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吹奏楽の楽譜から、ピアノ連弾用の楽譜を作る話

2023/05/10に公開

研究紹介

吹奏楽やオーケストラなどの多人数演奏用の楽譜から、ピアノ連弾用の楽譜を生成するプログラムを紹介します。当研究室卒業生の島村さんが研究開発しました。

合奏はオーケストラや吹奏楽など多人数で演奏するため、和音などの魅力がある一方で、演奏者や楽器、場所の確保など課題があり、気軽に楽しむことができません。一方、ピアノソロは一人で演奏できるため手軽ですが、演奏の厚みに限界があり、合奏の楽しみを味わうことができません。
合奏とピアノソロの中間的な演奏形態の一つに「ピアノ連弾」があります。2人の演奏者と1台のピアノがあれば演奏が可能であり、合奏の楽しみを味わいつつも手軽に演奏ができます。しかし、オーケストラや吹奏楽の曲をピアノ連弾用に編曲した楽譜が手に入りにくいことが問題でした。
本研究では、多人数編成の楽譜をピアノ用連弾譜に自動的に編曲するシステムを実現します。


研究の末、吹奏楽の楽譜からピアノ連弾譜が出来ました!

先ずはプログラムを動かそう

Google Colabのプログラムです。Googleにログインすると実行できます。
[https://colab.research.google.com/drive/1IdVIW5rR7yv9cDmQ6cM1iuPFb7R9Sl2r?usp=sharing]

すべてのセルを実行します

ランタイム > すべてのセルを実行 をクリックすると、曲名と難易度を指定する画面が表示されます。

編曲したい曲と難易度を指定します

デモ用にインストールしているのは次の曲です。
Musescoreのサイトでオリジナルのオーディオサンプルを聴くことができます。

Loysville Orphans' Home Boys' Band March by Steve_Trevitz
ファイル名: Loysville_Orphans_Home_Boys_Band_March_for_Brass_Band_Concert
[https://musescore.com/user/28494314/scores/6239277]

Deutschlandlied by natam (ドイツ国歌)
ファイル名: Deutschlandlied_National_Anthem_of_Germany_Concert
[https://musescore.com/user/97654/scores/118126]

The Star-spangled Banner by gabebridge3 (アメリカ合衆国国歌)
ファイル名: The_star-spangled_banner_Concert
[https://musescore.com/user/40591730/scores/8833701]

編曲したい曲と、プリモ(ピアノの右側で演奏する奏者)とセコンド(ピアノの左側で演奏する奏者)の楽譜の難易度を選んでください。

編曲します

「Clickして編曲を始める」ボタンをクリックすると、旋律設定画面が表示されます。
このプログラムでは、4小節毎にどのような旋律にするか指定できます。プログラムが旋律を自動的に次の役割に分類して、選択可能な組み合わせを提示します。お好みのプリモとセコンドの旋律の組合せを選択してください。

  • 主旋律
  • 副旋律
  • 和声
  • ベース
  • 休符

デフォルトでは選択可能な組合せの1番目が設定されています。

役割同定のイメージ

楽譜を出力します

旋律を指定したら、「Clickして楽譜を出力する」ボタンをクリックします。
楽譜が生成されるとファイルダウンロードダイアログが出力され、楽譜を保存できます。
ダウンロードした楽譜をMusescore等で開き、オーディオサンプルを再生してみてください。

編曲したい楽譜を追加しよう

編曲したい楽譜を追加することも可能です。圧縮されたMusicXML(.mxl)形式の楽譜を読み込むことができます。尚、楽譜追加等のプログラム変更は、「ドライブにコピー」ボタンでご自身のドライブにプログラムをコピーしてから実施してください。

multiplayer-into-duet/data フォルダに編曲したい楽譜をアップロードすることで、お好みの楽譜をピアノの連弾譜にすることができます。

dataフォルダの右にある「︙」をクリックし、アップロードする楽譜を指定してください。
アップロード後、曲と難易度を指定する画面の矢印をクリックすると、ドロップダウンリストにアップロードしたファイルが表示されます。

アップロードしたファイルを表示します

現時点では、楽譜を読み込む際や、出力する際にエラーとなる場合がありますが、難易度を変更すると出力できる場合もありますので、エラーが出た場合は別の難易度を指定してみてください。

編曲前の楽譜は実音(Concert pitch)で!

編曲前の楽譜にクラリネットなどの移調楽器のパートが含まれる場合、実音で記述する必要があります。これはMuseScoreで編集可能です。

MuseScoreで楽譜を開き、パートをダブルクリックすると譜表/パートのプロパティ画面が開きます。画面下の方に「移調」の項目がありますので、全てのパートを0-完全1度に設定してください。
その後、MusicXMLをエクスポートすればOKです。

デモ用の楽譜も全てのパートを0-完全1度に変更しています。左下の矢印で前後のパートに移動することができるため、簡単に実音の楽譜を作成できました。

研究の詳細はこちら

多人数演奏楽譜から連弾譜への自動編曲
https://sites.google.com/kthrlab.jp/shimamura/

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