長期的な成長に大きな影響を与えることを示し、この不確実性を考慮したモデルが標準的なケリー基準や分数ケリー戦略（fractional Kelly strategy）よりも優れた性能を発揮することを実証しています。提案されたモデルは、主に競馬のベッティングを例として説明されていますが、より広範な投資設定にも適用可能であることが示唆されています。

2. 先行研究を比べてどこがすごい？

この研究の主な貢献は、確率推定の不確実性を直接考慮したケリー基準ベッティングのモデルを開発したことです。従来の研究では、確率推定の誤差に対処するために分数ケリー戦略が用いられてきましたが、これは保守的なアプローチであり、潜在的な利益を制限する可能性がありました。本研究では、確率推定の不確実性を明示的にモデル化し、長期的な成長を最大化しつつ、過度のリスクを回避するモデルを提案しています。特に、2つの結果がある場合の厳密な解法と、多数の結果がある場合の近似解法を提示しています。また、モンテカルロ積分を用いた期待値の推定や、チャンス制約（chance constraint）を用いたリスク管理など、様々な確率最適化手法を組み合わせた包括的なアプローチを提案しています。

3. 技術や手法の肝はどこ？

本研究の核心は、確率推定の不確実性を考慮した複数の確率最適化モデルの開発です。主な技術的アプローチは以下の通りです：

1. 多項ロジスティック回帰を用いた確率推定と、その不確実性のモデル化
2. モンテカルロ積分を用いた期待対数富（expected log wealth）の最大化
3. 正規モーメント生成関数を用いた確率の下限の導出
4. チャンス制約を用いたリスク管理
5. 2つの結果がある場合の厳密な解法の導出
6. 多数の結果がある場合の近似解法の開発
   これらの手法を組み合わせることで、確率推定の不確実性を考慮しつつ、長期的な成長を最大化するベッティング戦略を導出しています。

4. どうやって有効だと検証した？

著者らは、シミュレーションデータを用いた実証研究を行い、提案モデルの有効性を検証しています。具体的には、以下の手順で検証を行っています：

1. 真の確率分布を生成し、それに基づいて回帰パラメータとその不確実性を模擬
2. 異なる条件（結果の数、払戻率）で4つの実験を設計
3. 各実験で2500回の試行を実施
4. 提案モデルを含む複数のモデルの期待総収益を比較
   検証の結果、提案モデルの一部（特にEmc、ECCxモデル）が、すべての実験で標準的なケリー基準モデルを上回る性能を示しました。また、チャンス制約を適度に使用することで、不確実性による損失を防ぎつつ、長期的な成長を最大化できることが示されました。

5. 議論はある？

著者らは、研究結果に基づいていくつかの重要な議論を提起しています：

1. 確率推定の誤差が意思決定に及ぼす影響の重大性：真の確率と推定確率を用いた場合の長期的成長の大きな差は、投機的市場で収益を最大化しようとする人々にとって大きな課題であることを示唆しています。
2. チャンス制約の調整の必要性：チャンス制約は不確実性による損失を防ぐ効果がありますが、過度に使用すると潜在的な利益を抑制してしまう可能性があります。そのため、各適用事例に応じて適切に調整する必要があります。
3. 提案モデルの一般化の可能性：本研究では主に競馬のベッティングを例として扱っていますが、より一般的な投資設定への適用可能性が示唆されています。
4. 将来の研究方向：著者らは、多項ロジスティック回帰の不確実性や相互排他的な事象を超えた、より一般的な収益設定への手法の適用を今後の研究課題として提案しています。

6. 次に読むべき論文は？

著者らは直接的に次に読むべき論文を指定していませんが、本研究の背景や将来の研究方向から、以下の論文や分野が関連していると考えられます：

1. Kelly, J.L. (1956). A New Interpretation of Information Rate. - ケリー基準の原論文
2. MacLean, L.C., Ziemba, W.T., & Blazenko, G. (1992). Growth Versus Security in Dynamic Investment Analysis. - 分数ケリー戦略に関する研究
3. Baker, R.D., & McHale, I.G. (2013). Optimal Betting Under Parameter Uncertainty: Improving the Kelly Criterion. - パラメータ不確実性下でのケリー基準の改善に関する研究
4. 確率最適化や確率制約付き最適化に関する最新の研究
5. 多項ロジスティック回帰の不確実性に関する研究
6. 金融市場における投資戦略の最適化に関する研究、特に推定の不確実性を考慮したもの
   これらの文献を読むことで、本研究の背景や今後の発展方向についてより深い理解が得られると考えられます。

ケリー基準って知らなかった。以下のような記事を見つけた。

https://note.com/silence_cat/n/ne78f6e88d798

これ以外にも馬券におけるケリー基準ってのは結構記事がある。

とりあえず聞いてみる。

ケリー基準とはそもそも何か？

ケリー基準（Kelly criterion）とは

ケリー基準は、長期的な資産成長を最大化するための投資戦略または賭け方の決定方法です。1956年にベル研究所のジョン・ラリー・ケリー・ジュニアによって考案されました。主な特徴は以下の通りです：

1. 目的：

   • 長期的な資産成長率の最大化
   • 破産リスクの最小化

2. 基本的な考え方：

   • 各投資機会に対して、期待値が正である場合にのみ賭ける
   • 賭ける金額は、期待利益と勝率に基づいて決定する

3. 計算方法：

   • 単純な二項分布の場合：f* = (bp - q) / b
     • f*: 賭けるべき資産の割合
     • b: 賭けに勝った場合の純利益率
     • p: 勝つ確率
     • q: 負ける確率 (1 - p)

4. 主な適用分野：

   • ギャンブル（特に競馬やブラックジャック）
   • 金融投資（株式市場など）
   • 情報理論

5. 長所：

   • 理論的に最適な長期成長率を提供
   • 破産リスクを最小化

6. 短所：

   • 短期的には大きな変動リスクがある
   • 正確な確率と払戻率の推定が必要

ケリー基準は、理論的には最適な戦略を提供しますが、実践では確率推定の誤差や心理的要因により、多くの投資家はより保守的な「分数ケリー戦略」（ケリー基準の一部のみを賭ける）を採用しています。本論文は、この確率推定の不確実性に焦点を当て、ケリー基準を改良しようとする試みの一つと言えます。

これを競馬に置き換えるとどういう使い方になるの？

競馬におけるケリー基準の使い方

競馬にケリー基準を適用する場合、以下のような手順で使用します：

1. 確率の推定:

   • 各馬の勝つ確率を推定します。これには過去の成績、コンディション、騎手の腕前などの要素を考慮します。
   • 例: あるレースで、特定の馬が勝つ確率を20%（0.2）と推定したとします。

2. オッズの確認:

   • 馬券の払戻率（オッズ）を確認します。
   • 例: その馬のオッズが6.0（5倍）だとします。

3. 期待値の計算:

   • 期待値 = (勝つ確率 × 払戻金額) - 1
   • 例: (0.2 × 6.0) - 1 = 0.2 （正の期待値があります）

4. ケリー基準の適用:

   • f* = (bp - q) / b
   • ここで、b = オッズ - 1 = 5, p = 0.2, q = 1 - p = 0.8
   • f* = (5 × 0.2 - 0.8) / 5 = 0.04

5. 賭け金の決定:

   • 現在の資金の4%を賭けることが最適となります。
   • 例: 所持金が100,000円の場合、4,000円を賭けます。

6. リスク管理:

   • 実践では、推定誤差を考慮して、計算結果の半分（2%）や4分の1（1%）を賭けるなど、より保守的なアプローチを取ることが一般的です。

7. 継続的な適用:

   • 各レース、各馬に対してこの計算を行い、正の期待値がある場合にのみ賭けます。
   • レースごとに資金を更新し、新しい賭け金を計算します。

ケリー基準を競馬に適用する際の注意点：

• 確率推定の精度が重要です。不正確な推定は長期的に損失につながる可能性があります。
• 市場の非効率性（オッズと実際の確率の乖離）を見出すスキルが必要です。
• 感情的な判断を排除し、計算結果に基づいて冷静に行動することが重要です。
• 短期的には大きな変動があるため、十分な資金管理が必要です。

本論文で提案されているモデルは、これらの課題、特に確率推定の不確実性に対処しようとする試みであり、より安定した長期的な収益を目指しています。

勝つ確率をどう算出すべきだろうか？

競馬における勝つ確率の算出方法

勝つ確率の正確な推定は、ケリー基準を効果的に適用する上で極めて重要です。以下に、一般的に使用される方法とその特徴を示します：

1. 統計的手法：

   • 多項ロジスティック回帰：本論文で言及されている手法。複数の要因を考慮して各馬の勝率を推定します。
   • 例：過去のレース結果、馬の年齢、騎手の成績などを変数として使用
   • 利点：複数の要因を同時に考慮でき、客観的な確率推定が可能
   • 欠点：適切な変数選択と十分なデータが必要

2. レーティング法：

   • 各馬に数値（レーティング）を付け、相対的な強さを評価します。
   • 例：タイム法（過去のタイムを基準に評価）、重み付けレーティング（様々な要素に重みを付けて評価）
   • 利点：直感的で理解しやすく、比較的簡単に実装可能
   • 欠点：レーティングの更新方法や重み付けに主観が入る可能性がある

3. シミュレーション法：

   • モンテカルロシミュレーションなどを用いて、レースを何度も仮想的に実行します。
   • 例：各馬の能力値を確率分布として表現し、多数回のシミュレーションを実行
   • 利点：複雑な相互作用や不確実性を考慮可能
   • 欠点：適切なモデル設計と計算リソースが必要

4. 機械学習アプローチ：

   • ニューラルネットワークや決定木などの手法を用いて、過去のデータから学習します。
   • 例：深層学習を用いて、画像データ（馬の状態）も含めた総合的な評価
   • 利点：複雑なパターンや非線形な関係性を捉えられる可能性がある
   • 欠点：大量の質の高いデータが必要で、解釈が難しい場合がある

5. エキスパートの判断：

   • 競馬専門家の分析や予想を数値化します。
   • 例：複数の専門家の予想を集約し、確率に変換
   • 利点：定量化が難しい要因（馬の気性など）も考慮可能
   • 欠点：主観的であり、バイアスが入る可能性がある

6. ハイブリッドアプローチ：

   • 上記の方法を組み合わせて使用します。
   • 例：統計モデルの結果とエキスパートの判断を統合
   • 利点：各手法の長所を活かし、より精度の高い推定が可能
   • 欠点：複雑になりやすく、各手法の重み付けが難しい

実践的なアプローチ：

• 複数の手法を併用し、結果を比較検証することが推奨されます。
• 継続的なモデルの評価と改善が重要です。
• 市場のオッズとの比較を行い、自身の推定の妥当性を確認します。
• 不確実性を考慮し、推定確率に対して適切な信頼区間を設定することも有効です。

本論文で提案されているモデルは、これらの確率推定方法に内在する不確実性を明示的に考慮することで、より堅牢な意思決定を可能にしようとする試みと言えます。

なるほど、指数とは相性が良さそうではある。が、そもそも勝つ確率を算出すること自体が難しい気はする。

で、この論文だとその勝率を算出するのは不可能なので、一定の不確実性を考慮に入れて、合理的・長期的にやっていくというモデルのように思える。そのための意思決定プロセスはこんな感じ。

論文で提案されている意思決定プロセス

1. 基本的な流れ：

   • 確率推定 → 不確実性の考慮 → 最適化 → 賭け金決定

2. 確率推定（多項ロジスティック回帰）：

   • 入力：馬の特徴（過去の成績、騎手、馬場状態など）
   • 出力：各馬の推定勝率 π^h
   • 特徴：回帰係数 β の推定値と共分散行列 Σ も算出

3. 不確実性の考慮：

   • 推定された β を平均、Σ を共分散行列とする正規分布を仮定
   • これにより、勝率推定の不確実性を確率分布として表現

4. 最適化モデルの選択：

   • 論文では複数のモデルを提案（Elb, Emc, CC, ECC など）
   • 例：Emc（モンテカルロ期待値最大化）
     • 多数の β サンプルを生成し、平均期待対数富を最大化
   • 例：CC（チャンス制約付き最適化）
     • 一定確率（1-α）で最小限の収益を保証

5. 最適化問題の解決：

   • 目的：期待対数富の最大化
   • 制約：総賭け金 ≤ 現在の富、各賭け金 ≥ 0
   • 結果：各馬への最適賭け金比率 x^h を算出

6. 賭け金の決定：

   • 現在の資金に最適賭け金比率を乗じて実際の賭け金を決定
   • 例：資金100万円、x^1 = 0.05 なら、1号馬に5万円賭ける

7. リスク調整（オプション）：

   • チャンス制約のα値を調整してリスク許容度を変更可能
   • α値を小さくするほどリスク回避的になる

8. 実践的な考慮事項：

   • 全てのレースで賭けるのではなく、有利な状況のみ選択
   • 市場のオッズと比較し、期待値が正の場合のみ賭ける
   • 資金管理を考慮し、一回の賭け金が総資金の一定割合を超えないよう調整

9. 継続的な評価と調整：

   • 実際の結果と予測を比較し、モデルの性能を評価
   • 必要に応じてモデルのパラメータや構造を調整

この意思決定プロセスの特徴は、確率推定の不確実性を明示的に考慮している点です。これにより、過度に楽観的な賭けを抑制し、長期的により安定した成長を目指しています。また、リスク許容度の調整が可能な柔軟なフレームワークとなっています。

予想というよりは馬券の買い方の視点として捉えるほうが良さそうな気はする。

A Horse with no Labels: Self-Supervised Horse Pose Estimation from Unlabelled Images and Synthetic Prior

https://arxiv.org/abs/2308.03411

どんなもの？

この論文は、ラベル付けされていない画像と少量の合成2Dポーズデータのみを使用して、馬の3Dポーズを推定する自己教師あり手法を提案しています。従来の動物ポーズ推定手法では、訓練データにラベル付けが必要でしたが、本手法ではそれを不要としています。主な特徴は以下の通りです：

1. ラベルなし画像と合成2Dポーズのみを使用
2. 3Dと2Dポーズを同時に学習
3. 複雑な3D動物モデルを必要としない
4. YouTubeから収集した馬の画像で訓練
5. 合成データから生成した2Dポーズを事前知識として使用

この手法により、ラベル付けデータの不足という課題を克服し、動物ポーズ推定の新たな可能性を示しています。

先行研究と比べてどこがすごい？

本研究の革新性は、以下の点にあります：

1. 最小限の前提条件：多くの先行研究が合成画像や事前訓練モデルを必要としますが、本手法はラベルなし画像と少量の合成2Dポーズのみで動作します。
2. エンドツーエンドの学習：2Dと3Dポーズを同時に学習し、中間表現も獲得します。
3. 幅広い適用可能性：最小限の要件により、様々な動物種に容易に適用できる可能性があります。
4. 自己教師あり学習：ラベル付きデータを必要とせず、幾何学的一貫性を利用して3Dポーズを学習します。
5. ドメイン適応の簡素化：合成データと実データのギャップを埋めるための複雑な処理を必要としません。

これらの特徴により、本手法は動物ポーズ推定の分野に新たなアプローチをもたらしています。

技術や手法の肝はどこ？

本手法の核心は以下の要素にあります：

1. 画像から3Dポーズへのマッピング：CNN（畳み込みニューラルネットワーク）を用いて、入力画像から中間的なスケルトン画像、2Dポーズ、そして最終的に3Dポーズへと変換します。
2. 自己教師あり学習：3Dポーズの回転と投影のループを利用して、幾何学的一貫性を保証します。
3. 敵対的学習：判別器ネットワークと合成2Dポーズの事前分布を用いて、生成されるスケルトン画像の現実性を高めます。
4. 損失関数：2Dポーズ、3Dポーズ、回転後の3Dポーズの一貫性を保つための損失関数を組み合わせて使用します。
5. 合成データの活用：CADモデルから生成した2Dポーズを事前知識として利用し、実データとのギャップを最小限に抑えます。

これらの要素を組み合わせることで、ラベルなしデータからの効果的な3Dポーズ推定を実現しています。

どうやって有効だと検証した？

本研究では、以下の方法で提案手法の有効性を検証しています：

1. 2Dポーズ推定の定量的評価：Weizmannデータセットの手動アノテーションを用いて、PCK@0.05メトリックで2Dポーズ推定の精度を評価しました。
2. 3Dポーズ推定の定性的評価：訓練データとは異なるWeizmannデータセットの画像を使用し、推定された3Dポーズを視覚的に評価しました。
3. 他手法との比較：同様の条件下で動作する2Dポーズ推定手法と比較し、本手法の優位性を示しました。
4. 汎化性能の検証：馬で訓練したモデルをシマウマの画像に適用し、類似した動物種への汎化能力を確認しました。
5. 合成データでの訓練実験：完全に合成的なデータ（シマウマの合成画像と馬の合成2Dポーズ）で訓練したモデルと、実画像で訓練したモデルの性能を比較しました。

これらの評価により、提案手法の有効性と汎用性が示されています。

議論はある？

論文では以下の点について議論がなされています：

1. 改善の余地：著者らは現在の結果にはさらなる改善の余地があると認識しています。
2. 時間的情報の活用：将来の研究方向として、アプローチに時間的情報を組み込むことを提案しています。これにより、連続したフレーム間の一貫性が向上する可能性があります。
3. ドメイン適応：少量の実データを用いたファインチューニングにより、合成データと実データのドメインギャップをさらに縮小できる可能性が示唆されています。
4. 2Dポーズ推定の影響：2Dポーズ推定の精度が3Dポーズ推定の精度に影響を与えることが指摘されています。ただし、不正確な2Dポーズ推定からも妥当な3Dポーズを回復できる場合があることが示されています。
5. データ要件の最小化：提案手法は訓練データの要件を最小限に抑えており、これにより多くのラベルなしデータセットに適用可能であることが議論されています。

これらの議論点は、本研究の限界と将来の研究方向を示しています。

次に読むべき論文は？

本論文の内容を深く理解し、関連する研究を探求するために、以下の論文を読むことをお勧めします：

1. Sosa, J., & Hogg, D. (2023). "Self-supervised 3D Human Pose Estimation from a Single Image." CVPR 2023.
   • 本研究の基礎となった人間のポーズ推定手法について詳しく知ることができます。
2. Chen, C. H., et al. (2019). "Unsupervised 3D Pose Estimation with Geometric Self-Supervision." CVPR 2019.
   • 幾何学的自己教師あり学習の概念をより深く理解できます。
3. Mu, J., et al. (2020). "Learning from Synthetic Animals." CVPR 2020.
   • 動物ポーズ推定における合成データの活用について詳しく学べます。
4. Li, C., & Lee, G. H. (2021). "From Synthetic to Real: Unsupervised Domain Adaptation for Animal Pose Estimation." CVPR 2021.
   • 動物ポーズ推定におけるドメイン適応の手法を理解するのに役立ちます。
5. Zuffi, S., et al. (2019). "Three-D Safari: Learning to Estimate Zebra Pose, Shape, and Texture from Images 'in the Wild'." ICCV 2019.
   • 野生動物の3Dポーズ推定に関する先駆的な研究を学ぶことができます。

これらの論文を読むことで、動物の3Dポーズ推定と関連する技術についてより包括的な理解が得られるでしょう。

馬体写真とかパドック画像とかから骨格推定しようにも、いい感じに同じ構図で統一するのは難しいけど、推定とはいえこれならば何かしらの画像データがあればやりやすくなるのかもしれないなぁ。

そういえばmmpose触ってない・・・環境構築だけでかなり面倒だったのでそこで心折れたんだよな・・・

https://zenn.dev/kun432/scraps/05b4c0e392cd9b

hSMAL: Detailed Horse Shape and Pose Reconstruction for Motion Pattern Recognition

https://arxiv.org/abs/2106.10102

1. どんなもの？

この論文は、馬の3D形状と姿勢の詳細な再構成、およびそのデータを用いた跛行（はこう）検出に関する研究を紹介しています。著者らは、SMAL（Shape, Motion and Appearance for Animals）モデルを馬用に特化させた「hSMAL」モデルを開発しました。このモデルは、37個の馬のおもちゃから学習した新しいテンプレート、骨格、形状空間を定義しています。hSMALモデルは、3Dモーションキャプチャーデータと画像から馬を再構成する精度をテストされ、さらに動画からの跛行検出問題にも適用されました。跛行検出には、3Dポーズデータに対して訓練されたST-GCN（Spatial Temporal Graph Convolutional Network）ネットワークが使用されています。この研究は、馬の動作パターン認識タスクにおける3Dモデルベースの表現の利点を示しています。

2. 先行研究と比べてどこがすごい？

この研究の主な革新点は、馬に特化した3Dモデル（hSMAL）の開発と、それを用いた跛行検出への応用です。従来の動物の3D再構成研究は、主に種間の表現に焦点を当てていましたが、本研究は種内の詳細な分析を可能にしています。跛行検出に関しては、従来の方法が加速度計やジャイロスコープなどのウェアラブルセンサーを使用していたのに対し、この研究では非接触的なビデオ解析アプローチを提案しています。さらに、人間の行動認識で成功を収めているST-GCNを馬の動作パターン認識に適用した点も新しいです。これにより、馬の詳細な3D形状と姿勢の情報を活用した、より高度な動作パターン分析が可能になりました。

3. 技術や手法の肝はどこ？

本研究の核心は、以下の3つの技術的イノベーションにあります：

1. hSMALモデル：SMALモデルを基に、馬専用の3D統計的形状モデルを開発。新しい馬のテンプレート、骨格、37個の馬のおもちゃから学習した形状空間を定義しています。
2. モデルフィッティング：画像、2Dキーポイント、3Dモーションキャプチャーデータに対してhSMALモデルをフィッティングする手法を開発。エネルギー目的関数を最小化することで、体の形状、ポーズ、全体的な平行移動を推定します。
3. 跛行検出：ST-GCNを用いて、hSMALモデルから抽出したポーズパラメータや関節座標のシーケンスから跛行を分類。馬の構造に基づいたグラフを空間領域で形成し、連続フレーム間で同じ関節を接続することで時間的な情報も捉えています。
   これらの技術により、2D画像から馬の詳細な3D形状と姿勢を再構成し、その情報を用いて複雑な動作パターンを分析することが可能になりました。

4. どうやって有効だと検証した？

研究の有効性は主に以下の2つの実験で検証されています：

1. hSMALモデルの精度評価：
   • 20の代表的なフレームを選び、hSMALとSMALモデルの再構成精度を比較。
   • モーションキャプチャーデータとモデルの再構成された点との平均距離を計算。
   • 結果：hSMALの平均誤差は約7cm、SMALは約14cmで、hSMALの優位性を示しました。
   • さらに、異なる入力（3Dモーションキャプチャーデータ、2Dキーポイント、シルエット）での再構成精度をIOU（Intersection over Union）で評価。
2. 跛行検出の性能評価：
   • 7頭の馬の被験者データを用いて、5クラス（正常、前肢左右、後肢左右の跛行）の分類タスクを実施。
   • ST-GCNを用いて、生の3Dモーションキャプチャーデータ、hSMALのポーズパラメータ、関節位置それぞれで分類器を訓練。
   • 交差検証法を用いて評価し、データ拡張の効果も検証。
   • 結果：hSMALモデルを用いた場合、モーションキャプチャーデータと同等かそれ以上の分類性能を示しました。
     これらの実験結果は、hSMALモデルの精度と、それを用いた跛行検出手法の有効性を実証しています。

5. 議論はある？

著者らは以下の点について議論しています：

1. hSMALモデルの精度：実験結果から、hSMALモデルがSMALモデルよりも実際の馬の形状をより正確に再構成できることが示されました。これは、種特異的なモデリングの重要性を示唆しています。
2. 跛行検出における表現の重要性：hSMALモデルから抽出したポーズデータが、生のモーションキャプチャーデータと同等かそれ以上の分類性能を示したことから、3Dモデルベースの表現が動作パターン認識タスクに適していることが示唆されました。
3. モデルの潜在的な利点：著者らは、hSMALモデルが単にモーションキャプチャーデータの情報を保存するだけでなく、馬の体の解剖学的な事前知識や制約に関する情報も付加している可能性を指摘しています。
4. 将来の研究方向：著者らは、メッシュ上のマーカー選択の最適化、実際の馬の3Dスキャンデータを用いた形状空間の改善、そしてモーションキャプチャーデータを必要としない、より制約の少ない設定での応用を今後の課題として挙げています。
   これらの議論は、本研究の成果と限界を明確にし、今後の研究の方向性を示しています。

6. 次に読むべき論文は？

本研究の理解を深め、関連分野の最新動向を把握するために、以下の論文を読むことをお勧めします：

1. Zuffi et al. (2017) "3D Menagerie: Modeling the 3D shape and pose of animals" - SMALモデルの原論文で、本研究の基礎となる動物の3Dモデリング手法を理解するのに役立ちます。
2. Biggs et al. (2018) "Creatures great and SMAL: Recovering the shape and motion of animals from video" - 動画からの動物の形状と動きの復元に関する研究で、本研究と比較することで、馬特有の課題や解決策を理解できます。
3. Yan et al. (2018) "Spatial temporal graph convolutional networks for skeleton-based action recognition" - 本研究で使用されているST-GCNの原論文で、動作認識のための技術的背景を理解するのに役立ちます。
4. Kearney et al. (2020) "RGBD-Dog: Predicting canine pose from RGBD sensors" - 犬の3Dポーズ推定に関する最新の研究で、他の動物種での類似アプローチを理解するのに有用です。
5. Rhodin et al. (2018) "Vertical movement symmetry of the withers in horses with induced forelimb and hindlimb lameness at trot" - 本研究で使用されたデータセットに関連する論文で、馬の跛行の生体力学的側面を理解するのに役立ちます。
   これらの論文を読むことで、動物の3Dモデリング、姿勢推定、そして動作パターン認識の分野における最新の研究動向を把握することができます。

おお、跛行検出とか熱いな。こういう実際に役に立ちそうなものが本来技術のあるべき姿だよね。

そういえば、この前やっていた以下の番組

https://twitter.com/nhk_100CAM/status/1846491488517267919

番組中で、調教前に馬の足の運びが良くないので調教休ませる、みたいのが紹介されていたのだけど、自分は何がどう悪いのかさっぱりわからなかった。プロはやっぱり違うなと思うのだけど、こういう技術を活用してより軽いうちに発見できると良いなと思うよね。

Emotion Recognition in Horses with Convolutional Neural Networks

https://arxiv.org/abs/2105.11953

1. どんなもの？

この論文は、機械学習を用いて馬の感情を認識するシステムの開発について説明しています。システムは2つの主要な部分から構成されています：

1. 馬の頭と首を画像から検出する検出器
2. 検出された領域から馬の感情を予測するモデル
   感情は「警戒」「不機嫌」「好奇心」「リラックス」の4つに分類されます。これらの感情は、馬の行動学的研究に基づいて定義されており、目、耳、鼻、首の位置などの視覚的な手がかりを使用しています。システムは畜産業や獣医学分野での動物福祉の向上に貢献する可能性があります。

2. 先行研究と比べてどこがすごい？

この研究の新規性は、機械学習を用いて動物、特に馬の感情を自動的に認識しようとした点にあります。先行研究では：

1. 人間の感情認識システムの開発（例：Affectiva社）
2. 動物の感情に関する神経科学的・心理学的研究
3. 動物の表情を人間が解析するツール（例：AnimalFacs）
   などがありましたが、自律的なシステムによる動物の感情認識はあまり探求されていませんでした。犬の感情を予測する研究はありましたが、馬に特化したものはありませんでした。この研究は、畜産動物の感情研究という新しい分野を開拓しています。

3. 技術や手法の肝はどこ？

このシステムの核となる技術は以下の2つです：

1. 馬の検出器：Faster R-CNN（Region-based Convolutional Neural Network）アーキテクチャを使用。画像から馬の頭と首の領域を高精度で検出します。
2. 感情予測モデル：VGG16をベースとした畳み込みニューラルネットワーク（CNN）を使用。検出された領域から4つの感情カテゴリを予測します。
   重要なポイントは、馬の行動学的研究に基づいて感情カテゴリを定義し、それに対応する視覚的特徴（目、耳、鼻、首の位置など）を機械学習モデルに学習させた点です。また、EquiFACS（馬の表情動作コーディングシステム）の知見を活用し、より詳細な表情解析を可能にしています。

4. どうやって有効だと検証した？

システムの有効性は以下の方法で検証されました：

1. データセット：440枚の馬の画像を収集し、4つの感情カテゴリに手動でラベル付け。
2. 検出器の精度：40枚のテスト画像で100%の精度を達成。
3. 感情予測モデルの評価：
   • 5分割交差検証で平均80%の精度を達成。
   • 最終的なテストセット（40枚）で65%の精度を達成。
4. 混同行列による詳細な性能分析。
5. GradCAMを用いたモデルの判断根拠の可視化。
   これらの結果は、システムが馬の感情を人間の専門家に近い精度で認識できることを示しています。ただし、データセットの規模が限られているため、さらなる改善の余地があります。

5. 議論はある？

著者らは以下の点について議論しています：

1. システムの限界：データセットの規模が小さい（440枚）こと、頭と首のみを分析対象としていることなど。
2. 改善の可能性：より多くのデータ収集、全身の分析、他のセンサーデータ（心拍数、体温など）の統合。
3. 感情認識の複雑さ：人間でも難しい課題であり、動物ではさらに困難。
4. 応用可能性：畜産業や獣医学分野での動物福祉の向上。
5. 倫理的配慮：動物の感情を正確に理解することの重要性。
6. 今後の研究方向：市民科学プロジェクトによるデータ収集、より詳細な感情分類（痛みの表情など）の統合。
   著者らは、このシステムが動物の感情研究や福祉向上のための強力な基盤になると結論づけています。

6. 次に読むべき論文は？

この研究をさらに深めるために、以下の論文を読むことをお勧めします：

1. Wathan et al. (2015) "EquiFACS: The Equine Facial Action Coding System" - 馬の表情解析システムについての詳細な研究。
2. Gleerup et al. (2015) "An Equine Pain Face" - 馬の痛みに関連する表情についての研究。
3. Hall et al. (2018) "Assessing Equine Emotional State" - 馬の感情状態評価に関する包括的なレビュー。
4. Boissy et al. (2007) "Assessment of Positive Emotions in Animals to Improve Their Welfare" - 動物の正の感情評価に関する研究。
5. Ren et al. (2015) "Faster R-CNN: Towards Real-Time Object Detection with Region Proposal Networks" - 物体検出アルゴリズムの詳細。
   これらの論文は、馬の感情認識システムの基礎となる理論や技術について深い洞察を提供します。

だいぶデータが少ないなぁ、首から上だけみたいだし。まあ耳だけでもかなりわかるらしいのだけど、前掻きとかからもわかることがあるので、そのへんも含めるとより精度が上がりそう。でも馬の感情がわかるってのは夢がある。

とりあえず、やってみてほしいなと思うのはゴールドシップとかオルフェーブルとか。ってか両方ともステイゴールドだなあ。気性難な馬は、それがレースにおける闘争心につながることもあれば、カリカリしすぎて消耗することもある。そういう馬のコントロールに役立つと面白そうである。

Sharing Pain: Using Pain Domain Transfer for Video Recognition of Low Grade Orthopedic Pain in Horses

https://arxiv.org/abs/2105.10313

どんなもの？

この研究は、馬の整形外科的疼痛を自動的に認識するための機械学習手法を提案しています。整形外科的疼痛は馬の安楽死の主要な原因の1つですが、早期発見が難しいという課題があります。研究者らは、急性実験的疼痛のデータセットから学習した深層学習モデルを用いて、整形外科的疼痛データセットへの転移学習を行いました。この手法により、獣医学の専門家よりも高い精度で整形外科的疼痛を検出することに成功しました。また、人間の専門家と機械学習モデルの疼痛認識の違いについても分析を行っています。

先行研究と比べてどこがすごい？

本研究の新規性は以下の点にあります:

1. 動物の異なる種類の疼痛間でのドメイン転移を初めて調査した
2. 2つの実世界データセットを用いた広範な実験結果を提示し、クリーンな実験用データセットから実世界の複雑なデータへの移行時の課題を浮き彫りにした
3. 一般的な大規模アクション認識データセットから転移した標準的な特徴と、馬の疼痛データセットから転移した特徴の比較を行った
4. 25本のビデオクリップに対する説明可能性の研究を行い、27人の獣医学専門家によるベースラインと機械学習モデルの比較を実施した

技術や手法の肝はどこ？

本研究の主要な技術的アプローチは以下の通りです:

1. 急性実験的疼痛データセット(PF)から整形外科的疼痛データセット(EOP(j))へのドメイン転移学習
2. 2つの深層学習モデルの使用:
   • 畳み込みLSTM二流モデル(C-LSTM-2)
   • Kinetics事前学習済みI3Dモデル
3. 弱教師あり学習アプローチの探索(成功せず)
4. Grad-CAMを用いたモデルの判断根拠の可視化
5. 複数インスタンス学習(MIL)フィルタを用いた推論時の予測改善
   これらの手法を組み合わせることで、ノイズの多い実世界データにおける疼痛認識の改善を図っています。

どうやって有効だと検証した？

研究の有効性は以下の方法で検証されました:

1. 交差検証: PFとEOP(j)の両データセットで個別に、およびそれらを組み合わせて実施
2. ドメイン転移実験: PFで学習したモデルをEOP(j)でテスト
3. 人間の専門家とのベースライン比較: 27人の獣医学専門家による25本のビデオクリップの評価とモデルの予測を比較
4. 個々の馬に対する性能分析: 7頭の馬それぞれに対するモデルの性能を評価
5. 可視化による分析: Grad-CAMを用いてモデルの注目領域を可視化し、人間の専門家の判断と比較
   これらの検証により、提案手法が人間の専門家を上回る性能を示し、特に低グレードの整形外科的疼痛の検出に有効であることが示されました。

議論はある？

本研究では以下の点について議論がなされています:

1. 専門家の性能が低い理由: 短い観察時間、文脈情報の欠如、個体差などが影響
2. 結果の一般化可能性: 13頭の馬という限られたサンプルサイズでの検証だが、ドメイン間の差異を考慮すると一定の一般化可能性を示唆
3. PFとEOP(j)における疼痛の生物学的差異: 痛みの種類、持続時間、強度の違いが結果に与える影響
4. 疼痛強度のラベル付けの難しさ: 動物の主観的経験を客観的に評価することの困難さ
5. 実世界データのノイズと弱ラベルの扱い方: 清浄なデータからのドメイン転移の有効性
6. モデルアーキテクチャの選択: C-LSTM-2がI3Dよりも良好な転移性能を示した理由
   これらの議論を通じて、研究の限界と今後の課題が明確化されています。

次に読むべき論文は？

本研究の発展として、以下の方向性が示唆されています:

1. より自然な環境での馬の疼痛認識: 厩舎内や屋外での行動解析
2. 動物のポーズ推定技術の応用: Cao et al. (2019)やMathis et al. (2021)の手法の活用
3. ストレスと疼痛の識別: Andersen et al. (2021)の研究をベースにした発展
4. 疼痛のない状態の認識: Lundblad et al. (2021)の研究との関連
5. 長期的な疼痛行動の時系列分析: Rashid et al. (2020)の手法の拡張
6. マルチモーダルな疼痛評価: 行動データと生理学的データの統合
   これらの論文を読むことで、馬の疼痛認識技術のさらなる発展と応用範囲の拡大につながる可能性があります。

整形外科的疼痛ってのはこういうことらしい。

整形外科的疼痛とは

整形外科的疼痛とは、骨、関節、筋肉、腱、靭帯などの運動器系に関連する痛みを指します。馬の場合、以下のような特徴があります：

1. 定義：
   ・骨格系や筋肉系の問題に起因する痛み
   ・急性（突然発症）または慢性（長期間持続）の両方がある

2. 主な原因：
   ・関節炎（特に変形性関節症）
   ・骨折や亀裂
   ・腱や靭帯の損傷
   ・筋肉の strain（過度の引っ張り）や sprain（捻挫）

3. 症状：
   ・跛行（足を引きずる、不自然な歩き方）
   ・特定の姿勢や動きを避ける
   ・触られると痛がる
   ・関節や筋肉の腫れ
   ・顔の表情の変化（目や耳の位置、口の緊張など）

4. 重要性：
   ・早期発見が難しく、進行すると重症化する可能性がある
   ・馬の安楽死の主要な原因の一つ
   ・適切な治療を行えば、多くの場合改善が可能

この論文では、整形外科的疼痛の中でも特に低グレード（軽度から中程度）の痛みに焦点を当てています。これは、症状が微妙で断続的に現れるため、人間の目だけでは検出が難しいケースです。

競走馬の場合は当然脚にまつわるものが多い感じになる。

ちなみにデータセットについて上のまとめだとわからなかったのだけど、どうやら動画みたい。

研究で使用されたデータセット

この研究では主に2つのデータセットが使用されています：

1. Pain Face (PF) データセット：
   ・6頭の健康な馬を対象
   ・急性の実験的疼痛を誘発
   ・痛みの種類：
   - 虚血性痛み（圧迫カフによる）
   - 炎症性痛み（カプサイシン物質による皮膚刺激）
   ・痛みの持続時間：20分間
   ・ラベル：バイナリ（痛みあり/なし）
   ・総ビデオ数：60
   ・総クリップ数：8,784
   ・総時間：約9時間45分

2. EquineOrthoPain(joint) (EOP(j)) データセット：
   ・7頭の健康な馬を対象（元は8頭だが1頭は除外）
   ・軽度から中程度の整形外科的疼痛を誘発
   ・痛みの誘発方法：リポ多糖（LPS）を距腿関節（飛節）に注射
   ・痛みの持続時間：注射後22-52時間の間で観察
   ・ラベル：
   - Composite Orthopedic Pain Scale (CPS) を使用
   - 3人の独立した評価者によるスコア（0-39）の平均
   - バイナリ分類のために閾値処理（0より大きい = 痛みあり）
   ・総ビデオ数：90
   ・総クリップ数：6,710
   ・総時間：約8時間41分

両データセットの特徴：
・馬の顔と上半身が主に映っている
・脚の全体は映っていない
・ビデオからは2fpsでフレームを抽出
・各クリップは10フレーム（5秒）で構成

研究者らはこれらのデータセットを用いて、PFデータセットで学習したモデルをEOP(j)データセットに適用するドメイン転移学習を行いました。これにより、クリーンな実験的痛みのデータから、より複雑で微妙な整形外科的痛みの検出への知識転移を試みています。

こういうのを厩舎や牧場で活用できるようにしてほしいなぁ。

映像解析はいろいろ活用方法がありそう、競走馬の健康という意味でもいろいろ研究が進んで欲しい反面、データセットが全然足りない感じはあるな。JRAがそういうデータを公開してKaggleとかでコンペやればいいのにね。研究所持ってるみたいだし、別会社とかありそうな気もするけどね。

Equimetrics -- Applying HAR principles to equestrian activities

https://arxiv.org/abs/2409.11989

Equimetrics - HARの原理を馬術活動に応用

1. どんなもの？

Equimetricsは、乗馬活動における人間とウマの動きを包括的に分析するためのセンサーシステムです。ライダーの体(胴体、頭部、腕、脚)とウマの脚に10個の慣性計測ユニット(IMU)センサーを設置し、130Hzのサンプリングレートで3次元の動きを捕捉します。各センサーノードはMPU-6050 NEMSと呼ばれる3軸ジャイロスコープ・加速度計、およびESP32マイクロコントローラーで構成され、Wi-Fi経由でデータを送信します。また、PIXEMカメラシステムによる映像データも統合し、OpenPoseフレームワークを用いた詳細な動作分析を可能にしています。従来の高価なモーションキャプチャー技術に代わる、オープンソースのハードウェアとソフトウアを活用した低コストなソリューションとして提案されています。

2. 先行研究と比べてどこがすごい？

先行研究では、主にウマの歩様認識に焦点を当てており、スマートフォンやスマートウォッチを使用した単純な動作認識が中心でした。例えば、鞍やライダーの手首にセンサーを設置して歩様を分類する研究や、少量のラベル付きデータで馬の動作を認識するアルゴリズムの開発などが行われてきました。これに対してEquimetricsは、ライダーとウマの両方に複数のセンサーを設置し、その相互作用を包括的に分析できる点が革新的です。特に、ウマの動きとライダーの動きを分離して分析できる機能は、従来のシステムにはない特徴です。また、オープンソース化によって研究者やトレーナーが容易にアクセスできる点も大きな利点となっています。

3. 技術や手法の肝はどこ？

Equimetricsの核となる技術は、以下の3点です。第一に、ライダーとウマの動きを個別に分析する手法です。特にライダーの腰に設置したセンサーデータを基準として、ウマの動きを差し引くことで、ライダーの独立した動きを抽出することに成功しています。第二に、高精度な蹄の接地タイミング検出です。ウマの4本の脚に設置したセンサーから得られる加速度計とジャイロスコープのデータを四元数表現に変換し、蹄の接地イベントを平均8.98ミリ秒の精度で検出できます。第三に、トランスフォーマーベースの2つの活動認識モデルを実装し、ウマの歩様と特定の馬場馬術の動作を高精度で分類できる点です。

4. どうやって有効だと検証した？

システムの有効性は、2頭のウマを使用した45分間の予備データ収集で検証されました。検証では、歩行、速歩、襲歩、障害飛越などの基本的な歩様と動作を含む標準化された馬場馬術のテストプロトコルを実施しました。データは5秒間のウィンドウで分析され、各ウマが2回ずつテストプロトコルを実行することで、モデルの汎化性能を向上させています。評価結果として、ウマの歩様認識ではF1スコア0.9324、より複雑な馬場馬術の動作認識では0.7601を達成しました。特に蹄の接地タイミングの検出精度は、ビデオデータとの比較で平均8.98ミリ秒という高精度を示しました。

5. 議論はある？

主な議論点として、データセットの規模に関する制限が挙げられています。現状では2頭のウマのみを対象とした検証であり、より多様なウマとライダーの組み合わせでの検証が必要とされています。特に、ハーフパスと呼ばれる斜め方向への移動を含む複雑な動作の認識精度が低い点が課題として指摘されており、これはサンプル数の不足が原因である可能性が示唆されています。また、長期的なスキル開発や適応の観点から、縦断的な研究の必要性も指摘されています。これらの課題に対して、より大規模で多様なサンプルによる検証と、長期的な進捗追跡の必要性が提案されています。

6. 次に読むべき論文は？

1. "A framework for the recognition of horse gaits through wearable devices" (Casella et al., 2020) - ウェアラブルデバイスを用いた馬の歩様認識の基礎的フレームワークについて
2. "Time-Series-Based Feature Selection and Clustering for Equine Activity Recognition Using Accelerometer Data" (De Waele et al., 2023) - 加速度計データを用いた馬の活動認識に関する最新の研究
3. "Automatic hoof-on and -off detection in horses using hoof-mounted inertial measurement unit sensors" (Tijssen et al., 2020) - IMUセンサーを用いた蹄の接地検出に関する詳細な研究
4. "Human Daily and Sport Activity Recognition Using a Wearable Inertial Sensor Network" (Hsu et al., 2018) - ウェアラブルセンサーネットワークを用いたスポーツ活動認識の基礎

馬と乗り手の動作の関係性が測定できるというところか。アスリートにセンサー付与していろんなデータを取得するってのは、以前に比べると広がってきているように思えるので、競馬にもこういうのがあるといいね。

ジョッキー用のトレーニングマシーンとかにこういうのが反映されると面白そう。

Statistical ranking with dynamic covariates

https://arxiv.org/abs/2406.16507

動的共変量を用いた統計的ランキング

1. どんなもの？

この論文は、プラケット・リュース（PL）モデルと呼ばれる統計的ランキングモデルを拡張し、動的な共変量（時間や環境などの変化する要因）を組み込んだ新しいモデル「PlusDC」を提案しています。PLモデルは複数のアイテムを順位付けする際に使用される確率モデルですが、従来のモデルでは時間変化などの動的な要因を考慮できませんでした。PlusDCモデルは、各アイテムの固有の強さを表す効用ベクトルと、動的な共変量の影響を表す係数ベクトルを組み合わせることで、より柔軟なランキング予測を可能にします。例えば、テニス選手のランキングにおいて、選手の基本的な実力だけでなく、年齢による実力の変化なども考慮できるようになります。

2. 先行研究と比べてどこがすごい？

従来の研究では、（1）共変量のみを使用する方法、（2）固定的な共変量と個人効果を組み合わせる方法、の2つのアプローチが主流でした。しかし、（1）は個人の固有の能力を無視し、（2）は共変量が時間とともに変化する状況を扱えないという制限がありました。本研究のPlusDCモデルは、個人の固有の能力（効用ベクトル）と動的な共変量の両方を同時に考慮できる初めてのモデルです。また、理論面では、モデルの識別可能性（一意性）や最尤推定量の一致性について、グラフ理論を用いた新しい分析手法を提案しています。これにより、従来は困難だった多重比較データにおける動的要因の影響を、理論的に厳密に分析することが可能になりました。

3. 技術や手法の肝はどこ？

本研究の技術的な核心は以下の3点です。第一に、モデルの識別可能性の条件を、グラフ理論における「カール・フリーフロー」の概念を用いて特徴付けました。これは、比較グラフの位相構造と共変量の関係を明確にする新しいアプローチです。第二に、最尤推定量の計算のための交互最大化アルゴリズムを開発しました。これは、効用ベクトルと係数ベクトルを交互に更新することで、計算効率を向上させる手法です。第三に、最尤推定量の一致性（推定値が真の値に収束すること）を証明する際に、グラフのチェイニング技法と経験過程理論を組み合わせた新しい証明手法を開発しました。特に、比較グラフの連結性と共変量の非退化性の条件下で、推定量の収束速度を明示的に特徴付けることに成功しています。

4. どうやって有効だと検証した？

検証は主に3つの方法で行われました。第一に、シミュレーション実験によってモデルの理論的性質を確認しました。具体的には、ノード数が増加する場合の最尤推定量の一致性や収束速度を検証し、理論的な予測と一致することを示しました。第二に、香港の競馬データを用いて実データ検証を行いました。馬の重量、スタート位置、公衆の予想という3つの共変量を考慮し、従来のPLモデルと比較して予測精度が向上することを示しました。第三に、1980年から2024年までのATPテニスの試合データを分析し、選手の年齢効果を考慮したランキング予測を行いました。この分析では、選手のキャリアピーク時期の予測が実際の記録と整合的であることを示し、モデルの実用性を実証しました。

5. 議論はある？

主に2つの重要な議論があります。1つ目は、固定的な共変量と動的な共変量の違いについての議論です。論文は、固定的な共変量は効用ベクトルに吸収されてしまうため、実質的な予測改善につながらないことを理論的に示しています（Proposition 5）。これは、動的な共変量を考慮することの必要性を裏付ける重要な知見です。2つ目は、最尤推定量の収束速度に関する議論です。効用ベクトルと係数ベクトルの収束速度が異なることが示され、これは2つのパラメータの推定の難しさが本質的に異なることを示唆しています。この知見は、将来の統計的推論の研究に重要な示唆を与えています。

6. 次に読むべき論文は？

以下の論文群が重要です：

• Fan et al. (2022) "Uncertainty quantification of MLE for entity ranking with covariates" - 固定共変量を持つランキングモデルの不確実性定量化に関する基礎的研究
• Han and Xu (2023) "A unified analysis of likelihood-based estimators in the Plackett-Luce model" - PLモデルにおける最尤推定の統一的な分析を提供
• Singh et al. (2024) "Graphical models for cardinal paired comparisons data" - ペア比較データに対するグラフィカルモデルの最新の研究
  これらの論文は、ランキングモデルの統計的性質、共変量の扱い、グラフ理論との関連性について、より深い理解を提供します。

これだけだとちょっとよくわからなかったので更問。

"第二に、香港の競馬データを用いて実データ検証を行いました。馬の重量、スタート位置、公衆の予想という3つの共変量を考慮し、従来のPLモデルと比較して予測精度が向上することを示しました。" というところをもっと詳しく。

詳細な実験結果の解説

PlusDCモデルの実世界での有効性を示すために、1999年から2005年の香港競馬データを用いた詳細な分析が行われました。実験の具体的な内容は以下の通りです：

データセットの特徴：

• 総サンプル数：6,328レース
• 分析対象の馬：2,814頭
• 各レースの出走頭数：4頭から14頭の範囲
• 各馬の最小出走回数：10回（対数nより大きい）

考慮された3つの共変量：

1. 実際の重さ（馬が背負う重量）：対数変換後、中心化と正規化を実施
2. 枠番（レースでのスタート位置）：各レースの出走頭数に基づいて0-1の範囲に正規化
3. 公衆予想（レース直前のオッズから算出された勝率）：対数変換を実施

分析結果：

• 推定された係数ベクトル：(-0.139, -0.188, 0.502)
  • 重量：負の影響（重いほど不利）
  • 枠番：負の影響（外側の枠ほど不利）
  • 公衆予想：正の影響（予想が高いほど有利）

モデル性能評価：

• 63分割交差検証で評価を実施
• 評価指標：Top-1予測、Top-3予測、完全順位予測それぞれの対数尤度
• 比較対象：PLモデル、公衆予想
• 結果：
  • すべての評価指標でPlusDCモデルがPLモデルを上回る
  • Top-1、Top-3予測では公衆予想と同等
  • 完全順位予測では公衆予想を大きく上回る

この実験結果は、PlusDCモデルが実世界の複雑な要因を効果的に捉え、より正確な予測が可能であることを示しています。特に、モデルが捉えた各要因の影響度は、競馬の一般的な経験則とも整合的であり、モデルの解釈可能性も高いことが示されました。

なるほど、既存の統計モデルよりも優れているってのはわかるんだけど、斤量や枠番についてはそれは当然だし、人気が高い＝的中率は高いがオッズは低い、になるので、そりゃそうですね、という気がするだけ。もう少し競馬というか馬券的にどういう意味合いがあるか？

これを馬券予想に活かすにはどういう風に考えればいいでしょうか？

馬券予想への活用に関する考察

※これは学術的な考察であり、実際の馬券購入を推奨するものではありません。

1. モデルから得られる重要な知見

• 重量の影響（係数:-0.139）
  • 斤量が増えるほど不利になる
  • 特に、同じ馬の前走との斤量差に注目が必要
• 枠番の影響（係数:-0.188）
  • 外枠になるほど不利になる傾向
  • ただし、これは全レース平均の傾向であり、コース特性による差異は考慮が必要
• 公衆予想の重要性（係数:0.502）
  • 最も影響力の大きい要因
  • オッズに反映される情報の信頼性が高いことを示唆

2. モデルの特徴的な性能

• Top-1、Top-3予測では公衆予想と同等の性能
  • 単勝・複勝の予想には、オッズ情報だけでも十分な可能性
• 完全順位予測で優れた性能
  • 馬連、三連複、三連単などの順位関係が重要な馬券に有用な可能性
  • 特に、オッズでは見落とされやすい中位～下位の順位予想が正確

3. 実践的な活用における留意点

• モデルの限界の認識
  • 天候、馬場状態、調教師の評価など、含まれていない要因が多数存在
  • データの時間的制約（1999-2005年）により、現在の競馬とは環境が異なる可能性
• 期待値の考え方
  • モデルの予測とオッズの乖離が大きい場合に投資機会がある可能性
  • ただし、オッズ自体が重要な予測因子であることに注意

4. より高度な活用方法の可能性

• 動的共変量の拡張
  • 馬場状態、気温、湿度などの環境要因の組み込み
  • 調教データ、血統情報などの追加
• 個別コース特性の考慮
  • 直線、芝、ダートなどのコース特性ごとの係数調整
  • 距離別の影響度の変化の分析

このモデルは学術研究目的で開発されており、実際の馬券購入への応用には、より多くの実務的な検証と追加の分析が必要です。また、ギャンブルには常にリスクが伴うことを認識することが重要です。

そうだよね、競馬の場合は他にも変化する要素が多いし、期待値っていう考え方はここには含まれていないので、これで馬券どうこうという話ではない。ただ

• 完全順位予測で優れた性能
  • 馬連、三連複、三連単などの順位関係が重要な馬券に有用な可能性
  • 特に、オッズでは見落とされやすい中位～下位の順位予想が正確

というところは面白いかもね。次走の予想に活かせるかもしれない。

https://arxiv.org/abs/2401.06086

https://arxiv.org/abs/2308.14339

A generative approach to frame-level multi-competitor races

https://arxiv.org/abs/2310.01748

フレームレベルのマルチコンペティターレースに対する生成的アプローチ

1. どんなもの？

マルチコンペティター(複数競争者)レースにおいて、レース内の戦略を考慮した包括的な生成モデルを提案した研究です。従来の研究ではレース結果のみを扱っていましたが、本研究ではフレームレベル(1秒あたり1-25フレーム)の詳細なトラッキングデータを活用し、競争者の位置関係や戦略的な動きをモデル化しています。特に馬の前進距離と横方向の動きを分けて考えることで、ドラフティング(風よけ効果)などの戦略的要素を取り入れています。このモデルにより、実際のレースデータからの予測だけでなく、仮想的なレースシナリオのシミュレーションも可能になりました。ニューヨーク競馬協会(NYRA)が提供する2019年シーズンの1マイルレースのデータを用いて検証しています。

2. 先行研究と比べてどこがすごい？

従来の研究は主に順位データのみを扱い、レース内の戦略的要素を考慮できていませんでした[18,19,23,28]。また、競争者の能力評価も時系列で変化する状態空間モデルとして扱われてきました[11,14-17]。本研究の革新的な点は、フレームレベルのトラッキングデータを活用して競争者間の相互作用や戦略を明示的にモデル化した点です。特に、前進と横方向の動きを分離してモデル化することで、ドラフティングや内側レーンの有利さなどの戦略的要素を組み込むことができました。また、完全な生成モデルとすることで、仮想的なレースシナリオのシミュレーションが可能になり、様々な戦略の効果を定量的に評価できるようになりました。

3. 技術や手法の肝はどこ？

本研究の核となる技術は、以下の3点です。1つ目は、競争者の動きを前進距離と横方向の移動に分離してモデル化する手法です。これにより、レーン取りやドラフティングなどの戦略的要素を表現できます。2つ目は、競争者の能力をレースの各フェーズで滑らかに変化するBスプライン関数でモデル化している点です。これにより、スタート直後の加速や終盤のスパートなど、レースの異なる場面での能力を表現できます。3つ目は、OpenFOAMを用いた流体力学シミュレーションにより、ドラフティング効果を定量化している点です。これらの要素をベイズモデルとして統合し、Stan[5]を用いて効率的に実装しています。

4. どうやって有効だと検証した？

モデルの評価は3つのレベルで行われています。1つ目は、フレームレベルでの予測精度の評価です。2つ目は、レース全体の結果(順位や完走時間)の予測精度の評価です。3つ目は、推定されたパラメータや生成されたシミュレーションの妥当性の評価です。具体的な検証として、動的な勝率予測の精度、ジョッキーの評価ランキングの妥当性(実際の成績との比較)、馬のプロファイル分類の意味合い、スタートレーンの影響分析などが行われています。特に、Irad Ortiz Jr.など上位ジョッキーの評価が実際の成績と整合的であることや、スタートレーンの影響分析が直感的な理解と一致することが示されています。

5. 議論はある？

主な議論として、モデルの計算効率と適用可能性に関する課題が挙げられています。1マイルレースの場合、約400フレームのデータがあり、6頭の馬で2000回のシミュレーションを行うと960万回の計算が必要になります。この計算量の課題に対して、StanのC++実装を活用することで、90-120秒程度まで計算時間を短縮できたと報告しています。また、より長時間のレース(自転車ロードレースなど)への適用に向けて、サンプリングスキームやエミュレータの活用が提案されています。さらに、ドラフティングモデルの簡略化(風向きの単純化など)についても議論されており、より精緻なモデル化の余地が示唆されています。

6. 次に読むべき論文は？

本研究の発展として、以下の論文が参考になります：

• バスケットボールにおける期待所有価値(EPV)の考え方：Cervone et al. (2016) [6]
• マルチコンペティターゲームにおける選手評価：Che and Glickman (2022) [7]
• 動的状態空間モデルによる競技者評価：Glickman (1999) [14]
• 馬のドラフティング効果の物理的研究：Spence et al. (2012) [29]
• シミュレーションのエミュレーションに関する研究：Thiagarajan et al. (2020) [31]

おお、これ面白そう！シミュレーションを生成するってことだよね。

自分の競馬予想では、どのような隊列になるか？が重要だと思っていて、スタートダッシュの速さとか枠順とかをまず考えて、そこから馬場含めてペースがどうなるか？みたいな感じで考える。

ただ、当然そのあたりはジョッキーも認識していると思うので、ジョッキーの戦略がレースにどういう影響がでるか？みたいな予想は無理だよなぁと思っていて、概ねジョッキーの特徴みたいなものを雑に考慮するぐらいしかしない。例えば、岩田康Jが内を突くのが上手い、丹内Jはよくマクる、とかね。統計的な傾向はあるのかもしれないけど、それがどれぐらい影響するのかとかわからないよね。ルメールJうますぎるとかはあるかもだけど。

そのへんの　ジョッキーごとの戦略とかがシミュレーションで見えるようになると、より特徴が際立つようになるかもしれないね。