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頑張らないProductHuntをやってみた

2024/09/21に公開

この記事は何?

この記事は、ProductHuntでデイリー3位になった個人開発の時間管理アプリ「Minute」が、ProductHuntに投稿するにあたって、やったこと・やらなかったことをまとめた記事です。

対象読者

  • 個人アプリをProductHuntに投稿したいが、発信力も拡散力も無くて投稿するか迷っている方
  • ProductHuntに投稿するにあたり、最低限何をしたら良いか知りたい方

何をProductHuntに公開したか?

「Minute」という個人向けに特化したオープンソースの時間管理アプリです。

Minute
https://www.producthunt.com/posts/minute-3?embed=true

なぜ作ろうと思ったのか?

もっと個人向けに特化していて、整理整頓が簡単にできて、時間の振り返りがしっかりできるアプリが欲しい と思ったのがきっかけでした。

自分は今まで「Toggl」を使って時間管理をしていたのですが、

  • 個人には不要なチーム用途の機能が多い
  • 過去の計測記録をあとから整理整頓するのが難しい
  • レポート画面はデフォルトが棒グラフで結局時間の使い方は良いのか悪いのか分かりにくい

という不満がありました。一方で、個人特化したアプリでは分析機能が充実していないものが多く、丁度良いアプリが欲しかったので作ることにしました。

どういう機能があるのか?

今回作ったMinuteでは、個人開発や趣味の時間のように自分が増やしたい時間と、仕事やゲームの時間のように増やしすぎたくない時間を、お馴染みフォルダ構造で整理・分析できるようにしました。

Minuteのホーム画面

また、「有意義な時間」「有意義ではない時間」という風に、複数のフォルダをカテゴリという機能でまとめて分析することもできます。レポート画面は折れ線グラフで増減が分かりやすいようになっています。

Minuteのレポート画面

せっかくだからProductHuntにも公開したいが...

開発当初はProductHuntに投稿する気はまったく無く、自己満足で完結するつもりだったのですが、完成したら誰かに見てもらいたくなるのが開発者の常でして、せっかくなのでProductHuntに投稿してみようと調べてみることにしました。

が、ネットで調べてみるとわかるのですが、単純な投稿の流れの説明というよりは割とガチな内容が多く、たとえば、

  • 「有名なトップハンターの協力を得てから本番に望まないといけない」
  • 「十分なユーザが集まるまではそもそもProductHuntに投稿しない方が良い」
  • 「当日はSNSやブログで告知してユーザを集めなければいけない」

みたいな内容で、まるで 「影響力のない奴は参加する意味がない」 と全否定された気分になり 「そういうコネも大した影響力もない自分は一体どうすれば...」 とやる気が低下していきました。

が、同時に「本来アプリ開発は誰でも自由に出来るんだから、一人ぐらい何も考えずに投稿する奴がいてもいいんじゃないか」と謎の反骨精神も湧いてきて、それらのTipsを完全無視した叛逆のProductHunt、「頑張らないProductHunt」を決行することにしました

頑張らないProductHuntとは何か?

基本的な方針は以下の通りです。

  • 投稿する先は「ProductHunt」と「HackerNews」のみ
  • XのようなSNSでの告知は一切無し
  • 当日にZennやQiita、noteへの投稿も無し
  • 有名ハンターへの協力依頼も無し

端的にいうと、「ProductHunt」と「HackerNews」にだけ投稿してあとは何もせずに見守るという、つみたてNISAのようなやり方です。

次の章では具体的に、やったことと、やらなかったことに分けて説明していきます。

やらなかったこと

SNSや記事の告知、協力依頼はしなかった

前の章で説明した通りです。SNSでの投稿は私の場合は効果が薄いと感じたのでやめました。
また、ProductHuntへの投稿方法ですが、どうやら自分でプロダクトを投稿する方法と、有名なハンターに代理で投稿してもらう方法の2種類があり、もちろん有名な人に投稿してもらった方が拡散力はありますが、今回は自分で投稿しました。ですが、公式にもある通り、有名ハンターの協力はさほど重要ではないと書いてあるのでそれほど気にする必要はなさそうです。

動画は作らなかった

ProductHuntのプロダクトの詳細ページには静止画と動画の両方を設定することができるのですが、動画を作成するコストが無かったので、今回は静止画のみにしました。公式によるとデイリーにランクインしたプロダクトの53%は動画を設定しているらしいので動画を作る効果はあるようですが、もちろん無くても投稿できます。

代わりにサムネの順番を工夫しました。一番目立つ1〜3枚目はアプリの見た目のスクリーンショットを貼り、次にアプリの説明のサムネが来るような順番にして、まず見た目でアプリに興味を持ってもらい、その次に内容を簡潔に説明する流れにしました。

Minuteのサムネイル一覧

ランディングページは作らなかった

通常はランディングページを作り、ProductHuntの詳細ページの「Visit」ボタンの遷移先をランディングページに向ける...のが王道ですが、なるべく頑張りたくないのと、MinuteはオープンソースなのでGitHubリポジトリのページを設定することにしました。公式のドキュメントにもGitHubリポジトリを一例として挙げているのでこのやり方は特にイレギュラーではありません。

眠たくなったら無理せず寝た

公開した直後、とても有り難いことにたくさんの方が反応してくれて、大量のコメントが降ってきました。当初はなるべく全てのコメントに返信するように努めていたものの、全てにコメントすると精神がもたないと感じたので後半では返信は諦めました(ごめんなさい)。また、当日は寝ずにProductHuntに張り込んでコメントに返信したりSNSで定期的に進捗を告知したりするのが理想だと思われるのですが、普通に寝ました。

やったこと

なるべく公式サイトの情報を参考にした

「やらなかったこと」の章ですでに何回か公式のURLを引用しましたが、非公式の情報を参考にしすぎると混乱してくるのであまり鵜呑みにせず、なるべく公式サイトに掲載している情報を参考にしました。簡潔かつ丁寧に説明が書かれていてかなり分かりやすいですし、何よりやる気が出てきます。

https://www.producthunt.com/launch/how-product-hunt-works

最初のコメント、説明文、タグラインは熟考した

大々的に告知しない以上、どういうプロダクトか伝える手段は説明文とタグラインしかないため、簡潔にどういうアプリなのか知ってもらえるようにこの2点は熟考しました。

また最初のコメントについては、今日の製品、今週の製品、今月の製品に選ばれた製品の70%には、最初のコメントが含まれているとある通り、かなり目立つ位置に表示されます。そのため、この記事の最初に書いたようななぜ作ったのかどういう機能があるのかを細かく書きました。英文はChatGPTなどを使って推敲しました。

Minuteの最初のコメント

アプリのコンセプトをはっきりさせた

これはProductHuntとは直接関係ない話ですが、「個人に特化したアプリ」「自分が満足できる有意義な時間を増やす」という分かりやすいコンセプトをアプリの開発前に決めたことで前述のタグラインや説明が思いつきやすかったです。また、たくさんのコメントをいただきましたが、「他のアプリと違う点は何?」みたいなそもそもの存在意義を問われるコメントは一切ありませんでした。

ProductHuntへの投稿日時は熟慮した

ProductHuntの傾向として、平日は大企業が多くプロダクトを投稿するため激戦区になります。一方で週末は比較的平穏ですが、その分アクセス数も少なくなります。

今回投稿する「Minute」のコンセプトは個人向けなので週末に投稿しました。が、なぜか週末なのにGoogleという大手中の大手が参戦してくるという事故があったので、まったく無い訳ではないようです。お祈りをしましょう。

Google Illuminate

また投稿の時間ですが、ProductHuntは太平洋標準時に基づいて24時間周期で動いているため、特別な事情がなければ、丸々1日分恩恵を受けるために「太平洋標準時午前の12:01」に投稿するのが公式の推奨です。

ProductHuntには予約投稿機能があるので待機して手動で投稿する必要はありません。また、デフォルトの予約投稿時刻が12:01になっているという超親切設計なので、普通に手順に沿って設定すれば最適な時間に投稿されると思います。

また有り難いことに、ProductHuntの仕様で、どのプロダクトも公平にチャンスが得られるように最初の4時間は投票数は非表示、かつ表示順もランダムになるという仕様があります。せっかくなのでこの仕様も最大限活用しました。

最初の4時間は投票数が見えない

CommingSoonFeedを設定した

ProductHuntには近日公開予定というページがあり、こんなアプリを近日公開予定だよ、というのをProductHuntで事前告知することができます。掲載自体は簡単で、サムネと説明分を設定するだけというお手軽機能なので設定しました。

Comming soonページ
https://www.producthunt.com/coming-soon

興味を持ってくれた方は「Notify」ボタンを押すことで、公開されたタイミングで通知が飛ぶようになっています。またComming soonページの掲載順ですが、推測ですが「全体的な並び順は公開日が近い順」かつ「細かい並びはランダムまたはNotifyボタンを押したユーザが多い順?」になっているようです。

最大30日前までのプロダクトを登録することができますが、おそらくリストの末尾は誰も見ないと思ったので、投稿日は14日前の土曜日に設定してComming soonページに登録しました。公開直前には11人くらいの方が通知登録してくれていたので、かなり効果があったと思います。

HackerNewsに投稿した

HackerNewsというコミュニティサイトには「ShowHN」という、自分が作った作品を投稿してみんなに見てもらえるページがあるのですが、「Show HN:」から始まるタイトルとURLを設定すれば投稿できる手軽さなので、こちらにも投稿しました。が、あまり反応が無かったのでこちらはやらなくても結果は変わらなかった気がします。

簡単に試せるデモサイトを作った

MinuteはSaaSとして提供するというよりはオープンソースなので、誰でも自由にフォークしてカスタマイズしたりセルフホスティングするみたいな使われ方を想定していました。

ですが、流石に実際に操作できるものがない状態でアプリを評価してもらうのは無理があるだろうと思ったので、アカウント登録無しで気軽に試せるデモサイトをVercel上に構築して、デモサイトのURLをProductHuntの最初のコメントと、GitHubのREADMEの目立つ位置に貼りました。唯一頑張った点です。

README

これは公式サイトでは紹介されていないやり方なのでどれくらい効果があったのか不明ですが、300〜400人くらいの方が試してくださったので、やらないよりは良かったと思います。

最後に

トップ3入りできるとは完全に思っていなかったので、正直、喜びというよりも大量のコメントで焦っていたのですが、色んな人がアプリのコンセプトやアイデアに共感してくれて、その点が一番嬉しかったです。ですが、個人的にはProductHuntに投稿できるぐらいのアプリを作れた時点でもう嬉しかったので、誰にもコメントされずランク外になっていたとしても満足していたと思います。

ProductHuntの公式では事前にゴールを決めることが重要だ、と書かれていますが私の場合はProductHuntに公開すること自体がゴールでした。そういう頑張らないゴール設定の人がいても別に良いと思います。

Minuteの方も頑張らずにコツコツ開発していきます。

この記事が、同じようにProductHuntの投稿を躊躇している方の後押しになれば幸いです。

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