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NFFTライブラリの使い方

2021/12/12に公開約4,700字

はじめに

この記事では,C言語ライブラリNFFTの使用方法について説明します.

NFFTとは

まずは,とても簡単にNFFTについて説明します.

離散フーリエ変換

f_j = f(\boldsymbol{x}_j) = \sum_{\boldsymbol{k}} \hat{f}_{\boldsymbol{k}} e^{-2\pi i \boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{x}_j}

のノード\boldsymbol{x}_jが不等間隔である場合を,不等間隔離散フーリエ変換(NDFT)と言います.

フーリエ係数\hat{f}_{\boldsymbol{k}}が与えれた時に,元の関数f_jを高速に求めるアルゴリズムを不等間隔高速フーリエ変換(NFFT)と言います.

行列で書くと,

\boldsymbol{f} = \boldsymbol{A} \boldsymbol{\hat{f}},
\boldsymbol{f} = (f_j)_{j=0,\dots, M-1}, \quad \boldsymbol{\hat{f}} = (f_{\boldsymbol{k}})_{\boldsymbol{k}}, \quad \boldsymbol{A} = \left(e^{-2\pi i \boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{x}_j } \right)_{j=0,\dots, M-1; \boldsymbol{k}},

となり,NFFTとは,巨大な疎行列\boldsymbol{A}とベクトル\boldsymbol{\hat{f}}の積を効率よく求めるアルゴリズム,ということになります.

通常のFFTは,ノード\boldsymbol{x}_0, \dots, \boldsymbol{x}_{M-1}が等間隔に並んでいる場合にのみ適用できますが,今回のNFFTでは,不等間隔に並んでいる場合でも実行できるアルゴリズムです.

計算量

1次元NFFTの計算量は,

\mathcal{O}\left(N\log N + \log \left(1/\varepsilon\right) M \right)

です. ここで, Nはフーリエ波数\boldsymbol{k}の個数,Mはノード\boldsymbol{x}_jの個数,\varepsilonは精度を表します.

d次元の場合は,これのd乗です.

NFFTライブラリ

NFFTのC言語ライブラリの使い方について説明します.

インストール

ここの手順通りにインストールしましょう.

(注意) 事前にFFTWをインストールしておく必要があります.

  1. ダウンロードし,解凍後,ディレクトリに入る.
wget https://www-user.tu-chemnitz.de/~potts/nfft/download/nfft-3.5.2.tar.gz
tar -zxf nfft-3.5.2.tar.gz
cd nfft-3.5.2
  1. コンパイルする.
./configure --enable-all --enable-openmp && make
  1. インストール
sudo make install

使い方

簡単な例を示します.
今回は, コサイン

f(x) = \cos(2\pi x), \quad x \in \left[-\frac{\pi}{2}, \frac{\pi}{2}\right]

を,そのフーリエ級数

\begin{align} \hat{f}(k) = \begin{cases} 1/2 & \mathrm{for} \quad k = \pm 1 \\ 0 & \mathrm{otherwise} \end{cases} \end{align}

から求める,コードを示します.

ノードxはランダムに用意します.

#include <complex.h>
#include <nfft3.h>

int main(void)
{
    nfft_plan my_plan;
    int N = 4; // 波数の個数
    int M = 32; // ノードxの個数

    // planの初期化
    nfft_init_1d(&my_plan, N, M);

    // ランダムにxの値を決めてくれる関数
    nfft_vrand_shifted_unit_double(my_plan.x, my_plan.M_total);

        // 窓関数の計算
    if (my_plan.flags & PRE_ONE_PSI)
        nfft_precompute_one_psi(&my_plan);
        
        // フーリエ級数
    // 今回はcos(2*pi*x)のフーリエ変換を行う
    for (int i = 0; i < my_plan.N_total; i++)
    {
        my_plan.f_hat[i] = 0;
    }
    my_plan.f_hat[my_plan.N_total / 2 - 1] = 0.5;  // 波数の入れ方に注意
    my_plan.f_hat[my_plan.N_total / 2 + 1] = 0.5; // 波数の入れ方に注意

        // NFFTの実行
    nfft_trafo(&my_plan);

        // planの終了
    nfft_finalize(&my_plan);

    return 0;
}

1つずつ説明します.

宣言

まずは,必要な変数を宣言します.

    nfft_plan my_plan;
    int N = 4; // 波数の個数
    int M = 32; // ノードxの個数
  • nfft_planは,FFTWのときと同じようなplanの宣言です. このplan変数に,NFFTの実行に必要なものをすべて詰め込んでいきます.
  • Nは波数の個数です. N=4なので,k=-2, -1, 0, 1となります.
  • Mはノードxの個数です. ノードxは以下で設定します.

初期化

プランを初期化します.

    // planの初期化
    nfft_init_1d(&my_plan, N, M);

プランの初期化をしています.

構造体nfft_plan型のmy_planのメンバには,

my_plan.N_total ノードxの個数
my_plan.M_total フーリエ波数kの個数
my_plan.x ノードxを表すポインタ
my_plan.f_hat フーリエ級数\hat{f}を表すポインタ
my_plan.f 求めたい関数fを表すポインタ

などがいます.

ノードを決める

ノードxを決めます.
これは,[-1/2, 1/2]の範囲であればなんでも良いです(等間隔である必要もないし,小さい方から順番に格納する必要もない!!).

    // ランダムにxの値を決めてくれる関数
    nfft_vrand_shifted_unit_double(my_plan.x, my_plan.M_total);

今回は,NFFTライブラリが提供する,ランダムに格納してくれる関数nfft_vrand_shifted_unit_doubleを使います.

窓関数の計算

今回理論の説明で端折ってしまいましたが,NFFTはフーリエ変換を窓関数の和で近似します.
そのため,窓関数を決め,あらかじめ計算するというステップが入ります.

        // 窓関数の計算
    if (my_plan.flags & PRE_ONE_PSI)
        nfft_precompute_one_psi(&my_plan);

今回は,nfft_precompute_one_psiという関数を使って,計算します.
窓関数の詳細な説明や設定は,記事を分けようと思います.

フーリエ級数の計算

フーリエ級数の計算をします.

        // フーリエ級数
    // 今回はcos(2*pi*x)のフーリエ変換を行う
    for (int i = 0; i < my_plan.N_total; i++)
    {
        my_plan.f_hat[i] = 0;
    }
    my_plan.f_hat[my_plan.N_total / 2 - 1] = 0.5;  // 波数の入れ方に注意
    my_plan.f_hat[my_plan.N_total / 2 + 1] = 0.5; // 波数の入れ方に注意

今回はコサインなので簡単です.

NFFTの実行

NFFTを実行しましょう.

        // NFFTの実行
    nfft_trafo(&my_plan);
  • nfft_trafoでNFFTを実行します.
  • my_plan.fに実行結果が格納されます.

また,符号が逆の変換,

\hat{f}_k = \sum_{j=0}^{M-1} f_j e^{+2\pi i kx_j}

を求めるときは, nfft_adjointを使います.

終了処理

最後にプランを破棄して終了です.

        // planの終了
    nfft_finalize(&my_plan);

おわりに

今回は,NFFTを実行するC言語ライブラリNFFTの説明をしました.
簡単な使用例にとどめましたが,これ以外にも,

  • 逆フーリエ変換
  • 2次元以上の高次元フーリエ変換
  • 高速サイン・コサイン変換(NFCT,NFST)
  • 球面上の変換(球面調和関数展開)NSFST

など,様々な機能があります.これらについても今後記事にしていこうと思います.

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